- 原産:南西アジア/南東ヨーロッパ
- 科:バラ(Rosaceae)
- 属:スモモ/サクラ(Prunus)
- 種:セイヨウバクチノキ(laurocerasus)
- 別名:チェリーローレル(cherry laurel)/コモン・ローレル(common laurel)/イングリッシュ・ローレル(English laurel)
- 品種:キャッスルウェラン(prunus laurocerasus ‘castlewellan’)
- 開花時期:3月~5月
- 果実時期:8月~9月
- 花の色:白色〇
- 葉の色:緑色●黄色●
- 分類:常緑小高木
- 草丈:約250cm
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:カラーリーフ/日陰植物
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)とは!?
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)は葉に網状のクリーム色の班が入り、緑色と黄色の2色の葉色が明るい雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。樹形はブッシュ状、高さ幅ともに250cm程度に成長するため生垣等に利用されます。
セイヨウバクチノキとは!?
セイヨウバクチノキは学名Prunus laurocerasus、別名では「チェリーローレル(cherry laurel)」や「コモン・ローレル(common laurel)」等とも呼ばれる南西アジアおよび南東ヨーロッパが原産の常緑小高木です。
セイヨウバクチノキの語源(由来)
- 属名のPrunusの由来は、古代ギリシア語で「プラム」を意味する「προῦμνον」からきており、後にラテン語の「prunum」を経て、現在のPrunusになっています。
- 種小名のlaurocerasusはラテン語で「月桂樹(ローレル)」を意味する「laurus」と、ラテン語で「サクラ」を意味する「cerasus」の2語からなり、月桂樹の様な葉とサクラの様な果実をもつ事に由来します。
セイヨウバクチノキの特徴(魅力)
- セイヨウバクチノキは一般的なスモモ属の植物と違い常緑性で、革を思わせる様な光沢のある美しい葉をもちます。
- セイヨウバクチノキの花は白色(薄黄色)の小花が穂状に並び立ち上がり個性的な花姿をしています。
- 花は早春から晩春にかけて早く開花しますが、葉は常緑性のため他のスモモ属の植物(桜など)の様に葉に邪魔される事なく綺麗な花を鑑賞する事は出来ません。
- セイヨウバクチノキの果実は穂状に連なり緑色から赤色、赤色から黒色へと色が変化していきます。
- 果実は食用にされますが収斂性(舌や頬を引き締める様な渋み)があり微量のシアン化水素も含むため好んで食べられる事は少ないです。
- また苦味が強い場合はシアン化水素が多く含まれている事が多いため食べない方が良いでしょう。
- セイヨウバクチノキは家の境界等に等間隔(品種に合わせ約30~90cm)で植えて生垣として利用されます。
- 葉は常緑のため一年を通して鑑賞価値が保たれます。
- 葉色は光沢がある濃い緑色をしており幾つかの品種では葉の色が黄色(~白色)のためカラーリーフとして楽しまれます。
- セイヨウバクチノキは耐陰性が強いためシェードガーデンでも利用出来ます。
- セイヨウバクチノキは夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も殆ど不要になるため放ったらかしで育てる事も可能です。
セイヨウバクチノキの茎の色は黄褐色(~暗褐色)もしくは灰褐色をしています。樹高は約200(~800)cm、枝分かれがよく樹冠は丸みをおびます。葉序は互生葉序、葉色は緑色で強い光沢があり、葉身の大きさは長さ約5(~30)cm、幅約4(~10)cm、葉身は楕円形もしくは卵形で縁部分に鋸歯があります。花序は総状花序、総状花序は長さ約7(~15)cmあり花が約30(~40)個集まります。花は花弁が5個、花弁の色は白色、雄蕊は多数、雌蕊は1個です。果実は核果、形は直径約1(~2)cmの球形、色は緑色から赤色、赤色から黒色へと変わります。
セイヨウバクチノキの園芸品種の紹介
- キャッスルウェラン(prunus laurocerasus ‘castlewellan’)は葉に網状のクリーム色の班が入り、緑色と黄色の2色の葉色が明るい雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。樹形はブッシュ状、高さ幅ともに250cm程度に成長するため生垣等に利用されます。
スモモ(サクラ)属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
スモモ(サクラ)の珍しい種類、主な種やおすすめの園芸品種などの紹介【2022】
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)は日光のよく当たる日向から、間接光しか当たらない日陰迄の幅広い場所で育てる事が出来ます。
作土層
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)がしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約50~60cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)は水捌けがよく腐植がしっかり入った肥沃(生産性の高い土)な土壌を好みます。そのため植え付けの前に土壌診断を行い、堆肥を入れなどしてしっかり土壌改善を行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)は直射日光が6時間以上あたる日向から、間接光のみしか当たらないような日陰迄で育てられます。
培養土
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)の培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
生育初期
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)は植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)はある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。実の収穫後に必要に応じてお礼肥を与えて、冬に土質を改善する堆肥入れましょう。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥を与える時期は初冬から晩冬の間に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
お礼肥
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)のお礼肥は実の収穫が終わる頃に与えます。翌年の開花と果実の為にも、花の開花で消耗したエネルギーを肥料でしっかり補いましょう。
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)のお礼肥は多くの場合は速効性の高い発酵鶏糞やぼかし肥料等が利用されます。
お礼肥の施し方は、株元から少し離した場所に置き肥するか、5cm程度穴を掘って、その中に肥料を埋めます。
剪定のやり方
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)は定期的な剪定をせずに育てる事が出来ますが、形の維持を目的として毎年剪定する事が一般的です。
セイヨウバクチノキの生垣の剪定の目的や手順
セイヨウバクチノキの生垣の剪定の目的は美観を保ったり、飛び出た枝葉が服や肌に引っかかる事を防いだり、日当りや風通しを改善して健康な成長を促したり、枝分かれを促し密に茂る樹形をつくる所にあります。
セイヨウバクチノキの生垣の剪定の時期は晩春から初夏に行います。また成長が早く再度の剪定が必要な場合は8月の初め頃までにもう一度行います。
セイヨウバクチノキの生垣の剪定のやり方
- 株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎】を探しこれを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 側面を「刈り込み剪定」もしくは「切り戻し剪定」で剪定して樹形を整えます。
- 刈り込み剪定は枝葉を選択せずに一気に剪定していくためスピードははやいですが、セイヨウバクチノキの様に葉が大きいものでは葉が途中でカットされ美観が損なわれる可能性があります。
- 切り込み剪定では一本一本の枝葉を観察しながら飛び出た枝葉を少し中(奥)めの節の部分で剪定していきます。
- 側面が終わったら上面を平に刈り込みましょう。
夏越しする方法
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)は夏の暑さに強く基本的には夏越し対策はいりません。
冬越しする方法
Hardiness:4b~8a
セイヨウバクチノキ(キャッスルウェラン)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
セイヨウバクチノキは挿し木によって増やす事ができます。
セイヨウバクチノキの挿し木の方法
- セイヨウバクチノキの挿し木時期は初夏から夏(半熟枝)もしくは初冬から晩冬(熟枝挿し)が適します。
- 健康な挿し穂を約7~15cmでとります。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 半熟枝では下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 発根促進剤をつけます。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
おすすめの発根促進剤
播種で増やす
セイヨウバクチノキの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)
発芽適温:約20度
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
セイヨウバクチノキは寒さを経験しないと発芽しない、低温要求性種子です。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
種まき手順
- セイヨウバクチノキの実が完熟したら収穫して果肉を取り除き水の中に一晩浸します。
- 密閉出来る袋の中にやや湿らせたバーミキュライトにと種を入れて、冷蔵庫(約4度)の中で約60~90日間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に2cm程度の土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
セイヨウバクチノキの病気
セイヨウバクチノキの害虫