- 原産:日本
- 科:ツゲ(Buxaceae)
- 属:ツゲ(buxus)
- 種:ツゲ(microphylla var. japonica)
- 別名:柘植/ホンツゲ/コツゲ/アサマツゲ/ジャパニーズ・ボックス(Japanese box)/リトルリーフ・ボックス(littleleaf box)
- 開花時期:3月~4月
- 花の色:黄色●緑色●
- 葉の色:緑色●黄色●白色〇
- 分類:常緑低木/常緑小高木
- 草丈:約100~800cm
- 誕生花:1月10日
- 花言葉:堅固/堅忍/淡白/冷静/禁欲主義
- 用途:カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ツゲ(柘植)とは!?
ツゲ(柘植)は学名buxus microphylla var. japonica、別名では「ホンツゲ」や「ジャパニーズ・ボックス(Japanese box)」とも呼ばれる日本固有種の常緑低木もしくは常緑小高木です。日本では本州(関東以西)・四国・九州に分布して、山地などに自生しています。
ツゲ(柘植)の語源(由来)
- 属名のbuxusは古代ギリシア語で「ツゲ属の植物」もしくは「セイヨウツゲ」を意味する「πύξος」に由来しています。
- 種小名のmicrophyllaはラテン語で「小さい」を意味する「micro」と、ラテン語で「葉」を意味する「phylla」の2語からなり、ツゲの葉が小さな事に由来します。
- ツゲの由来は諸説あり、葉が次々に展開していくことから「次ぎ」が転訛して「ツゲ」になった説や、葉の色が梅雨にかけて黄色みを帯びることから「梅雨黄(つゆき)」と呼ばれたという説等があります。
ツゲ(柘植)の特徴(魅力)
- ツゲ(柘植)は一般的に生垣や盆栽、トピアリーとして楽しむ目的で育てられる植物です。
- 花は早春から春に開花しますが小さくクリーム色と目立たないため鑑賞目的として重要視される事はありません。
- 花は葉腋から束生(葉・花・茎等が1箇所から束状に生える)して雌花が中央に1個とその周りに複数の雄花が付きます。
- 花は蜜蜂の蜜源となるため開花期になると花の周りを元気に飛び回る花蜂の姿が観察出来ます。
- ツゲの葉はセイヨウツゲの様な「猫の尿」に例えられる匂いがありません。
- ツゲ(柘植)は家の境界等に等間隔(品種に合わせ約20~30cm)で植えて生垣として利用されます。
- 葉は常緑のため一年を通して鑑賞価値が保たれます。
- 刈り込みに強く剪定する事でより枝葉が密に茂るため目隠し効果が高まります。
- 葉は小さいため刈り込み剪定をして葉が途中でカットされても美観が損なわれる事はあまりありません。
- 葉色は光沢がある濃い緑色をしており幾つかの品種では葉の色が黄色(~白色)のためカラーリーフとして楽しまれます。
- ツゲ(柘植)は刈り込みに強く葉が小さいためトピアリー植物に向いています。
- トピアリーとしては球形に刈り込んだり、枠(フレーム)を利用して幾何学模様・動物・文字等の形等に剪定したり、また和の仕立てにする場合は玉散らし(主枝ごとに球状もしくは雲形に塊をつくり)に剪定されたりします。
- ツゲ(柘植)は底の浅い鉢で仕立てられながら盆栽として育てられる事もあります。
- ツゲ(柘植)の木材は木目が細かく緻密で加工後の狂いが少なく、乾燥後の比重は0.8で硬い所が特徴です。
- 印鑑や将棋の駒など細工物などに利用されます。
- ツゲ(柘植)とイヌツゲは外観が似ている事から比較されることがあります。
- ツゲは雌雄同株のため1つの株に雌花と雄花がありますが、イヌツゲは雌雄異株のため雌株と雄株にわかれます。
- ツゲは3月頃に開花しますが、イヌツゲの花は6月から7月に開花します。
- ツゲの葉(葉序)は向かい合わせの対生につきますが、イヌツゲは互生につきます。
- ツゲはふち部分が滑らかで全縁ですが、イヌツゲは葉のふち部分にギザギザした鋸歯があります。
- ツゲは蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)を付けますが、イヌツゲの果実は丸く球形の核果(薄い外果皮・多肉質な中果皮・殻状の硬い内果皮がある)です。
- ツゲ(柘植)は夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も殆ど不要になるため放ったらかしで育てる事も可能です。
ツゲ(柘植)の茎は木質で、樹皮は滑らかで縦筋が入り、色は灰褐色(~灰色)をしています。樹高は約100(~800)cm、樹形は円筒形、幹の太さは約30(~50)cm、枝分かれがよく密に茂ります。葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約1(~3)cm、幅約0.7(~1.5)cm、葉身の形は倒卵形もしくは楕円形で、縁部分は全縁(鋸歯が無く滑らか)です。花は雌雄同株(同一株の中に雄花と雌花がそれぞれ分かれてある)です。花序は腋性で葉腋から雄花が数個と雌花が1個、束生(葉・花・茎等が1箇所から束状に生える)します。雄花は萼片が4個と雄蕊が4個あります。雌花は6個の萼片と1個の雌蕊があります。果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)です。蒴果の形は楕円形で先端に3個の花柱の突起が残り、果皮は成熟すると裂開して3室に分かれ、1室に黒色の種子が2個ずつ入ります。
ツゲ(柘植)の園芸品種の紹介
- クサツゲ(buxus microphylla var. microphylla)は別名では「ヒメツゲ」とも呼ばれており、一般的なツゲと比べて背が低く高さが約15~50cm程度までにしかならず、また密に茂る枝葉と、小さな葉(長さ約2cm)が魅力の栽培品種です。ヒメツゲは成長が緩やかなため管理がしやすく、また枝葉が密に茂り葉が小さいため、刈り込みにとても強く、トピアリーや生垣等に利用しやすいです。【楽天で購入】
- ウィンタージャム(buxus microphylla ‘winter gem’)は、クッションの様に丸みをおびて成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)があり、また黄色みを帯びる若葉が魅力的な園芸品種です。成長が非常に緩やかなため生垣やトピアリーなどでも利用しやすく、高さが約60~120cm程度と背が低いため小さな花壇や植え込みなどでも育てやすい所が魅力です。
- コンパクタ(buxus microphylla ‘compacta’)は成長が非常に緩やかで高さが30cm程度までしか成長せず、クッションの様にこんもり茂る習慣(決まりのように繰り返す癖)がある園芸品種です。花壇や植え込みの縁取りやトピアリー等に利用されます。
- 雲龍ツゲは、枝が捻れてクネクネとした不規則な樹形をつくるため、樹形を楽しむ目的で庭木として楽しまれたり、盆栽として利用される事が多い園芸品種です。
ツゲ(ボックスウッド)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ツゲ(ボックスウッド)の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介
ツゲ(柘植)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ツゲ(柘植)は直射日光が6時間以上あたる日向から、直射日光が3時間から5時間あたる半日影までで育てられます。
作土層
ツゲ(柘植)がしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30~50cmまでスコップを使い穴を掘り、土を解して、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ツゲ(柘植)は水捌けがよく腐植がしっかり入った肥沃(生産性の高い土)な土壌を好みます。そのため植え付けの前に土壌診断を行い、堆肥を入れる等してしっかり土壌改善を行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ツゲ(柘植)は日当りを好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
ツゲ(柘植)の培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
生育初期
ツゲ(柘植)は植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
ツゲ(柘植)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし夏場等で雨が降らず乾燥が続く場合や、土の中に指を入れて湿り気がない場合などは、水やりを行いましょう。
鉢植え
ツゲ(柘植)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ツゲ(柘植)はある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて冬に土質を改善する堆肥と肥料を入れましょう。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。肥料の成分は水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)を選びましょう。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施します。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
ツゲ(柘植)は一般的に美しい外観(形状)を維持する目的で剪定が行われます。剪定する事で、外観が整えられて洗練された印象を与えたり、枝葉が飛び出て服や肌に引っかかる事を防いだり、枝分かれを促し密に茂る樹形を作ったりする事ができます。
生垣として剪定する方法
- ツゲ(柘植)の剪定時期は早春から秋の間に行い、一般的には早春と初夏と秋の3回もしくは初夏と秋の2回行われます。
- 早春は春からの成長が活発なため強剪定を行うのに向く時期です。強く剪定しても春からの強い成長で直ぐに枝葉に覆われます。
- 初夏は形を整える軽い剪定を行います。何故なら春から初夏にかけて活発に成長するため多くの場合で樹形が崩れているからです。
- 秋(9月~10月)に形を整える軽い剪定を行います。秋に入ると成長が一段落するため軽く剪定をしておけば翌年まで綺麗な形が維持されます。ただし秋以降は生育が緩慢になるため、あまり強く切り戻して外観を崩すのは避けた方がよいでしょう。
- 剪定する方法は切り戻し剪定もしくは刈り込み剪定です。
- 樹形を大幅に整えたい場合はヘッジトリマー等を利用して刈り込みます。
- 樹形がある程度整っていて、秋以降生育が緩慢であまりいじりたくない場合は剪定バサミを利用して軽く切り戻し剪定します。
- 刈り込み剪定(切り戻し剪定)する場合は紐などを事前に張っておいたり、トピアリーであればフレームに合わせて刈り込みを行うと均一に仕上げやすくなります。
- 生垣として剪定する際は上部をやや狭く下部をやや広く「▲」の形をイメージしながら剪定すると下部の枝葉にも光がしっかり当たるため、下枝の葉が落ちにくいです。
- 求める樹形と大きさに合わせて上面・側面と刈り込みましょう。
剪定をプロに任せる
剪定を自分で行う事が不安な場合は、剪定のプロに任せて綺麗に仕上げて貰う事も出来ます。また剪定する時間がとれない、他にも庭の作業を依頼したい時などもプロに作業を任せてしまう事が可能です。
- 剪定作業を自分で行う時に不安がある時
- 剪定は重労働になるため体力が最後までもつか不安がある。
- 大きな木を剪定する時は高所作業になるため怪我をするリスクがあり不安がある。
- 間違った剪定を行う事で、数年後に不格好な樹形になったり、スカスカした生垣になるかもしれない不安がある。※必要な枝と不要な枝の見極めが素人には難しい場合があり、太い枝や古い枝などを残すと不格好な樹形になることもある。
- 剪定を行う時間がとれず放ったらかしになっている
- 生垣の管理が疎かになると枝が暴れるため見た目が悪くなったり、枝が歩行者の邪魔になり怪我をさせるリスクがある。
- 木がどんどん成長していくと管理が難しくなったり、鑑賞したい花が上の方に咲いてしまったり、電線の近くだと枝が電線にかかる可能性がある。
- 剪定の他にも作業を依頼したい
- 庭の草が育って薮のようになっている、芝が伸びてボウボウになっている、庭石を並べたり外壁工事を頼みたい、庭にある不要物を撤去して欲しい等の相談も、剪定依頼をする時に一緒に行うことが可能です。
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夏越しする方法
ツゲ(柘植)は夏の暑さに強いため、基本的には夏越し対策不要です。
冬越しする方法
Hardiness:6b~8a
ツゲ(柘植)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ツゲ(柘植)は挿し木によって増やす事ができます。
ツゲ(柘植)の挿し木の方法
- ツゲ(柘植)の挿し木時期は初夏から夏(半熟枝)が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を利用しましょう。
- 半熟枝では挿し穂を長さ約10~15cmをとります。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 下部の葉を取り除きます。
- 培養土に幾つかの節を入れ深く挿します。
- 節の部分からも発根する。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ツゲ(柘植)の種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
ツゲ(柘植)は寒さを経験しないと発芽しません。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
種まき手順
- ツゲ(柘植)の実が完熟したら種子を取り出し水の中に一晩浸します。
- 密閉出来る袋の中にやや湿らせたバーミキュライトと種を入れて、冷蔵庫(約4度)の中で約6週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
ツゲ(柘植)の病気
ツゲ(柘植)の害虫