

- 原産:北アメリカ
- 科:ヒノキ(Cupressaceae)
- 属:クロベ(Thuja)
- 種:ニオイヒバ(occidentalis)
- 別名:ノーザン・ホワイトシダー(northern white-cedar)/イースターン・ホワイトシダー(eastern white-cedar)/スワンプ・シダー(swamp cedar)
- 花の色緑色●黄色●茶色●
- 葉の色:緑色●黄色●
- 分類:常緑高木
- 草丈:約1500~2000cm
- 誕生花:1月11月
- 花言葉:固い友情/真の友情
- 用途:コニファー/カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ニオイヒバとは!?
ニオイヒバは学名Thuja occidentalis、別名では「ノーザン・ホワイトシダー(northern white-cedar)」や「イースターン・ホワイトシダー(eastern white-cedar)」とも呼ばれる北アメリカ原産の常緑高木です。
ニオイヒバの語源(由来)
- 属名のThujaは古代ギリシア語の「θυία」に由来します。
- 種小名のoccidentalisはラテン語で「西」を意味する「occidēns」と、接尾辞の「-ālis」の2語からなります。
- ニオイヒバの由来は葉に「レモン」や「パイナップル」を思わせる香りがある事からきています。
ニオイヒバの特徴(魅力)
- ニオイヒバは円錐形の洗練された樹形や、レモンやパイナップルを思わせる葉の香り、レースの編み物を連想させる様な光を通す羽状の葉の形などが魅力の植物です。
- 円錐形に整った樹形は洗練された印象を与えるためエレガントなお庭に良く合い、また大きく成長するためランドスケープやシンボルツリーなどにも利用出来ます。
- ニオイヒバは垂直に伸びる幹と斜上に伸びる枝葉でつくる円錐形の樹形が美しい植物です。
- 剪定しなくても円錐形の樹形になる習慣(決まりのように繰り返す癖)があるため殆どせずに育てる事が出来ます。
- 生垣などにする場合は定期的な剪定が必要です。
- 葉は小枝に鱗の様につく非常に小さな鱗片葉です。
- 枝葉は羽状に広がり隙間があり光を通すためレースの編み物の様な上品な外観をつくり全体として柔らかな印象を与えます。
- 葉は指で潰すなどすると「レモン」や「パイナップル」等を連想させる心地よい香りが広がります。
- ニオイヒバは家の境界等に等間隔(品種に合わせ約60~120cm)で植えて生垣として利用されます。
- 葉は常緑のため一年を通して鑑賞価値と目隠し効果が保たれます。
- 植栽間隔などにもよりますが円錐形の美しい木が並ぶ姿は非常に洗練された印象を与えます。
- ニオイヒバは夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も基本的に不要になるため低メンテナンスで育てられます。
ニオイヒバの茎は木質で樹皮は灰褐色もしくは赤褐色をしており、樹齢が重なると縦方向に裂けます。樹高は約1500(~2000)cm、樹形は円錐形、幹の太さは約90(~120)cmになり単幹(根元から上部まで幹が1本)、枝は斜上に広がります。葉色は緑色、葉裏に目立たない灰緑色の気孔帯があり、葉身は羽状して小枝に長さ約0.3(~0.5)cmの鱗片葉がつき、葉先は鋭利です。花は雌雄同株(雄花と雌花の2種類が同一個体に生じる)です。雄花は小枝の枝先に付き色は茶褐色で数個の花粉嚢があります。雌花は枝先に付き鱗片状に重なり色は黄緑色で受粉後に果実(球果)になります。果実は球果(裸子植物の果実で鱗片が重なり円錐形や球形をつくり内部に種子がある)です。球果は円錐形(~卵形)をしており長さ約1(~1.4)cmあり、色は緑色から褐色に変わり、約8個の種子をもちます。種子は淡褐色、楕円形で、長さ約0.4(0.7)cmで翼をもちます。
ニオイヒバの園芸品種の紹介
ヨーロッパゴールド(thuja occidentalis ‘europe gold’)は新しい葉の成長で見られる黄色の明るい葉色と、円錐形に成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)が魅力の園芸品種です。樹高は250cm~450cmに成長します。用途に合わせてシンボルツリーとしてお庭で育てたり、剪定しながら生垣やトピアリーなどにして利用するとよいでしょう。
エメラルドグリーン(thuja occidentalis ‘emerald green’)はエメラルドを思わせる様な美しい葉色と、成長が非常に緩やかで殆ど横への広がりなく狭い円錐形に成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)などが魅力の園芸品種です。成長が緩やかで低メンテナンスで育てられる事から生垣に利用する品種として人気があり、高さは約250cm~450cmに成長します。
デグルーツ・スパイアー(thuja occidentalis ‘degroot’s spire’)は横への広がりが殆どなく鉛筆を思わせる様な円柱形に成長する樹形と、羽状に広がる枝葉が捻れ個性的な外観をつくる所が魅力の園芸品種です。高さ約800~1200cm、幅約150~250cmと成長するため用途に合わせてシンボルツリーとしてお庭で育てたり、剪定しながら生垣やトピアリーなどにして利用するとよいでしょう。
ダニカ(thuja occidentalis ‘danica’)は、円錐形に成長する一般的なニオイヒバと違い、球形に成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)をもつ園芸品種です。高さは約30cm~50cmに成長するため、トピアリーとして利用したり、花壇の縁どりにしたり、鉢植えで育てるのにおすすめです。
グリーンコーン(thuja occidentalis ‘green cone)は横への広がりが殆どなく円錐形に成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)と、密に茂る枝葉が魅力の園芸品種です。樹高は250cm~450cmに成長するため、用途に合わせてシンボルツリーとしてお庭で育てたり、剪定しながら生垣やトピアリーなどにして利用するとよいでしょう。
イエローリボン(thuja occidentalis ‘yellow ribbon’)は季節事にかわる葉色が魅力で、春に現れる黄色の葉は、夏になると緑色へと変わり、また秋から冬にかけ黄金色へと変化します。樹形は円錐形で、高さ約300cmに成長するため、用途に合わせてシンボルツリーとしてお庭で育てたり、剪定しながら生垣やトピアリーなどにして利用するとよいでしょう。
グロボーサ・オーレア(thuja occidentalis ‘globosa aurea’)は新しい葉で見られる明るい黄色の葉色と、球形に成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)が魅力の園芸品種です。高さは約50cm~100cmに成長するため、トピアリーとして利用したり、花壇の縁どりにしたり、鉢植えで育てるのにおすすめです。
ティニティム(thuja occidentalis ‘tiny tim’)は円錐形に成長する一般的なニオイヒバと違い、球状に成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)をもつ園芸品種です。高さ幅ともに50~100cmに成長するため、トピアリーとして利用したり、花壇の縁どりにしたり、鉢植えで育てるのにおすすめです。
クロベの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
クロベの珍しい種類、主な種やおすすめの園芸品種などの紹介【2022】
ニオイヒバの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ニオイヒバは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
ニオイヒバがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。苗(根鉢)の1.5~3倍(約50~60cm)の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ニオイヒバは土質を選びません。基本的に通気性が良ければ幅広い土壌で育てることが出来ます。植え付けの前に土壌診断を行い通気性がよく適度に肥沃な土壌をつくりましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ニオイヒバは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
ニオイヒバの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(中粒)+鹿沼土+バーク堆肥+くん炭=4:2:3:1
水やりの仕方
生育初期
ニオイヒバは植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
ニオイヒバは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
ニオイヒバを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ニオイヒバはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。成長を促進させる目的で春に一度、肥料を与えることが出来ます。ただし窒素成分の多い肥料を施すと肥焼けする事があるため注意が必要です。
オススメは肥料の代わりに、株の周りに堆肥(腐葉土等)をマルチングする事です。堆肥でマルチングする事で、肥沃な土壌が作られ、雑草が生える事も防げます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。基本的にある程度肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めるだけで良いです。肥料を与える場合は配合肥料もしくは緩効性肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施しましょう。
剪定のやり方
ニオイヒバは剪定をしなくても自然樹形のままで同じ形(円錐形等)をとる習慣(決まりのように繰り返す癖)があるため低メンテナンスで育てられますが、剪定を行う事で成長範囲を制御したり日当たりを改善する等して健康な成長を促す事が出来ます。
剪定する際に注意する事は、葉のない場所まで強く剪定しない事です。何故なら古い茎(葉のない茎)から新しい芽が出て復活する事が基本的にないからです。また強い剪定も避けてください。何故なら外観を大きく損ねたりストレスで枯れてしまう原因にもなるからです。
自然樹形として育てる場合
ニオイヒバの剪定時期は晩春から初夏です。
ニオイヒバの剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定します。また樹形を乱す不要枝も必要に応じて根元もしくは枝分かれした部分から間引き剪定します。枝の途中から切り戻し剪定を行う場合は、葉のない場所まで強く切り戻すと残された枝がそのまま枯れこむため、必ず葉の上で切り戻し剪定する様にしましょう。
ニオイヒバの生垣(トピアリー)の剪定
ニオイヒバの生垣(トピアリー)を剪定する目的
形状を維持する事で美観を保ったり、日当りや風通しを改善して内部の枯れを防いで健康な成長を促したり、枝分かれを促し密に茂る樹形をつくる所にあります。
ニオイヒバの生垣(トピアリー)の剪定を行う時期
晩春から初夏と晩夏から秋の2回剪定します。
ニオイヒバの生垣(トピアリー)の剪定のやり方
- 株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎・蘖(木の根元から生えてくる細い茎)】を探しこれを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 求める樹形をイメージして側面を「切り戻し剪定」もしくは「刈り込み剪定」で剪定して形を整えます。
- 切り戻し剪定する場合は、側面から長く伸びてくる枝葉を全体と自然樹形に合わせながら少し中(奥)めの節の部分で剪定します。剪定は必ず葉がある場所の上で剪定しましょう。
- 刈り込み剪定する場合は自然樹形に合わせて、なぞるように剪定しましょう。強く刈り込むと葉がなくなりそのまま枯れ込む事もあるため注意してください。
- 一度にたくさん剪定すると過度にストレスがかかり枯れ込む事もあるため、剪定は全体の4部の1以上行わないようにしましょう。
播種で増やす
ニオイヒバの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
種まき手順
- 種を撒く前に果実(球果)から種子を取り出し、種子を水の中に24時間つけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜ密閉される袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で約8週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。