- 原産:日本
- 科:ツツジ(Ericaceae)
- 属:ツツジ(Rhododendron)
- 種:ヤマツツジ(kaempferi)
- 別名:テリハヤマツツジ/ムラサキヤマツツジ/トーチ・アザレア(Torch azalea)
- 品種:エゾヤマツツジ(Rhododendron kaempferi f. latisepalum)
- 開花時期:5月~6月
- 花の色:橙色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:半常緑低木
- 草丈:約100~400cm
- 誕生花:4月22日/5月4日
- 花言葉:努力/もえる思い
- 用途:カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
エゾヤマツツジとは!?
エゾヤマツツジ(Rhododendron kaempferi f. latisepalum)は、ヤマツツジの変種と見られています。両者は外観の違いが殆どありませんが、エゾヤマツツジはヤマツツジと比べて萼や葉がやや大きい所が特徴です。
ヤマツツジとは!?
ヤマツツジは学名Rhododendron kaempferi、別名では「テリハヤマツツジ」や「トーチ・アザレア(Torch azalea)」等と呼ばれる事もある日本原産の半常緑低木です。日本では北海道・本州・四国・九州に分布しており、日当たりの良い山地の林縁などに自生しています。
ヤマツツジの語源(由来)
- 属名のRhododendronは古代ギリシア語で「バラ」を意味する「ῥόδον(rhodon)」と、古代ギリシア語で「木」を意味する「δένδρον(dendron)」の二語からなります。
- 種小名のkaempferiはドイツの植物学者で医師でもあるEngelbert Kaempferへの献名です。
ヤマツツジの特徴(魅力)
- ヤマツツジは、野生のツツジでは日本で最も広く分布しており、春から初夏にかけて一斉に開花するサーモンピンクの花が魅力の植物です。
- 樹形は株立ち状で、直立して伸びる傾向が強く枝は横に広がります。
- 花は枝先に1~3個付き、形は5個の花弁が合着した合弁花で漏斗形をしています。
- ヤマツツジの色は鮮やかなサーモンピンク色をしており、筒内部に濃い赤色(濃い桃色)の点状の斑点(スポット)があります。
- 点状の斑点は蜜源を求めやってくる昆虫達のためのネクターガイド(花蜜のある場所を教える印)になっています。
- ヤマツツジは雄蕊の数はサツキと同様に5個あり、長く伸びるためよく目立ちます。
- ヤマツツジの色は鮮やかなサーモンピンク色をしており、筒内部に濃い赤色(濃い桃色)の点状の斑点(スポット)があります。
- 花は蝶々の蜜源にもなるため開花期になると、花の周りを優雅に飛ぶ蝶々の姿や花房の上に乗って蜜を吸う蝶々の可愛らしい姿を観察出来るかもしれません。
- ヤマツツジは「春葉」と「夏葉」があり、夏葉は春葉と比べると小型で1部が冬の間も残ります。
- 葉は落葉前の秋になると赤色へと強く色付き紅葉するため美しい景観をつくります。
- ヤマツツジは底の浅い鉢に植えられて、盆栽として仕立て育てられる事もあります。
- ヤマツツジを育てる際に気をつける事はあまりなく、やや寒さを苦手にしていますが育てやすい植物です。
ヤマツツジの樹高は約100(~400)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)で、茎はよく枝分かれします。新枝は剛毛があり、樹皮の色は赤褐色から灰褐色です。
葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉柄は長さ0.1(~0.3)cm、春葉の葉身は長さ約2(~5)cm、幅約0.7(~3)cm、葉身の形は楕円形もしくは卵形、葉の両面に長毛が生えます。夏葉の葉身は長さ約1(~2)cm、幅約0.4(~1)cm、葉身の形は楕円形もしくは倒披針形、葉の両面に毛が生えます。
花序は頂花、枝先に花が1個もしくは2(~3)個付きます。花冠は漏斗形(下部が細く上部が広がり漏斗のような形をしています)で5個の花弁が合着する合弁花、直径約3(~4)cm、花色は橙色もしくは桃色、雄蕊は5個、雌蕊は1個です。※花冠内部に濃い赤色(桃色)の点状のスポットがあり昆虫を引き寄せる花蜜標識としての働きがあります。
果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)です。蒴果は卵形、長さ約0.6(~0.8)cm、色は褐色で剛毛が生えます。
ヤマツツジの園芸品種の紹介
ツツジの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ツツジの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2020】
エゾヤマツツジの育て方
花壇の土づくり
日当たり
エゾヤマツツジは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。ただし夏の暑さが厳しい地域では半日影の方がよい場合もあります。環境に合わせて直射日光が6時間以上当たる日向、もしくは3時間から5時間の半日影で育てましょう。
作土層
エゾヤマツツジがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。苗(根鉢)の1.5~3倍(深さ30~40cm)の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌のPH
エゾヤマツツジはPH5.0~5.5の間の酸性土壌を好みます。PHが高すぎるとサツキに必要な栄養分が溶解しにくくなる等して生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが高い場合はピートモスを入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
エゾヤマツツジは通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
エゾヤマツツジは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。ただし夏場は強い日差しで葉焼けを引き起こす事もあるため必要に応じて西日の当たらない半日影に移動します。
培養土
エゾヤマツツジは酸性土壌を好むためツツジやサツキの培養土を選ぶとよいでしょう。自作する場合は酸性用土を使いながら通気性が良く適度に肥沃な培養土を作ります。
- 鹿沼土(小粒・中粒)+腐葉土+黒土=5:3:2
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒・中粒)+ピートモス(無調整)=3:3:4
水やりの仕方
地植え
エゾヤマツツジを地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
エゾヤマツツジを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
エゾヤマツツジの肥料は、晩冬から早春に1回、花後に1回、秋に1回、計3回行います。基本的に肥沃な土壌を好むことから、晩冬から早春は堆肥と寒肥を与え、花後には翌年の開花のためお礼肥を与えます。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
お礼肥の与え方
- お礼肥は開花後の初夏から秋(5月~6月)に行います。
- お礼肥は翌年の開花のため株を充実させる目的で有機肥料(発酵油カス)もしくは配合肥料を与えると良いでしょう。追肥に近いため、効果が早く出る発酵済みのものがおすすめです。
- 有機肥料は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れて土を上から被せましょう。
追肥の与え方
- 追肥は秋頃(9月~10月)に行います。
- 追肥は緩効性肥料もしくは有機肥料(発酵油カス)か配合肥料を与えると良いでしょう。
剪定のやり方
エゾヤマツツジを剪定する目的は、高さや幅を制御する目的だったり、樹形をつくる目的で行われます。
庭木として剪定する方法
- 剪定時期は花後の5月~6月頃です。
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 株全体のバランスを必ず見ながら樹形を乱したり自然淘汰されていくような弱い不要枝(下がり枝・逆さ枝など)を、根元から間引き剪定、もしくは芽・節がある場所の少し上で切り戻し剪定しましょう。
- 途中で剪定した場合は、そこから芽が出て新しい枝がでてきます。
- 株全体のバランスを見ながら他の枝と比べて著しく伸びて外観を乱している徒長枝や太い枝を少し奥目の場所で、芽・節がある場所の少し上で切り戻し剪定しましょう。
夏越しする方法
エゾヤマツツジは夏の暑さに強い一方で、乾燥をやや苦手にしています。そのため、地植えしてる場合でも土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行いましょう。特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:4b~8a
エゾヤマツツジは耐寒性が高いため基本的に冬越しの準備をする必要はありません。
挿し木や株分けで増やす
ヤマツツジは挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- ヤマツツジの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ヤマツツジの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
ヤマツツジの病気
- 灰色カビ病
- 褐斑病
ヤマツツジの害虫
- ツツジグンバイムシ
- ベニモンアオリンガ
- ハマキムシ
- ハダニ