- 原産:日本
- 科:アジサイ(Hydrangeaceae)
- 属:アジサイ/ハイドランジア(Hydrangea)
- 品種:御殿場錦
- 開花時期:5月~7月
- 花の色:青色●紫色●赤色●
- 葉の色:緑色●白色〇桃色●
- 分類:落葉低木
- 草丈:約50~100cm
- 誕生花:6月2日
- 花言葉:乙女の愛
- 用途:カラーリーフ/日陰植物/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アジサイ(御殿場錦)とは!?
アジサイ(御殿場錦)は、ヤマアジサイとガクアジサイの交配でうまれた雑種の園芸品種です。御殿場錦は葉の縁部分に白色の班が入る事から、花のない時期も洗練された印象を与えるカラーリーフとして楽しめる所が魅力で、また新しい葉がしばしば赤みを帯びるため三色のトリコロールの葉色も楽しめます。花色は非常に濃く、PHにより濃い紫色(青紫色)から赤紫色の花を咲かせます。濃い紫色の花は白色の班の入る葉との相性もよく、上品で気品のある印象を与えるためエレガントなお庭などによくあうでしょう。樹形は株立ち状、高さ約50(~100)cm、幅約50(~100)cmに成長します。
アジサイ(御殿場錦)の樹高は50~100cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)です。葉序は対生葉序、葉色は緑色に白色(薄黄色)の覆輪が入り、葉身は卵形もしくは楕円形、縁部分に鋸歯があります。花序は散房花序、散房花序は平面状になり、装飾花と両性花で構成されています。装飾花は萼片の先が尖り、色はPHで変化して紫色(青紫色)から赤紫色、両性花は青みを帯びた紫色です。
アジサイの花色が変わる理由と花色変化の楽しみ方
アジサイは土壌のPHが変わる事で花色が変化する事で知られています。PHが高いアルカリ性の土壌では花色は桃色のままですが、PHが低い酸性土壌では花色が青色になります。何故ならPHの低い酸性土壌では、土壌中にあるアルミニウムが溶出してアジサイに吸収され、花の色素(アントシアニン)にアルミニウムイオンが結合して桃色から青色へと変わるからです。
逆に考えると、土壌中にアルミニウムがないと幾らPHが下がり酸性土壌になっても花色が変化する事がありません。またPHが高いアルカリ性の土壌でも、アルミニウムイオンを与えられるとアジサイは花色が桃色から青色へと変化します。
アジサイを好みの花色にする方法
桃色(~赤色)のヤマアジサイ
桃色(~赤色)のアジサイを咲かせるには、ヤマアジサイにアルミニウムを吸収させない事が大切です。そのため、アルミニウムを含まない用土を使ったり、土壌を酸性に傾けない等の対策を行います。
- 火山灰土の赤玉土や鹿沼土などはアルミニウムを多く含有するため、かわりにパーライトなどを利用すると良いでしょう。
- 酸性土壌になるとアルミニウムが溶出しやすくなるため、土壌のPHを中性からややアルカリ性PH6.5~7.5に変えるとアルミニウムが溶出せず花色が桃色に保たれます。
- 土壌のPHを診断してPHをあげましょう。土壌の土質(砂質~粘土質)でも変わりますが、一般的な土壌では1㎡あたり苦土石灰100gを入れる事でpH 0.5ほど上がります。
- 赤アジサイ専用の培養土や肥料があるため、これを利用するのも良いでしょう。
桃色(~赤色)のアジサイ
青色(~紫色)のアジサイを咲かせるには、アジサイにアルミニウムを吸収させる事が大切です。そのため、アルミニウムを含む用土を使ったり、土壌を酸性に傾ける対策を行います。
- 火山灰土の赤玉土や鹿沼土などはアルミニウムを多く含有しており、酸性に傾けるとアルミニウムが多く溶出するため、赤玉土とピートモス等で培養土をつくると青色の花が咲きやすいです。
- 地植えで育てる場合も無調整のピートモスを入れる事で酸性土壌に傾ける事が出来ます。
- アルミニウムは水をしっかり与える事で溶出しやすいため、しっかり水やりを行うと良いでしょう。
- 青アジサイ専用の培養土や肥料があるため、これを利用するのも良いでしょう。
アジサイの切り花の楽しみ方
- 切り花の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫のタイミングは花が完全に開いた所で行います。
- 茎に付いた葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて全て取り外しましょう。
- 水揚げは水切りもしくは燃焼を行い、深水してしっかり水揚げを行います。
- 水切りした場合は茎の中の綿も取り除き、茎の外側の表皮も少し削ぎ落として吸水部分を増やしましょう。
- アジサイは水揚げが悪いことで知られています。水切りして切り戻しても上手く水揚げしない事もあるため、出来るだけ水揚げしやすいようにしておく事も大切です。
- 水切りした場合は茎の中の綿も取り除き、茎の外側の表皮も少し削ぎ落として吸水部分を増やしましょう。
- 花瓶に水と延命剤を入れて花を生けましょう。
- 延命剤の効果は高く日持ちが著しく長くなる傾向にあります。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りもしくは燃焼を行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが約7~10日です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
燃焼法
燃焼法とは、切り花の切り口の先端を火で炙り炭化させた後に、冷水に漬けて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
燃焼は、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。また火で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
燃焼は湯揚げと原理が似ていますが、燃焼な向いているのは、茎が硬く水揚げが悪い花材等に向きます。水分を多く含んでいて柔らかい茎の花材には向きません。
燃焼の方法
- 切り花の花や葉が熱気で弱らないように、濡れた新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分は火につけるため、茎の下部は濡れた新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- 切り口の先端(約1~3cm)を火で炙り、炭化するまで待ちます。
- 切り口が炭化したら、火から離して、冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
深水法
深水法とは、深い水の中に切り花を漬けて水揚げする方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
深水は、深い水の中に切り花をつけるため、水圧が高まり、水上がりがとてもよくなります。また茎や葉からも水分を吸水するため、萎れが素早く改善します。
深水は水の吸い上げが弱い花材(バラ・ダリア・ラナンキュラス等)でよく行われます。また茎や葉が繊細な植物で深水をすると傷むため、基本的に茎葉が丈夫な花材で行います。
深水のやり方
- バケツの中に切り花が半分程度浸かる程度の水をいれておきます。
- 切り花を新聞紙で包みながら、花や葉が潰れない程度で、しっかり立つように固定して、茎の下部数cmを新聞紙から出しておきます。
- 切り花の切り口を水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- バケツの中に切り花が半分以上浸かる様にして入れておき、水揚げのため一から数時間程度放置します。
- 水揚げが終わったら花瓶の中に生けて楽しみます。
アジサイ(ハイドランジア)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アジサイ(ハイドランジア)の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2022】
アジサイ(御殿場錦)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
アジサイ(御殿場錦)は半日影(直射日光3~5時間)から間接光の当たる明るい日陰までで育てられます。基本的に強い日差しや乾燥を好まないため、日向(直射日光6時間以上)は避けた方が無難です。
土壌の土質
アジサイ(御殿場錦)は通気性と保水性のバランスがよく水分が均一に保たれる状態にあり、また有機物(腐植)がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。そのため植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよい肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
アジサイ(御殿場錦)は半日影(直射日光3~5時間)から間接光の当たる明るい日陰までで育てられます。基本的に強い日差しや乾燥を好まないため、日向(直射日光6時間以上)は避けた方が無難です。
培養土
アジサイ(御殿場錦)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 黒土+腐葉土+パーライト(極小粒)=5:3:2
水やりの仕方
アジサイ(御殿場錦)は茎葉の健康な成長や大きな花を咲かせる為にも、生育期間中は十分な水分を必要とします。過剰な水分の含まれるジメジメとした土壌はよくないですが、水分が均一に含まれる状態を好むため、土壌の表面が乾燥してきたら水をしっかり与えるようにしましょう。
肥料の与え方
アジサイ(御殿場錦)の肥料は、晩冬から早春に1回、晩春から初夏に数回、花後に1回、計3回行います。基本的に肥沃な土壌を好むことから、晩冬から早春は堆肥と寒肥を与え、晩春と初夏には軽い追肥、花後には翌年の開花のためお礼肥を与えます。
アジサイ(御殿場錦)の寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
アジサイ(御殿場錦)の追肥の与え方
- アジサイ(御殿場錦)の追肥は晩春から初夏(5月~6月)に行います。
- 追肥は液肥もしくは化成肥料で与えると良いでしょう。
- 液肥の場合は規定された分量で希釈して約7~14日に1回のペースで水やりの際に一緒に液肥を与えるとよいでしょう。
- 化成肥料を与える場合は規定された量を与えましょう。
アジサイ(御殿場錦)のお礼肥の与え方
- アジサイ(御殿場錦)のお礼肥は開花後の初夏から秋(5月~6月)に行います。
- お礼肥は翌年の開花のため株を充実させる目的で有機肥料(発酵油カス)もしくは配合肥料を与えると良いでしょう。追肥に近いため、効果が早く出る発酵済みのものがおすすめです。
- 有機肥料は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れて土を上から被せましょう。
おすすめの発酵油カス
剪定のやり方
アジサイ(御殿場錦)を剪定する目的は高さを抑え樹形を維持して、綺麗な花を咲かせる事にあります。剪定せずに育てる事も出来ますが、茎がどんどん伸びて樹形を悪くしたり、花が小さくなる事があります。
アジサイ(御殿場錦)の剪定方法
- アジサイ(御殿場錦)の剪定は花後すぐに行いましょう。
- 8月以降に剪定すると花芽を切ってしまい翌年の開花に悪い影響を与えるからです。
- 剪定は花が終わったら花の2~5節下、最低でも茎に葉を4枚残して切り戻し剪定を行いましょう。
- 株全体を観察しながら中央を少し高く、外側を低く剪定するとドーム状の綺麗な樹形になりやすいです。
- ただし完全に枯れてしまっている茎は季節を問わず何時でも剪定できます。日当たりや風通しを悪くして、健康な成長を阻害するため根元から間引き剪定しましょう。
- 落葉期の晩冬から早春は葉が落ちているため不要な茎を確認しやすいです。枯れた枝・芽のない枝・内側を向いた細い枝等の不要な枝を根元から間引きしましょう。間引きする事で他の枝に栄養が周り大きな花を咲かせる事にも繋がります。
夏越しする方法
アジサイ(御殿場錦))は夏の暑さでも問題なく成長しますが、強い日差しで葉焼け(葉の縁部分や一部が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)を引き起こしたり、乾燥により株全体が萎れ元気がなくなることがあります。そのため必要に応じて夏越し対策を行いましょう。
アジサイ(御殿場錦)の夏越し対策
- 西日の当たる環境は【強い暑さ・強い日差し・乾燥】などの複合的なストレスがかかり、茎葉が枯れたり萎れたりして株が弱りやすくなるため避けた方が良いでしょう。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 地植えであれば西日の当たらない場所に植えたり遮光ネットを利用したりしましょう。
- 乾燥を苦手にしていることから土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行います。
- 特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:6b~9a
アジサイ(御殿場錦)は冬になると葉を落としますが、寒さに強く基本的に冬越し対策は不要です。ただし寒風で花芽が傷む可能性があります。そのため必要に応じて寒冷紗を株に巻き寒風対策を行いましょう。
挿し木や株分けで増やす
アジサイ(御殿場錦)は挿し木によって増やす事ができます。
- アジサイ(御殿場錦)の挿し木時期は熟枝挿し(晩冬から早春)もしくは半熟枝(初夏)が適します。
- 挿し穂の長さ約10~15cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き、上部の葉は残しますが、大きいため葉の半分をカットしましょう。
- 熟枝挿しの場合は葉がありません。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
アジサイ(御殿場錦)の種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
アジサイ(御殿場錦)の病気
- うどん粉病
- 斑点病
- 炭素病
- ウィルス病
アジサイ(御殿場錦)の害虫
- ハダニ
- スリップス
- アブラムシ