- 原産:中央・南ヨーロッパ・北西アフリカ・西アジア
- 科:メギ(Berberidaceae)
- 属:メギ(Berberis)
- 種:セイヨウメギ(vulgaris)
- 別名:コモン・バーベリー/ヨーロピアン・バーベリー(European barberry)/バーベリー(barberry)
- 開花時期:3月~5月
- 果実時期:8~11月
- 花の色:黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:落葉低木
- 草丈:約100~400cm
- 用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
セイヨウメギとは!?
セイヨウメギは学名Berberis vulgaris、別名「コモン・バーベリー」や「ヨーロピアン・バーベリー(European barberry)」とも呼ばれる中央・南ヨーロッパおよび北西アフリカ、西アジアが原産の落葉低木です。
セイヨウメギの語源(由来)
- 属名のBerberisは、アラビア語でメギ属の中にある植物の「果実」を意味する「berberys」に由来しています。
- 種小名のVulgarisはラテン語で「普通の」「ありふれた」を意味します。
セイヨウメギの特徴(魅力)
- セイヨウメギは春に開花する黄色の花を鑑賞する目的や、晩夏から秋にかけて実る赤色の果実を鑑賞もしくは収穫して食べる目的で育てられる植物です。
- セイヨウメギの樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)で高さ最大400cmまで成長してドーム状になります。
- 茎は非常に枝分かれがよいため密に茂ります。
- 葉の付け根には0.3~0.8cmの鋭い棘が3個あるため手入れをする際は怪我しないように注意が必要です。
- セイヨウメギのは葉は秋に紅葉した後に葉が落ちる落葉低木です。
- 葉は紅葉すると一気に赤色(~橙色)に強く染まり美しい景観をつくります。
- 花は円錐花序で花穂は枝から垂れ下がる様に黄色の小花を開花させます。
- 果実は晩夏から秋にかけて実り食用です。
- 味はとても酸っぱいため一般的にジャムやタルト等に甘く加工されて食べられます。
- 果実にはビタミンCが豊富に入っており、ビタミンCは体の中でコラーゲンを合成して皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあり、また抗酸化作用により活性酸素の発生や働きを抑制して、老化防止、ガンや生活習慣病の予防等が期待出来ます
- セイヨウメギは境界等に等間隔で植えて生垣として利用されます。
- 枝には鋭い棘があるため人の侵入を遮る効果が高いです。
- 葉は落葉性のため冬の間は枝のみとなり目隠し効果はうすれます。
- セイヨウメギは夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も基本的に不要になるため放ったらかしで育てる事も可能です
セイヨウメギは樹高が約100~400cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)で、枝分かれがよく広がります。茎は木質で色は灰褐色から赤褐色をしており、茎の葉の付け根には長さ約0.3(0.8)cmの鋭い棘が3個あります。葉序は2(~5)個の葉が束生(葉・花・茎等が1箇所から束状に生える)して、葉色は緑色、葉身の長さ約2(~5)cm幅約1(2)cm、葉身の形は楕円形もしくは倒卵形、縁部分に鋸歯があります。花序は円錐花序(総状花序が円錐状に集まる)、総状花序は枝に垂れ下がる様に付きます。花は直径約0.4(~0.6)cm、黄色の花弁が6個(基部に蜜腺がある)、雄蕊が6個、雌蕊が1個あります。果実は液果(果皮のうち特に中果皮が水分を多く含む細胞になり液質もしくは多肉質な果実)、液果の大きさは長さ約0.7(~1)cm、幅約0.3(~0.5)cm、形は楕円形、色は熟すと赤色になる。
メギの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
メギの珍しい種類、主な種やおすすめの園芸品種等の紹介【2022】
セイヨウメギの育て方
花壇の土づくり
日当たり
セイヨウメギは直射日光が6時間以上あたる日向から直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
セイヨウメギがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
セイヨウメギは極端に水捌けの悪い土壌等を除き、様々な土壌に適応する能力があります。基本的には、水捌けがよく腐植がしっかり入った肥沃(生産性の高い土)な土壌を好むため、植え付けの前に土壌診断を行い、堆肥を入れなどしてしっかり土壌改善を行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
セイヨウメギは日当りを好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
セイヨウメギの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
地植え
セイヨウメギは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし夏場等で雨が降らず乾燥が続く場合や、土の中に指を入れて湿り気がない場合などは、水やりを行いましょう。
鉢植え
セイヨウメギを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
セイヨウメギはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて冬に土質を改善する堆肥と肥料を入れましょう。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。肥料の成分は水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)を選びましょう。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施します。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
セイヨウメギは基本的に定期的な剪定をせずに必要に応じて枯れたり古くなった枝を取り除くだけで自然樹形で楽しめます。生垣として利用する場合は形の維持が必要なため、1年に1回から3回の定期的(品種や環境によって成長の速さが違うため剪定の必要量も変わる)な剪定が必要になるかもしれません。
自然樹形のセイヨウメギを剪定する目的や手順
自然樹形のセイヨウメギを剪定する目的は、枯れた枝や病枝などを剪定する事で日当りや風通しを改善したり、生産性の悪い枝を取り除いて生産性の高い若い枝を成長させたり、徒長枝や樹形を乱す不要枝を剪定して見た目を改善したりする所にあります。
自然樹形のセイヨウメギを剪定する時期は晩冬から早春です。何故なら冬は株が休眠しているため、株へのストレスが少なく、また強い剪定をしても春からの強い成長で回復が早いからです。
自然樹形のセイヨウメギに剪定する手順
- 株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎】を探しこれを根元付近から間引き剪定して取り除きます。
- 枝が混み合うと風通しや日当たりが悪くなり害虫や病気が発生しやすくなるため不要な茎を根元付近から間引き剪定します。
- 古い茎や地面につくように外側に広がる茎を剪定しましょう。
生垣のセイヨウメギを剪定する目的や手順
生垣のセイヨウメギを剪定する目的は形状を維持する事で美観を保ったり、飛び出た枝葉が服や肌に引っかかる事を防いだり、日当りや風通しを改善して健康な成長を促したりする所にあります。
生垣のセイヨウメギを剪定する時期は早春から秋の間です。一般的には早春と初夏と秋の3回もしくは、初夏と秋の2回行われます。早春に強い剪定を行います。何故なら早春に強い剪定をしても春からの成長が活発なため直ぐに回復して剪定された部分は覆われてしまうからです。初夏に形を整える軽い剪定を行います。何故なら春から初夏にかけて活発に成長するため多くの場合で樹形が崩れるからです。秋(9月~10月)に形を整える軽い剪定を行います。秋に入ると成長が一段落するため剪定をしておけば翌年まで綺麗な形が維持されます。
生垣のセイヨウメギの剪定のやり方
- 株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎】を探しこれを根元から間引き剪定して取り除きます。
- また早春に古い茎を根元から幾つか剪定して株全体を透かし、新しい成長を促します。
- 側面に強く飛び出て徒長した枝を一本一本観察しながら目的の位置から少し中(奥)めの節の部分、もしくは根元から剪定します。
夏越しする方法
セイヨウメギは夏の暑さに強く基本的に夏越し対策不要で育てられます。
冬越しする方法
Hardiness:3b~7a
セイヨウメギは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は特にありません。
挿し木や株分けで増やす
セイヨウメギは挿し木によって増やす事ができます。
セイヨウメギの挿し木の方法
- セイヨウメギの挿し木時期は初夏から夏が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を長さ7~15cmとりましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 茎の下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
セイヨウメギの種蒔の方法
播種時期:周年
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
セイヨウメギは寒さを経験しないと発芽しません。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に約6~8週間入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
植物の病気
セイヨウメギの病気
- サビ病
- うどんこ病
セイヨウメギの害虫