- 原産:中国/朝鮮/シベリア
- 科:キク(Asteraceae)
- 属:シオン/アスター(Aster)
- 種:シオン(Aster tataricus)
- 別名:オニノシコグサ(鬼の醜草)/ジュウゴヤソウ(十五夜草)/アスター・タタリカス/オモイグサ(思い草)/Tatarinow’s aster
- 品種:ジンダイ(aster tataricus ‘jindai’)
- 開花時期:8月~10月
- 花の色:紫色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 草丈:約100cm
- 誕生花:9月9日/9月28日/10月7日/10月16日
- 花言葉:追想/思い出/君を忘れない/遠方にある人を思う
- 用途:背の高い植物/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
シオン(ジンダイ)とは!?
シオン(ジンダイ)は、一般的なシオンと比べて、背が低く高さ100cmほどにしかならない矮性品種です。花は頭花が円錐状に並び、花の色は紫色です。
シオン(十五夜草)とは!?
シオン(十五夜草)は学名Aster tataricus、別名では「オニノシコグサ(鬼の醜草)」や「オモイグサ(思い草)」とも呼ばれる中国および朝鮮、シベリアが原産の多年草です。日本にも本州・九州に分布しており、山地などに自生しています。
シオン(十五夜草)の語源(由来)
- 属名のAsterは古代ギリシア語で「星」を意味する「ἀστήρ」からきており、星の形を連想させる花の形に由来します。
- 種小名のtataricusは中央アジアにある古い地名の「Tartay」に由来します。
- シオンの由来は漢名の「紫菀」からきています。
シオン(十五夜草)の特徴(魅力)
- シオン(十五夜草)は、高さが最大200cmと非常に背が高くなり、茎がほとんど分枝すること無く真っ直ぐ上に伸びる草姿が特徴です。また花は小さな頭花が円錐状に並び咲くため非常にボリュームがあり、切り花としても楽しめます。
- シオン(十五夜草)は地面下にある根茎で広がり、根茎から多数の茎を出すため群生するような草姿をつくります。
- 根茎は去痰などの効果のある生薬として利用される事もあり、生薬名は「紫苑」と呼ばれます。
- 開花時期は晩夏から秋、キク科でよく見られる頭花を円錐状に多数つけるため、非常にボリュームある花穂をつくります。
- ただし1個1個の頭花は直径が約2.5~3.5cmと小さめです。
- 花は蝶々や花蜂の蜜源にもなるため開花期になると、花の周りを優雅に飛ぶ蝶々の姿や、花に乗って蜜を集める可愛らしい蜜蜂の姿を観察できるかもしれません。
- 花は切り花や茶花としても親しまれており、管理の仕方などにも左右されますが花瓶の中で約7日の日持ちがあります。
シオン(十五夜草)の草丈は約150(~200)cm、根茎があり、草姿は直立、茎は上部で分枝、分枝した茎は斜上に伸びる、茎の色は緑色また赤みを帯び、茎は触るとざらつきます。
葉序は根生葉(基部に付いた葉)または互生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身の形は楕円形(~狭楕円形)またはヘラ形か卵形、葉のふち部に鋸歯があり、葉は触るとざらつきます。
花序は頭状円錐花序、頭状円錐花序は円錐状に頭花が多数集まります。頭花は直径約2.5(~3.5)cm、中央に筒状花、外側に舌状花が1列に並び、花の色は筒状花が黄色、舌状花は紫色または青色です。
果実は痩果(果実は成熟すると乾燥して裂開せず、中に1個の種子を包みます)、痩果の形は楕円形、種子に冠毛があります。
シオン(十五夜草)の切り花の楽しみ方
- 切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 茎に付いた葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて全て取り外しましょう。
- 水揚げは水切りもしくは湯揚げを行います。
- 花瓶に水と延命剤を入れて花を生けましょう。
- 延命剤の効果は高く日持ちが長くなります。
- 管理は必要に応じて数日ごとに切り戻しと水換えを行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが約7日です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
シオン(十五夜草)の園芸品種の紹介
アスター(シオン)属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
シオン(ジンダイ)の育て方
花壇の土づくり
日当り
シオン(ジンダイ)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こす事があります。そのため管理する場所は環境に合わせて日向(直射日光が6時間以上)もしくは半日影(直射日光3時間~5時間)で育てましょう。
土壌の土質
シオン(ジンダイ)は基本的に水はけの良い土壌を好みます。水分が停滞するようなジメジメした土壌では生育不良を引き起こしたり根腐れする事もあるため避けた方が良いでしょう。植え付けの前に土壌診断を行い、通気性がよく、しっかり腐葉土等が入った肥沃な土壌に改良しましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
シオン(ジンダイ)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こす事があります。そのため管理する場所は環境に合わせて日向(直射日光が6時間以上)もしくは半日影(直射日光3時間~5時間)で育てましょう。
培養土
シオン(ジンダイ)は培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+ピートモス(PH調整済)=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
水やりのやり方
シオン(ジンダイ)は、浸水したり水分が停滞する様なジメジメした環境を嫌いますが、やや湿り気のある土壌を好みます。そのため定期的に水やりを行い、やや湿り気のある土壌に保つようにしましょう。水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
肥料の与え方
シオン(ジンダイ)はある程度肥沃な土壌で育てている場合は肥料が無くても育てられます。ただし栄養の乏しい土壌や鉢植えで育ている場合は毎年早春に肥料を与えるようにしましょう。また鉢植えの場合は根が回りやすいため毎年植え替えと必要に応じて株分けも行った方がよいでしょう。
肥料と堆肥の与え方
- 晩冬から早春に与える肥料
- 肥効が長く緩やかに効き土壌改善効果もある有機肥料(配合肥料)または必要な栄養成分がしっかりはいっており非常に肥効が長く続く緩効性肥料を選びましょう。
- 肥料の成分は山型肥料(リン成分が多く入る)または水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 肥料の与え方
- 有機肥料を与える場合は、土に剥き出しにすると分解が遅くなったり、虫が寄ってくる事もあるため、基本は土の中に埋めます。株元から少し離れた場所(枝先の下に新しい根があり肥料の吸収効率が最も良い)に穴を掘り肥料を埋めましょう。※地面にそのまま置き肥する場合もあります。
- 緩効性肥料の場合も株元から少し離れた場所に置き肥します。置き肥とは地面に埋めずにそのまま地面の上に置く肥料です。
- 堆肥の与え方(鉢植えは植え替え)
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 地植えの場合は初冬から早春に株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を入れましょう。
- 鉢植えの場合は、植え替えを行います。鉢から株を取り出して、風雨で劣化した古い土を軽く落とし、長い根や腐った根も軽く切り詰めます。株が大きい場合は株分けもしましょう。土は新しい物を使うか、古い土を再利用する場合は2~5割ほど新しい土を混ぜます。鉢の中に新しい土と株を植え直したら完成です。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
剪定のやり方
シオン(ジンダイ)の剪定は花がら摘みのみ行います。
花がら摘みとは!?
花がら摘みの目的は、萎れた花を摘みとる事で種の生産を防ぎ余計なエネルギーを使わせない事にあります。余計なエネルギーを使わせない事によって、株の老化(弱体)を防いだり、花の生産が止まる事を防ぎ開花期間を延長する事に繋がったり、花数を増やす事に繋がったりします。
花がら摘みのやり方は、個々の萎れた花をハサミを使い取り除く、または花茎にある花が全体的に終わったら花茎の下からハサミを使い取り除きます。
夏越しする方法
シオン(ジンダイ)は、夏の暑さに耐える事が出来ますが、強い日差しや乾燥により生育不良を引き起こす事があります。そのため必要に応じて夏越し対策を行いましょう。
シオン(ジンダイ)の夏越し対策
- 西日の当たる環境は【強い暑さ・強い日差し・乾燥】などの複合的なストレスがかかり、茎葉が枯れたり萎れたりして株が弱りやすくなるため避けた方が良いでしょう。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 地植えであれば西日の当たらない場所に植えたり遮光ネットを利用したりしましょう。
- 乾燥を苦手にしていることから土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行います。
- 特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
挿し木や株分けで増やす
シオン(十五夜草)は挿し木や株分けによって増やす事ができます。
挿し木の方法
- シオン(十五夜草)の挿し木時期は晩春頃が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
株分けの方法
- 株分け時期は早春もしくは秋が最適です。
- 株を掘りあげます。
- 土を軽く落として根茎の広がりと芽・茎の位置を確認します。
- 根茎に茎を何本か残すように根茎を切り分けましょう。
- 切り離した株を新しい鉢植えまたは植えたい場所に地植えします。
- 植え直した株に水をたくさん与えたら株分けの終了です。