- 原産:南アメリカ
- 科:ノウゼンハレン(Tropaeolaceae)
- 属:ノウゼンハレン/トロパエオルム(Tropaeolum)
- 種:キンレンカ(Tropaeolum majus)
- 英名:ナスタチウム(nasturtium)
- 別名:キンレンカ/インディアンクレス(Indian cress)/ガーデン・ナスタチウム(garden nasturtium)
- 品種:マンボ(tropaeolum majus ‘Mambo’)
- 開花時期:4月~10月(7月に最も開花する)
- 花の色:赤色●黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:一年草/多年草(短命)
- 草丈:約150cm
- 誕生花:4月6日/5月11日
- 花言葉:勝利/愛国心/困難に打ち克つ
- 用途:開花期間長い/カラーリーフ/グランドカバー/壁面緑化
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ナスタチウム(マンボ)とは!?
ナスタチウム(マンボ)は、カスケード状に広がる習慣があり、赤色もしくは薄い黄色の花を咲かせる園芸品種です。草姿はツル性、長さ約150cmまで成長します。
ナスタチウムとは!?
ナスタチウムは学名Tropaeolum majus、一般にナスタチウムと言うとこの種をさしており、別名では「キンレンカ」や「インディアンクレス(Indian cress)」とも呼ばれる南アメリカが原産の一年草または短命の多年草です。
ナスタチウムの語源(由来)
- 属名のTropaeolumは古代ギリシャ語で「勝利」「トロフィー」を意味する「τρόπαιον(trópaion)」からきています。
- 種小名のmajusはラテン語で「より大きい」を意味しています。
ナスタチウムの特徴(魅力)
- ナスタチウムは、葉の形が「蓮の葉」のように丸く可愛らしい外観をしており、「蓮の葉」と同様にロータス効果があり水が葉に乗るとコロコロと弾きます。また橙色や黄色の明るい花色はトロピカルな印象を与える事はもちろん、夕暮れ時になると発光しているように見えることがあると言われており、この現象をエリザベス・リンネ現象と呼びます。
- 草姿はツル性、 茎は基本的に自立することなく匍匐するようにして地面を広がり、壁面を垂れ下がったり、逆に柵をよじ登る事もあります。
- ナスタチウムはカスケード状に垂れ下がる優雅な草姿を鑑賞する目的で、鉢植えやハンギングバスケットなどに植えられられたり、壁面の上等に植えられる事が多いです。
- ナスタチウムは壁面を登る事もある事から、トレリス等を準備して、軽く誘引しながら壁面緑化植物として利用される事もあります。
- 開花期は4月~10月、7月に最も沢山の花をつける傾向にあり、葉腋から長い花柄を伸ばして1個の花をつけます。
- 花は直径約2~6cm、形は5個の花弁が平開して、後ろ側に管上に伸びる距があります。
- 花色は赤色・橙色・黄色と非常に色鮮やかで明るくトロピカルな雰囲気をつくり、また夕暮れ時に「閃光」を放つように輝いて見える事があります。この発光するように見える現象はエリザベス・リンネ現象と呼ばれます。
- エリザベス・リンネ現象とは、二名法を作った事で知られる植物学者のカール・リンネの娘、エリザベス・リンネが発見した現象です。現象はナスタチウムが夕暮れ時になると、稲妻が走ったように発光しているように見える所からきています。かつては、その発光現象から電気が関係していると見られていましたが、現在は橙色の花色と葉の緑色のコントラストが引き起こす目の錯覚と考えられています。
- 葉の形は盾形と呼ばれる形をしており、盾形は葉の中央付近に葉柄があり、また葉は丸いため「蓮の葉」を連想させる外観をしています。
- 葉は水をコロコロと弾くロータス効果があるため自浄作用をもちます。ロータス効果により葉に落ちた水滴は零れるため、その際に泥や小さな虫を巻き込み落とし、葉を綺麗に保つことが出来ます。
- 葉はふつう緑色ですが、幾つかの品種では葉に白色(薄い黄色)の班が入るため、品種を選べば明るい印象を与えるカラーリーフとして楽しむ事も出来ます。
- ナスタチウムには鑑賞用と食味の良い食用ナスタチウムがあり、食用ナスタチウムは地上部の茎・葉・花・果実の全てが食用になります。
- ナスタチウムは「クレソン」や「胡椒」に似たピリッとしたスパイシーな風味があり、花や葉はサラダや炒め物に入れられてよく食べられています。
- ナスタチウムは冬の寒さに非常に弱く、また一年草または短命の多年草のため、基本的に冬越しさせることなく一年草として育てられます。
ナスタチウムの草姿はツル性、茎の長さ約240cm、茎の色は緑色もしくは赤みを帯びます。
葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉柄は長さ約5(~15)cm、葉身の長さ約3(~15)cm、葉身の形は盾形をしています。※葉脈(主脈)は9個あり中央から外側へと放射状に広がります。
花序は腋花、花の直径約2(~6)cm、花弁は5個、距は長さ約2(~3.5)cm、花色は黄色・橙色・赤色・紫色・白色、雄蕊は8個あります。
果実は分離果(1個の雌蕊が複数の子房を持っており、熟すと各心皮が離れて縦に割れて、各部が分離します。分離した果実は分果と呼ばれます)、分離果は3個の分果に分かれ、大きさは直径約3cm、色は緑色からやや赤みを帯びます。
ナスタチウムの園芸品種の紹介
- トールクライミングは、エディブルフラワーまたは食草として利用されるナスタチウムの園芸品種です。花や葉はクレソンを思わせるような「ピリッ」とした風味があり、サラダや炒め物などに利用されています。基本的に種はミックスのため、花の色は赤色・橙色・黄色のどれかです。草姿はツル性、長さ約180cmに成長します。
- インドの皇后(Tropaeolum majus ‘empress of india’)は、口紅の色を連想させるような上品な紅色の花色と、丸く可愛らしい印象を与える緑色の葉とのコントラストが美しい園芸品種です。花や葉は食用としても利用されており、サラダや炒め物などして食べられたりします。草姿はツル性質、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- アフリカン・クイーン(tropaeolum majus ‘African Queen’)は、葉全体に飛沫のような黄色の班(散班)が入るため、明るい印象を与えるカラーリーフとしても楽しめる園芸品種です。基本的に種はミックスのため、花の色は赤色・橙色・黄色のどれかが咲きます。草姿はつる性、長さ約150cmまで成長します。
- ジュエル ピーチ メルバ(Tropaeolum majus ‘Jewel Peach Melba’)は、花の色が薄い黄色と橙色の2色からなり、赤く染まる頬を連想させるような可愛らしい花色が魅力の園芸品種です。花は花弁が5個、花の色は薄い黄色で花弁の芯部分に橙色の小さな班があります。草姿はツル性、長さ約240cmまで成長します。
- カメレオン(Tropaeolum majus ‘Chameleon’)は、花弁の基部に「王冠」や「飛沫」を思わせる様な濃い赤色の班が入り、薄い黄色と赤色の2色の花色が個性的な雰囲気をつくる園芸品種です。草姿はツル性質、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- チップトップ(tropaeolum majus ‘tip top’)は、成長が早いため育てやすく、花や葉は「ピリッ」とした風味のある食草としてサラダや炒め物に利用される園芸品種です。種はミックスもしくは赤色・橙色・黄色の花色ごとに分けられています。草姿はツル性、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- レッドトロイカ(tropaeolum majus ‘Red Troika’)は、葉の全体に飛沫のようなクリーム色の班が入るため、明るい印象を与えるカラーリーフにもなり、また花色が驚く程に色鮮やかな赤色をしているため、華やかで情熱的な雰囲気をつくる園芸品種です。草姿はツル性、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- サーモン・ベビー(tropaeolum majus ‘Salmon baby’)は、花が一重咲きもしくは半八重咲きに咲く花姿をしており、また花弁が波打つためフリルドレスのような華やかな印象を与える園芸品種です。花色は薄い橙色(サーモンピンク)をしており、薄い橙色の花色は「ピーチ(桃)」や「マカロン」等の甘い果物やお菓子を連想させるため、可愛らしいロマンチックなお庭などにオススメです。草姿はツル性、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- マンボ(tropaeolum majus ‘Mambo’)は、カスケード状に広がる習慣があり、赤色もしくは薄い黄色の花を咲かせる園芸品種です。草姿はツル性、長さ約150cmまで成長します。
- パープルエンペラー(tropaeolum majus ‘purple emperor’)は、ナスタチウムでは珍しい紫色の花を咲かせる園芸品種です。花色は濃い紫色から始まり、徐々に薄い紫色へとフェードアウトしていきます。草姿はツル性でカスケード状に広がる傾向があり、長さ約200cmまで成長します。
- ゴールデン・ジュエル(tropaeolum majus ‘golden Jewel’)は、花弁がフリルドレスのように波打つ形をしており、また八重咲きするため豪華な印象を与える花姿をつくります。色鮮やかな黄色の花色は、明るく開放的な印象を与えたり、レモンのような爽やかな印象を与えたりします。そのため気分が向上する様な爽やかで明るいお庭や、様々な花色を組み合わせたカラフルなお庭などにおすすめです。草姿はツル性、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
- アラスカ(tropaeolum majus ‘alaska’)は、葉全体に飛沫のようなクリーム色の班(散班)が入るため、明るい印象を与えるカラーリーフとしても楽しめる園芸品種です。基本的に種はミックスのため、花の色は赤色・橙色・黄色のどれかです。草姿はツル性、高さ幅共に約30~45cmに成長します。
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ノウゼンハレンの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ナスタチウム(マンボ)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ナスタチウム(マンボ)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こす事があります。
そのため管理する場所は環境に合わせて日向(直射日光が6時間以上)もしくは半日影(直射日光3時間~5時間)で育てましょう。
土壌の土質
ナスタチウム(マンボ)は幅広い土壌で育てる事が出来ますが、水分が停滞するようなジメジメした土壌を嫌い、また有機物が多い肥沃過ぎる土壌も葉ばかりが茂り花数が減ったり寿命を短くしたりする傾向にあります。そのため、通気性がよく、適度に腐葉土等が入った土壌に植えて上げましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ナスタチウム(マンボ)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こす事があります。そのため管理する場所は環境に合わせて日向(直射日光が6時間以上)もしくは半日影(直射日光3時間~5時間)で育てましょう。
培養土
ナスタチウム(マンボ)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
ナスタチウム(マンボ)は浸水したり水分が停滞する様なジメジメした環境を嫌いますが、逆に土壌が乾燥して水が少なくなると花の生産が停滞して花数を減らす事になります。そのため定期的に水やりを行い、やや湿り気のある土壌に保つようにしましょう。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
肥料の与え方
ナスタチウム(マンボ)は栄養が多い土壌で育てると、葉が茂り花の数が少なくなる傾向にあり、また短命になりやすいです。そのため極端に栄養の少ない土壌で育てる場合を除いて基本的に肥料は必要ありません。
基本的に植え付け時に栄養を含む堆肥を入れる事で十分ですが、鉢植えで育てる場合は栄養が足りなくなる事もあります。その場合は、植え付け時に1度だけ緩効性肥料を入れておきましょう。追肥は不要です。
剪定のやり方
ナスタチウム(マンボ)の剪定は「花がら摘み」と「逸出した茎の剪定」の2つです。
花がら摘みとは!?
花がら摘みの目的は、萎れた花を摘みとる事で種の生産を防ぎ余計なエネルギーを使わせない事にあります。余計なエネルギーを使わせない事によって、株の老化(弱体)を防いだり、花の生産が止まる事を防ぎ開花期間を延長する事に繋がったり、花数を増やす事に繋がったりします。
花がら摘みのやり方は、個々の萎れた花を指もしくはハサミを使い取り除くだけです。
逸出した茎の剪定とは!?
逸出した茎とは、間違った方向に伸びた茎の事をさしており、外観を崩したり、歩行者の邪魔になったり、入るべき場所じゃない所に侵入して撤去が難しくなる可能性がある茎です。
逸出した茎の剪定は、邪魔になっている茎を、枝分かれしている根元から剪定するか、枝分かれさせたい部分の芽の上で剪定しましょう。
夏越しする方法
ナスタチウム(マンボ)は、夏の過度に暑い環境や極度の乾燥を苦手にしています。そのため長く花を楽しむ為にも必要に応じて夏越し対策が必要です。
夏越し対策
- 西日の当たる環境は【強い暑さ・強い日差し・乾燥】などの複合的なストレスがかかり、茎葉が枯れたり萎れたりして株が弱りやすくなるため避けた方が良いでしょう。※ただし日光が沢山当たる程に花はたくさん咲きます。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 地植えであれば西日の当たらない場所に植えたり遮光ネットを利用したりしましょう。
- 乾燥を苦手にしていることから土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行います。
- 特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です
冬越しする方法
Hardiness:
ナスタチウム(マンボ)は寒さに非常に弱く、一年草または短命の多年草のため、基本的に冬越しさせることなく一年草として扱われます。
挿し木や株分けで増やす
ナスタチウムは挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- ナスタチウムの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約5~7cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を1~2個残します。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ナスタチウムの種蒔の方法
播種時期:3月~4月(暖地)・5月~6月(寒冷地)
発芽適温:約20日
発芽日数:約7日
発芽条件:嫌光性種子
ナスタチウムの種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種は嫌光性種子のため光があると発芽しません。そのため種の上に1cm程度の土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
ナスタチウムの病気
- 斑点細菌病
- 斑点病
- 青枯れ病
ナスタチウムの害虫
- ハダニ
- ハモグリバエ