- 原産:
- 科:オトギリソウ(Hypericaceae)
- 属:オトギリソウ/ヒペリカム(Hypericum)
- 種:タイリンキンシバイ(hidcoteense)
- 別名:
- 開花時期:5月~7月
- 花の色:黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:半常緑低木
- 草丈:約50~150cm
- 誕生花:6月16日/6月30日
花言葉:秘密/きらめき/悲しみを止める - 用途:生垣
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
タイリンキンシバイとは!?
タイリンキンシバイは学名Hypericum x hidcoteense、中国原産のフォレスティ種(H. forrestii)と小アジア原産のセイヨウキンシバイ(Hypericum calycinum)の雑種と考えられている半常緑低木です。
タイリンキンシバイの語源(由来)
- 属名のHypericumは古代ギリシア語で「さらに上」を意味する「ὑπέρ(huper)」と、古代ギリシア語で「宗教画」や「肖像」を意味する「εἰκών(eikon)」の2語からきており、悪霊を撃退する目的で用いられた事に由来すると言われています。
- 種小名のhidcoteenseはおそらく園芸品種のヒデコートが起源という事を意味します。
タイリンキンシバイの特徴(魅力)
- タイリンキンシバイは大輪(タイリン)の名前からもわかる通り直径7cmに達する大きな花と沢山の花を咲かせる所が特徴で、丸みを帯びて成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)から生垣などにも使われる雑種の植物です。
- 樹形は株立ち状になり、地際から何本も茎を伸ばし、基部からもよく枝分かれします。
- 多くの場合は晩冬から早春に剪定されて丸みを帯びた半球状の樹形が作られます。
- タイリンキンシバイの花は集散花序に集まり、キンシバイよりも沢山の花が咲く傾向にあります。
- 花はやや丸みを帯びるように花弁がカップ状に開くため可愛らしい外観をしており、花の大きさは直径4~7cmあります。
- 鮮やかな黄色の花色は、明るく開放的な印象を与えたり、レモンのような爽やかな印象を与えたりします。そのため気分が向上する様な爽やかで明るいお庭や、様々な花色を組み合わせたカラフルなお庭などによくあうでしょう。
- タイリンキンシバイ(Hypericum x hidcoteense)とキンシバイ(Hypericum patulum)はよく似ており、また以前はキンシバイの園芸品種と見られていた「ヒドコート」も現在はタイリンキンシバイの園芸品種として扱われている事もあって、しばしば比較される事があります。
- タイリンキンシバイは葉が殆ど十字対生に並び、花の直径は約4~7cmと大ぶりです。
- タイリンキンシバイの生垣は、とりあえず境界を示す目的で利用されることが多く、丸みを帯びる可愛らしい樹形や晩春から夏に開花する花を鑑賞する目的で利用されます。
- タイリンキンシバイはあまり背が高くならないため生垣に求められることが多い【目隠し効果・騒音対策】などの機能は殆どありません。
- タイリンキンシバイの生垣の植え付け間隔は成熟時の横幅を目安にして広めに植え付け間隔をとります。基本的には60cm以上です。
- タイリンキンシバイは夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も殆どいらないため放ったらかしで育てる事も可能です
タイリンキンシバイの樹高は約50(~150)cm、幅は約50(~150)cm、樹形は株立ち状で地際付近からよく枝分かれして立ち上がり、茎はよく枝分かれして丸みを帯びる外観をつくります。茎の断面は隆起した稜がなく円柱形となります。茎の色は緑色もしくは赤色、木質化した樹皮は褐色から灰褐色になります。
葉序は対生葉序(十字対生)、葉色は緑色、葉柄は無しもしくは非常に短く、葉身の大きさは長さ約1.5(~6)cm、葉身は狭卵形もしくは披針形です。
花序は集散花序、花は直径4(~7)cm、花弁はやや内向きになり皿状に開き、花弁の色は黄色、花弁の数は5個、雄蕊は多数で5個の束で構成されており、雌蕊は5個の心皮が融合する複合雌しべです。果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)です。
タイリンキンシバイの園芸品種の紹介
- ヒドコート(Hypericum x hidcoteense ‘Hidcote’)は以前はキンシバイの園芸品種と扱われていましたが、現在はタイリンキンシバイの園芸品種として扱われています。ヒドコートはキンシバイと比べて多花性で花が多く咲く傾向があり、また花は直径が7.5cmにも達する大輪のため華やかで豪華な印象を与えます。ヒドコートの鮮やかな黄色の花色は、明るく開放的な印象を与えたり、レモンのような爽やかな印象を与えたりします。そのため気分が向上する様な爽やかで明るいお庭や、様々な花色を組み合わせたカラフルなお庭などにおすすめです。樹形は株立ち状で丸みを帯びる傾向があり、高さ約50(~150)cm、幅約50(~150)cmに成長します。花は新枝に咲く傾向が強い事から、毎年刈り込みされて丸い樹形に整えられる事が一般的で、庭木として利用されたり、等間隔に並べて生垣として利用されたりします。
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タイリンキンシバイの育て方
花壇の土づくり
日当たり
タイリンキンシバイは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
タイリンキンシバイがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
タイリンキンシバイは乾燥した場所や栄養の乏しい草地等にも自生しており、通気性がよければあまり土質を選ばず幅広い環境で育てる事が出来ます。ただし基本的には通気性と保水性のバランスがよく適度に肥沃な土壌を好むため、植え付けの前に土壌診断を行いしっかり土作りを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
タイリンキンシバイは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
タイリンキンシバイは培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=7:3
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
生育初期
タイリンキンシバイは、活着するまでの生育初期は茎葉が萎れやすいため、土が乾燥しないように水やりをしっかり行いましょう。活着後は、ある程度の干ばつに耐えるほど乾燥に強くなります。
地植え
タイリンキンシバイは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
タイリンキンシバイを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
タイリンキンシバイは、ある程度に有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、成分がバランスよく入る有機肥料(配合肥料)もしくは緩効性肥料を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
剪定のやり方
タイリンキンシバイの剪定は2月から3月に1回行います。剪定の目的は樹形を整えるためだったり、生産性が落ちておりエネルギーが分散する原因にもなる古い枝を切り戻して新しい枝の成長を促すためにあります。花は春から新しく成長する新枝に花が咲くため、前年の枝を切り戻しても問題ありません。
タイリンキンシバイの剪定方法
- タイリンキンシバイの剪定時期
- 晩冬から早春(2月~3月)の1回です。春からの成長が始まる前に剪定を行う事で、エネルギーの分散が減り新芽の成長がよくなります。
- 剪定のやり方
- 剪定は基本的には樹形を生かした形にするため球形か半球形をつくるように刈り込み剪定します。
- 中央の枝を高く(長く)して、外側の枝を低く(短く)すると形が揃いやすいです。
- 剪定の量は株全体の大きさの1/3を目安にするのが一般的ですが、株を大きくしたい場合はさらに軽く切り戻したり、小さくしたい場合はさらに強く切り戻す事も出来ます。
- 刈り込み剪定が終わったら、株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きましょう。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 剪定は基本的には樹形を生かした形にするため球形か半球形をつくるように刈り込み剪定します。
オススメの刈り込み鋏とヘッジトリマー
夏越しする方法
タイリンキンシバイは夏の暑さに強く基本的に夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:3b~8a
タイリンキンシバイは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
タイリンキンシバイは挿し木もしくは株分けによって増やす事ができます。
挿し木の方法
- タイリンキンシバイの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7~10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
株分け手順
- タイリンキンシバイの株分け時期は春が最適です。
- スコップを使い出来るだけ根が傷まないように株を掘りあげます。
- 株から少し土を落として根と芽の位置を確認します。
- 根に数個の芽を残すようにしてナイフやハサミ等を使い個々に切り分けましょう。
- 株分けしたらそれぞれの株を植え直して水をたっぷり与えましょう。
播種で増やす
タイリンキンシバイの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
タイリンキンシバイの病気
タイリンキンシバイの害虫