- 原産:中国
- 科:ロウバイ(Calycanthaceae)
- 属:ロウバイ(chimonanthus)
- 種:ロウバイ(praecox)
- 別名:ウィンタースウィート(wintersweet)/ジャパニーズ・オイルスター(Japanese allspice)
- 品種:マンゲツロウバイ(chimonanthus praecox ‘Mangetsu’)
- 開花時期:12月~2月
- 花の色:黄色●赤色●紫色●
- 葉の色:緑色●
- 香り:花
- 分類:落葉低木
- 草丈:約200~300cm
- 誕生花:1月2日/1月21日/12月30日
- 花言葉:先導/先見/慈しみ/ゆかしさ
- 用途:香りが良い/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
マンゲツロウバイとは!?
マンゲツロウバイは、花弁(花被片)が丸みを帯びて全体的にコロッとした可愛らしい花姿をしており、黄色と紫色(赤紫色)の2色の対比がカラフルな印象を甘える園芸品種です。花は外側の花被片が鮮やかな黄色で、内側の花被片に赤紫色の班がはいります。
ロウバイとは!?
ロウバイは学名chimonanthus praecox、別名では「ウィンタースウィート(wintersweet)」や「ジャパニーズ・オイルスター(Japanese allspice)」等とも呼ばれる中国原産の落葉低木です。
ロウバイの語源(由来)
- 属名のchimonanthusはギリシャ語で「冬」を意味する「χειμώνας (chheimónas)」と、ギリシャ語で「花」を意味する「anthus」の2語からなり、冬に花を咲かせる事に由来します。
- 種小名のpraecoxはラテン語で「早期の」「早咲きの」を意味しており、まだ他の花が咲き始めない冬に開花が始まる事に由来します。
- 英名のwintersweetは「冬」「甘い」を意味しており、冬に甘い香りがする花を咲かせる事に由来します。
- ロウバイの由来は漢名の「臘梅」の音読みからきています。
ロウバイの特徴(魅力)
- ロウバイは蝋細工のような透けた薄黄色の花と、花が少なくなる真冬に開花する所などが魅力の植物です。
- 樹形はふつう根元から枝が何本も出る株立ち状で、2~3本の太い枝に仕立てられたり、地際から何本も新しい枝を伸ばし育てられたりします。
- 定期的に若返り剪定を行い新しい枝を多く成長させた場合は、枝が湾曲しながら横へと広がり優雅な樹形をつくります。
- 花は花弁(花被片)が15~25個あり外側の花被片は薄黄色で内側の花被片は紫色(赤紫色)をしています。
- 花被片はワックス状もしくは蝋状で透け感のある細工物の様な個性的な外観をしています。
- 花は葉が展開する前に開花が始まるため葉に邪魔される事なく鑑賞する事ができます。
- 花には強い甘い香りがあるため英名wintersweetの由来にもなっています。
- 花はカット後の日持ちが約7日と長く、切り花や茶花などにして親しまれています。
- 果実は壺の様な形をした偽果で、中にさらに数個の楕円形の偽果がはいっています。
- ロウバイは落葉性のため秋から冬になると葉が黄色くなり落葉します。
ロウバイの樹高は約200(~500)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)で、茎は直立もしくは斜上する傾向にあり。茎の色は灰褐色から赤褐色です。葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約5(~29)cm、幅約2(~12)cm、葉身の形は楕円形もしくは卵形か披針形です。花序は腋生で前年の枝に付き、花の大きさは直径約1.5(~4)cm、花被片の数は15(~21)個、花被片の色は外側が黄色(~薄黄色)になり内側が紫色(~赤紫色)をしており、雄蕊は5(~8)個あります。果実は痩果(果実は成熟すると乾燥して裂開せず、中に1個の種子を包みます)で、花托が肥大化して壺状となる偽果、偽果の中にはさらに赤褐色をした楕円形の偽果が数個詰まっています。
ロウバイの切り花の楽しみ方
- 収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りもしくは根元割りを行います。
- 花瓶に水を入れて花を生けましょう。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りもしくは湯揚げを行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが約7日です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
根元割り法・根元叩き法
根元割り法・根元叩き法とは、硬い茎や枝の根元に縦にハサミを入れて割る、または金槌などで硬い茎や枝の根元を叩いて潰して、水揚げする方法です。
根元割り・根元叩きをする事で、吸水する場所の面積が増えて、吸水力が高まり水揚げしやすくなります。
根元割り
- 切り花の根元をハサミを使って斜めにカットします。
- カットした切り口に対して垂直に、ハサミを入れて、十時に切れ込みをいれます。
根元叩き
切り花の切り口を、金槌で叩いて潰します。
ロウバイの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ロウバイの珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2022】
マンゲツロウバイの育て方
花壇の土づくり
日当たり
マンゲツロウバイは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
マンゲツロウバイがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。苗(根鉢)の1.5~3倍(深さ30~40cm)の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
マンゲツロウバイは通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
マンゲツロウバイは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。また3時間~5時間の半日影でも育てられます。
培養土
マンゲツロウバイの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
生育初期
マンゲツロウバイは、活着するまでの生育初期は茎葉が萎れやすいため、土が乾燥しないように水やりをしっかり行いましょう。活着後は、ある程度の乾燥に耐えるようにます。
地植え
マンゲツロウバイを地植えしている場合は乾燥が極端に続く場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし雨が長く降らず乾燥しやすい夏や、葉や茎が萎れている場合はしっかり水やりを行いましょう。
鉢植え
マンゲツロウバイを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。土が乾いてきたタイミングで水やりをしっかり行いましょう。
肥料の与え方
マンゲツロウバイはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。また肥料の成分も元肥と同様に水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)を選びます。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施すか、もしくは土の上に置き肥しましょう。
堆肥
堆肥は有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。自然な循環のない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
堆肥の与え方
堆肥は寒肥を与える時期(初冬から晩冬の間)に一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って埋めましょう。
剪定のやり方
マンゲツロウバイの剪定は花後に行います。花後以降にも剪定する事は出来ますが、剪定後の回復が遅くなったり、剪定のやり方(切り戻し剪定)によっては、花芽を落としてしまい、翌年の冬の開花に影響を与える事があるため注意が必要です。
マンゲツロウバイは殆ど剪定せずに茎を伸ばし、枯れ枝やいみ枝(不要枝)等を必要最低限剪定しながら自然樹形のまま楽しむ事も出来ます。また優雅に広がる樹形を楽しむ目的で生産性の落ちた古い茎を剪定しながら新しい茎を伸ばし株立ち樹形をつくることも出来ます。
花後の剪定(株立ち)
- マンゲツロウバイの剪定は花後に行います。
- 株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎】を探しこれを根元付近から間引き剪定して取り除きます。
- 枯れ枝は季節に関係なく取り除きましょう。病気の予防や日当たりの改善などに繋がります。
- 古い枝は生産性が落ちているため根元付近から間引き剪定して、根本付近からの新しい茎の成長をうながしましょう。
- 茎の下部に葉が殆どない古い茎や太い茎、大きくなり過ぎた茎などを、株全体のバランスを見ながら剪定しましょう。
花後の剪定(自然樹形)
- マンゲツロウバイの剪定は花後に行います。
- 株全体を観察して【枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎】を探しこれを根元付近から間引き剪定して取り除きます。
- 枯れ枝は季節に関係なく取り除きましょう。病気の予防や日当たりの改善などに繋がります。
- 幹や枝から伸びる不要枝【逆さ枝・下がり枝・徒長枝・平行枝・蘖など】を探し、全体のバランスを見ながら、透かしていくイメージで根元から間引き剪定しましょう。
夏越しする方法
マンゲツロウバイは夏の暑さに強ですが、やや乾燥を苦手にしています。そのため、地植えしてる場合でも土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行いましょう。特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:7b~9a
マンゲツロウバイは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
マンゲツロウバイは挿し木や取り木によって増やす事ができます。
マンゲツロウバイの挿し木の方法
- マンゲツロウバイの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7~10cmにわけします。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 水揚げした挿し穂の切り口に発根促進剤をつけます。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
マンゲツロウバイの取り木(圧条法)
取り木(圧条法)とは茎が柔軟で曲げやすい植物で行われる技法です。茎の1部を土に触れさせる、または茎全体を土に被せ発根させます。
- マンゲツロウバイの取り木(圧条法)を行う時期は4月から7月が適します。
- 新しく出てきた茎(蘖)を曲げて2節程度を土中に埋めクリップ等で固定しておきます。
- 茎の先端部は土から出して支柱に括り垂直に誘引しておきましょう。
- 土中に埋めた茎がしっかり発根したら親株から切り離して、植え直します。
播種で増やす
ロウバイの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
種まき手順
- ロウバイを種から増やす場合は完熟した果実を採取します。
- 採取した果実を一晩水に漬け果肉を取り除きます。
- 自家採取した種子は発芽の為に寒さの経験が必要なため、秋に種を撒いて冬の寒さを経験させるか、低温処理した後で種を撒き発芽を揃えます。
- 発芽を揃えたい場合は、やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜポリ袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で4~6週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 土に穴を掘り種を軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 次に種がしっかり隠れるように土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
- ロウバイを種から育てた場合は開花までに10年近くかかります。
- 種から2年~3年育てた後に幼苗を台木として利用するのもよいでしょう。
植物の病気
ロウバイの病気
ヒヤシンスの害虫