- 原産:
- 科:ツツジ(Ericaceae)
- 属:ツツジ(Rhododendron)
- 亜属:シャクナゲ(Hymenanthes)
- 品種:フィリスコーン
- 開花時期:4月~5月
- 花の色:黄色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 分類:常緑低木
- 草丈:約
- 誕生花:2月20日/5月8日/6月5日
- 花言葉:危険/用心/警戒/注意する
- 用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)とは!?
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)は、花の直径が非常に大きいため豪華な雰囲気をつくり、またほんのりと黄色に染まる白色の花色が爽やかな印象を与える園芸品種です。花序は散形花序、枝先に密に花が集まり球状の花姿をつくります。花の形は花弁が5個の合弁花で漏斗形、花色は薄い黄色もしくは白色です。
シャクナゲとは!?
シャクナゲは学名Rhododendron subg. Hymenanthes、一般的にはツツジ属シャクナゲ亜属の無鱗片シャクナゲ節の総称として呼ばれています。ただし有鱗片シャクナゲのうち、ヒカゲツツジやエゾムラサキツツジ等もシャクナゲに含まれることもあります。
シャクナゲの語源(由来)
- 属名のRhododendronは古代ギリシア語で「バラ」を意味する「ῥόδον(rhodon)」と、古代ギリシア語で「木」を意味する「δένδρον(dendron)」の二語からなります。
- 亜属名のHymenanthesは古代ギリシア語で「皮膚」「膜」を意味する「Hymen」と、古代ギリシア語で「花」を意味する「anthes」の2語からなります。
- シャクナゲの由来は「石南花」からきており、石南花を「シャクナンゲ」と呼んでいたものが、転化してシャクナゲになったと言われています。
シャクナゲの特徴(魅力)
- シャクナゲは一般的に枝先に多数の花が房状に集まりボリューミーに咲く花姿をしており、葉に鱗状毛を持たないツツジ属シャクナゲ亜属の無鱗片シャクナゲ節の植物をさしています。
- ただし葉裏に鱗状毛をもつエゾムラサキツツジやヒカゲツツジ等も有鱗片シャクナゲとして無鱗片シャクナゲと同様に、シャクナゲとして扱われる事もあります。
- シャクナゲの樹形はブッシュでよく枝分かれする傾向にあり、高さ50cm程の常緑低木から2000cmまでの常緑高木の種まであります。
- 花は散形花序、枝先に多数の花が溢れるようにつき、球状の形をしたボリューミーな花姿をつくります。
- 1個の花は5~8個の花弁が合着した合弁花で漏斗形もしくは鐘形をしています。
- シャクナゲは花色が非常に豊富にあり、また複色で絞り模様が入る事があるため、お庭の雰囲気に合わせて花色や花模様を選ぶことが出来る所も魅力です。
- シャクナゲは雄蕊の数が10~20個あります。
- シャクナゲの葉はつや消しされたかのような色合いをしており、質感は革質で集めです。
- 葉は長楕円形で、非常に長く数十センチの長さになります。
- 葉は鱗状毛がありませんが、1部のシャクナゲ(エゾムラサキツツジ・ヒカゲツツジ等)では葉裏に鱗状毛があります。
- シャクナゲは葉に有毒成分であるグラヤノトキシン等を含んでいます。
- そのため間違えて摂取した場合、吐き気や下痢、痙攣や呼吸困難等の症状を引き起こす可能性があります。
- シャクナゲは日本シャクナゲと西洋シャクナゲに分けられる事があります。
- 日本シャクナゲは日本に自生する原種を元に作出されたものです。
- 西洋シャクナゲとは日本とアジアに自生するシャクナゲを元に西洋で品種改良されて作出された園芸品種です。
シャクナゲの原種の種類
- アズマシャクナゲ(Rhododendron degronianum)は日本を原産とする常緑低木です。日本では本州の中部地方・関東地方・東北地方に分布しており、高山帯の林内や稜線上などに自生しています。樹高は200~400cm、葉は長楕円形、葉の長さ約5~15cm、葉の表面は緑色で無毛、葉の裏面は淡褐色の毛が密生します。開花時期は5月~6月、花序は散形花序、枝の頂部に5~12個を密につけ、花の形は漏斗形、花の色は蕾の時に鮮やかな桃色をしており、徐々に色が薄れていきます。樹高は200~400cmまで成長します。
- ツクシシャクナゲ(Rhododendron japonoheptamerum var. japonoheptamerum)は日本を原産とする常緑低木です。日本では本州(紀伊半島)・四国・九州に分布しており、深山の林内に自生しています。樹高は約300~400cm、葉序は互生葉序、葉は長楕円形、葉の長さ約15cmまで、葉の表面は緑色で無毛、葉の裏面は赤褐色の毛がビロード状に密生します。開花時期は5月~6月、花序は散形花序、花の形は7個の花弁が合着する漏斗形、花の大きさは直径約4~5cm、花の色は蕾の時に鮮やかな桃色をしており、徐々に色が薄れていきます。
- ホンシャクナゲ(Rhododendron japonoheptamerum var. hondoense)はツクシシャクナゲの変種で、日本を原産とする常緑低木です。日本では本州(新潟以西)・四国に分布しており、深山の岩場などに自生しています。樹高は150~700cm、葉序は互生葉序(枝先に集まる傾向がある)、葉は長楕円形、葉の長さ約8(~18)cm、幅は約1.5(~5)cm、葉の表面は緑色で無毛、葉の裏面は薄褐色の軟毛が薄く生える。開花時期は4月~6月、花序は散形花序、花は直径約5cm、花の形は7~8個の花弁が合着する漏斗形、花の色は桃色から白色です。
- ホソバシャクナゲ(Rhododendron makinoi)は別名「エンシュウシャクナゲ」とも呼ばれる日本原産の常緑低木です。日本では本州の静岡県から愛知県に分布しており、日当たりの良い山地の岩場などに自生しています。樹高は約100~200cm、葉序は互生葉序(枝先に集まる傾向がある)、葉は狭楕円形、葉の長さ約7(~18)cm、幅は約1(~2)cm、葉の表面は緑色で無毛、葉の裏面は褐色の枝状毛が生える。開花期は5月、花序は散形花序、枝の頂部に約5~10個の花が密に集まり、花は5個の花弁が合着する漏斗形、大きさは直径約4~5cm、花の色は濃い桃色の蕾から桃色の花が咲きます。
- ヤクシマシャクナゲ(Rhododendron yakushimanum)は日本原産の常緑低木です。日本では屋久島の山岳高知に自生しています。樹高は約50~150cm、葉序は互生葉序(枝先に集まる傾向がある)、葉は狭楕円形、葉の長さ約7(~14)cm、幅は約2(~3)cm、葉の表面は緑色で無毛、葉の裏面は褐色のビロード状の毛が生える。開花時期は5月~6月、花序は散形花序、枝先に花が密に集まり、花は直径約4cm、形は5個の花弁が合着する合弁花で鐘形、花の色は桃色の蕾から花が開き徐々に白色へと変化していきます。
- キバナシャクナゲ(Rhododendron aureum)は日本および東アジアを原産とする常緑低木です。日本では北海道・本州(中部地方)に分布しており、高山帯に自生する高山植物です。また高山植物のため一般的なシャクナゲと比べて暑さに弱い傾向が強いです。花はほんのりと黄色を帯びる白色で、樹高は約30~40cmまで地面を這うように成長します。
- ハクサンシャクナゲ(Rhododendron brachycarpum)は日本および朝鮮を原産とする常緑低木です。日本では本州・四国・九州に分布しており、高山帯に自生します。名前の由来は石川県と岐阜県にある白山からきており、白山に多く自生している事からきています。花は白色で、薄らと桃色の絞り模様が入ることもあります。樹高は50~300cmまで成長します。
シャクナゲの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
シャクナゲの珍しい種類、主な種やおすすめの園芸品種などの紹介【2022】
ツツジの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ツツジの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2020】
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)は乾燥や強い日差しを苦手にしています。そのため西日を避けて、午前中のみ日が当たりになり午後から日陰になるような半日影で育てる事が理想です。
土壌のPH
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)はPH5.0~5.5の間の酸性土壌を好みます。PHが高すぎるとサツキに必要な栄養分が溶解しにくくなる等して生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが高い場合はピートモスを入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)は通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)は乾燥や強い日差しを苦手にしています。そのため西日を避けて、午前中のみ日が当たりになり午後から日陰になるような半日影で育てる事が理想です。
培養土
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)は酸性土壌を好むためツツジやサツキの培養土を選ぶとよいでしょう。自作する場合は酸性用土を使いながら通気性が良く適度に肥沃な培養土を作ります。
- 鹿沼土(小粒・中粒)+腐葉土+黒土=5:3:2
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒・中粒)+ピートモス(無調整)=3:3:4
水やりの仕方
地植え
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)は乾燥をやや苦手にしていますが、地植えしている場合は基本的に降水のみで育てられます。ただし夏場は土が乾燥しやすくなるため、土壌の表面が乾燥しはじめたら、株が弱らないように水やりをしっかりおこないましょう。
鉢植え
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土の表面が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)の肥料は、晩冬から早春に1回、花後に1回、秋に1回、計3回行います。基本的に肥沃な土壌を好むことから、晩冬から早春は堆肥と寒肥を与え、花後には翌年の開花のためお礼肥を与えます。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
お礼肥の与え方
- お礼肥は開花後の初夏から秋(5月~6月)に行います。
- お礼肥は翌年の開花のため株を充実させる目的で有機肥料(発酵油カス)もしくは配合肥料を与えると良いでしょう。追肥に近いため、効果が早く出る発酵済みのものがおすすめです。
- 有機肥料は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れて土を上から被せましょう。
追肥の与え方
- 追肥は秋頃(9月~10月)に行います。
- 追肥は緩効性肥料もしくは有機肥料(発酵油カス)か配合肥料を与えると良いでしょう。
剪定のやり方
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)の剪定は花がら摘みと、必要に応じて芽かきを行います。
花がら摘みを行う目的とやり方
花がら摘みを行う目的は夏までに新鞘を充実させて花芽をしっかりつける事にあります。花がら摘みをしないと、果実にエネルギーが向かうため脇芽が成長せず新鞘が充実せず翌年の花も上手く開花しない事があります。
花がら摘みのやり方は、花が萎れてきたら出来るだけ早く、花茎の根元、葉の上で剪定ハサミを使って切りましょう。
芽かきを行う目的とやり方
芽かきを行う目的は、分枝を促して枝分かれのよい樹形をつくる事にあります。成長点を摘み取り除く事で、頂芽優勢が崩れて複数の脇芽が伸び出すようになり、結果としてふさふさとした樹形が作られます。
芽かきのやり方は、春に1枝から1芽しか出てない場合に、茎の頂部の成長点の芽を指で摘んで取り除きます。芽かきの時期は、成長が活発な春の早いうちに行いましょう。
夏越しする方法
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)は高山に自生する種も多く、一般的に冷涼な気候を好みます。そのため暑さ対策や日差しへの対策、乾燥対策等が必要になります。
シャクナゲの夏越し対策
- 西日の当たる環境は【強い暑さ・強い日差し・乾燥】などの複合的なストレスがかかり、茎葉が枯れたり萎れたりして株が弱りやすくなるため避けた方が良いでしょう。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 地植えであれば西日の当たらない場所に植えたり遮光ネットを利用したりしましょう。
- 乾燥を苦手にしていることから土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行います。
- 特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
- 株元を腐葉土でマルチングしておけば地温の極端な上昇や乾燥を防ぐ事が出来ます。
冬越しする方法
Hardiness:
西洋シャクナゲ(フィリスコーン)は多くが高山に自生しており、寒さに強い傾向がありますが、寒風にあたり枯れてしまう事もあります。そのため、必要に応じて寒冷紗やビニールで株を覆ったり、鉢植えで育てている場合は温室に移動してあげましょう。
挿し木や株分けで増やす
シャクナゲは挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- シャクナゲの挿し木時期は晩春から初夏もしくは秋が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7~10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
シャクナゲの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
シャクナゲの病気
- 灰色カビ病
- 花腐菌核病
- うどんこ病
- 褐斑病
- 葉斑病
シャクナゲの害虫
- ベニモンアオリンガ
- グンバイムシ
- ハマキムシ