- 原産:南ヨーロッパ
- 科:バラ(Rosaceae)
- 属:ハゴロモグサ/アルケミラ(Alchemilla)
- 種:モリス(Alchemilla mollis)
- 別名:ガーデンレディースマントル(garden lady’s-mantle)/レディースマントル(lady’s-mantle)
- 開花時期:5月~7月
- 花の色:黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 被覆方法:地下茎
- 草丈:約30~45cm
- 誕生花:5月7日/10月24日
- 花言葉:輝き/初恋/献身的な愛
- 用途:グランドカバー/日陰植物/ナチュラルガーデン
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アルケミラモリスとは!?
アルケミラモリスは学名Alchemilla mollis、別名では「ガーデンレディースマントル(garden lady’s-mantle)」や「レディースマントル(lady’s-mantle)」とも呼ばれる南ヨーロッパが原産の多年草です。
アルケミラモリスの語源(由来)
- 属名のAlchemillaは、ラテン語で「錬金術」を意味する「alchemia」からきており、中世の錬金術師が、この植物の葉に溜まる水を利用して、卑金属を金に変える目的で利用していた事からきています。
- 種小名のmollisは、ラテン語で「柔らかい」を意味しており、葉の毛に由来します。
アルケミラモリスの特徴(魅力)
- アルケミラモリスは、葉全体が白色の毛で覆われており、白色の毛は降雨の後に沢山の水玉を保持する事から装飾的な外観をつくります。また、葉の上に保持される水玉は「ダイヤ」「水銀」などに例えられ、以前は卑金属を金に変換するために錬金術師が用いていました。
- 園芸では、ふんわりと盛り上がり地面を覆う外観から、主に地被植物として利用されています。
- アルケミラモリスは地面下にある根茎でゆっくり広がり、茎や葉を出して地面を覆い、高さ約30~45cm、幅は約50~100cmに成長します。
- 花序は複散房花序、小さな花が半球状または円錐状に沢山集まるため、非常にボリュームのある花姿を作ります。
- 葉の形は腎形、腎形は葉の先端が丸く基部が凹んでおり、丸みを帯びた可愛らしい外観をしています。
- 葉は全体的に白色の毛が密生しているため、白緑色の柔らかな印象を与える外観をしています。
- 白色の毛は水分を保持する能力があるため、降雨の後は沢山の水玉が葉の上に残ります。中世の錬金術師はこの水玉を使って卑金属を金に変えていたと言われており、そのため錬金術師はこの植物を大切に扱っていました。
- 葉はふち部分がフリル状に波打つ傾向にあるため優雅な雰囲気をつくっており、また波状縁があり裂片が7~11個あります。
- 葉は全体的に白色の毛が密生しているため、白緑色の柔らかな印象を与える外観をしています。
- アルケミラモリスは、根茎で緩やかに広がり、ドーム状の外観をした地被植物になります。
- また円形の葉の形が可愛らしく、白色の毛が柔らかな質感をつくるため、優しい印象を与えるお庭や、ナチュラルガーデンなどにおすすめの地被植物です。
- ただし冬になると地上部が枯れるため、冬の間は地面が剥き出しになります。
- アルケミラモリスは耐陰性がある事から、日陰植物(シェードガーデン)として利用される事もあります。
アルケミラモリスの草丈は約30(~45)cm、横幅は約50(~100)cm、根茎は太く地面を這い、草姿は直立、茎の色は緑色、茎には柔らかな白色の毛が密に生えます。
葉序は根生葉(基部に付いた葉)または互生葉序、葉色は緑色、葉身の直径は約10(~14)cm、葉身の形は腎形(先端に丸みがあり基部が凹む)、葉のふち部分には波状縁があり裂片が7(~11)個、葉全体に白色の毛が密生します。※茎葉の托葉は葉と結合するため円形の葉のように見える事がある。
花序は複散房花序、複散房花序は半球状または円錐状に花が多数集まります。花は花弁が5個、花弁の色は黄色です。
アルケミラモリスの園芸品種の紹介
- スリラー(alchemilla mollis ‘thriller’)は、一般的なアルケミラモリスよりも多花性のため、開花期には株を覆うように咲く沢山の花を楽しめる園芸品種です。
- アウスレーゼ(alchemilla mollis ‘auslese’)は、一般的なアルケミラモリスよりも遥かに大きくなり豪華な雰囲気の草姿をつくる園芸品種です。
ハゴロモグサ(アルケミラ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アルケミラモリスの育て方
花壇の土づくり
日当り
アルケミラモリスは、日光がよく当たる日向から、明るい日影まで幅広い環境で育てられます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こしやすくなります。そのため直射日光が3~5時間程度当たる半日影で育てるのが理想です。
土壌の土質
アルケミラモリスは、幅広い土壌で育てる事が出来ます。ただし水分が停滞するようなジメジメした土壌では生育不良を引き起こしたり根腐れする事もあるため避けた方が良いでしょう。植え付けの前に土壌診断を行い、通気性がよく適度に腐葉土等が入った土壌に改良しましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
アルケミラモリスは、日光がよく当たる日向から、明るい日影まで幅広い環境で育てられます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こしやすくなります。そのため直射日光が3~5時間程度当たる半日影で育てるのが理想です。
培養土
アルケミラモリスは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+ピートモス(PH調整済)=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
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- super grade Ⅱの培養土はサラサラとした粒状の用土のみで構成されており堆肥が使用されていない所が特徴です。
- 堆肥が使われていないため、昆虫や微生物湧きにくく、お部屋でも使いやすいです。
- 堆肥が原因で夏場に蒸れる事がないため、多湿で植物が弱りにくくなります。
- 培養土は擬似団粒構造を形成しており優れた保水性・排水性・通気性・保肥力があります。
- 培養土の中には保水剤(CMC)が配合されているため水持ちがよく管理が楽になります。
- 培養土に含まれる赤玉土は焼きが入り硬質なため、劣化しにくく繰り返して何度でも使えます。
- 赤玉土には肥料も含有しているため植物の成長が良くなります。
- 肥料は3種類配合されており植物の成長段階に応じて非常に長く放出されます。
- 堆肥は入っていませんが、質の良い腐植酸が配合されているため、地力の高い肥沃な培養土となっています。
水やりの仕方
アルケミラモリスは短期的な乾燥に耐えますが、やや湿り気のある土壌を好みます。そのため雨が長く降らず乾燥が続く場合はしっかり水やりを行い、やや湿り気のある土壌に保つようにしましょう。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
アルケミラモリスは、ある程度肥沃な土壌で育てている場合は肥料が無くても育てられます。ただし栄養の乏しい土壌や鉢植えで育ている場合は毎年早春に肥料を与えるようにしましょう。
肥料と堆肥の与え方
- 晩冬から早春に与える肥料
- 肥効が長く緩やかに効き土壌改善効果もある有機肥料(配合肥料)または必要な栄養成分がしっかりはいっており非常に肥効が長く続く緩効性肥料を選びましょう。
- 肥料の成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 肥料の与え方
- 有機肥料を与える場合は、土に剥き出しにすると分解が遅くなったり、虫が寄ってくる事もあるため、基本は土の中に埋めます。株元から少し離れた場所(枝先の下に新しい根があり肥料の吸収効率が最も良い)に穴を掘り肥料を埋めましょう。※地面にそのまま置き肥する場合もあります。
- 緩効性肥料の場合も株元から少し離れた場所に置き肥します。置き肥とは地面に埋めずにそのまま地面の上に置く肥料です。
- 堆肥の与え方(鉢植えは植え替え)
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 地植えの場合は初冬から早春に株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を入れましょう。
- 鉢植えの場合は、植え替えを行います。鉢から株を取り出して、風雨で劣化した古い土を軽く落とし、長い根や腐った根も軽く切り詰めます。株が大きい場合は株分けもしましょう。土は新しい物を使うか、古い土を再利用する場合は2~5割ほど新しい土を混ぜます。鉢の中に新しい土と株を植え直したら完成です。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
剪定のやり方
アルケミラモリスの剪定は「花がら摘み」と「冬の切り戻し」の二回です。
花がら摘みとは!?
花がら摘みとは、花が咲き終わり色褪せたり外観が崩れる等して、見た目が悪くなった段階で花を摘み取る事です。花がら摘みの目的は、こぼれ種を防ぐ事や、種の生産を防ぎ余分なエネルギーを使わせない事にあり、エネルギーの損失を出さないことで次の花の蕾に栄養が回り花が咲きやすくなり、花数が増えたり、開花期間が伸びたりします。また種が生産されると株の老化(弱体)が進み寿命が短くなる事もあります。そのため、花がら摘みは植物を長く楽しむ為にも大切な作業になります。
花がら摘みのやり方
アルケミラモリスの花がら摘みのやり方は、花がらの剪定して取り除くだけです。
冬の切り戻し
アルケミラモリスは冬になると地上部が枯れてしまいます。枯れた茎葉を残しておくと、日当たりが悪くなったり、新芽が出る時に邪魔になったりして、生育を阻害してしまいます。そのため、古い茎葉を撤去して、春からの新しい成長を促しましょう。
夏越しする方法
アルケミラモリスは夏の暑さに耐えますが強い日差しで葉焼けを引き起こしたり葉が枯れたり、また乾燥によっても同様の症状が出て株が弱る事があります。そのため必要に応じた夏越し対策が必要です。
夏越し対策
- 西日の当たる環境は【強い暑さ・強い日差し・乾燥】などの複合的なストレスがかかり、葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)を引き起こしたり枯れたり萎れたりして株が弱りやすくなるため避けた方が良いでしょう。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 地植えであれば西日の当たらない場所に植えたり遮光ネットを利用したりしましょう。
- 乾燥を苦手にしていることから土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行います。
- 特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:3b~8a
アルケミラモリスは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
アルケミラモリスは株分けによって増やす事ができます。
株分けの方法
- 株分け時期は早春もしくは秋が最適です。
- 株を掘りあげます。
- 土を軽く落として根茎の広がりと芽・茎の位置を確認します。
- 根茎に茎を何本か残すように根茎を切り分けましょう。
- 切り離した株を新しい鉢植えまたは植えたい場所に地植えします。
- 植え直した株に水をたくさん与えたら株分けの終了です。
播種で増やす
アルケミラモリスの種蒔の方法
播種時期:3月~5月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:約14~21日
発芽条件:
種まき手順
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。
- もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
アルケミラモリスの病気
アルケミラモリスの害虫