花壇に植栽する方法は基本的に自由なため、多くの場合は人それぞれのセンスによって植栽されたり、人気の高い植栽方法によって植栽されます。しかし、植物を植栽する上で大切なのはどのように見せたいのか、お庭の雰囲気をどのようにしたいのか等です。花壇への植栽方法の種類や特徴を知る事で見せ方やデザインの統一性を高める事に繋がります。
また植える植物も、お庭のデザインや花壇のデザインによって選ぶと統一感を出しやすくなります。例えば、エレガントをテーマにしたお庭であれば茎が奔放に伸びる植物は雑多な印象を与えるためにスッキリとした外観の植物を選んだ方が良かったり、カラフルをテーマにしたお庭であれば花の色や葉の色が原色に近く色彩豊かにしてあげると統一感が出やすくなります。
このページでは植物の植栽の種類と、お庭のデザインに合わせた植栽方法と植物の選び方を紹介しています。良ければ最後までご覧ください☆。.:*・゜
植物の植栽方法の16種類
花壇に植物を植栽する上で大切な事は、植栽方法の種類を知っておくことです。植え方の種類を知らないと、お庭の雰囲気に合わせた植栽は出来ません。
植栽方法の種類を知ったら、特徴を理解する事も大切です。特徴を理解する事で、植栽方法がどのような効果を生み出すのか、人に与える影響はどうなのか、どのようなお庭に似合うのかを理解して、実践して使えるようになります。
ここでは16種類の植栽方法と、植栽方法の特徴や与える印象を紹介しています。花壇をつくる時の参考にしてみて下さい。
フォーマルな印象を与える植栽の種類
ライン植栽 | レイヤー植栽 |
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ライン植栽は、植物を直線上に一列に並べる植栽方法です。整然と並ぶため洗練された雰囲気がありますが、シンプルで遊びがないため、つまらない植栽と感じさせる場合があります。 | レイヤー植栽は、グループ分けした植物を帯状に植えて、違うグループを交えながら何層も作り、虹模様のように植栽する方法です。色の変化が分かりやすいため、カラフルな花壇やグラデーション花壇を作りたい時におすすめです。 |
ステップ植栽 | ブロック植栽 |
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ステップ植栽は、花壇を前面・中面・後面に分けて、前面から後面に向かって草丈を高くしていき、花壇に立体感をだす植栽方法です。植物が自然と映えて、植栽方法としてもシンプルなため人気が高い植栽方法です。 | ブロック植栽は、植物の種類を色や形で分けて、三角や四角などの形状の整ったブロックの中にまとめて植える方法です。色と色の対比や植物の個性が出しやすく、また形が整っているため整然とした印象を与えます。 |
シンメトリー植栽 | スパイラル植栽 |
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シンメトリー植栽は、植物を左右対象に配置する事で、整然とした雰囲気を出しやすい植栽方法です。フレンチガーデンやエレガントガーデンなどによく合い、また色の対比なども出しやすいためカラーガーデンなどにもおすすめの植栽方法です。 | スパイラル植栽は、花壇の外周に、背景がなく、あらゆる角度から花壇が鑑賞できる、アイランドベッドでよく利用される植栽方法です。花壇の中央部に最も背の高い植物を配置しいた後に、その外側に次に背の高い植物を植栽して帯状の層を作り、その外側でも同様の作業を繰り返していき、スパイラル状の模様を花壇の中につくる植栽方法です。 |
寄せ植え花壇 | スリット植栽 |
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寄せ植え花壇は、寄せ植えをするように様々な草花をギュッと組み合わせて作られる花壇です。全体のデザインを考えながら、様々な草姿・草丈・葉の色・花の色をもつ植物を組み合わせて、花壇の中に立体的で色のバランスがよい魅力的な寄せ植えを作ります。 | スリット植栽は、コンクリートやタイルが張ってある地面に隙間(目地)をつくり、隙間の中にリュウノヒゲなどの踏圧に強い植物を植える植栽方法です。無機質なコンクリートなどの地面に植物が植えられるため、柔らかな雰囲気となりやすいです。 |
自然な印象を与える植栽の種類
クレバス植栽 | ランダム植栽 |
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クレバス植栽は、岩やコンクリート、木材などの隙間や亀裂に植物を植栽する方法です。植物が無機質な物などを覆う事で、時間の経過とともに岩やコンクリートなどが風化していく様を感じる事が出来ます。そのため、人工物と自然の一体化をより演出する事が出来ます。 | ランダム植栽とは、植物を規則に従わずにランダムに植栽する方法です。ナチュラルガーデンなどに使われる事が多いですが、センスがないと混沌としやすい傾向にあります。時間が経つにつれて生存競争を勝ち残った植物がグループを作り始まるため、ナチュラルに落ち着いてくる傾向にあります。 |
グルーピング植栽 | ドリフト植栽 |
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グルーピング植栽とは、植物の種類や色、形状などに基づき、似た種類をグループにして植え付ける方法です。グルーピングする事で、植物が集まり群生しているように見せて自然な雰囲気を与えたり、色で集めてより色が与える効果を強く生み出したりします。また同じ植物で集めると草姿も似ているため花壇の中のデザインがしやすくなるなどのメリットも生まれます。 | ドリフト植栽(drift planting)は、グルーピングと凹凸をつけた不規則な植栽によって自然な風合いを出す植栽方法です。例えば、グルーピングした植物を直線上に並べず「W」のようにジグザグに配置して、また配置する時も空間を開けて配置します。そうする事によって自然な風合いを演出しながら美しい景観をつくる事が出来ます。 |
個性的な印象を与える植栽の種類
イミテーション植栽 | テーマ植栽 |
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イミテーション植栽は、何かの形を真似して植栽される方法です。例えば、壺から零れる水を表現するために、壷の中に「水」に見立てた「土」を入れておき、壺を倒した時に、水が零れるようすを表現するために土を地面の上に広げて、広げた土の上に匍匐性の植物などを植栽します。テーマガーデンなどにおすすめの植栽手法です。 | テーマ植栽は、お庭のテーマに沿って、植物をテーマに由来する形に植栽する方法です。例えば、アリスガーデンならトランプの形に植物を植えたり、ラブガーデンやロマンチックガーデンならハートの形に植物を植えたりします。 |
カラーガーデンで使える植栽の種類
グラデーション植栽 | コントラスト植栽 |
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グラデーションは色相を変えずに、色の明るさ(明度)や色の鮮やかさ(彩度)に変化を出して、段階的に色を変えていく手法です。植物の色を段階的に変えながら植える方法としては、整然とした植栽方法(ブロック・レイヤーなど)がグラデーションの効果を強調しやすくなるためおすすめです。 | コントラストは、2つ以上の色や形等を比較した時に、差異を強く感じさせる事です。一般的には色について使われる事が多く、「黒と白」「赤と青」「桃と緑」などの関係がコントラストを強く感じさせます。またコントラストは色の鮮やかさ(彩度の強さ)も重要になります。色が薄かったり、暗かったりするとコントラストが出にくいため色選びは注意が必要です。コントラストを出す植栽としては、整然とした植栽方法(ブロック・レイヤーなど)がおすすめです。 |
お庭のデザインに合わせた植物の選び方と植栽のやり方
エレガントガーデン | ナチュラルガーデン |
エレガントガーデンは、上品な印象や洗練された印象を与えるお庭です。 植物の植栽はフォーマルな植栽がよく似合います。例えば、植物を対称的に並べてシンメトリーを作ったり、花壇を全面・中面・背面に分けてステップ植栽をして花壇に立体感をだす等、一般的に推奨される花壇の植え付け方法がよく似合います。 植物を選ぶ際は、上にスっと伸びたり、球形になったりするなど、行儀よく成長する習慣を持っている植物がおすすめです。また花の色や葉の色は落ち着いた印象を与える「青色」や上品な雰囲気をつくる「紫色」「白色」などがエレガントガーデンによく合います。 | ナチュラルガーデンは、自然をテーマにして作られるお庭です。 植物の植栽は自然のテーマ(森の中・崖地など)に合わせて行います。例えば、テーマが森の中であれば植物は群生するように生える事が多いため、1箇所に同じ植物が複数集まるようにグルーピングして植えたり、歩道など土が硬く人や生き物が通る場所では背が低く踏圧に強い植物を植えたり、花壇など土が肥沃な場所では生存競争に勝ち残ったような丈夫で背の高い植物などを植えます。気をつけることは、エレガントガーデンのように植物を規則正しく並べるような植栽は避けた方がいい事です。 植物を選ぶ際は、自然のテーマ(森の中・崖地など)に合わせて自生する植物を選ぶとよいでしょう。品種改良して派手になった植物などは控えめにして、素朴な印象を与える植物を選ぶと自然に近くなります。 |
エレガントガーデンにおすすめの植物 | ナチュラルガーデンにおすすめは植物 |
・アガパンサス ・アストランティア ・アリウム ・エキノプス ・オダマキ ・ヘデラ ・モナラベンダー ・ラベンダー ・ローズマリー | ・アザミ ・イワミツバ ・オキザリス ・カラミンサ ・クローバー ・すずらん ・ ・ ・ |
ロマンチックガーデン | カラフルガーデン |
ロマンチックガーデンとは、夢の中にいるような非現実的で幻想的な雰囲気があり、甘く快い恋愛感情を抱かせるような乙女チックな雰囲気があるお庭です。 植物の植栽方法に決まりは無いですが、非現実的で幻想的な雰囲気を出すなら、様々な植物を寄せ植えするように集めて寄せ植え花壇を作ってみるのも面白いかもしれません。またナチュラルガーデンのように幾つかの同じ特徴をもった植物を1箇所に集めてグルーピングして植え付けていくのも良いでしょう。ただしナチュラルガーデンと違い色味は派手でピンクを中心に配色します。また 「ハートの形」に見えるように植物を植えるのも面白いかもしれません。 植物を選ぶ際は、草姿・葉の形・花の形・葉の色・花の色にこだわりをもって選ぶ事が重要です。例えば、草姿であればふんわりとしたエアリーな外観をしていたり、丸みを帯びる外観をしていたりすると、柔らかで可愛らしい雰囲気をつくります。葉の形・花の形は、丸かったり、ハート形をしていたり、フリルしたりすると、可愛らしい印象を与えたり優雅な印象を与えたりする事が出来ます。また花の色は桃色を基調として、パステルカラーを思わせるような柔らかな色がロマンチックガーデンによく合うためおすすめです。 | カラフルガーデンとは、色彩が豊かな植物や装飾品を組み合わせて、色と色の対比を強く出しながらカラフルな雰囲気をつくるカラーガーデンの一種です。 植物の植栽方法は、色と色の対比を出せるように工夫します。例えば、植物を帯状に並べて層を作り虹のような色の変化を生み出すレイヤー植栽をしたり、植物をブロックに分けて色の対比が強く出るように交互に並べてブロック植栽をしたり、植物を色ごとにグルーピングして色の効果を強調しながら、グルーピングした植物群を花壇の中でデザインするように植栽して植物同士で色の対比を強く出したりします。 植物を選ぶ際は、基本的に彩度が高い色鮮やかな花色や葉色をしており、また品種の中に様々な花色や葉色があり使い勝手がよい草花などが好まれる傾向にあります。 |
ロマンチックガーデンにおすすめの植物 | |
・アキレア ・アストランティア ・エキナセア ・エリゲロン ・クレマチス ・ケマンソウ ・サクラ ・トキワマンサク ・ブーゲンビリア ・ベンケイソウ ・ユーカリ(ハートリーフユーカリ) | ・アキレア ・アンゲロニア ・エキナセア ・カリブラコア ・キンギョソウ ・ケイトウ ・ジニア ・ヒューケラ ・ペチュニア ・マリーゴールド ・ランタナ |
前記事(花壇の作り方のリンク)
花壇作りで大切な事は、お庭やデザインや雰囲気に合わせて花壇をつくる事です。そのために、どのような花壇の種類があるのか知っておくことや、お庭のデザインに合わせて花壇の種類を選び、花壇をつくる事が大切になります。
花壇の作り方のページでは、花壇の種類と、お庭のデザインに合わせた花壇の選び方、花壇の作り方などを紹介しています。その他にも、様々な情報を載せているので、気になる方は下のリンクからご覧下さい。