- 原産:北アメリカ
- 科:バラ(Rosaceae)
- 属:スモモ/サクラ(Prunus)
- 種:ブラックチェリー(serotina)
- 英名:ブラックチェリー(black cherry)
- 別名:ワイルド・ブラックチェリー(wild black cherry)/ブラックチェリー・ツリー(black cherry tree)/ラムチェリー(rum cherry)/マウンテン・ブラックチェリー(mountain black cherry)
- 開花時期:4月~6月
- 果実時期:6月~8月
- 花の色:白色〇
- 葉の色:緑色●
- 実の色:赤色●緑色●黒色●
- 分類:落葉高木
- 草丈:約1500~2500cm
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ブラックチェリーとは!?
ブラックチェリーは学名Prunus serotina、別名では「ワイルド・ブラックチェリー(wild black cherry)」や「ブラックチェリー・ツリー(black cherry tree)」等とも呼ばれる北アメリカが原産の落葉高木です。
ブラックチェリーの語源(由来)
- 属名のPrunusの由来は、古代ギリシア語で「プラム」を意味する「προῦμνον」からきており、後にラテン語の「prunum」を経て、現在のPrunusになっています。
ブラックチェリーの特徴(魅力)
- ブラックチェリーは早春に開花する花を鑑賞する目的や夏に実る甘い果実を収穫して食べる目的で育てられる植物です。
- ブラックチェリーの花は白色(薄黄色)の小花が穂状に並び立ち上がり個性的な花姿をしています。
- ブラックチェリーの果実は穂状に連なり緑色から赤色、赤色から黒色へと色が変化していきます。
- 果実(果肉)は食用にされますが種子には青酸配糖体(シアン化水素を生成)を含むため種は吐き出してください。
- 果実は生のまま食べられたりゼリーやジュースにして食べたり飲まれたりします。
- ブラックチェリーは落葉性のため冬になると葉が落ちて枝のみになります。
- 秋になると葉は橙色へと美しく紅葉します。
ブラックチェリーの茎の色は赤褐色もしくは灰褐色をしています。樹高は約1500(~2500)cm、枝分かれがよく樹冠は丸みをおびます。葉序は互生葉序、葉色は緑色で光沢があり秋になると橙色へと色変わりします。葉身の大きさは長さ約5(~13)cm、葉身は楕円形もしくは卵形で縁部分に鋸歯があります。花序は総状花序、総状花序は長さ約10(~15)cmあります。花は直径約0.5(~1)cmあり、花弁は5個、花弁の色は白色、雄蕊は多数、雌蕊は1個です。果実は核果、形は直径約1cmの球形、色は緑色から赤色、赤色から黒色へと変わります。
スモモ(サクラ)属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
スモモ(サクラ)の珍しい種類、主な種やおすすめの園芸品種などの紹介【2022】
ブラックチェリーの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ブラックチェリーは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まるため、直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
ブラックチェリーがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約50~60cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ブラックチェリーは水捌けがよく腐植がしっかり入った肥沃(生産性の高い土)な土壌を好みます。そのため植え付けの前に土壌診断を行い、堆肥を入れなどしてしっかり土壌改善を行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ブラックチェリーは日当りを好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
ブラックチェリーの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
生育初期
ブラックチェリーは植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
ブラックチェリーは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
ブラックチェリーを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ブラックチェリーはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。実の収穫後に必要に応じてお礼肥を与えて、冬に土質を改善する堆肥入れましょう。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥を与える時期は初冬から晩冬の間に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
お礼肥
ブラックチェリーのお礼肥は実の収穫が終わる頃に与えます。翌年の開花と果実の為にも、花の開花で消耗したエネルギーを肥料でしっかり補いましょう。
ブラックチェリーのお礼肥は多くの場合は速効性の高い発酵鶏糞やぼかし肥料等が利用されます。
お礼肥の施し方は、株元から少し離した場所に置き肥するか、5cm程度穴を掘って、その中に肥料を埋めます。
剪定のやり方
ブラックチェリーは剪定は基本的には「冬(12月~1月頃)」に剪定を行います。剪定を行わないと枝葉が繁茂して通気性や日当たりが悪くなり病気になりやすくなったり害虫がつきやすくなったり、また栄養が分散されるため花や果実が上手くならなかったり、また下枝が枯れやすくなる可能性があります。
ブラックチェリーは自然樹形で育てると最大2500cmまでの高さになり、剪定や収穫が難しくなる場合があります。そのため苗木の頃から剪定して樹形をコントロールするとひとつの対策となるでしょう。
開心自然形の剪定の目的や手順
開心自然形に剪定する目的は、苗木(~幼木)のうちから剪定を行い、枝を強く横に張らせる事で、上への成長を抑えたり、枝の混みを防いだりする事にあります。樹高が低く抑えられる事で果実の収穫や剪定等の管理がしやすくなる等のメリットがあります。
開心自然形に剪定の手順
- 1年目の剪定
- 高さ約40~60cmの芽のある場所の上で剪定を行います。
- 必要に応じてバランスよく主枝候補が出るように計算して位置の悪い芽を芽かきします。
- 2年目の剪定
- 主枝候補を何本か残しながら、それぞれの主枝候補を3分の1から2分の1程に切り戻し剪定します。
- 必要に応じて主枝候補を補木もしくは紐等を使い横に誘引して上に成長しないように抑えます。
- 3年目の剪定
- 2本~3本の主枝候補をある程度絞りながら、主枝候補と競合する枝や位置の悪い場所から出る枝を間引き剪定して根元から取り除きます。
- 主枝候補の新しく成長した部分を3分の1から2分の1ほど切り戻し剪定します。
- 必要に応じて主枝候補を補木もしくは紐等を使い横に誘引して上に成長しないように抑えます。
- 主枝候補から分岐して出た亜主枝は何本か残しますが、主枝候補が伸びる方向の逆に成長する枝(逆さ枝)や平行枝などの不要枝を間引き剪定します。
- 4年目の剪定
- 主枝を2もしくは3本に完全に絞るか、主枝候補をある程度絞りながら、主枝候補から外れた枝を間引き剪定して根元から取り除きます。
- 主枝(主枝候補)の新しく成長した部分を3分の1から2分の1ほど切り戻し剪定します。
- 必要に応じて主枝(主枝候補)を補木もしくは紐等を使い横に誘引して上に成長しないように抑えます。
- 亜主枝も必要なものは切り戻し剪定を行います。
- 主枝(主枝候補)から伸びる不要枝は間引き剪定して取り除きましょう。
- 5年目の剪定
- 幹から出る主枝候補を2本もしくは3本に絞りそれ以外の幹から出てくる枝を間引き剪定で取り除きます。
- 主枝の新しく成長した部分を3分の1から2分の1ほど切り戻し剪定します。
- 必要に応じて主枝を補木もしくは紐等を使い横に誘引して上に成長しないように抑えます。
ブラックチェリーの冬(12月~1月)の剪定の目的や手順
ブラックチェリーの冬(12月~1月)の剪定の目的は、徒長枝や樹形を乱す不要枝を剪定する事でエネルギーの分散を防ぎ花や果実の生産性を向上させたり、見た目を改善したり、また枯れた枝や病枝などを剪定する事で日当りや風通しを改善して健康な成長を促す所にあります。
ブラックチェリーの冬(12月~1月)の剪定の手順
- 株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎】を探しこれを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 不要枝【逆さ枝・下がり枝・蘖など】を探すため株全体を観察して、いらないと判断した枝は根元から間引き剪定しましょう。
- 成長させたい枝は先端から3分の1もしくは4分の1ほどで切り戻し剪定します。
夏越しする方法
ブラックチェリーは夏の暑さに強く基本的には夏越し対策はいりません。
冬越しする方法
Hardiness:3b~8a
ブラックチェリーは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ブラックチェリーは挿し木によって増やす事ができます。
ブラックチェリーの挿し木の方法
- ブラックチェリーの挿し木時期は初夏から夏(半熟枝)もしくは初冬から晩冬(熟枝挿し)が適します。
- 健康な挿し穂を約7~15cmでとります。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 半熟枝では下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 発根促進剤をつけます。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
おすすめの発根促進剤
播種で増やす
ブラックチェリーの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)
発芽適温:約20度
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
ブラックチェリーは寒さを経験しないと発芽しない、低温要求性種子です。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
種まき手順
- ブラックチェリーの実が完熟したら収穫して果肉を取り除き水の中に一晩浸します。
- 密閉出来る袋の中にやや湿らせたバーミキュライトにと種を入れて、冷蔵庫(約4度)の中で約120日間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に2cm程度の土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
ブラックチェリーの病気
ブラックチェリーの害虫