- 原産:日本/中国
- 科:バラ(Rosaceae)
- 亜科:サクラ(Amygdaloideae)
- 属:ヤマブキ(Kerria)
- 種:ヤマブキ(japonica)
- 別名:ヤマブリ(山振)/ジャパニーズ・ローズ(Japanese rose)/ジャパニーズ・ケリア(Japanese kerria)
- 品種:スノーリース
- 開花時期:3月~5月
- 花の色:白色〇黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:落葉低木
- 草丈:約150cm
- 誕生花:3月28日/3月29日/5月4日
- 花言葉:気品/崇高/金運
- 用途:カラーリーフ/日陰植物/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヤマブキ(スノーリース)とは!?
ヤマブキ(スノーリース)は一般的に「シベ咲き」と呼ばれる個性的な花姿をしており、シベ咲きとは花弁の殆どが退化して、雄蕊と雌蕊だけしかない花の咲き方です。スノーリースの花は白色の雄蕊(葯は黄色)が長く球状に集まりふわふわとした柔らかな外観の花を咲かせます。
ヤマブキとは!?
ヤマブキは学名Kerria japonica、別名では「ヤマブリ(山振)」や「ジャパニーズ・ローズ(Japanese rose)」などとも呼ばれる日本および中国原産の落葉低木です。日本では北海道・本州・四国・九州に分布しており、山の斜面や林の木陰などに自生しています。
ヤマブキの語源(由来)
- 属名のKerriaはスコットランドの園芸家のWilliam Kerr (~1814)への献名です。
- 種小名のjaponicaは「日本の」を意味しており自生地に由来します。
- ヤマブキの由来は「山振(やまぶり)」からきており、山振(やまぶり)の名は細くしなやかな枝が風で揺れる(振れる)様子からついたと言われます。
ヤマブキの特徴(魅力)
- ヤマブキは株を覆い尽くすように一斉に開花する花や枝垂れるように伸びる樹形を楽しむ目的で育てられる植物です。
- 樹形は株立ち状で、地際から何本も細い枝が伸びて広がります。
- 枝は細く湾曲しながら横へと広がる傾向が強いため、自然と優雅な樹形をつくります。
- 枝は3年~5年で枯れるため、古い枝は定期的に剪定が必要です。
- 花は春になると一斉に開花して枝を覆うように咲き誇るため、明るい黄色の花が、お庭の雰囲気を明るく開放的にします。
- 花は前年枝の短枝の頂部に咲きます。
- 花は直径約3~5cm、普通は5枚の花弁が平開して咲きますが、八重咲きする品種もあります。
- 葉は葉脈が深く、縁部分にギザギザとした重鋸歯があります。
- ヤマブキは昔から八重咲き品種が栽培されてきたため果実が実らないと言われてきましたが、一重咲きするヤマブキは9月~10月になると果実(分離果)を実らせます。
- 八重咲き品種では雄蕊が花弁化して雌蕊が退化しているため不稔性(種を作らない)です。
- ヤマブキの生垣は一般的に自然な樹形を活かしたインフォーマルな形で利用します。
- ヤマブキの生垣は他の生垣と比べて花を楽しめる所が魅力です。
- 葉は落葉性のため、冬になるとややオープンな構造になり目隠し効果が薄れるかもしれません。
- 生育旺盛で枝が奔放に伸びる事があるため、必要に応じて外観を乱す枝を根元から間引いたり切り戻す作業が必要です。
- ヤマブキは木陰などにも自生しており耐陰性があるためシェードガーデン等に利用する事が可能です。
ヤマブキの樹高は約100(~300)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)で、茎は細く途中で枝垂れる傾向にあります。葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約3(~8)cm、幅約1.5(~4)cm、葉身の形は卵形もしくは披針形、縁部分に重鋸歯があり、葉脈は深く目立ちます。花序は頂花、頂花は短枝の先に付きます。花の大きさは直径約3(~5)cm、花弁はふつう5個(八重咲き品種もある)で平開して、雄蕊は多数、雌蕊は5(~8)個あります。果実は分離果(雌蕊が複数室をもつ子房をもっており熟すと子房がそれぞれ縦に割れて分離します)です。
ヤマブキの切り花の楽しみ方
- 花の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りもしくは根元割りを行います。
- 水揚げ後は花瓶に生けて飾ります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)に置くと日持ちがよくなります。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りもしくは根元割りを行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが7~10日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
根元割り法・根元叩き法
根元割り法・根元叩き法とは、硬い茎や枝の根元に縦にハサミを入れて割る、または金槌などで硬い茎や枝の根元を叩いて潰して、水揚げする方法です。
根元割り・根元叩きをする事で、吸水する場所の面積が増えて、吸水力が高まり水揚げしやすくなります。
根元割り
- 切り花の根元をハサミを使って斜めにカットします。
- カットした切り口に対して垂直に、ハサミを入れて、十時に切れ込みをいれます。
根元叩き
切り花の切り口を、金槌で叩いて潰します。
ヤマブキの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ヤマブキの珍しい種類、主な種や園芸品種の紹介【2022】
ヤマブキ(スノーリース)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ヤマブキ(スノーリース)は西日の当たらない半日影もしくは明るい日陰で育てられます。日向(直射日光6時間以上)で育てる事も可能ですが、花が退色して落ちやすく乾燥も苦手にしているため避けた方がよいでしょう。理想的な環境は西日の当たらない半日影(直射日光3~5時間)です。
作土層
ヤマブキ(スノーリース)がしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ヤマブキ(スノーリース)は通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ヤマブキ(スノーリース)は西日の当たらない半日影もしくは明るい日陰で育てられます。日向(直射日光6時間以上)で育てる事も可能ですが、花が退色して落ちやすくなるため避けた方がよいでしょう。理想的な環境は西日の当たらない半日影(直射日光3~5時間)です。
培養土
ヤマブキ(スノーリース)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒)+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
ヤマブキ(スノーリース)は乾燥をやや苦手にしており、やや湿り気のある土壌を好みます。そのため地植えしてる場合でも、極端に乾燥する夏などは定期的な水やりが必要です。水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
肥料の与え方
ヤマブキ(スノーリース)は有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。また肥料の成分も元肥と同様に水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)を選びます。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施すか、もしくは土の上に置き肥しましょう。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。自然な循環のない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
ヤマブキ(スノーリース)の剪定は花後(4月~5月)に行います。花後以降にも剪定する事は出来ますが、ヤマブキは夏以降に成長した部分に花芽をつけるため、剪定のやり方(切り戻し剪定)によっては、花芽を落としてしまい、翌年に花が咲かない事もあるため注意が必要です。
ヤマブキ(スノーリース)は毎年定期的に剪定する事が大切です。何故なら生育旺盛なため繁茂しやすく、枝は3年から5年経つと枯れてしまうためです。そのため毎年剪定を行い日当たりや風通しをよくしてあげる事が大切です。
花後の剪定
- ヤマブキの剪定は花後(4月~5月)に行います。
- 株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎】を探しこれを根元付近から間引き剪定して取り除きます。
- 古い枝(3年~5年)は生産性が落ちているため根元付近から間引き剪定して、新しい枝の成長をうながしましょう。
- 著しく徒長して外観を乱す太い枝なども必要に応じて剪定します。
- 普通は根元から間引き剪定しますが、枝分かれした部分や根元付近の節の上で切り戻し剪定する事も可能です。
- 生育旺盛で枝が混みやすいため、株全体を見ながら不要と思われる枝(上に伸びる枝・横に大きく広がる枝・太すぎる枝など)は根元から間引きましょう。
夏以降の剪定
夏以降に剪定する場合は基本的に不要な枝を根元から切る、間引き剪定のみでおこないます。切り戻し剪定(枝の途中で切る)は夏以降に新しく成長した部分(花芽がある)を切り取ってしまい、翌年花が咲かないから注意が必要です。
剪定は外観を乱したり邪魔になる、枯れた枝や徒長した枝を根元から間引き剪定しましょう。
夏越しする方法
ヤマブキ(スノーリース)は夏の暑さに強い一方で、乾燥を苦手にしています。そのため、地植えしてる場合でも土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行いましょう。特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:4b~9a
ヤマブキ(スノーリース)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ヤマブキは挿し木や株分けによって増やす事ができます。
挿し木の方法
- ヤマブキの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7~10cmにわけします。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 水揚げした挿し穂の切り口に発根促進剤をつけます。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
株分け手順
- ヤマブキの株分け時期は春もしくは秋が最適です。
- スコップを使い出来るだけ根が傷まないように慎重に株を掘りあげます。
- 株に数個の芽もしくは枝をつけるようにしてハサミやノコギリ等を使い切り分けます。
- 株分けしたらそれぞれの株を植え直して水をたっぷり与えましょう。
播種で増やす
ヤマブキの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
ヤマブキの病気
- 胴枯病
ヤマブキの害虫
- ハバチ