ツゲ(ボックスウッド)は属の中に約70~104種がありますが、一般に園芸で親しまれている種は幾つかの種とその園芸品種です。例えば、日本固有種で葉が小さく刈り込みに強い事から生垣やトピアリー等にして楽しまれるツゲ(柘植)、ツゲと同様に生垣やトピアリーなどで楽しまれ、ツゲより栽培品種が多い一方で葉に「猫の尿」に例えられる匂いがあるセイヨウツゲ等が親しまれています。
ツゲ属の種ごとの育て方は写真か育て方をクリックすると出てくる為よかったらそちらをご覧下さい!
このページでは主な種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を紹介しています。
ツゲ(ボックスウッド)の主な種の目次
セイヨウツゲの特徴や園芸品種
- 原産:西・南ヨーロッパ/北西アフリカ/南西アジア
- 学名:buxus sempervirens
- 草丈:約100~900cm
- 分類:常緑低木/常緑小高木
- 開花時期:3月~4月
- 花色:黄色●緑色●
- 葉色:緑色●黄色●白色〇
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 用途:カラーリーフ
セイヨウツゲとは!?
セイヨウツゲは学名buxus sempervirens、別名では「ヨーロッパツゲ」や「コモン・ボックス(common box)」とも呼ばれる西・南ヨーロッパおよび北西アフリカ、南西アジアが原産の常緑低木もしくは常緑小高木です。
セイヨウツゲの語源(由来)
- 属名のbuxusは古代ギリシア語で「ツゲ属の植物」もしくは「セイヨウツゲ」を意味する「πύξος」に由来しています。
- 種小名のsempervirensはラテン語で「常に」を意味する「semper」と、ラテン語で「(植物の)緑」を意味する「virens」の2語からきており、常緑の葉に由来しています。
セイヨウツゲの特徴(魅力)
- セイヨウツゲは一般的に生垣や盆栽、トピアリーとして楽しむ目的で育てられる植物です。
- 花は早春から春に開花しますが小さくクリーム色と目立たないため鑑賞目的として重要視される事はありません。
- 花は葉腋から束生(葉・花・茎等が1箇所から束状に生える)して雌花が中央に1個とその周りに複数の雄花が付きます。
- 花は蜜蜂の蜜源となるため開花期になると花の周りを元気に飛び回る花蜂の姿が観察出来ます。
- セイヨウツゲの葉は太陽の光により強い香りを放ちます。
- 品種によって香りの強さや人によって感じ方も変わりますが一般的に匂いは「猫の尿」に例えられます。
- セイヨウツゲは家の境界等に等間隔(品種に合わせ約15~30cm)で植えて生垣として利用されます。
- 葉は常緑のため一年を通して鑑賞価値が保たれます。
- 刈り込みに強く剪定する事でより枝葉が密に茂るため目隠し効果が高まります。
- 葉は小さいため刈り込み剪定をして葉が途中でカットされても美観が損なわれる事はあまりありません。
- 葉色は光沢がある濃い緑色をしており幾つかの品種では葉の色が黄色(~白色)のためカラーリーフとして楽しまれます。
- セイヨウツゲは刈り込みに強く葉が小さいためトピアリー植物に向いています。
- トピアリーとしては球形に刈り込んだり、枠(フレーム)を利用して幾何学模様・動物・文字等の形等に剪定したり、また和の仕立てにする場合は玉散らし(主枝ごとに球状もしくは雲形に塊をつくり)に剪定されたりします。
- セイヨウツゲは底の浅い鉢で仕立てられながら盆栽として育てられる事もあります。
- セイヨウツゲの木材は木目が細かく緻密で加工後の狂いが少ないため彫刻などの細工物に最適で、またボードゲームのチェスや楽器のフルートなどにも利用されます。
- セイヨウツゲは夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も殆ど不要になるため放ったらかしで育てる事も可能です。
セイヨウツゲの茎は木質で樹皮は灰褐色(~灰色)をしています。樹高は約100(~800)cm、樹形は円筒形、幹の太さは約20cm、枝分かれがよく密に茂ります。葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約1(~3)cm、幅約0.5(~1.3)cm、葉身の形は楕円形で、縁部分は全縁(鋸歯が無く滑らか)です。花は雌雄同株(同一株の中に雄花と雌花がそれぞれ分かれてある)です。花序は腋性で葉腋から雄花が数個と雌花が1個、束生(葉・花・茎等が1箇所から束状に生える)します。果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)です。蒴果の形は楕円形で先端に3個の花柱の突起が残り、果皮は成熟すると裂開して3室に分かれ、1室に黒色の種子が1(~2)個ずつ入り合計3(~6)個の種子が入ります。
セイヨウツゲの園芸品種の紹介
- 班入りセイヨウツゲ(buxus sempervirens ‘variegata’)は、葉のふち部分に黄色(~薄黄色)の班が入るため、光に照らされたかのような明るい雰囲気をつくります。また葉は常緑のため一年を通してカラーリーフとして楽しめる魅力的な園芸品種です。成長は緩やかで高さ約90~180cmの間で成長します。等間隔に並べて背の低い生垣として利用したり、刈り込みを行いながらトピアリーとして利用したり、鉢植えに植えて玄関前などに飾って楽しむとよいでしょう。
- エレガンテシマ(buxus sempervirens ‘elegantissima’)は、葉のふち部分に白色(~薄黄色)の班が入るため、明るく柔らかな雰囲気をつくり一年を通してカラーリーフとして楽しめる魅力的な園芸品種です。成長は緩やかで高さ幅ともに約150cmまで成長します。等間隔に並べて背の低い生垣として利用したり、刈り込みを行いながらトピアリーとして利用したり、鉢植えに植えて玄関前などに飾って楽しむとよいでしょう。
- スフルティコサ(buxus sempervirens ‘Suffruticosa’)は、成長が緩やかで背が低いため育てやすく、樹形はクッションの様にこんもり茂る習慣(決まりのように繰り返す癖)をしている園芸品種です。高さ幅ともに約100cmまで成長します。等間隔に並べて背の低い生垣として利用したり、刈り込みを行いながらトピアリーとして利用したり、鉢植えに植えて玄関前などに飾って楽しむとよいでしょう。
- グラハム・ブランデー(buxus sempervirens ‘graham blandy’)は「鉛筆」を思わせる様な幅の狭い円柱形の樹形をつくる習慣(決まりのように繰り返す癖)をもつ園芸品種です。樹高は約200~400cm、横へは約30~60cmに広がります。スラリと真っ直ぐに成長する習慣から洗練されたお庭などによくあい、幅の狭い生垣や、庭の中で高さや立体感を出すアクセント植物としておすすめです。
ツゲ(柘植)の特徴や園芸品種
- 原産:日本
- 学名:buxus microphylla var. japonica
- 草丈:約100~800cm
- 分類:常緑低木/常緑小高木
- 開花時期:3月~4月
- 花色:黄色●緑色●
- 葉色:緑色●黄色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:強い
- 誕生花:1月10日
- 花言葉:堅固/堅忍/淡白/冷静/禁欲主義
- 用途:カラーリーフ
ツゲ(柘植)とは!?
ツゲ(柘植)は学名buxus microphylla var. japonica、別名では「ホンツゲ」や「ジャパニーズ・ボックス(Japanese box)」とも呼ばれる日本固有種の常緑低木もしくは常緑小高木です。日本では本州(関東以西)・四国・九州に分布して、山地などに自生しています。
ツゲ(柘植)の語源(由来)
- 属名のbuxusは古代ギリシア語で「ツゲ属の植物」もしくは「セイヨウツゲ」を意味する「πύξος」に由来しています。
- 種小名のmicrophyllaはラテン語で「小さい」を意味する「micro」と、ラテン語で「葉」を意味する「phylla」の2語からなり、ツゲの葉が小さな事に由来します。
- ツゲの由来は諸説あり、葉が次々に展開していくことから「次ぎ」が転訛して「ツゲ」になった説や、葉の色が梅雨にかけて黄色みを帯びることから「梅雨黄(つゆき)」と呼ばれたという説等があります。
ツゲ(柘植)の特徴(魅力)
- ツゲ(柘植)は一般的に生垣や盆栽、トピアリーとして楽しむ目的で育てられる植物です。
- 花は早春から春に開花しますが小さくクリーム色と目立たないため鑑賞目的として重要視される事はありません。
- 花は葉腋から束生(葉・花・茎等が1箇所から束状に生える)して雌花が中央に1個とその周りに複数の雄花が付きます。
- 花は蜜蜂の蜜源となるため開花期になると花の周りを元気に飛び回る花蜂の姿が観察出来ます。
- ツゲの葉はセイヨウツゲの様な「猫の尿」に例えられる匂いがありません。
- ツゲ(柘植)は家の境界等に等間隔(品種に合わせ約20~30cm)で植えて生垣として利用されます。
- 葉は常緑のため一年を通して鑑賞価値が保たれます。
- 刈り込みに強く剪定する事でより枝葉が密に茂るため目隠し効果が高まります。
- 葉は小さいため刈り込み剪定をして葉が途中でカットされても美観が損なわれる事はあまりありません。
- 葉色は光沢がある濃い緑色をしており幾つかの品種では葉の色が黄色(~白色)のためカラーリーフとして楽しまれます。
- ツゲ(柘植)は刈り込みに強く葉が小さいためトピアリー植物に向いています。
- トピアリーとしては球形に刈り込んだり、枠(フレーム)を利用して幾何学模様・動物・文字等の形等に剪定したり、また和の仕立てにする場合は玉散らし(主枝ごとに球状もしくは雲形に塊をつくり)に剪定されたりします。
- ツゲ(柘植)は底の浅い鉢で仕立てられながら盆栽として育てられる事もあります。
- ツゲ(柘植)の木材は木目が細かく緻密で加工後の狂いが少なく、乾燥後の比重は0.8で硬い所が特徴です。
- 印鑑や将棋の駒など細工物などに利用されます。
- ツゲ(柘植)とイヌツゲは外観が似ている事から比較されることがあります。
- ツゲは雌雄同株のため1つの株に雌花と雄花がありますが、イヌツゲは雌雄異株のため雌株と雄株にわかれます。
- ツゲは3月頃に開花しますが、イヌツゲの花は6月から7月に開花します。
- ツゲの葉(葉序)は向かい合わせの対生につきますが、イヌツゲは互生につきます。
- ツゲはふち部分が滑らかで全縁ですが、イヌツゲは葉のふち部分にギザギザした鋸歯があります。
- ツゲは蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)を付けますが、イヌツゲの果実は丸く球形の核果(薄い外果皮・多肉質な中果皮・殻状の硬い内果皮がある)です。
- ツゲ(柘植)は夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も殆ど不要になるため放ったらかしで育てる事も可能です。
ツゲ(柘植)の茎は木質で、樹皮は滑らかで縦筋が入り、色は灰褐色(~灰色)をしています。樹高は約100(~800)cm、樹形は円筒形、幹の太さは約30(~50)cm、枝分かれがよく密に茂ります。葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約1(~3)cm、幅約0.7(~1.5)cm、葉身の形は倒卵形もしくは楕円形で、縁部分は全縁(鋸歯が無く滑らか)です。花は雌雄同株(同一株の中に雄花と雌花がそれぞれ分かれてある)です。花序は腋性で葉腋から雄花が数個と雌花が1個、束生(葉・花・茎等が1箇所から束状に生える)します。雄花は萼片が4個と雄蕊が4個あります。雌花は6個の萼片と1個の雌蕊があります。果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)です。蒴果の形は楕円形で先端に3個の花柱の突起が残り、果皮は成熟すると裂開して3室に分かれ、1室に黒色の種子が2個ずつ入ります。
ツゲ(柘植)の園芸品種の紹介
- クサツゲ(buxus microphylla var. microphylla)は別名では「ヒメツゲ」とも呼ばれており、一般的なツゲと比べて背が低く高さが約15~50cm程度までにしかならず、また密に茂る枝葉と、小さな葉(長さ約2cm)が魅力の栽培品種です。ヒメツゲは成長が緩やかなため管理がしやすく、また枝葉が密に茂り葉が小さいため、刈り込みにとても強く、トピアリーや生垣等に利用しやすいです。【楽天で購入】
- ウィンタージャム(buxus microphylla ‘winter gem’)は、クッションの様に丸みをおびて成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)があり、また黄色みを帯びる若葉が魅力的な園芸品種です。成長が非常に緩やかなため生垣やトピアリーなどでも利用しやすく、高さが約60~120cm程度と背が低いため小さな花壇や植え込みなどでも育てやすい所が魅力です。
- コンパクタ(buxus microphylla ‘compacta’)は成長が非常に緩やかで高さが30cm程度までしか成長せず、クッションの様にこんもり茂る習慣(決まりのように繰り返す癖)がある園芸品種です。花壇や植え込みの縁取りやトピアリー等に利用されます。
- 雲龍ツゲは、枝が捻れてクネクネとした不規則な樹形をつくるため、樹形を楽しむ目的で庭木として楽しまれたり、盆栽として利用される事が多い園芸品種です。