- 原産:北アメリカ
- 科:キク(Asteraceae)
- 亜科:キク(Asteroideae)
- 属:ヒヨドリバナ/ユーパトリウム(Eupatorium)
- 種:マクラツム(maculatum)
- 別名:ジャーパイ・ウィード(Joe Pye Weed)/スポット・ジョーパイ・ウィード(Spotted joe-pye weed)
- 開花時期:7月~9月
- 花の色:桃色●紫色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草(宿根草)
- 草丈:約50~200cm
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:背が高い花/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ユーパトリウム(マクラツム)とは!?
ユーパトリウム(マクラツム)は学名Eupatorium maculatum、別名では「ジャーパイ・ウィード(Joe Pye Weed)」や「スポット・ジョーパイ・ウィード(Spotted joe-pye weed)」等とも呼ばれる北アメリカが原産の多年草です。
ユーパトリウム(マクラツム)の語源(由来)
- 属名のEupatoriumの名前の由来はポントス国の国王ミトリダテス6世(Mithradates VI Eupator)からきています。
- 種小名のmaculatumはラテン語で「汚れた」「斑点のある」を意味しており、斑点のある茎に由来しています。
ユーパトリウム(マクラツム)の特徴(魅力)
- ユーパトリウム(マクラツム)は、奥ゆかしく艶やかな印象を与える紫色(赤紫色)の茎と、直径が約6~15cmになる大きく華やかな花、色鮮やかな花色などが魅力的な多年草です。
- ユーパトリウム(マクラツム)は地面下の地下茎により広がり群生をつくります。
- 茎は赤みを帯びた紫色で濃い紫色のスポット(斑点)がつく事から種小名(maculatum)や英名(Spotted joe-pye weed)の由来にもなっています。
- 茎は殆ど分枝する事なく約50~200cmの間で垂直に伸びるため、花壇の中で立体感を出したり背景等に利用するのにおすすめです。
- 花は頭花が散房状に集まり直径約6~20cmの大きさになる複合花序です。
- 花は色鮮やかなため遠くからでも強く目を引きつける効果があり、上品な赤紫色の花色はエレガントな雰囲気のお庭などによくあいます。
- 筒状花からは雌蕊が突出しているため、ふんわりとした柔らかな外観をつくります。
- ユーパトリウム(マクラツム)の葉は茎に対して輪生(葉や枝などの器官が一定の箇所から輪を描く様に生じる)につく所が特徴です。
- ユーパトリウム(マクラツム)は夏の暑さや冬の寒さに強く丈夫で育てやすいです。
- ただし乾燥を苦手にしているため育てる際は注意が必要です。
ユーパトリウム(マクラツム)は草丈が約50(~200)cm、地下茎が地面下で横に広がり群生をつくり、茎の色は紫色(~赤色)もしくは緑色、茎は直立します。葉序は輪生葉序、葉柄は約0.5(~2)cm、葉色は緑色、葉身は長さ約6(~23)cm、幅約2(~7)cm、葉身は披針形、縁部分には鋸歯があります。花序は頭状散房花序、頭状散房花序は頭花と散房花序が組み合わさる直径約6(~20)cmの複合花序です。頭花は基部に紫色の総苞片があり、頭花は筒状花のみで構成され、筒状花からは2裂する雌蕊が突出します。果実は痩果(果実は成熟すると乾燥して裂開せず、中に1個の種子を包みます)です。痩果は楕円形で冠毛が生えています。
ユーパトリウム(マクラツム)の切り花の楽しみ方
- ユーパトリウム(マクラツム)の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りを行いましょう。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 管理は数日ごとに必要に応じて水切りと水換えを行います。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが5~7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
ユーパトリウム(マクラツム)の園芸品種の紹介
- ゲートウェイ(eupatorium maculatum ‘gateway’)は直径最大20cmの非常に大きな花と、濃い紫色の茎、色鮮やかな桃色の花色が魅力の園芸品種です。濃い紫色と桃色の2色の色は、奥ゆかしく艶やかな印象を与えたり、また神秘的で非現実的な印象を与えたりします。そのため優雅な雰囲気漂うエレガントなお庭や、幻想的な雰囲気があるお庭などによくあうでしょう。草姿は直立、高さ約180cm、幅約90cmまで成長するため、花壇の中で高さと立体感を作ったり、また花を収穫して切り花として楽しむのも良いでしょう。
- アトロプルプレウム(eupatorium maculatum ‘atropurpureum’)は、暗くて濃い紫色の茎をもち、紫色もしくは桃色の花を咲かせる、品種群(アトロプルプレウムグループ)もしくは園芸品種です。アトロプルプレウムグループの中には「パープルブッシュ」も含まれています。
- パープルブッシュ(eupatorium maculatum ‘purple bush’)は濃い紫色の茎と、明るい桃色の花色が特徴の園芸品種です。草姿は直立で地下茎により広がるため群生をつくり、高さ150cmまで成長します。比較的に背が高く成長する事から花壇の中で背景として利用したり立体感を作ったり、また花を収穫して切り花として楽しむのも良いでしょう。
- レッドドワーフ(eupatorium maculatum ‘red dwarf’)はドワーフ(背丈が小さい)の名前からも分かる通り、一般的なマクラツム種と比べて草丈が低く100cm程度までしか成長しません。また赤紫色の茎と、明るい桃色の花が奥ゆかしく艶やかな印象を与える魅力的な園芸品種です。
ヒヨドリバナ(ユーパトリウム)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ヒヨドリバナ(ユーパトリウム)の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2022】
ユーパトリウム(マクラツム)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ユーパトリウム(マクラツム)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
ユーパトリウム(マクラツム)がしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ユーパトリウム(マクラツム)は幅広い土壌で育てる事が出来ますが、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な土壌を好みます。そのため植え付けの前に土壌診断を行いしっかり土作りを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ユーパトリウム(マクラツム)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
ユーパトリウム(マクラツム)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
ユーパトリウム(マクラツム)は土壌が乾燥すると株が傷みやすく、やや湿り気のある土壌を好みます。水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
肥料の与え方
ユーパトリウム(マクラツム)は植え付け時の元肥と、春と秋に追肥を与えます。肥料が多過ぎると株が大きくなりすぎたり、葉が大きくなりすぎたりします。その結果、花が少なくなったり、目立たなくなったりして、鑑賞価値が損なわれます。そのため必要に応じた分の肥料を与えましょう。
ユーパトリウム(マクラツム)の元肥(or 芽出し肥)の与え方
- 元肥は植え付け時に与える肥料の事です。
- 芽出し肥は新芽が動き出す時期(早春から春)に、発芽を促す目的で与えられる肥料です。
- 肥料は肥効が長く続く緩効性肥料を選び、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸が多い)を選びましょう。
- 元肥の与え方は土壌に均一に混ぜこむ全面施肥で行ます。
- 芽出し肥は株元から少し離した場所に置き肥しましょう。
ユーパトリウム(マクラツム)の追肥の与え方
- ユーパトリウム(マクラツム)の追肥は地植えである場合は基本的に不要です。
- 鉢植えで育てている場合は栄養が足らなくなる事があるため必要に応じて肥料を施します。
- 追肥は肥料の効きが早い速効性肥料(化成肥料)もしくは、緩やかに長く効く緩効性肥料を選びましょう。
- 化成肥料を与える場合は製品にもよりますが一般的に月に1回程度のペースで春から秋(夏を除く)に置き肥しましょう。
- 緩効性肥料を与える場合は春と秋に1回ずつ置き肥しましょう。
剪定のやり方
ユーパトリウム(マクラツム)は剪定せずに育てる事も出来ますが、草丈を抑える目的だったり、茎数や花数を増やす目的で剪定される事もあります。
晩春から初夏の剪定
晩春から初夏の剪定は必ず必要な作業というわけではありません。ただし剪定しない場合は草丈が200cmに達する事があり、茎が倒れてしまう可能性もあります。剪定することは草丈を抑えたり、茎の数や花の数を増やしたりする目的で行われます。
晩春から初夏の剪定のやり方は、株全体を観察して株の高さの1/3~1/2の範囲を目安にして、切り戻し剪定するだけです。ただしあまり遅くに切り戻すと、開花に影響が出るため注意が必要です。
晩秋から早春の剪定
晩秋から早春に剪定する目的は、枯れた茎葉を取り除いて、日当たりや風通しを改善したり、病気の持ち越しを防いだり、春からの新しい成長(新芽)を促したりする事にあります。
剪定のやり方は、冬になると地上部が枯れるため、枯れた茎を根元付近で強く切り戻して取り除くだけです。
夏越しする方法
ユーパトリウム(マクラツム)は夏の暑さに耐えますが、乾燥を苦手にしています。そのため地植えでも土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行いましょう。また鉢植えで育てている場合は、特に乾燥がより早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:3b~9a
ユーパトリウム(マクラツム)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ユーパトリウム(マクラツム)は挿し木や株分けによって増やす事ができます。
ユーパトリウム(マクラツム)の挿し木の方法
- ユーパトリウム(マクラツム)の挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7~10cmにわけします。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 水揚げした挿し穂の切り口に発根促進剤をつけます。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
ユーパトリウム(マクラツム)の株分け手順
- ユーパトリウム(マクラツム)の株分け時期は成長が始まる前の早春が最適です。
- スコップを使い株を掘りあげます。
- スコップもしくはナイフ等を利用して株(根茎)を個々に切り分けます。
- 株分けした株は、必要な場所に植え直して水をたっぷり与えましょう。
播種で増やす
ユーパトリウム(マクラツム)の種蒔の方法
播種時期:2月~3月・9月~10月
発芽適温:約20度
発芽日数:7~17日
発芽条件:
種まき手順
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
ユーパトリウム(マクラツム)の病気
- うどんこ病
- 白絹病
ユーパトリウム(マクラツム)の害虫
- コナジラミ
- アブラムシ
- ハダニ
- コナガ