モミは属の中に約52種がありますが、一般に園芸で親しまれている種は幾つかの種とその園芸品種です。例えば、クリスマスツリーにも利用され円錐形の樹形が洗練された雰囲気を作るコロラドモミ、若木の時から濃い紫色の果実を生産して葉裏が白くなるチョウセンシラベ等が親しまれています。
モミ属の種ごとの育て方は写真か育て方をクリックすると出てくる為よかったらそちらをご覧下さい!
このページでは主な種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を紹介しています。
モミの主な種の目次
コロラドモミの特徴や園芸品種
コロラドモミとは!?
コロラドモミは学名Abies concolor、別名では「ホワイト・ファー(white fir)」とも呼ばれる北アメリカ原産の常緑高木です。
コロラドモミの語源(由来)
- 属名のAbiesの由来は英名のモミから来ていると言われます。
- 種小名のconcolorはラテン語で「同色の」を意味しています。
コロラドモミの特徴(魅力)
- コロラドモミは洗練された円錐形の樹形や、灰緑色をした美しい葉色が魅力の植物です。
- 樹高が非常に高くなるため公園や大きな庭などで育てられる事が普通ですが、成長が緩やかで背の低い品種を選ぶと鉢植えや小さなお庭で育てることも可能です。
- コロラドモミは垂直に伸びる幹と水平に伸びる枝葉でつくる円錐形(~円筒形)の樹形が美しい植物です。
- 剪定しなくても円錐形の樹形になる習慣(決まりのように繰り返す癖)があり、逆に剪定すると樹形が乱れる場合があります。
- 円錐形の美しい樹形をつくる事からクリスマスツリーの木として人気が高い植物の一つです。
- 葉は細長い針のような形をしており枝に螺旋状につきます。
- 葉は白色の気孔が目立つため灰緑色や青白色をしており、スッキリとした印象や洗練された印象を与えます。そのためエレガントな雰囲気のお庭などにおすすめです。
- また幾つかの品種では黄色の葉色もあるためカラーリーフとして楽しめます。
- 果実は長さ約6~12cmの円錐形から長球形の形をしており、枝に垂直に伸びてつきます。
コロラドモミの茎は木質で樹皮は淡褐色もしくは灰褐色をしており、樹齢が重なると縦方向に割れます。樹高は約2500(~6000)cm、樹形は円錐形(成熟すると樹冠はドーム状になる)、幹の太さは約190~270cmになり単幹(根元から上部まで幹が1本)、枝は水平に広がります。葉は螺旋状に付き、葉色は緑色で白色の気孔の線が目立つため灰緑色の外観となります。葉身の長さ約1.5(~8)cm、葉身の形は線形です。花は雌雄同株(雄花と雌花の2種類が同一個体に生じる)です。雄花は球花で、円錐形をしており花粉を生成します。雌花は球花で、円錐形もしくは卵形をしており受粉後に果実(球果)になります。果実は球果(裸子植物の果実で鱗片が重なり円錐形や球形をつくり内部に種子がある)です。球果は円錐形(~長球形)をしており長さ約6(~12)cm、幅約3(~4.5)cmあり、色は緑色から約18ヶ月かけて成熟すると緑色もしくは紫褐色(~褐色)に変わります。種子は淡褐色、長さ約0.8(1.2)cmで翼をもちます。
コロラドモミの園芸品種の紹介
- ウィンターゴールド(abies concolor ‘wintergold’)は季節事にかわる葉色が魅力で、春に現れる黄色の葉は、夏になると緑色へと変わり、また秋から冬にかけ黄金色へと変化します。樹高は300~400cm程度と比較的に背が低いため小さなお庭でも育てやすい所が魅力です。
- ブルーロック(abies concolor ‘blue cloak’)は、透明感を感じさせる青白い葉色が魅力で、また成長がとても緩やかで高さが300~700cm程度と背が低いため比較的に小さなお庭でも育てやすい園芸品種です。透明感ある青色の花は、心が癒される様な清涼感を与えたり、クリアでスッキリした印象を与えたりします。そのため、心を落ち着かせリラックス出来る様なお庭や、清涼感を感じさせる涼し気なお庭などにおすすめです。
- カンディカンス(abies concolor ‘candicans)はラテン語で白色を意味するcandicansからきており、そこからも分かる通り殆ど白色に見える上品な青白色の葉色が魅力的な園芸品種です。樹形は美しい円錐形となり、高さ約600~1500cmと大きく成長するため、大きなお庭のシンボルツリーなどにおすすめです。
- コンパクタ(abies concolor ‘compacta’)はその名前からも分かる通り、高さが100~200cm程度しか成長せず、一般的なコロラドモミと比べて非常に背が低いため、育てやすく人気の高い園芸品種です。葉色は白色のベールで覆われたような青緑色をしており、上品なカラーリーフとして楽しむ事も出来ます。
- ホスタ・ラ・ビスタ(abies concolor ‘hosta la vista’)は高さが約45cmまでにしか成長せず、一般的に円錐形に成長するコロラドモミと違い、半球状のに成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)をもつ園芸品種です。背が低く、横へと広がる傾向があるため花壇の縁どりなどの地被植物に利用出来ます。
チョウセンシラベはの特徴や園芸品種
チョウセンシラベとは!?
チョウセンシラベは学名Abies koreana、別名では「コリアン・ファー(Korean Fir)」とも呼ばれる朝鮮が原産の常緑高木です。
チョウセンシラベの語源(由来)
- 属名のAbiesの由来は英名のモミから来ていると言われます。
- 種小名のkoreanaはラテン語で「韓国の」を意味します。
チョウセンシラベの特徴(魅力)
- チョウセンシラベは濃い紫色の果実を鑑賞する目的や、葉の表(緑色)と裏(白色)のコントラストを楽しむ目的、洗練された円錐形の樹形を楽しむ目的などで育てられる植物です。
- 野生では樹高がとても高くなりますが、園芸品種は殆どが300cm程度しかなく成長も緩やかで 鉢植えや小さなお庭でも育てやすい所が魅力です。
- チョウセンシラベは垂直に伸びる幹と水平に伸びる枝葉でつくる円錐形の樹形が美しい植物です。
- 剪定しなくても円錐形の樹形になる習慣(決まりのように繰り返す癖)があり、逆に剪定すると樹形が乱れる場合があります。
- 葉は裏面に目立つ白色の気孔帯があるため、葉裏は殆ど白色の外観をつくります。
- 葉は細長い線形で枝に螺旋状についたやや捻れます。
- 果実は若木の時から紫色の果実(球果)を生産する事が出来ます。
- 果実は長さ約4~7cmで円錐形の形をしており、枝に垂直に立つように実ります。
- 果実は紫色から始まり5~6ヶ月かけて成熟して薄褐色へと変わり徐々に崩壊しながら翼のある種子を放出します。
チョウセンシラベの茎は木質で樹皮は淡褐色もしくは灰褐色をしています。樹高は約1000(~1800)cm、樹形は円錐形、幹の太さは約70cmになり単幹(根元から上部まで幹が1本)、枝は水平に広がります。葉は螺旋状に付き、葉色は緑色、葉裏に目立つ白色の気孔帯があり白色の外観となります。葉身の長さ約1(~2)cm、葉身の形は線形です。花は雌雄同株(雄花と雌花の2種類が同一個体に生じる)です。雄花は球花で、円錐形をしており花粉を生成します。雌花は球花で、円錐形もしくは卵形をしており受粉後に果実(球果)になります。果実は球果(裸子植物の果実で鱗片が重なり円錐形や球形をつくり内部に種子がある)です。球果は円錐形をしており長さ約4(~7)cm、幅約1.5(~2)cmあり、約5~6ヶ月かけて成熟して、色は濃い紫色から薄褐色へと成熟します。種子は淡褐色で翼をもちます。
チョウセンシラベの園芸品種の紹介
- シルバーロック(abies koreana ‘silberlocke’)は葉が強く反り返るため、チョウセンシラベ特有の葉裏の白色の部分がとても目立ち、また成長がとても緩やかで高さが150~400cm程度と背が低いため小さなお庭でも育てやすい園芸品種です。
- オーレア(abies koreana ‘aurea’)は春に新しく成長する葉で見られる黄色の葉色と、成熟するにつれて見られるイエローグリーンの爽やかな葉色が、明るい雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。成長は非常に緩やかで10年後に約200cmまで成長します。
- シルバーショー(abies koreana ‘silver show’)は葉が強くカールするため、チョウセンシラベ特有の葉裏の白色の部分が非常に目立ち、まるで雪が積もったかのような個性的な外観をつくる魅力的な園芸品種です。また成長がとても緩やかで高さが150~400cm程度と背が低いため小さなお庭でも育てやすい園芸品種です。
- アイスベイカー(abies koreana ‘ice breaker’)は高さ約60cm幅90cmまでしか成長せず、一般的に円錐形に成長するコロラドモミと違い、半球状のに成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)をもつ園芸品種です。また葉が強くカールするため、チョウセンシラベ特有の葉裏の白色の部分が非常に目立ち、まるで雪が積もったかのような個性的な外観をつくります。