- 原産:熱帯アフリカ/インド/東南アジア
- 科:イヌサフラン(Colchicaceae)
- 属:グロリオサ(gloriosa)
- 種:グロリオサ/スペルバ(superba)
- 別名:ユリグルマ/キツネユリ/フレーム・リリー(flame lily)/ファイヤー・リリー(fire lily)/クライミング・リリー(climbing lily)/クリーピング・リリー(creeping lily)/グロリオーサ・リリー(gloriosa lily)/グローリー・リリー(glory lily)
- 品種:ロスチャイルディアナ(gloriosa superba ‘Rothschildiana’)
- 開花時期:7月~9月
- 花の色:赤色●桃色●橙色●黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 草丈:約200cm
- 誕生花:4月16日/5月28日/10月19日/12月9日
- 花言葉:栄光/勇敢
- 用途:壁面緑化/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)とは!?
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)は第 2 代ロスチャイルド男爵ウォルター・ロスチャイルドの名前に因んで名付けられた品種です。ロスチャイルディアナは鮮やかな2色の花色が特徴で、基部と縁部分が黄色、上部が赤色(緋色)をしており、また花弁(花被片)は強く波打ちフリル状になります。
グロリオサとは!?
グロリオサは学名gloriosa superba、別名では「ユリグルマ」や「キツネユリ」等とも呼ばれる熱帯アフリカおよびインド、東南アジアが原産の多年草です。
グロリオサの語源(由来)
- 属名のgloriosaはラテン語で「見事な」「栄光ある」を意味しています。
- 種小名のsuperbaはラテン語で「素晴らしい」を意味しています。
グロリオサの特徴(魅力)
- グロリオサは炎の揺らめきを連想させる様な花姿と、葉の先端にあるコイル状の巻きヒゲを他の植物などに巻き付けながら成長する草姿が特徴の植物です。
- また地面下には非常に有毒な球茎(球形に肥大した地下茎)があり、グロリオサの球茎は外観が山芋と似てます。
- グロリオサの花は下向きに開花しますが、6個の花被片は強く反り返り上に垂直に伸び、また縁部分が波打つため「炎の揺らめき」を思わせる様な外観をしています。
- 花色はふつう赤色と黄色の2色で、上部と下部で花色が2面にわかれます。
- 雄蕊は6個で放射状に水平に広がり先端に大きな黄色の葯があります。
- 花の後に出来る果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)でピーマンの様な外観と色をしています。
- 成熟すると果実は3つに分かれ、赤橙色の球状の種子を放出します。
- 果実および種子は非常に有毒なため食べられません。
- グロリオサの茎はツル性で最大400cmの長さまで伸び、葉の先端にある巻きヒゲで物体に絡みながら200cmの高さまで成長します。
- 巻きヒゲによって自力で登るため基本的に誘引不要です。育てる際は事前に支柱やネット等を準備しておくとよいでしょう。
- グロリオサは全草に有毒なアルカロイド(コルヒチン/グロリオシン)を高レベルで含んでいます。
- 誤食した場合の症状は【嘔吐・下痢・腹痛・麻痺・痙攣・呼吸困難など】があり、非常に有毒なため死亡するケースも目立ちます。
- 特に球茎(球形に肥大した地下茎)部分に有毒なアルカロイドを多く含み、見た目も山芋に似ている事から、日本でも誤食して死亡するケースも多く、育てる際は注意が必要です。
- 花は収穫して切り花やフラワーアレンジメントの素材として利用されます。
- 花は大きく、炎を思わせるような外観と色をしているため、部屋に飾ることで明るく華やかな雰囲気をつくります。
グロリオサは草丈が約100(~200)cm、地面下に球茎(球形に肥大した地下茎)があり、草姿はツル性です。茎の色は緑色、茎の長さは400cmに達する事があり、巻きヒゲを物体に絡ませながら登る習慣(決まりのように繰り返す癖)があります。
葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉身の長さ6(~20)cm、幅約1.5(~4)cm、葉身の形は披針形、葉身の先端にコイル状にカールする巻きヒゲがあります。
花は下向きに開花して、6個の花被片と6個の雄蕊と先端で三つ又に別れる雌蕊があります。花被片の色はふつう赤色と黄色、上部が赤色、下部が黄色と2面に分かれ、花被片の長さは約5(~7.5)cm、上に反り返り垂直に伸び、縁部分が強く波打ちます。雄蕊は最大4cm、ふつう放射状に水平に広がり、先端に楕円形の黄色の葯がつきます。雌蕊は6cmを越えることもあり、先端が三つ又にわかれます。
果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)です。蒴果は緑色で熟すと暗褐色、長さ約4(~10)cm、形は楕円形で多肉質、熟すと3つに裂け、赤色(~赤橙色)の種子を放出します。
グロリオサの切り花の楽しみ方
- 切り花の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 茎に付いた葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて全て取り外しましょう。
- 水揚げは水切りもしくは燃焼を行います。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りもしくは燃焼を行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが約7日です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
燃焼法
燃焼法とは、切り花の切り口の先端を火で炙り炭化させた後に、冷水に漬けて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
燃焼は、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。また火で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
燃焼は湯揚げと原理が似ていますが、燃焼な向いているのは、茎が硬く水揚げが悪い花材等に向きます。水分を多く含んでいて柔らかい茎の花材には向きません。
燃焼の方法
- 切り花の花や葉が熱気で弱らないように、濡れた新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分は火につけるため、茎の下部は濡れた新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- 切り口の先端(約1~3cm)を火で炙り、炭化するまで待ちます。
- 切り口が炭化したら、火から離して、冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
グロリオサの園芸品種の紹介
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)は日向(直射日光6時間以上)から半日影(直射日光3~5時間)で育てられます。ただし暑さの厳しい地域では、強い日差しで葉焼けを引き起こしたり、乾燥で萎れやすくなりったりして、生育不良になりやすいため、西日の当たらない半日影で育てた方が良いでしょう。
土壌の土質
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)は通気性と保水性のバランスがよく水分が均一に保たれる状態にあり、また有機物(腐植)がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。そのため植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよい肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)は日向(直射日光6時間以上)なら半日影(直射日光3~5時間)で育てられます。ただし暑さの厳しい地域では、強い日差しで葉焼けを引き起こしたり、乾燥で萎れやすくなりったりして、生育不良になりやすいため、西日の当たらない半日影で管理した方が良いでしょう。
培養土
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 黒土+腐葉土+パーライト(極小粒)=5:3:2
水やりの仕方
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)は茎葉の健康な成長や大きな花を咲かせる為にも、生育期間中は十分な水分を必要とします。過剰な水分の含まれるジメジメとした土壌はよくないですが、水分が均一に含まれる状態を好むため、土壌の表面が乾燥してきたら水をしっかり与えるようにしましょう。
開花後は休眠に入るため、水やりの量を減らします。
肥料の与え方
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)は十分に肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。ただし栄養が少ないと茎葉が十分に成長(栄養成長)しなかったり、花が大きく成長(生殖成長)しなかったりします。そのため必要に応じて植え付け時もしくは早春に堆肥と元肥(寒肥)を入れて、植物の状態を見ながら追肥を与えましょう。
グロリオサの元肥(寒肥)と堆肥の与え方
- 元肥(寒肥)は植付け時の元肥もしくは早春に与える寒肥です。
- 肥料は肥効が長く続く緩効性肥料を選び、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸が多めに入る)を選びましょう。
- 元肥の与え方は土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。
- 緩効性肥料の場合は根に肥料が当たっても肥焼けする事がないため全面施肥されます。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は置き肥します。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
グロリオサの追肥の与え方
- グロリオサの追肥は葉の状態(色の濃さや大きさ等)を見ながら与えると良いでしょう。
- 特に鉢植えで育てている場合は栄養が足らなくなる事があるため必要に応じて追肥を施します。
- 追肥は液肥を規定された分量で希釈して、生育期間中に月に1回のペースで水やりの際に一緒に液肥を与えるとよいでしょう。
- 化成肥料や緩効性肥料を与える場合は規定された量を定期的に与えましょう。
剪定のやり方
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)の剪定は基本的には不要ですが、萎れた花を取り除く事で外観を改善したり、種の生成のためにエネルギーを球茎(球形に肥大した地下茎)に送り太らせる事が出来ます。
グロリオサの誘引
グロリオサは葉についた巻きヒゲによって自力で自分を支え成長するため、誘引も基本的に不要です。事前に、つるが登れるようにネットを用意したり、トレリスを用意したり、支柱を用意したりしてあげると良いでしょう。人による過度な誘引は茎葉を損傷させて、成長を停止する可能性があるため注意が必要です。
夏越しする方法
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)は夏の暑さに耐えますが、強い日差しで葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)を引き起こしたり、乾燥によって生育が止まったり萎れたり枯れたりする可能性があります。そのため必要に応じて夏越し対策が必要です。
グロリオサの夏越し対策
- 西日の当たる環境は【強い暑さ・強い日差し・乾燥】などの複合的なストレスがかかり、茎葉が枯れたり萎れたりして株が弱りやすくなるため避けた方が良いでしょう。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 地植えであれば西日の当たらない場所に植えたり遮光ネットを利用したりしましょう。
- 乾燥を苦手にしていることから土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行います。
- 特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:8b~11a
グロリオサ(ロスチャイルディアナ)は軽い霜であれば耐えられるため、暖地であれば地植えで育てることも可能です。ただし寒さの厳しい地域では地植えによる冬越しが難しいため、必要に応じて冬越し対策が必要になります。
グロリオサの冬越し対策
- 軽い霜が降りる地域であらば、霜対策として腐葉土などでマルチングをしたり、不織布などを被せるとよいでしょう。
- 球茎(球形に肥大した地下茎)を掘りあげて乾燥させて、冬の間冷暗所で保管も出来ます。ただし損傷しやすいため丁寧に扱いましょう。また有毒なため山芋などと間違って食べないように注意が必要です。
- 鉢植えで育てている場合は、霜の当たらない軒下に移動したり、凍結が心配な場合は屋内や温室に移動したりするとよいでしょう。
挿し木や株分けで増やす
グロリオサは春に球茎を掘りあげて、分割することよって増やす事ができます。
播種で増やす
グロリオサの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
グロリオサの病気
グロリオサの害虫
- アブラムシ