- 原産:
- 科:バラ(Rosaceae)
- 属:カナメモチ(Photinia)
- 種:セイヨウカナメモチ(fraseri)
- 別名:フレイザー・フォティニア(Fraser Photinia)/レッドチップ・フォティニア(red tip photinia)
- 開花時期:5月~6月
- 果実時期:10月~11月
- 花の色:白色〇
- 葉の色:緑色●赤色●橙色●桃色●黄色●
- 分類:常緑小高木
- 草丈:約300~600cm
- 用途:カラーリーフ/生垣
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
セイヨウカナメモチとは!?
セイヨウカナメモチは学名Photinia × fraseri、別名では「フレイザー・フォティニア(Fraser Photinia)」や「レッドチップ・フォティニア(red tip photinia)」等とも呼ばれる、オオカナメモチ(P. serrulata)とカナメモチ(P. glabra)の交雑種の常緑小高木です。
セイヨウカナメモチの語源(由来)
- 属名のPhotiniaは古代ギリシャ語で「輝く」「明るい」を意味する「ϕωτεινός」に由来します。
セイヨウカナメモチの特徴(魅力)
- セイヨウカナメモチは一般的に生垣として利用される事が多く、新葉で見られる赤色の美しい葉や、春に散房状(花柄が茎下部ほど長く茎頂部ほど短い)に白色の小花が集まり開花するボリューミーで清楚な印象を与える花が魅力の植物です。
- セイヨウカナメモチの花は半球状に小花が集まるため、ボリュームある雰囲気をつくり、また白い花色が明るい印象や清潔感を感じさせるため、花を鑑賞する目的で庭木として育てられる事もあります。
- ただし花には甲虫などを連想させるような不快な臭いがあるため剪定して取り除かれる事もあります。
- 白色の花は赤色の葉とのコントラストが美しく、紅白のおめでたい印象を与えます。
- セイヨウカナメモチは新しく成長する幼葉や新葉が鮮やかな赤色になり成熟するにつれ緑色へと変わります。
- 幾つかの品種では桃色の葉色やクリーム色の班が入るためお庭の雰囲気等に合わせて品種が選びが可能です。
- セイヨウカナメモチの果実は赤く秋頃に実ります。
- ただし殆どの場合、剪定されてしまうため鑑賞前になくなります。
- セイヨウカナメモチはカナメモチと似ているためしばしば比較対象にされます。
- カナメモチは葉柄には鋸歯の痕跡がのこりますが、セイヨウカナメモチは鋸歯がありません。
- セイヨウカナメモチの生垣は形状が整えられたフォーマルヘッジの生垣して利用されます。
- セイヨウカナメモチは比較的に背が高い生垣につくる事も出来て、冬も葉が落ちないため生垣としての機能性(目隠し効果・侵入防止効果・耐風効果等)をしっかり発揮する事が出来ます。。
- セイヨウカナメモチはやや葉が大きいため全体的に緩い印象を与えたり、刈り込み剪定を行った時に剪断された葉が少し気になるかもしれません。
- 新葉で見られる赤色の葉がカラーリーフとして明るく華やかな印象を与えます。
- セイヨウカナメモチの生垣の植え付け間隔はふつう約50cm~100cmです。
- セイヨウカナメモチは夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も殆ど不要になるため放ったらかしで育てる事も可能です。
セイヨウカナメモチの樹高は約300(~600)cm、樹形は丸みを帯び、幹は曲がりながら上に伸びて、枝は下部からよく枝分かれします。葉序は互生葉序、葉色は新葉が赤色で成葉が緑色をしており強い光沢があります。葉身の大きさは長さ約7(~9)cm、葉身は長楕円形で縁部分に鋸歯があります。花序は複散房花序、花は直径約0.7(~0.8)cm、花弁の色は白色、花弁の数は5個、雄蕊は約20個、雌蕊は1個(柱頭2個)です。果実はナシ状果(偽果とも呼ばれており、子房を包む花托が肥大して多肉質になり果実の大部分を占める)です。果実の形は球状で熟すと赤色になります。
セイヨウカナメモチの園芸品種の紹介
- レッドロビン(photinia fraseri ‘red robin’)は最も人気が高く広く栽培される園芸品種で、優れた耐病性と新しい葉に表れる色鮮やかな赤色の葉色が魅力です。樹高は約250~400cmまで成長します。用途に合わせて剪定しながら鉢植えで育てたり、庭木や生垣などに利用するとよいでしょう。【楽天で購入】
- ピンクマーブル(photinia fraseri ‘pink marble’)は葉の縁部分に入るクリーム色の覆輪と、新しく成長する葉で見られる桃色(~赤色)の葉色が魅力の園芸品種です。樹高は約250~400cmまで成長します。用途に合わせて剪定しながら鉢植えで育てたり、庭木や生垣などに利用するとよいでしょう。
- リトルレッドロビン(photinia fraseri ‘little red robin’)は、レッドロビンと同様に優れた耐病性と新しい葉に表れる色鮮やかな赤色の葉色が魅力ですが、同時に高さが150cm程度までしか成長せず鉢植えや小さな庭でも育てやすい所が魅力の園芸品種です。
- スーパーヘッジ(photinia × fraseri ‘super hedge’)は生垣(hedge)の名前からも分かる通り、生垣に向く品種です。非常に成長が早く、枝分かれが密で優れた目隠し効果をもちます。樹高は約300~500cmまで成長します。用途に合わせて剪定しながら鉢植えで育てたり、庭木や生垣などに利用するとよいでしょう。
カナメモチ属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
カナメモチの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
セイヨウカナメモチの育て方
花壇の土づくり
日当たり
セイヨウカナメモチは日光のよく当たる場所で最も葉色(新葉)が美しいため、基本的には直射日光が6時間以上の日向、または3時間~5時間の半日影で育てられます。間接光のみの日陰にも耐えますが、枝が間延びして葉が少なくなったり、葉色が悪くなるなどするため避けましょう。
作土層
セイヨウカナメモチがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30~50cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
セイヨウカナメモチは水捌けがよく腐植がしっかり入った肥沃(生産性の高い土)な土壌を好みます。そのため植え付けの前に土壌診断を行い、堆肥を入れなどしてしっかり土壌改善を行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
セイヨウカナメモチは日光のよく当たる場所で最も葉色(新葉)が美しいため、基本的には直射日光が6時間以上の日向、または3時間~5時間の半日影で管理しましょう。
培養土
セイヨウカナメモチの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
生育初期
セイヨウカナメモチは植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
セイヨウカナメモチは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
セイヨウカナメモチを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
セイヨウカナメモチはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。必要に応じて成長を促したい場合などは毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。また肥料の成分も元肥と同様に水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)を選びます。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施します。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
セイヨウカナメモチは花や実を楽しむ目的などで剪定を最小限にして楽しむ事も出来ますが、一般的には樹形を整える目的で定期的に剪定が行われます。また生産性の衰えた古い枝葉が新しい葉に置きかわるため赤色の新葉もでやすくなるなどの恩恵もあります。
生垣として剪定する方法
- 生垣の剪定は早春・初夏・秋の計3回行います。
- 基本的には樹形を整える目的で行いますが、古い枝葉が剪定される事で分枝が促されるため枝葉がより密に茂ったり、赤色の新葉が出やすくなったりします。
- 剪定は刈り込みバサミやヘッジトリマーを利用して側面を刈り込み剪定します。
- 紐などを事前に張っておき、それに合わせて刈り込みを行うと均一に仕上げやすくなります。その際、上部をやや狭く下部をやや広く「▲」の形をイメージしながら剪定すると下部の枝葉にも光がしっかり当たるため、下枝の葉が落ちにくいです。
- また前回刈り込みを行った位置で剪定すると大きさが維持され、刈り込む位置を前年より内側もしくは外側にする事で全体を大きくしたり小さくしたり出来ます。
- 側面が終わったら上面を刈り込み剪定をおこないます。
- 紐などを事前に張っておき、それに合わせて刈り込みを行うと均一に仕上げやすくなります。
- ただし希望の高さまで成長していない場合は上面の刈り込み剪定は行いません。
- 最後に株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎・蘖(木の根元から生えてくる細い茎)】を探しこれを根元から間引き剪定して取り除きます。
剪定をプロに任せる
剪定を自分で行う事が不安な場合は、剪定のプロに任せて綺麗に仕上げて貰う事も出来ます。また剪定する時間がとれない、他にも庭の作業を依頼したい時などもプロに作業を任せてしまう事が可能です。
- 剪定作業を自分で行う時に不安がある時
- 剪定は重労働になるため体力が最後までもつか不安がある。
- 大きな木を剪定する時は高所作業になるため怪我をするリスクがあり不安がある。
- 間違った剪定を行う事で、数年後に不格好な樹形になったり、スカスカした生垣になるかもしれない不安がある。※必要な枝と不要な枝の見極めが素人には難しい場合があり、太い枝や古い枝などを残すと不格好な樹形になることもある。
- 剪定を行う時間がとれず放ったらかしになっている
- 生垣の管理が疎かになると枝が暴れるため見た目が悪くなったり、枝が歩行者の邪魔になり怪我をさせるリスクがある。
- 木がどんどん成長していくと管理が難しくなったり、鑑賞したい花が上の方に咲いてしまったり、電線の近くだと枝が電線にかかる可能性がある。
- 剪定の他にも作業を依頼したい
- 庭の草が育って薮のようになっている、芝が伸びてボウボウになっている、庭石を並べたり外壁工事を頼みたい、庭にある不要物を撤去して欲しい等の相談も、剪定依頼をする時に一緒に行うことが可能です。
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夏越しする方法
セイヨウカナメモチは夏の暑さに強く基本的には夏越し対策はいりません。
冬越しする方法
Hardiness:7b~10a
セイヨウカナメモチは耐寒性が高く、寒冷地でなければ冬越し対策不要です。
挿し木や株分けで増やす
セイヨウカナメモチは挿し木によって増やす事ができます。
セイヨウカナメモチの挿し木の方法
- セイヨウカナメモチの挿し木時期は初夏から夏(半熟枝)もしくは初冬から晩冬(熟枝挿し)が適します。
- 健康な挿し穂を約7~10cmでとります。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 半熟枝では下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 発根促進剤をつけます。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
おすすめの発根促進剤
播種で増やす
セイヨウカナメモチの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
セイヨウカナメモチの病気
- うどんこ病
- 褐斑病
セイヨウカナメモチの害虫
- 毛虫
- ルリカミキリ