- 原産:日本/中国/朝鮮/ロシア
- 科:ヒノキ(Cupressaceae)
- 属:ビャクシン(juniperus)
- 種:イブキビャクシン(chinensis)
- 別名:ビャクシン/イブキ/シンパク/チャイニーズ・ジュニパー(Chinese juniper)/コニファー
- 品種:ストリクタ(juniperus chinensis ‘stricta’)
- 開花時期:1月~4月
- 花の色:黄色●緑色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:常緑高木
- 草丈:約100~200cm
- 用途:生垣/コニファー/カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
イブキビャクシン(ストリクタ)とは!?
イブキビャクシン(ストリクタ)は、枝葉が上に向かい立ち上がりながら、円錐形の洗練された樹形をつくるため、ふさふさとした外観になります。成長は緩やかで、高さは約100(~200)cm、幅は約100(~150)cmに成長するため、お洒落な印象を与える庭木として育てたり、等間隔に並べて並木や生垣として利用するのもおすすめです。
イブキビャクシンとは!?
イブキビャクシンは学名Juniperus chinensis、別名では「イブキ」や「チャイニーズ・ジュニパー(Chinese juniper)」とも呼ばれる日本および中国、朝鮮、ロシアが原産の常緑高木です。
イブキビャクシンの語源(由来)
- 属名のjuniperusはラテン語で「イグサ」や「アシ」を意味する「iuncus」に由来しています。
- 種小名のchinensisは「中国の」を意味しており自生地に由来します。
- 和名の「イブキ」は伊吹山からきていると言われています。
イブキビャクシンの特徴(魅力)
- イブキビャクシンは葉の形態が針形と鱗片葉の2通りあり幼木と成木で葉の形が変わる所が特徴で、また立ち上がる枝葉と針葉樹特有の円錐形の洗練された樹形をつくる所が魅力です。
- 園芸では、コニファー(針葉樹)の仲間として流通している事が多く、円錐形の洗練された樹形を楽しむ目的で庭木として利用されたり、等間隔に並べ生垣として利用されたり、盆栽として楽しまれたりします。
- 樹形は円錐形、枝葉は上に向かい成長する傾向が強いため、ふさふさとした箒のような外観をつくります。
- 葉は針のような針形の葉と小枝に鱗のようにくっつく小さな鱗片葉の2つの形態があります。
- 針形の葉は幼木と成木の下部で見られる葉っぱで、長さ約0.6~1.2cmあります。
- 鱗片葉は成木で見られる葉っぱで、小枝に鱗状に密について長さ約0.4~0.6cmの大きさがあります。
- イブキビャクシンの生垣は円錐型の自然な樹形を生かしながら楽しむ並木のような生垣と、刈り込み剪定を行い形状を整えながら楽しむフォーマルヘッジのどちらでも利用出来ます。
- 並木のような生垣として楽しむ場合は、円錐型の木が並ぶ事から洗練された印象を与えるお洒落な雰囲気の生垣になります。
- フォーマルヘッジとして剪定して形を整える生垣の場合は、枝葉が小さく緻密に仕上がるため、しっかりお手入れされた洗練された雰囲気の生垣になります。
- イブキビャクシンは他の針葉樹と同様に背が高くなるため高い生垣をつくりたいお庭等におすすめです。ただし背が低い品種もあります。
- イブキビャクシンの生垣の植え付け間隔は50~100cm以上です。枝葉が密に茂るフォーマルヘッジで楽しみたい場合は植え付け間隔を狭めにして、自然な樹形を生かしたインフォーマルヘッジで楽しみたい場合は成熟した木の横幅を目安にしながら広めの間隔をとるとよいでしょう。
- イブキビャクシンは底の浅い鉢で仕立てられながら盆栽として育てられる事も多い植物です。
- 特にイブキビャクシンの中の1品種である「シンパク」は盆栽世界の中で最も人気のある盆栽の1つとして数えられています。
- イブキビャクシンは夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も基本的に不要になるため低メンテナンスで育てられます。
イブキビャクシンの樹高は約100(~2500)cm、樹形は円錐形(不規則)、樹皮は灰褐色もしくは褐色をしており、縦に割れ不規則に剥がれます。
葉序は輪生葉序、葉色は緑色、葉身は針形と鱗片葉の2つの形態があり、幼木および成木の下部は針形が優勢で、成木の殆どは鱗片葉となります。針形は長さ約0.6(~1.2)cmあり、鱗片葉の長さ0.4(0.6)cmです。
花は腋生で雌雄異株(稀に雌雄同株)のため雄株(雄花だけ作る)と雌株(雌花だけ作る)が別々の木にあります。雌花は楕円形(~円錐形)で緑色(~黄緑色)をしています。
果実は球果、球果は球形、大きさは直径約09cm、色は緑色から成熟するにつれて黒色(~紫色)になり2(~4)個の種子を含有します。
イブキビャクシンの園芸品種
- カイヅカイブキ(juniperus chinensis ‘kaizuka’)は枝葉が上に向かい立ち上がり不規則に捻れるため、アートを見ているような個性的な外観をつくる園芸品種です。高さは400(~800)cm、幅は約200(~400)cmに成長するため、個性的な印象を与える庭木として育てたり、等間隔に並べて生垣として利用するのもおすすめです。
- シンパク(juniperus chinensis ‘shimpaku’)は盆栽の世界の中で最も人気のある盆栽の1つです。非常に成長が緩やかでコンパクトな樹形をつくり、灰緑色から濃い緑色の柔らかな針状の葉をもち、剥き出しの美しい樹皮が魅力の園芸品種です。高さは約30(~100)cm、幅は約30(~150)cmに成長します。
- スパルタン(juniperus chinensis ‘spartan’)は、樹形が幅の狭い円錐形から円柱形をつくるため、洗練された印象を与える庭木となります。高さは約300(~600)cm、幅は約100(~150)cmに成長するため、お洒落な印象を与える庭木として育てたり、等間隔に並べて並木や生垣として利用するのもおすすめです。
- ストリクタ(juniperus chinensis ‘stricta’)は、枝葉が上に向かい立ち上がりながら、円錐形の洗練された樹形をつくるため、ふさふさとした外観になります。成長は緩やかで、高さは約100(~200)cm、幅は約100(~150)cmに成長するため、お洒落な印象を与える庭木として育てたり、等間隔に並べて並木や生垣として利用するのもおすすめです。
- ブルーポイント(juniperus chinensis ‘blue point’)は、葉全体が青色に近い青緑色の葉色をしているため、落ち着いた印象を与えるカラーリーフにもなり、また樹形が整った円錐形になることから洗練された印象を与える庭木として楽しめる園芸品種です。高さは約150(~350)cm、幅は約150(~200)cmに成長するため、お洒落な印象を与える庭木として育てたり、等間隔に並べて並木や生垣として利用するのもおすすめです。
ビャクシンの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ビャクシンの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種等の紹介【2022】
イブキビャクシン(ストリクタ)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
イブキビャクシン(ストリクタ)は成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。
土壌の土質
イブキビャクシン(ストリクタ)は幅広い土壌に耐えますが、ジメジメした過湿が長く続く状態や浸水する様な土壌を許容しません。そのため植え付けの前に土壌診断を行いしっかり土作りを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
イブキビャクシン(ストリクタ)は日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
培養土
イブキビャクシン(ストリクタ)の培養土を自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒・中粒)+腐葉土=4:3:3
水やりの仕方
生育初期
イブキビャクシン(ストリクタ)は植え付け後、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように、水やりをしっかり行い育てましょう。
地植え
イブキビャクシン(ストリクタ)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
イブキビャクシン(ストリクタ)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
イブキビャクシン(ストリクタ)はある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。また冬から晩冬に肥料を与える事で成長がよくなる事もありますが、与えなくても問題ありません。
植え付け後の元肥(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。基本的にある程度肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めると良いです。肥料を与える場合は水平型もしくは山型の配合肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施しましょう。
剪定のやり方
イブキビャクシン(ストリクタ)は自然樹形のまま円錐形に成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)がありますが、剪定しないと徐々に歪な樹形となったり、日の当たりにくい下部の枝葉が枯れてしまう事があります。また一部品種を除いて非常に大きくなるため、大きな木として維持管理できない場合は剪定が必須です。
イブキビャクシンは殆どの針葉樹と同様に枝のない場所まで強く切り込むと、普通は木質部から芽吹く事はありません。また株全体の半分以上の枝葉を取り除くような強い剪定を行うと強いストレスがかかり枝葉が枯れ込むこともあります。そのため、剪定を行う際は葉のない場所まで切り込まない(枯れた枝・損傷した枝の間引き剪定は別です)。剪定する量は全体の1/3~1/4程度に抑える事が大切です。
庭木の剪定方法
- イブキビャクシンを庭木として剪定する時期は早春が最適です。
- 早春に剪定する事で春からの強い回復が期待できます。
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、エネルギーが分散して、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 形を整える目的で茎の途中で切り戻し剪定する事も出来ます。
- 切り戻し剪定する場合は、必ず葉の上で剪定しましょう。葉のない場所まで強く切り込むと葉のない枝は復活しないため注意が必要です。
- 園芸品種は背が低く成長が緩やかな事が多いですが、基本的に高木のため背が高くなる可能性があります。そのため必要に応じて上部の剪定が必要です。
- 希望の高さに達したら上部の茎の成長点を剪定(芯止め剪定)して成長を止めましょう。芯止めしても恒久的に成長がとまるわけではないため必要に応じて定期的に剪定する必要があります。
- また芯止め剪定により枝分かれして樹形が乱れる事があるため、幹が二股に分かれたらどちらか一方を取り除き、上部を「▲」に刈り込み剪定するとよいでしょう。
生垣(トピアリー)の剪定
- 生垣の剪定時期は春から初秋の間に1回だけ、もしくは2回~3回おこないます。
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、エネルギーが分散して、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 枯れた茎等は何時でも剪定出来ますが、植物が動き出す前の早春に剪定すると、春からの強い成長で素早い回復が期待できます。
- 株全体を観察して側面と上部から飛び出た枝を切り戻し剪定、もしくは表面をなぞるように刈り込み剪定します。
- 全体的に上部をやや狭く下部をやや広く「▲」の形に剪定すると下部の枝葉にも光がしっかり当たるため、足元の枝が枯れこみにくくなります。※葉のない場所まで強く切り戻したり刈り込むと、葉のない枝は復活しないため注意が必要です。
- 上部の高さが希望の高さまで成長していない場合は上面の剪定は行いません。
剪定をプロに任せる
剪定を自分で行う事が不安な場合は、剪定のプロに任せて綺麗に仕上げて貰う事も出来ます。また剪定する時間がとれない、他にも庭の作業を依頼したい時などもプロに作業を任せてしまう事が可能です。
- 剪定作業を自分で行う時に不安がある時
- 剪定は重労働になるため体力が最後までもつか不安がある。
- 大きな木を剪定する時は高所作業になるため怪我をするリスクがあり不安がある。
- 間違った剪定を行う事で、数年後に不格好な樹形になったり、スカスカした生垣になるかもしれない不安がある。※必要な枝と不要な枝の見極めが素人には難しい場合があり、太い枝や古い枝などを残すと不格好な樹形になることもある。
- 剪定を行う時間がとれず放ったらかしになっている
- 生垣の管理が疎かになると枝が暴れるため見た目が悪くなったり、枝が歩行者の邪魔になり怪我をさせるリスクがある。
- 木がどんどん成長していくと管理が難しくなったり、鑑賞したい花が上の方に咲いてしまったり、電線の近くだと枝が電線にかかる可能性がある。
- 剪定の他にも作業を依頼したい
- 庭の草が育って薮のようになっている、芝が伸びてボウボウになっている、庭石を並べたり外壁工事を頼みたい、庭にある不要物を撤去して欲しい等の相談も、剪定依頼をする時に一緒に行うことが可能です。
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夏越しする方法
イブキビャクシン(ストリクタ)は夏の高温多湿を苦手にしており、真菌性の病気等にもかかりやすいです。そのため必要に応じて夏越し対策を行いましょう。
夏越し対策
- 湿度の高い環境を嫌うため乾燥した場所で管理しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
- 鉢植えの場合は雨に当たらない場所に移動すると良いでしょう。
- 地植えの場合は雨の当たりにく場所で育てると良いでしょう。
- 直射日光がよく当たる場所
- 直射日光6時間以上が理想です。
- 土壌の排水性がよい場所
- 植付けの際に土壌改良をしっかりおこないましょう。
- ロックガーデンなど、周りより高い場所に植えると、水が下に流れやすく、排水性が高まり根腐れしにくくなります。
- 空気の流れがあり風通しがいい場所
- 周りが壁に囲まれていたり、草が繁茂してる場所で管理すると空気が停滞して湿気が溜まりやすくなります。改善しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
冬越しする方法
Hardiness:4a~8b
イブキビャクシン(ストリクタ)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
イブキビャクシンは挿し木で増やすことが出来ます。
イブキビャクシンの挿し木の方法
- イブキビャクシンの挿し木時期は秋が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を利用しましょう。
- 挿し穂を長さ約10~20cmとります。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 培養土に幾つかの節を入れ深く挿します。
- 節の部分からも発根する。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
イブキビャクシンの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
イブキビャクシンの病気
- 赤星病
イブキビャクシンの害虫