- 原産:ニュージーランド
- 科:タデ(Polygonaceae)
- 属:ミューレンベッキア(Muehlenbeckia)
- 種:コンプレクサ(Muehlenbeckia complexa)
- 別名:ワイヤープランツ/エンジェル・バイン(angel vine)/ワイヤーバイン(wire vine)/ミューレンベッキア/ポーフェフェ(pōhuehue)/メイデンヘアー・バイン(maidenhair vine)/レーシーワイヤー・バイン(lacy wire vine)
- 品種:スペード(muehlenbeckia complexa ‘spade)
- 開花時期:6月~7月
- 花の色:緑色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 分類:落葉ツル性木本/落葉低木
- 長さ:約100~500cm
- 誕生花:
- 花言葉:憧れ/純愛
- 用途:カラーリーフ/グランドカバー/壁面緑化/日陰植物
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ワイヤープランツ(スペード)とは!?
ワイヤープランツ(スペード)は、トランプのスペードを思わせるような個性的な外観の葉の形が特徴の園芸品種です。葉はふち部分に深い切れ込みが入り、大きな裂片1個と小さな裂片2個があり、葉色は緑色です。
ミューレンベッキア(コンプレクサ)とは!?
ミューレンベッキア(コンプレクサ)は学名Muehlenbeckia complexa、一般的には近縁のアキシラリス種(M. axillaris)と同様に「ワイヤープランツ」として流通しており、別名では「エンジェル・バイン(angel vine)」や「メイデンヘアー・バイン(maidenhair vine)」とも呼ばれるニュージーランド原産の落葉ツル性木本または落葉低木です。
ミューレンベッキア(コンプレクサ)の語源(由来)
- 属名のMuehlenbeckiaはフランス人医師で植物収集家のミューレンベック(Heinrich Gustav Mühlenbeck)への献名です。
- 種小名のcomplexaはラテン語で「囲む」「複雑な」等を意味しており、複雑に絡み合う茎の姿に由来します。
ミューレンベッキア(コンプレクサ)の特徴(魅力)
- ミューレンベッキア(コンプレクサ)は、一般的に「ワイヤープランツ」として流通しており、近縁のアキシラリス種と比べて、コンプレクサ種は葉のサイズが大きくて節間が長い所が特徴です。
- ワイヤープランツと呼ばれる事からも分かる通り、茎はワイヤー(針金)を想像させるような外観をしており、丸く可愛らしい外観の葉が魅力的な植物です。
- 樹形はツル性または匍匐性、茎は枝分かれがよく複雑に絡み合う事で弾力とボリュームのあるグランドカバーを作り、また植物や構造物に茎を絡める事で自らの体を支え、ツル植物として上に登ることもあります。
- 茎は細くて不規則に曲がり、また茎の色が赤褐色をしている事から、茎は一般的に「針金」に例えられます。
- 葉の形は「円形」「腎形(丸みのあるハート形)」「楕円形」をしており、長さ約0.5(~2)cm、幅は約0.2(~1.5)cmと小ぶりなため可愛らしい印象を与えます。
- ワイヤープランツの名前で呼ばれる近縁のアキシラリス種は葉の大きさが1cm未満と小さく、また節間が短く詰まった印象を与えるため、葉が大きめで節間が広く疎らな印象を与えるコンプレクサ種と比較する事が出来ます。
- 葉の色はふつう緑色でふち部分が赤くなっています。
- ミューレンベッキア(コンプレクサ)の仕立て方には「被覆植物(グランドカバー)」「ツル植物」「ハンギングバスケット」「トピアリー」等があり様々な方法で楽しむ事が出来ます。
- 被覆植物(グランドカバー)とは、地表面を覆い隠す目的で使われる植物です。ワイヤープランツの茎は基本的に立ち上がらずに横へと広がる傾向があり、また茎は複雑に絡み合う事で地表面を密に覆い、また茎は硬めなためクッションのような弾力のある地被植物となります。
- ツル植物とは他の植物や構造物に自らの茎を固定して登る植物です。ワイヤープランツの茎は不規則に曲がったり枝分かれする事で、他の植物や構造物に絡み壁を登る事が出来ます。ワイヤープランツが、ツル植物として利用される事は少ないですが、ツル植物として利用してみるのも面白いかもしれません。
- トピアリー仕立てとは、植物を幾何学模様や動物などの形に形成して楽しむ方法です。
- ワイヤープランツでトピアリーを楽しむ場合はトピアリーフレームと呼ばれる金属の枠や木製の枠等を利用します。トピアリーフレームを育てている植物の上に置いて、ワイヤープランツの長いツル性の茎を枠に沿って誘引して、巻き付けながら固定してあげるとよいでしょう。
- ハンギングバスケットや鉢植え等にワイヤープランツを植えると、ツル性の茎が鉢の側面を覆うナチュラルな樹形を楽しむ事が出来ます。
- ミューレンベッキア(コンプレクサ)は茎を曲げたり巻き付けたりと形成しやすく、また葉が小さく控えめな印象を与えながら、ボリュームを出してくれるため、フラワーアレンジメントの素材としても重宝されます。
- ミューレンベッキア(コンプレクサ)は耐陰性が強いため屋内の観葉植物として育てられたりシェードガーデンに利用されたりします。
ミューレンベッキア(コンプレクサ)の樹形はツル性または匍匐性、茎の長さは約100(~500)cm、茎の色は淡褐色または赤褐色、茎は枝分かれがよく複雑に絡みクッションを形成します。
葉序は互生葉序、葉色は緑色でふち部分のみ赤色、葉柄は長さ約0.5(~1)cm、葉身の長さ約0.5(~2)cm、幅は約0.2(~1.5)cm、葉身の形は円形または腎形(基部が凹み先端が丸い)か楕円形をしています。
花序は穂状花序、穂状花序は長さ約2cm、数個の花が集まり、腋性または頂生に付きます。花は直径が約0.2(~0.3)cm、花被片は5個、花被片は基部で合着して平開しており、雄蕊は8個あります。
果実は痩果(果実は成熟すると乾燥して裂開せず、中に1個の種子を包みます)、痩果は楕円形、長さ約0.2(~0.3)cm、色は暗褐色です。
ミューレンベッキア(コンプレクサ)の園芸品種の紹介
- スポットライト(Muehlenbeckia complexa ‘Spotlight’)は、ひとつの葉の中に桃色・白色(薄い黄色)・緑色の3色の葉色がマーブル模様のように入り交じるため、可愛らしい印象を与えるカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。ただし、スポットライトは班があまり安定しておらず、水切れや暑さ等のストレスで班が消えやすいです。そのため班が消えないように丁寧に管理してあげる事が大切でしょう。
- ゴールデンガール(muehlenbeckia complexa ‘golden girl’)は、新芽や若葉を中心に葉全体が黄色の葉色となるため、明るく開放的な印象を与えるカラーリーフとして楽しめる円形品種です。
- スペード(muehlenbeckia complexa ‘spade)は、トランプのスペードを思わせるような個性的な外観の葉の形が特徴の園芸品種です。葉はふち部分に深い切れ込みが入り、大きな裂片1個と小さな裂片2個があり、葉色は緑色です。
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ワイヤープランツ(ミューレンベッキア)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ワイヤープランツ(スペード)の育て方
花壇の土づくり
日当り
ワイヤープランツ(スペード)は、日光がよく当たる日向から、明るい日影まで幅広い環境で育てられます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こす事があり、また逆に日当たりの悪い環境では葉の数が減ったり生育が遅くなる可能性があります。そのため西日の当たらない半日影で育てる事が理想です。
土壌の土質
ワイヤープランツ(スペード)は基本的に水はけの良い土壌を好みます。水分が停滞するようなジメジメした土壌では生育不良を引き起こしたり根腐れする事もあるため避けた方が良いでしょう。植え付けの前に土壌診断を行い、通気性がよく適度に腐葉土等が入った土壌改良しましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ワイヤープランツ(スペード)は、日光がよく当たる日向から、明るい日影まで幅広い環境で育てられます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こす事があり、また逆に日当たりの悪い環境では葉の数が減ったり生育が遅くなる可能性があります。そのため西日の当たらない半日影で育てる事が理想です。
培養土
ワイヤープランツ(スペード)は培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+ピートモス(PH調整済)=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
ワイヤープランツ(スペード)は、土壌が乾燥して水不足になると、葉が褐色に変色して1部が壊死してしまったり、そのまま枯れて落葉してしまい、葉の数が減ってしまう事があります。
ワイヤープランツ(スペード)は軽い乾燥であれば、葉を落としながらも乾燥に耐える事ができますが、基本的にはやや湿り気のある土壌を好みます。そのため、土の表面(数cm)が乾いてきたら水やりをしっかり行うようにしましょう。
また鉢植えで育てている場合は、植え替えを行わないと、鉢の中に根が回ってしまい、土壌の保水性が落ちて乾きやすくなってしまいます。そのため2年に1回は植え替えを行い、土壌の保水性を保つ事も大切です。
肥料の与え方
ワイヤープランツ(スペード)はある程度肥沃な土壌で育てている場合は肥料が無くても育てられます。ただし茎葉をしっかり成長させたい場合は定期的に肥料を与えましょう。肥料は植え付け時に元肥を入れて、生育期間中(春・夏・秋)も定期的に追肥を与えます。
元肥の与え方
- 元肥は苗の植え付け時に与える肥料の事です。
- 肥料は肥効が長く続く緩効性肥料を選び、成分は水平型肥料(成分が均一)を選びましょう。
- 元肥の与え方は土壌に均一に混ぜこむ全面施肥で行ます。
追肥の与え方
- 追肥は春から秋の生育期間中に与えます。
- 追肥は窒素成分が多めの液肥、もしくは肥効が長く続く固形肥料を選びましょう。
- 化成肥料や緩効性肥料などの固形肥料を与える場合は、袋に規定された量を約1~3ヶ月ごとに施します。
- 液体肥料で与える場合は、規定された分量で希釈して約14日に1回のペースで水やりの際に一緒に液肥を与えるとよいでしょう。
剪定のやり方
ワイヤープランツ(スペード)は剪定をせずに育てる事も出来ます。ただし剪定しないと、茎が奔放に伸びて外観を崩してしまったり、範囲を逸出して歩道に茎が飛びてて邪魔になったりします。また剪定する事でコンパクトな樹形を保ち管理しやすくなったりもします。そのため、必要に応じて剪定を行いましょう。
- ワイヤープランツ(スペード)の剪定時期
- 剪定時期は春から秋の生育期間中であれば何時でも行えます。ただし早春から春が最も剪定に適した時期になります。
- 何故なら早春から春に剪定しても、春から強く成長するため素早い回復が見込めるからです。また夏から秋も剪定出来ますが、回復力は春に比べると劣るため、剪定する場合も軽い剪定に留めておいた方が良いでしょう。
- 剪定時期は春から秋の生育期間中であれば何時でも行えます。ただし早春から春が最も剪定に適した時期になります。
- ワイヤープランツ(スペード)の剪定のやり方
- コンパクトな株のまま管理したい場合は、毎年早春の時期に株の半分程度を目安にしてバッサリと切り戻し剪定を行いましょう。
- 早春に切り戻し剪定を行う事で、株の大きさを制御出来るとともに、生産性の低い古い茎が取り除かれて、生産性の高い新しい成長が促される事にも繋がり、また枝分かれが促進されるためふさふさした外観の樹形をつくる事にも繋がります。
- 見た目を悪くしている茎だけを取り除きたい場合は、春から秋の生育期間中であれば何時でも行えます。外観を崩したり、歩行者のじゃまになったり、入るべき場所じゃない所に侵入している茎を、必要に応じて、茎の根元から剪定するか枝分かれさせたい部分の芽の上で剪定すると良いでしょう。
- コンパクトな株のまま管理したい場合は、毎年早春の時期に株の半分程度を目安にしてバッサリと切り戻し剪定を行いましょう。
冬越しする方法
Hardiness:7b~10a
ワイヤープランツ(スペード)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。ただし極端に寒さが厳しい地域では、屋外での越冬は厳しいため、必要に応じて屋内や温室などで管理しましょう。
挿し木や株分けで増やす
ミューレンベッキア(コンプレクサ)は挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- ミューレンベッキア(コンプレクサ)の挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
株分け手順
- ミューレンベッキア(コンプレクサ)の株分け時期は早春もしくは秋が最適です。
- 株全体を観察して、茎の節から不定根が伸び、土の中に根が定着している部分を探しましょう。
- 不定根が定着している部分を見つけたら、ある程度の茎と葉を残して、親株と切り離します。
- 切り離した子株を土の中から掘りあげて、目的の場所に植え直します。
- 水をたくさん与えたら株分けの終了です。