- 原産:ヨーロッパ/西アジア
- 科:ミズキ(Cornaceae)
- 属:ミズキ(Cornus)
- 種:セイヨウミズキ(sanguinea)
- 別名:コモン・ドックウッド(common dogwood)/ブラッディ・ドックウッド(bloody dogwood)/Blood-twigged dogwood
- 品種:ミッドウィンターファイヤー(cornus sanguinea ‘midwinter fire’)
- 開花時期:4月~6月
- 果実時期:8月~10月
- 花の色:白色〇
- 葉色:緑色●黄色●赤色●白色〇
- 分類:落葉低木
- 草丈:約200~600cm
- 用途:カラーリーフ/生垣/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)とは!?
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)は、冬の季節に見られる黄色と赤橙色の2色の美しい茎の色が魅力的な園芸品種です。ミッドウィンターファイヤーは秋に葉が紅葉して落ちた後、茎だけが残り上部が赤橙色、下部が黄色となり、燃え上がる炎のような美しいシルエットをつくります。樹形は株立ち状、高さ約150(~200)cm、幅は約150(~200)cmに成長します。
セイヨウミズキとは!?
セイヨウミズキは学名Cornus sanguinea、別名では「コモン・ドックウッド(common dogwood)」や「ブラッディ・ドックウッド(bloody dogwood)」とも呼ばれるヨーロッパおよび西アジアが原産の落葉低木です。
セイヨウミズキの語源(由来)
- 属名のCornusはラテン語で「角」を意味する「cornu」に由来しています。
- 種小名のsanguineaはラテン語で「血赤色の」「血の」を意味しており、冬に赤くなる茎に由来します。
- セイヨウミズキの由来は「西洋(セイヨウ)」から来た「ミズキ」に似た植物を意味します。
セイヨウミズキの特徴(魅力)
- セイヨウミズキは冬に赤色(赤橙色)もしくは黄色の茎のみが残るため「珊瑚(サンゴ)」を思わせるような美しいシルエットをつくる所が魅力の植物です。
- 園芸では、春から初夏に開花する花を鑑賞する目的や、花が終わった後に実る黒色の果実を鑑賞する目的、秋に赤色や紫色に変わる葉の紅葉を鑑賞する目的、冬は珊瑚のような外観になる美しい枝のシルエットを鑑賞する目的で育てられます。
- 樹形は茎が地際から何本も立ち上がる株立ち状で、枝分かれがよく美しいシルエットをつくります。
- 枝は赤色もしくは黄色になるため「珊瑚」を思わせるような美しい外観となります。
- 花は非常に小さな花が茎の頂部で半球状(散房花序)に集まり直径約3~5cmの大きな花序をつくります。
- 白色の花色は洗練された印象を与えたり、輝いている様な明るい印象を与えます。
- セイヨウミズキの果実は球状で色は黒色をしています。
- 近縁でよく似た外観をしているシラタマミズキ(Cornus alba)は果実が白色のため区別する事ができます。
- 葉はふつう緑色ですが、開放的で明るい印象を与える黄色の葉色などもあるため、品種を選んでカラーリーフとして楽しむ事も出来ます。
- 葉は冬になると落葉しますが、落葉前の秋になると赤色もしくは紫色か橙色か黄色へと変わり紅葉するため美しい景観をつくります。
- セイヨウミズキの生垣は、とりあえず境界を示すインフォーマルな生垣として使われる事が多く、フォーマルな生垣のような整った形はしていません。
- セイヨウミズキの生垣は、花や実、珊瑚のような外観をつくる枝のシルエットなどを季節を通して楽しめる所が魅力です。
- セイヨウミズキの生垣の植え付け間隔は30cm以上、成熟時の横幅を目安にしながら植え付けましょう。
セイヨウミズキの樹高は200~600cm、樹形は株立ち状(根元から茎がわかれ複数の茎が立ち上がる樹形)で、枝分かれ良くブッシュ状になり、茎の色は緑色・赤色・黄色・橙色があります。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約4(~8)cm、幅約2(~4)cm、葉身の形は楕円形もしくは卵形、秋になると赤色や黄色に紅葉します。
花序は散房花序、散房花序は花柄が茎下部ほど長く茎頂部ほど短くなり直径約3(~5)cmの半球状の花姿をつくります。
花の色は白色、花弁4個、雄蕊4個、雌蕊1個あります。果実は核果(薄い外果皮・多肉質な中果皮・殻状の硬い内果皮がある)、核果は球形、色は殆ど黒色の暗紫色をしています。
セイヨウミズキの園芸品種
- ミッドウィンターファイヤー(cornus sanguinea ‘midwinter fire’)は、冬の季節に見られる黄色と赤橙色の2色の美しい茎の色が魅力的な園芸品種です。ミッドウィンターファイヤーは秋に葉が紅葉して落ちた後、茎だけが残り上部が赤橙色、下部が黄色となり、燃え上がる炎のような美しいシルエットをつくります。樹形は株立ち状、高さ約150(~200)cm、幅は約150(~200)cmに成長します。
- ウィンターファイヤー(cornus sanguinea ‘winter flame’)は、燃え上がる炎を連想させるような赤橙色と黄色の2色の茎の色が魅力的な園芸品種です。樹形は株立ち状、高さ約150(~250)cm、幅は約150(~250)cmに成長します。
- ウィンタービューティー(cornus sanguinea ‘winter beauty’)は、秋に橙色へと紅葉する美しい葉と、冬の間に見られる赤橙色と黄色の茎の美しいシルエットが魅力的な園芸品種です。樹形は株立ち状、高さ約150(~250)cm、幅は約150(~250)cmに成長します。
ミズキの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ミズキの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。ただし夏の強い日差しで葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)する事もあるため、環境に合わせて直射日光が6時間以上当たる日向、もしくは3時間から5時間の半日影で育てましょう。
土壌の土質
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)は通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。ただし夏の強い日差しで葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)する事もあるため、環境に合わせて直射日光が6時間以上当たる日向、もしくは3時間から5時間の半日影で育てましょう。
培養土
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)は一般的な培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)を地植えしている場合は基本的には降水のみで育てられます。雨が降らず極端に乾燥が続く場合は必要に応じて散水しましょう。
鉢植え
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)は適度に肥沃な土壌であれば多くの肥料は必要ありません。毎年一度、晩冬から早春の間に肥料と土質を改善する堆肥を与えましょう。
肥料の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
剪定のやり方
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)の茎は、新しい茎が最も美しい赤色になり、古い茎は色がくすんで生産性が落ちてきます。そのため、毎年もしくは数年ごとに剪定を行いましょう。
剪定する方法
- 剪定する時期は晩冬(1月~2月)に1回行いますが、剪定の頻度は毎年もしくは2年~3年に1度行います。
- 1年に1度の頻度で剪定する場合はコンパクトで整った樹形が保たれます。
- 2年~3年に1度の頻度で剪定する場合は高さやボリュームある樹形がつくれます。
- 剪定は株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きましょう。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 株全体のバランスを見ながら、色がくすんでいる古い茎を根元近くもしくは枝分かれさせたい場所の節(芽)の上で剪定しましょう。
- 古い茎は色がくすむため外観が悪くなります。また古い茎にエネルギーが送られ続けると生産性も落ちるため、剪定して新しい茎や健康な茎の成長を促しましょう。
夏越しする方法
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)は夏の暑さを苦手にしており、夏は生育が衰える傾向にあります。そのため必要に応じて夏越し対策が必要です。
夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、暑さと乾燥対策として、西日の当たらない半日影に移動するといいでしょう。
- 乾燥対策として地植えした株でも土の表面が乾燥してきたらしっかり水やりを行います。
- 鉢植えで育てている場合は、より乾燥が早いため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:4b~8a
コルヌス(ミッドウィンターファイヤー)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
セイヨウミズキは挿し木や取り木で増やす事ができます。
セイヨウミズキの挿し木の方法
- セイヨウミズキの挿し木時期は初冬から晩冬が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を利用しましょう。
- 長さ約10~20cmでカットします。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 培養土に幾つかの節を入れ深く挿します。
- 節の部分からも発根する。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
セイヨウミズキの種蒔の方法
播種時期:9月~11月・3月~4月
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
セイヨウミズキの病気
- うどんこ病
- 斑点病
- 炭素病
- すす病
セイヨウミズキの害虫