



- 原産:西・南ヨーロッパ/北西アフリカ/南西アジア
- 科:モチノキ(Aquifoliaceae)
- 属:モチノキ/イレックス(Ilex)
- 種:セイヨウヒイラギ(aquifolium)
- 別名:ヒイラギモチ/セイヨウヒイラギモチ/ホーリー(holly)/コモン・ホーリー(common holly)/イングリッシュ・ホーリー(English holly)/ヨーロピアン・ホーリー(European holly)/クリスマス・ホーリー(Christmas holly)
- 開花時期:4月~6月
- 果実時期:11月~12月
- 花の色:白色〇
- 葉の色:緑色●黄色●白色〇
- 果実の色:赤色●
- 分類:常緑高木
- 草丈:約500~2500cm
- 誕生花:12月16日/12月25日
- 花言葉:慎重/洞察力/先見の明/不滅の輝き/将来の見通し/神を信じます
- 用途:カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)とは!?
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は学名Ilex aquifolium、別名では「セイヨウヒイラギモチ」や「ホーリー(holly)」とも呼ばれる西・南ヨーロッパおよび南西アジアと北西アフリカが原産の常緑高木です。
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の語源(由来)
- 属名のIlexの由来は、葉の類似性からセイヨウヒイラギガシ(Quercus ilex)が引用されたものです。
- 種小名のaquifoliumはラテン語で「棘のある葉」を意味しており、セイヨウヒイラギの葉のふち部分に刺がある事に由来します。
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の特徴(魅力)
- セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は枝葉と実がクリスマス装飾の定番として利用されており、また庭木や生垣として楽しむ目的で育てられています。
- 花は初夏頃に開花しますが小さく白色と目立たないため鑑賞目的として重要視される事はありません。
- 花は蜜蜂などの昆虫の蜜源として利用されます。
- 果実は花の少ない冬の時期に実るためウィンターガーデンを華やかに彩ります。
- 実のついた枝はクリスマス装飾の定番として利用されています。
- 実は有毒(アルカロイド等が含まれる)と考えられており食べると嘔吐を誘発する事があります。
- セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は雌雄異株のため雄株と雌株があり基本的には両方の株がないと果実が実りません。
- 雌株の雌花には不稔性の雄花がつきますが、稀に稔性の雄花がつき自家受粉することもあるため1本の株で果実がなることもあります。
- また1部品種で自家受粉するものもあるため1本植えるだけで果実が楽しめる場合もあります。
- セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は家の境界等に等間隔(品種に合わせ約30~50cm)で植えて生垣として利用されます。
- 葉は常緑のため一年を通して鑑賞価値が保たれます。
- 葉色は光沢がある濃い緑色をしており幾つかの品種では葉の色が黄色(~白色)のためカラーリーフとして楽しまれます。
- セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は底の浅い鉢で仕立てられながら盆栽として育てられる事もあります。
- セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も殆ど不要になるため放ったらかしで育てる事も可能です。
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の茎は木質で樹皮は灰褐色(~灰色)をしています。樹高は約500(~2500)cm、樹形は円柱形もしくは円筒形、幹は太さ約40(~100)cmで直立して、枝はよく枝分かれして密に茂ります。葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約5(~12)cm、幅約2(~6)cm、葉身の形は楕円形で縁部分に歯牙(木が成熟すると歯牙がなくなり全円)と鋭い刺があります。花は雌雄異株のため雄株(雄花だけ作る)と雌株(雌花だけ作る)がそれぞれ株が分かれてあります。雄花は白色の花弁が4個と雄蕊が4個あります。雌花は白色の花弁が4個と雌蕊は1個と不稔性の雄蕊(稀に稔性の雄蕊)があります。果実は核果(薄い外果皮・多肉質な中果皮・殻状の硬い内果皮がある)、色は赤色もしくは黄色、形は球形、直径約0.6(~1)cmです。種子は果実に3(~)個ふくまれます。
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の園芸品種の紹介
- シルバークイーン(ilex aquifolium ‘silver queen’)は、葉のふち部分に入る白色(~薄黄色)の班と、新芽(~若葉)でしばしば見られる桃色に染まる可愛らしい葉色が魅力の園芸品種です。シルバークイーンは「クイーン(女王)」の名前をもちますが、雄株しかありません。そのため果実を実らせたい場合は他の品種も選択する必要があります。樹高は約400~800cmと背が高く成長するため十分なスペースをとって育てましょう。
- アラスカ(ilex aquifolium ‘alaska’)は自家受粉するため1本の木だけでも実が楽しめます。また一般的な種よりも葉の幅が狭く、光沢のある濃い緑色の葉色が美しく、密に枝葉が茂るため生垣としての利用が多い園芸品種です。樹高は最大900cm、幅は600cmまで成長します。
- アルゲンテア・マルギナータ(ilex aquifolium ‘argentea marginata’)は葉のふち部分に入る白色(~薄黄色)の班と、晩秋~冬にかけて沢山実る赤色の果実がが魅力の園芸品種です。アルゲンテア・マルギナータは雌株しかありません。そのため果実を実らせたい場合は他の品種(雄株)も選択する必要があります。樹高は1200cmを越えて成長する可能性があるため十分なスペースをとって育てましょう。
モチノキ(イレックス)はの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
モチノキ(イレックス)の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2022】
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は健康に成長するために多くの光を必要とします。そのため基本的に直射日光が6時間以上あたる日向、もしくは直射日光が3時間から5時間あたる半日影で育てましょう。
作土層
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)がしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30~50cmまでスコップを使い穴を掘り、土を解して、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は水捌けがよく腐植がしっかり入った肥沃(生産性の高い土)な土壌を好みます。そのため植え付けの前に土壌診断を行い、堆肥を入れる等してしっかり土壌改善を行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は日当りを好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
生育初期
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし夏場等で雨が降らず乾燥が続く場合や、土の中に指を入れて湿り気がない場合などは、水やりを行いましょう。
鉢植え
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)はある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて冬に土質を改善する堆肥と肥料を入れましょう。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。肥料の成分は水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)を選びましょう。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施します。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は剪定を殆ど必要としませんが、強い剪定をしたい場合などは休眠中の晩冬から早春に行う事が最適です。また生垣やトピアリーとして育てる場合は、必要に応じて定期的に剪定を行い、形を維持しする必要があります。
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の晩冬から早春に剪定する目的や手順
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の晩冬から早春に剪定する目的は、ストレスの少ない休眠中に剪定を行う事で、病気になるリスクを防いだり、成長前に剪定する事で剪定後の回復を早める事にあります。また樹形を乱す不要枝を剪定する事でエネルギーの分散を防ぎ花や果実の生産性を向上させたり、見た目を改善したり、その他にも枯れた枝や病枝などを剪定する事で日当りや風通しを改善して健康な成長を促す所にあります。ただし剪定し過ぎた場合は、花の数や果実の数が減る可能性があるため注意が必要です。
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の晩冬から早春の剪定の手順
- 株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎】を探しこれを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 不要枝【逆さ枝・下がり枝・蘖など】を探すため株全体を観察して、いらないと判断した枝は根元から間引き剪定しましょう。
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の生垣の剪定の目的や手順
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の生垣の剪定の目的は美観を保ったり、飛び出た枝葉が服や肌に引っかかる事を防いだり、日当りや風通しを改善して健康な成長を促したり、枝分かれを促し密に茂る樹形をつくる所にあります。
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の生垣の剪定の時期は早春から秋の間(3月~10月)です。早春に強い剪定を行います。何故なら早春に強い剪定をしても春からの成長が活発なため直ぐに回復して剪定された部分は覆われてしまい、また枝分かれも良くなるからです。秋(9月~10月)に軽い剪定を行います。秋に入ると成長が一段落するため剪定をしておけば翌年まで綺麗な形が維持されます。
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の生垣の剪定のやり方
- 株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎・蘖(木の根元から生えてくる細い茎)】を探しこれを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 側面を「刈り込み剪定」もしくは「切り戻し剪定」で剪定して樹形を整えます。
- 刈り込み剪定は枝葉を選択せずに一気に剪定していくためスピードははやいですが、セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の様に葉が大きいものでは葉が途中でカットされてしまい傷付いた部分が褐色に変色するため美観が損なわれる可能性があります。
- 切り戻し剪定では一本一本の枝葉を観察しながら飛び出た枝葉を少し中(奥)めの節の部分で剪定していきます。
- 側面が終わったら上面を平に刈り込みましょう。
オススメの刈り込み鋏
挿し木や株分けで増やす
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は挿し木によって増やす事ができます。
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の挿し木の方法
- セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の挿し木時期は初夏から夏(半熟枝)もしくは初冬から晩冬(熟枝挿し)が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を利用しましょう。
- 半熟枝では挿し穂を長さ約7~10cmをとります。
- 熟枝挿しでは挿し穂を長さ約10~20cmとります。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 半熟枝では下部の葉を取り除きます。
- 培養土に幾つかの節を入れ深く挿します。
- 節の部分からも発根する。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)は寒さを経験しないと発芽しません。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
種まき手順
- セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)の実が完熟したら収穫して果肉を取り除き水の中に一晩浸します。
- 密閉出来る袋の中にやや湿らせたバーミキュライトにと種を入れて、冷蔵庫(約4度)の中で約120日間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。