- 原産:ヨーロッパ
- 科:サクラソウ(Primulaceae)
- 属:サクラソウ/プリムラ(Primula)
- 種:オーリキュラ(Primula auricula)
- 別名:アツバサクラソウ/オーリキュラ(auricula)/マウンテン・カウスリップ(mountain cowslip)/ベアーズ・イアー・プラント(bear’s ear plant)
- 開花時期:3月~5月
- 花の色:赤色●桃色●黄色●橙色●青色●紫色●緑色●白色〇黒色●
- 葉の色:緑色●白色〇
- 香り:
- 分類:多年草
- 被覆方法:ロゼット状
- 草丈:約10~20cm
- 株張り:約10~25cm
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:ロックガーデン
- 購入方法:アツバサクラソウを楽天で購入
目次 | ||
| ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アツバサクラソウとは!?
アツバサクラソウの学名はPrimula auricula、一般的にプリムラ・オーリキュラと呼ばれているプリムラ属の種の和名です。原産地はヨーロッパ、自生地はアルプス山脈・シュヴァルツヴァルト・ジュラ山脈・ヴォージュ山脈・タトラ山脈等の岩場にあります。
アツバサクラソウの語源(由来)
- 属名のPrimulaはラテン語で「早い」を意味する「primus」から来ており、プリムラ属の開花が早いことに因んで、植物学者のCarl von Linnaeus (1707-1778)が命名しました。
- 種小名のauriculataはラテン語で「耳形の」「耳状の」を意味しており、葉の形に由来します。
アツバサクラソウの特徴(魅力)
- アツバサクラソウの特徴は、花の形が規則正しく端正で丸みを帯びた可愛らしい形状をしている所や、花の色が非常に豊富で花の中に個性的な模様が入り、絵画を思わせるような色合いが楽しめる所、花や葉の中に白粉(ペースト)が乗るため独特な質感を生み出す所、葉が肉厚で光沢がある所等にあります。
- 園芸では、栽培難度が高めで、育てるのが大変な植物ですが、端正な見た目をした花はとても魅力的で、コレクターに人気の高い植物になります。
- 草姿はロゼット状、株の根元から複数の葉を放射状に行儀よく広げます。
- 葉は肉厚で水分を保持しているため、乾燥に比較的に強いです。※成長期にはしっかりと水やりをする必要があります。
- 葉の表面は光沢があり、白粉を帯びています。白粉は水で流れやすいため、水やりをする際には葉に水が当たらないようにする必要があります。※アルパイン系は通常白粉がありません。
- 花の形は高盆形花冠で、基部が筒状で先端が皿状に広がり、皿状に開いた部分の裂片が五個以上あります。普通は裂片の部分に切れ込みが入ったり、波打ったりして、野趣を感じさせる花姿をしています。
- ただし、イギリスで銘品として登録される品種は、花全体の形が円形に近くフラットで、裂片(花弁)には目立つ切れ込みがなく、基部の円形に殆ど歪みがありません。そのため、花が与える印象は、規則正しく端正で、丸みのある可愛らしい印象をあたえます。また自然界に存在しないような美しさを感じさせる所も魅力です。
- 花の色は赤・桃・橙・黄・青・紫・緑・白・黒があり、花を四つのゾーンにわけて、花の中に様々な模様が描かれます。また花の中には白粉がのるため、独特な質感と色合いをだします。
アツバサクラソウの草丈は約10~20cm、株張りは約10~25cm、草姿はロゼット状、葉序は根生葉、葉身の形は倒卵形、葉の縁部分には鋸歯があり、葉の質感は肉厚、葉の表面には光沢があり白粉を帯びており、葉の色は緑色です。花序は散形花序、花茎の頂部に最大20個の花が付きます。花冠の形は高盆形花冠で、花冠の先端の裂片は五個以上あり、裂片は原種に近いと浅い切れ込みが入りますが交配品種は全円の傾向があり、花の色は赤・桃・橙・黄・青・紫・緑・白・黒があり、四つのゾーンごとに色が変化したり、白粉がのります。
アツバサクラソウの分類
プリムラ(オーリキュラ)は花の色を表現したり、品種の紹介をする時に、説明を分かりやすくするために、花を四つのゾーンに分けて色を表現する事があります。
チューブ(tube):花の中央にある筒部
サークル(circle):花中央にある円形の輪(筒部を除く)
ボディーカラー(body colour):サークルとエッジの境にある部分、またはサークルから縁部分まで。
エッジ(edge):ボディーカラーから縁部分まで。
プリムラ(オーリキュラ)は「ショウ系」「アルパイン系」「ダブル系」「ボーダー系」の四種類に分類されており、またそれぞれの分類で細分化もされています。それぞれに特徴があるため、欲しい品種がある時に参考にしてみるとよいでしょう。
ショウ系(Show Auriculas)
ショウ系は花や葉には白粉(ペースト)が付いている所が特徴で、白粉が陶器のような独特な質感を与えています。愛好家が最も多い系統で人気が高いですが、白粉(ペースト)は雨に濡れると流れて、腐敗する原因にもなるため、雨から保護された環境で育てる必要があります。
- エッジ・ショウ・オーリキュラ(Edged Show Auriculas):花のエッジに葉の質感があり、黒色のボディーカラーが入るショウ系の分類の一つです。エッジ部分の白粉(ペースト)の量によって更に細かく分類されています。
- グリーンエッジ(green edge):エッジには白粉がないため、完全な緑色をしていて、黒色のボディーカラーが入ります。
- グレーエッジ(glay edge):エッジには白粉が少量あるため、灰色または白緑色の見た目をしていて黒色のボディーカラーが入ります。
- ホワイトエッジ(white edge):エッジには白粉が大量あるため、殆ど白色の見た目をしていて黒色のボディーカラーが入ります。
- ショウ・セルフ・オーリキュラ(Show Self Auriculas):花のゾーンがチューブ・サークル・ボディーカラーの三つのゾーンで構成されています。サークルの部分は白色をしていて、ボディーカラーの部分は個別にレッド・ブルー・イエロー・ダーク・その他の色(any other coloured)に分けられています。
- ストライプ・オーリキュラ(Striped Auriculas):花のゾーンがチューブ・サークル・ボディーカラーの三つのゾーンで構成されています。サークルの部分は白色をしていて、ボディーカラーの部分に絞り模様が入るため複色になる所が特徴です。
- ショウ・ファンシー・オーリキュラ(Show Fancy Auriculas):花のゾーンがチューブ・サークル・ボディーカラー・エッジの四つのゾーンで構成されています。サークルの部分は白色をしていて、ボディーカラーが黒色以外の色(赤や黄など)をしている所が特徴になり、エッジの部分は緑色です。
アルパイン系(Alpine Auriculas)
アルパイン系は花の大きさはショウ系よりも大きくなる傾向にあります。花や葉に白粉(ペースト)がないため、コレクターからすると少し魅力が半減しますが、雨が降っても腐敗しにくいメリットがあります。そのため、雨の当たる屋外でも育てやすく、初心者が初めて育てる場合はこの系統がオススメされています。
- ライトセンター・アルパイン(Light Centred Alpines):花のサークルが白色またはクリーム色をしています。
- ゴールドセンター・アルパイン(Gold Centred Alpines):花のサークルが黄色または黄金色をしています。
- レース・アルパイン(Laced Alpines):花弁の縁部分に細い覆輪が入ります。
- ファンシー・オーリキュラ(Fancy Alpines):ボディーカラーが黒色以外の色(赤や黄など)をしている所が特徴になります。
ダブル系(double Auriculas)
ダブル系は花の形は八重咲きをしています。審査会では花の中心部を覆う充分な花弁が必要になります。
ボーダー系(Border Auriculas)
ボーダー系は庭や花壇で栽培することを目的にした丈夫で育てやすい系統です。花は多様な形と色があり、香りがある品種が多いのも特徴です。
プリムラ(オーリキュラ)の園芸品種の紹介
ショウ系
- エッジ・ショウ・オーリキュラ
- ロベルト
- グレイ・ラグ
- シレニティ
- フレミングハウス
- ロザリー・エドワーズ
- マギー
- CG・ハイソン
- ヘティ・ウルフ
- マーガレット・マーチン
- ルードロウ
- シャーウッド
- ショウ・セルフ・オーリキュラ
- ヘレン
- ローズバッド
- タフタ
- シャア
- フェイヴァリット
- ムーングロウ
- ザ・レイブン
- ローズマリー
- ノクターン
- ハリー・オー
- スーパー・パラ
- ブラジル
- セイラー・ボーイ
- ジェロニモ
- ローズ・ケイ
- ファロ
- ロック・サンド
- マネームーン
- ザ・ビショップ
- ムーンライズ
- チェリー
- チャフィンチ
- レプトン・ジュビリー
- プリンス・チャーミング
- モハベ
- ストライプ・オーリキュラ
- ナンバー21
- マーリン
- ロード・セイ・エン・セレ
- ローリー・ストライプ
- ブルー・ヘブン
- ロビンフッド・ストライプ
- ダーウェント・タイガー
- マゼッタ・ストライプ
- ショウ・ファンシー・オーリキュラ
- グレイ・シュライク
- スターリー
- スター・ウォーズ
- ホワイト・エンサイン
- クラニー2
- フロスティ
- レイブロック・ファンシー
- ホークウッド
- グレンエルグ
- ラージャ
- リサ・クララ
- ミンリー
- カーネル・チャンプニーズ
アルパイン系
ダブル系
プリムラの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アツバサクラソウの育て方
花壇の土づくり
日当り
アツバサクラソウは、半日陰から明るい日影まで育てる事が出来ます。※理想的な環境は気温にも左右されるため、暑い場合は明るい日陰に移動したり、冷涼な場合は半日影に移動してあげると良いでしょう。
また基本的に雨に濡れることを嫌います。多湿・過湿になると、腐敗して枯れる原因にもなるため、出来れば軒下などの雨から保護された場所で育てた方が良いでしょう。どうしても雨に当たる場所で栽培したい場合は、ボーダー系や花や葉に白粉のないアルパイン系を選ぶと良いでしょう。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、間接光だけが当たる日陰または直射日光が2時間程度までの場所です。
土壌の土質
アツバサクラソウは、高山植物のため、土壌は高い通気性と排水性が求められます。砂利の多いロックガーデンなどをイメージして、土壌をつくると良いかもしれません。
土壌に肥沃さはあまり求められません。畑を想像させるような黒土で出来た土壌や、腐葉土が沢山入る土壌は保水性が高く、蒸れてしまう原因にもなります。多湿に弱い植物を育てる場合は、このような土を避けた方が良いでしょう。
そのため、植え付けの前に土壌診断を行い、土壌診断の結果に従って、土壌改良材を入れて通気性・排水性を改善しましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土やバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
- PHを測る専用の道具を用意して診断します。※詳しくはPHを診断からご覧下さい。
- 酸性土壌を改善して土壌を中性またはアルカリ性にしたい場合は、苦土石灰を利用します。PHを1上げるのに必要な苦土石灰の量は1平方メートルあたり150g程度です。土壌に苦土石灰を撒いた後は、石灰が塊にならないようによく混和します。
- アルカリ性土壌を改善して酸性に傾けたい場合は無調整ピートモス(PH4程度)を利用しましょう。ピートモスを腐葉土のかわり等に利用して、よく混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
アツバサクラソウは、半日陰から明るい日影まで育てる事が出来ます。※理想的な環境は気温にも左右されるため、暑い場合は明るい日陰に移動したり、冷涼な場合は半日影に移動してあげると良いでしょう。
屋内で育てる場合は、管理する場所の照度のレベルを調べて、中程度の照度または高程度の照度になる場所で管理してあげると良いでしょう。植物に当たる光が少ないと葉色が悪くなったり、生育が非常に遅くなったり、生育不良で枯れる事もあるため十分な光がある場所で育ててあげて下さい。
管理場所は基本的に明るい窓辺が理想です。ただし南向きの窓から当たる直射日光は、想定以上の強光となる事があり、葉焼けを引き起こす原因になる事があります。そのため、管理する場所の照度を調べて、必要に応じて光が強すぎる場合はカーテン越しにしてあげたり、窓から少し離す等の工夫をしてみてください。
照度のレベル
- 弱い照度:500~2500lux
- 中程度の照度:2500~10000lux
- 高程度の照度:10000~20000lux
- 強い直射日光:20000~100000lux
※照度(lux)を調べる方法は、携帯のアプリや照度計などがあります。携帯のアプリでも手軽に調べられますが、詳しく調べたい方は楽天に売ってある照度計を利用すると良いでしょう。
※照度が少ない場所で育てたい場合は楽天に売ってある植物育成ライトを利用してみるとよいかもしれません。植物育成ライト以外の人工的な照明の光には光合成に必要な波長が僅かにしか含まれない事があるため、十分の照度あると思っても植物がしっかり育たない事もあるため注意が必要です。
鉢の選び方
アツバサクラソウで使う鉢は、多湿を嫌うため通気性が高い駄温鉢や素焼き鉢がおすすめです。
また、根が制限されることを好むため、出来るだけ小さめの鉢を選んであげた方が良いでしょう。
培養土
プリムラ(オーリキュラ)は、高山植物です。そのため、山野草で使う培養土を利用すると良いでしょう。
培養土を自作する場合は通気性と排水性を高めた、山野草が好む培養土を作りましょう。培養土の中に腐葉土などを多く入れると、夏に蒸れてしまう原因にもなるため、一般的な培養土よりも腐葉土等の改良材は少なめにします。
培養土の配合例
- 川砂+ボラ土(小粒)+赤玉土+ピートモス=3:3:2:2
- 軽石(小粒)+桐生砂(小粒)+ピートモス=5:3:2
楽天で人気の山野草の培養土を購入する
植え替え
植え替えを行うタイミングは春の終わり、開花後に行ないます。株のまわりに子株が出来ているため、株分けをかねて植え替えを行うと良いでしょう。※株分けのやり方は増やし方からご覧下さい。
水やりの仕方
水やり
アツバサクラソウは、やや湿り気のある土壌を好みますが、同時に過湿状態を苦手にしています。
水のやり過ぎで過湿が続くと、腐敗したり根腐れを引き起こし枯れる原因になることがあります。そのため水やりのタイミングを間違えないようにしましょう。
また、花や葉にある白粉は水で簡単に流れてしまいます。そのため、水やりの際は株に水が当たらないように水やりする事も大切です。
水やりの頻度と与え方
水やりの頻度は基本的には土の表面から2cm程が乾いてきたら水やりを行うといいでしょう。
ただし、季節によって株の状態が変わるため、水やりの頻度に少し調節が必要になります。
例えば、夏場は株が半休眠状態に入るため水分をあまり必要とせず、水分が多いと根腐れを引き起こすことがあります。また冬場は成長が緩やかになるため、水をあまり必要としません。そのため、夏と冬は土壌をやや乾燥気味にして管理します。
逆に春は植物が活発に成長するため、沢山の水を必要とします。そのため、土壌はやや湿り気を保ち、水やりの頻度も多くなります。
水やりチェッカー(サスティー)
水やりに不安を覚える場合は水やりチェッカー(サスティー)を活用しましょう。サスティーは植物にベストな水やりのタイミングを教えてくれるため、水やりで間違えることを避けることができます。
肥料の与え方
アツバサクラソウは、あまり肥料を必要とする植物ではありませんが、春の間は成長が活発になるため、花をしっかり咲かせるためにも十分な栄養が必要になります。
他の季節は、基本的に肥料を必要としませんが、活発に成長する春の間はしっかり肥料を与えるようにしましょう。
肥料の与え方
- 肥料を与える時期
- 早春から蕾がつくまでの期間
- 蕾がついて開花後までの期間
- 肥料の選び方
- 早春から蕾がつくまでの期間は窒素・リン・カリの三要素のうち、窒素が多めに入る化成肥料を与えるようにしましょう。
- 蕾が付いてから開花後までは、窒素・リン・カリの三要素のうち、カリが多めに入る化成肥料を与えるようにしましょう。トマト肥料などがよく利用されます。
- 肥料の与え方
- 化成肥料を与える場合は、沢山の量を必要としないため、規定された分量から半分程度の量を減らして与えるようにしましょう。
剪定のやり方
アツバサクラソウの剪定は、花がら摘みを行います。
花がら摘み
花がら摘みとは、花色が悪くなったり花の外観が崩れたりした咲き終わりの花を摘み取る事です。
花がらを摘む事で、種子が作られないため、エネルギーの損耗が抑えられます。エネルギーが損耗しない事で、株が元気なまま夏越しを迎えることができます。
花がら摘みのやり方は、花が咲き終わったら、花だけをハサミで剪定します。その後、花茎が完全に枯れるのを待ってから、花茎を取り除きます。こうすることで、雑菌が株の根元まで入って行くことを防ぐことができます。
夏越しする方法
アツバサクラソウは、夏の暑さ・強光・多湿の三要素全てを苦手にしています。
そのため、基本的に直射日光から保護されていて、極端な暑さがなくて、風通しがよく、雨に当たらない場所で管理するようにしましょう。十分な光が入る場所であれば、屋内で管理することも出来ます。
高温多湿が与える影響と対策方法
- 強光
- 夏の強すぎる強光は、光阻害を引き起こし、光合成に必要な細胞を壊してしまい生育不良を引き起こす原因となります。また強光は、乾燥や熱などと相互作用を持つため、複合ストレスとなり植物に致命的なダメージを与える原因になることもあります。そのため、高温多湿に弱い植物は強光対策が必須です。
- 西日の当たらない場所で管理
- 暑さ
- 暑さは「光合成・呼吸の阻害」「活性酸素の生成」「細胞の破壊による壊死と老化」等を引き起こします。また暑さは強光・乾燥・病原菌等と相互作用を持つため、複合ストレスとなり植物に致命的なダメージを与える原因になることもあります。そのため、高温多湿に弱い植物は暑さ対策が必須です。
- 西日の当たらない場所で管理する
- 風通しの良い場所で管理する
- 散水する
- 乾燥
- 乾燥は「細胞の脱水による萎れ」「成長の抑制」「代謝活性の低下」「気功閉鎖」「光合成の阻害」「落葉」「細胞死」「ストレス」など多岐にわたって生育不良を引き起こす原因をつくります。また乾燥は強光や暑さ、病害虫などと相互作用をもつため、複合ストレスとなり植物に致命的なダメージを与える原因になることもあります。そのため、夏場の乾燥対策は非常に重要になります。
- 西日の当たらない場所で管理する
- 適切な土壌で管理する
- 散水する
- 多湿・過湿
- 多湿・過湿は「根の酸素不足」「根の腐敗」「水分過多によるストレス」「真菌の繁殖と移動による病気」「細菌・ウィルスの移動による病気」「害虫の繁殖」などを引き起こす原因となります。また多湿は暑さ等と相互作用を持つため、複合ストレスとなり植物に致命的なダメージを与える原因になることもあります。そのため、高温多湿に弱い植物は多湿対策が最も必須になります。
- 雨に当たる場所を避ける
- 適切な日当たりで管理
- 土壌の排水性を良くする
- 風通しの良い場所で管理する
- 切り戻しを行う
- 病原菌
- 病原菌は「細胞の壊死」「水分の移動を阻害」「光合成の阻害」「生育阻害」「免疫低下」などを引き起こします。また病原菌は暑さや多湿と相互作用を持つため、複合ストレスとなり植物を弱らせやすくなります。そのため、高温多湿に弱い植物は病原菌対策が必須になります。
- 雨に当たる場所を避ける
- 適切な日当たりで管理
- 土壌の排水性を良くする
- 風通しの良い場所で管理する
- 切り戻しを行う
- 泥はね対策をする
- 農薬を使用する
西日の当たらない場所で管理する
西日対策を行う事で、暑さ対策と強光対策を同時に行う事ができましは。西日対策とは、西日の当たる時間は植物を日陰で管理することです。例えば、鉢植えで育てている場合は、鉢植えを午後からは日陰になる場所に移動します。また地植えする時に、西日の当たらない場所に植えたり、それが難しい場合はで遮光ネットを利用して西日を避けたりします。
風通しの良い場所で管理する
風通しの良い場所で植物の管理を行う事で「多湿対策」「暑さ対策」「病害虫の抑制」を行う事ができます。風が動く事で湿気が溜まる事を防げたり、また風によって植物の周囲の温度を少し下げたり体感温度を下げたりする事ができます。
風通しの良い場所に植物の移動が難しい場合は、暑さの厳しい時間にファンを回して対策することも可能です。ただし、ファンを回し過ぎると強風によって植物の葉が落ちてしまったり、蒸散スピードが増して乾燥しやすくなったりすることもあるので注意が必要です。
散水する
散水を行い周囲に水を撒く事で、水が蒸発する際に周囲の熱を吸収して気温を下げる事ができます。ただし一時的な効果なため根本的な解決となりません。暑さが酷い場合などに、散水を行い暑さストレスから少しでも植物を解放してあげると良いかもしれません。
雨に当たる場所を避ける
雨に当たらない場所で植物を管理する事で「根の腐敗・酸素不足対策」「水分過多によるストレス対策」「病気(真菌・細菌・ウィルス等)の侵入対策」がまとめて行えます。
そのため、雨が当たらない環境で植物を管理したり、雨の日の前に鉢植えを移動したり、 雨よけの屋根やシェードを使用すると高い効果が期待出来ます。ただし、雨の当たらない環境は太陽も遮る事が多いため日照量が少なくなったり、多湿環境になりやすい事があります。そのため、他の環境要因も考慮しながら雨対策を行うと良いでしょう。
適切な日当たりで管理
適切な日当たりで植物を管理する事は「光合成の促進」「多湿対策」「病害虫の発生を抑制」する事に繋がります。特に日当たりの良い環境であれば、多湿になりにくいため、水分ストレスや病気対策となります。
土壌の排水性を良くする
土壌の排水性を良くする事は「多湿対策」に非常に重要な役割を果たします。何故なら、保水性の高い土壌で植物を管理した場合、水分が何時までも排水されずジメジメした環境が続くため、根に酸素が供給されずに呼吸が出来なくなったり、根腐れを引き起こしたり、病気が増殖して植物が影響を受けやすくなるからです。
そのため、植え付け時に適切な土壌または培養土に植えて上げる事がとても大切になります。
切り戻しを行う
植物の切り戻しを行う事で多湿の改善を行う事ができます。何故なら、切り戻しをすることで茎や葉の密度が減るため、風通しが改善されたり、日当たりが改善されたりするからです。ただし、切り戻しをする事で花芽が摘まれたり強いストレスとなることもあるため注意して下さい。
泥はね対策をする
泥はね対策をする事で、病原菌対策が行えます。何故なら、泥はね対策を行うことで、病原菌がいる泥水が植物の葉っぱ等について、植物の中に入る事を防げるからです。
植物の葉に泥水が付いてしまうと、水の中で真菌は鞭毛を使い泳ぎ、気孔などから植物体の中に侵入します。病原菌に感染した植物は腐食され細胞が壊死して斑点病になったり、導管を塞がれて水分の行き来が出来なくなり萎凋病になる事があります。病気の種類によって、致命度が変わりますが、泥はね対策で病気予防をする事は非常に重要になります。
泥はね対策は植物の周りにマルチングをする事で行えます。マルチングの資材はお好みですが、ビニールやバークチップ等が一般的です。
冬越しする方法
Hardiness:3~8
アツバサクラソウは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
アツバサクラソウは株分けによって増やす事ができます。
株分け手順
- 株分けは開花後または春の終わり頃に植え替えを行います。
- 根を出来るだけ傷つけないように株を掘りあげます。
- 株から土を落として手で解しながら、分割出来そうな株(子株)を確認します。
- 根を出来るだけ大切に扱い、株と株を解しながら、必要に応じてナイフやハサミ等も使い、株を分割しましょう。
- 株を分割したら、必要な場所に植え直して水をたっぷり与えます。
播種で増やす
アツバサクラソウの種蒔の方法
播種時期:5月~7月・1月~2月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:約
発芽条件:好光性種子
種まき手順
- 種まきの時期
- 5月~7月に自家採取してそのまま撒きます。
- 1月~2月に撒く場合は自家採取から播種までに時間があるため、冷蔵庫(約4度)の中で保管しておきます。
- 土の準備
- ピートバンや種まき専用の培養土などを準備しておくと失敗が減るでしょう。自分で用土を作成する場合は、弱酸性のピートモスなどを使うと良いでしょう。
- 種の撒き方
- 種は重ならないように点まき、またはばら撒きします。
- 好光性種子のため、光がないと発芽しません。そのため、種の上に土を被せないか、乾燥を抑えるため極薄く土を被せます。
- 種まき後の管理
- 暑さを苦手にしているため、十分な光が当たる屋内、または風通しがよく西日の当たらない半日影で管理します。
- 種が乾燥すると発芽率が落ちるため、土と種が乾燥しないように水やりをしっかり行いましょう。
植物の病気
アツバサクラソウの病気
- 軟腐病
- ウイルス病
- 根腐れ病
アツバサクラソウの害虫
- アブラムシ
- ヨトウムシ
- ナメクジ
- ダンゴムシ