カンナは属の中に約10~20種がありますが、一般に園芸で親しまれているのは、原種同士を掛け合わせた雑種の園芸品種が殆どです。
このページでは様々な原種や園芸品種を紹介しています。育て方へのリンクや購入方法のリンクなども用意しているため、そちらもよければご活用下さい。
目次
カンナの特徴や園芸品種
- 原産:熱帯・亜熱帯アメリカ
- 学名:Canna
- 草丈:約50~300cm
- 分類:多年草
- 開花時期:6月~10月
- 花色:赤色●桃色●橙色●黄色●紫色●白色〇
- 葉色:緑色●黄色●紫色●赤色●橙色●白色〇黒色●
- 耐暑性:強い
- 耐寒性:普通
- 誕生花:8月3日・8月13日・8月19日・9月21日
- 花言葉:情熱・快活・妄想・永遠・熱い思い
- 用途:開花期間長い/カラーリーフ/背が高い花/球根植物
- 購入方法:カンナを楽天で購入
カンナとは!?
カンナの学名はCanna、別名では「カンナリリー(canna lily)」とも呼ばれている多年草です。カンナは属の中に約10~20種があり、原産地は熱帯アメリカまたは熱帯アメリカにあり、ヨーロッパ・インド・アフリカに帰化しています。
カンナは、観賞用または農業用として広く栽培されていますが、現在栽培されている多くが原種同士を掛け合わせた雑種の園芸品種です。そのため、原種の品種として分類されずハイブリッドの品種として表記される事が多いです。
カンナの交雑種は、1848年にフランスの外交官で園芸家のThéodore Annéeが、Canna glaucaとCanna indicaの交配をしたのが始まりで、1860年代初頭にThéodore Annéeが育種した系統からフランスの育種家Pierre Antoine Marie Crozy (1831-1903)はフレンチカンナ系の品種を多数作出して、1890年代初頭にはフレンチカンナ系とフラッキダ種を交雑させる事でドイツの植物学者のCarl Ludwig Sprengerはイタリアンカンナ系の品種を多数作出しています。以降もカンナは様々な品種が生み出されており、現在は外見上の特徴により11の系統(グループ)に品種が分けられています。
カンナの語源(由来)
- 属名のCannaはラテン語で「杖」や「葦」を意味しており、草姿が湿地に生える葦に似ている所に由来しています。
カンナの特徴(魅力)
- カンナの特徴は、大きく優雅に広がる葉と鮮やかな花の色がエキゾチックな雰囲気と熱帯のジャングルの中を想像させる所、開花が初夏から晩秋頃までととても長く大きくて色鮮やかな花を長く咲かせる所、葉が巨大で優雅に広がるためジャングルのなかのような鬱蒼した雰囲気をつくる所、葉の色が緑色以外にも様々あるためカラーリーフにもなる所、根茎が地面下で広がるため群生をつくる所などにあります。
- カンナは花や葉を鑑賞する目的で育てられる事が多く、お庭の中に熱帯のエキゾチックな雰囲気をつくる事ができます。また商業的に、人間や家畜動物が根茎や葉を食用とする目的で栽培されることもあります。
- 草姿は叢生、地面下にある太い根茎を介して広がりながら、茎を何本もだします。茎は基本的に分枝する事がなく、垂直に伸びるため行儀良い印象を感じさせます。
- 葉は約20~70cmと非常に大きいためジャングルの中のような鬱蒼とした雰囲気をつくります。そのため、お庭の中に熱帯のジャングルやエキゾチックな南国の雰囲気を作りたい時などにおすすめの植物です。
- 葉の色は緑色の他に、赤色・橙色・黄色・紫色・白色・黒色などがあります。そのため、品種を選べばカラーリーフとして楽しむこともできます。
- 開花期間が初夏から晩秋ととても長いため、お庭の中を長く花で彩りたい人におすすめの植物です。
- 花序は総状花序または総状花序が複数つく円錐花序、花は装飾性の高い花弁状の雄蕊(仮雄蕊5雄蕊1)と、仮雄蕊の影に隠れている小さな花弁3個(または萼片を花被片と数えて6個)で構成されています。
- 原種の多くは花弁状の仮雄蕊が細い傾向がありますが、交雑品種は花弁状の仮雄蕊や舌弁や雄蕊が幅広く華やかな見た目をしています。
- カンナはアンデス山脈地方・中国・ベトナムなどで食用目的で栽培されており、根茎をすり潰し加工して食用にされたり、若芽をサラダとして食べられたりしています。
- また葉や根茎は家畜用の飼料として栽培されることもあり、これらのカンナの食用品種はアグリカルチャー系に分類されてます。
- カンナは、基本的に湿り気のある土壌を好み、池の回りなど浅瀬で栽培されたり、また乾燥した地域では、鉢を水中につけて腰水しながら育てられたりする事もあります。
- カンナを水中(浅瀬)で栽培したい場合は、水生系の品種を選ぶと良いかもしれません。
カンナの草丈は約50~300cm、根茎は太く地面の下を横方向に伸びる傾向があり、草姿は叢生、茎は基本的に分枝せずに直立します。
葉序は互生葉序、葉の付け根は抱茎しており、葉身の長さ約20~70cm、葉身の形は卵形または楕円形、葉の色は緑色・赤色・黄色・橙色・紫色・黒色、葉の向きは直立または斜上する。
花序は総状花序または円錐花序、苞の形は卵形、苞の色は緑色または赤色や紫色です。花の構成は萼片3個・花弁は3個・花弁状の雄蕊5個(内に仮雄蕊4個)・雌蕊は1個です。萼片は花の基部にあり小さく目立たず、花弁は細長く内側に巻きロール状になる傾向があり、雄蕊は花弁状で外側3個は大きくて内側2個は小さく、内側の1個は唇弁(仮雄蕊)でもう1個は花弁状の雄蕊に葯がついている、雌蕊の形はヘラ状です。果実は蒴果、蒴果は成熟すると果皮が裂開して5~75個の種子を放出します。
カンナの系統(グループ)
フレンチカンナ系(Canna × generalis L.H. Bailey)
フレンチカンナ系は、別名では「Canna × generalis L.H. Bailey」や「クロージー系(Crozy group)」とも呼ばれる品種群です。
このグループの先駆者はフランスの育種家Pierre Antoine Marie Crozy (1831-1903)と言われており、彼の名前がこのグループの名称となっています。
フレンチカンナ系の特徴は、イタリアンカンナ系と比べると外側の仮雄蕊の幅が狭くほっそりしている所、唇弁は小さめで湾曲したり捻れれたりする傾向がある所などにあります。そのため、仮雄蕊の間には空間があり花の作りがよく観察できます。
イタリアンカンナ系(Italian group)
イタリアンカンナ系は、別名では「ラン・カンナ(orchid canna)」とも呼ばれている品種群です。
ドイツの植物学者のCarl Ludwig Sprengerはフレンチカンナ系をたえず交配しても、これ以上注目に値する品種を作出できないと結論ずけ、フレンチカンナ系の交配に北アメリカ原産のフラッキダ種(Canna flaccida)を採用して、1890年代にイタリアンカンナ系の品種を初めて作出しました。
イタリアンカンナ系の特徴は、従来のカンナと比べて外側の花弁状の仮雄蕊が幅広い所、内側の唇弁は外側の仮雄蕊と同程度の大きさがある所、もう1枚の雄蕊も大きめな所にあります。そのため、仮雄蕊同士が密に重なりボリュームよい花姿をつくります。
またイタリアンカンナ系は、花の形がランの花に似てると言われる事がありますが、類似性はあまりないようです。
フォリッジ系(Foliage group)
フォリッジ系は、世界で初めてカンナの交配を行ったフランスの園芸家であるThéodore Annéeにちなんで「Annee Group」とも呼ばれている品種群です。
フォリッジ系は、主に葉を鑑賞する目的で育てられます。他のカンナと同様に花も咲かせますが、原種に近い小振りな花を咲かせる傾向があるようです。
オーストラリアン系(Australian group)
オーストラリアン系は、フォリッジ系のCanna ‘Red Stripe’とイタリアンカンナ系のCanna ‘Bengal Tiger’の交配により、大きくて魅力的な葉と大きくて豪華な花を受け継いだ品種群です。
プレミア系(Premier group)
プレミア系は、イタリアンカンナ系や三倍体の品種の交配に由来している品種群です。
プレミア系は、花弁状の仮雄蕊がとても大きくて、仮雄蕊の形が殆ど円形をしている所が特徴です。そのため、花弁状の仮雄蕊同士が強く重なる傾向にあります。
斑入り系(Variegated group)
班入り系とは、葉の中に二色以上の色の異なる部分が存在している品種群です。また班入り系は他の系統と重複していることもあります。
コンサバトリー系(Conservatory group)
コンサバトリー系は、温室向けに品種改良された品種群です。
コンサバトリー系の植物は、植物の力強さ、早期に開花する習性、葉の外観、自己清掃能力、および良い繁殖特性を持っている必要があります。
水生系(Aquatic group)
水生系は、グラウカ種(Canna glauca)と幾つかの種で交配されており、湿地や池の周りなど浅瀬で育てるのに適した品種群になります。またこの品種群は、葉が細く槍のような見た目をしている所、根茎が細長い所なども特徴になります。
ミニチュア系(Miniature group)
ミニチュア系は、植物の高さが50cm以下の品種群です。
アグリカルチャー系(Agriculture group)
アグリカルチャー系は、農業での利用する目的で品種改良された品種群です。
アグリカルチャー系は、根茎や葉(若葉)を人間や家畜動物が食べる目的で栽培されます。そのため、根茎が太く大きかったり、食味がよい品種が選ばれるようです。
ムサフォリア系(Musaefolia Group)
ムサフォリア系は、葉の大きさが巨大で、葉の形がバショウ属(バナナ)の葉に似ている所が特徴の品種群です。
カンナの主な原種の紹介
ダンドク
ダンドクの学名はcanna indica、別名では「カンナ・インディカ」や「エディブルカンナ(edible canna)」や「アフリカン・アロールート(African arrowroot)」等とも呼ばれている多年草です。原産地は南アメリカ・中央アメリカ・メキシコ・西インド諸島にあり、自生地は川辺や湿地、荒地などにあります。
ダンドクの特徴は、交雑種のカンナと比べると花がほっそりとしていて直立する傾向にある所、大きく優雅に広がる葉と真っ赤な花の色がエキゾチックな雰囲気と熱帯のジャングルの中を想像させる所、開花が初夏から晩秋頃(熱帯では周年) ととても長い所、葉が巨大で優雅に広がるためジャングルのなかのような鬱蒼した雰囲気をつくる所、根茎が太く生姜のような見た目をしており、地面下で広がるため群生をつくる所などにあります。
ダンドクは古くからアメリカの先住民によって栽培されてきた歴史があり、食用作物として利用されてきました。また花や葉が、とても美しいため、ハイブリッドの品種ほどではないですが、鑑賞用としても育てられています。
ゴールデン・カンナ
ゴールデン・カンナの学名はcanna flaccida、別名では「カンナ・フラッキダ」や「バンダナ・オブザ・エバーグレーズ(Bandanna Of The Everglades)」等とも呼ばれている多年草です。原産地は北アメリカにあり、自生地は湿地や沼地などにあり水生植物です。
ゴールデン・カンナの特徴は、イタリアンカンナ系の交雑で利用された重要な原種である所、原種の中では仮雄蕊が幅広で大きく華やかな見た目をしている所、花の色が鮮やかな黄色をしているため明るく元気な印象を感じさせる所、花は夕方に咲き翌日には萎れる所、湿地や沼地などに自生していることからも分かる通り浅瀬で育てられる所、葉が細くシュッとした見た目をしてる所、根茎が太く生姜のような見た目をしており、地面下で広がるため群生をつくる所などにあります。
ゴールデン・カンナは水生植物として水辺などで育てられるため、ビオトープ等に利用されることがあります。
カンナ・グラウカ
カンナ・グラウカの学名はcanna glauca、別名では「ウォーターカンナ(water canna)」や「ルイジアナカンナ(Louisiana canna)」等とも呼ばれている多年草です。原産地は熱帯アメリカにあり、自生地は湿地や沼地などにあり水生植物です。
カンナ・グラウカの特徴は、水生系(Aquatic group)の交雑で利用される重要な原種である所、花は仮雄蕊が狭くほっそりとしたシャープな見た目をしている所、花の色が鮮やかな黄色をしているため明るく元気な印象を感じさせる所、湿地や沼地などに自生していることからも分かる通り浅瀬で育てられる所、葉が細くシュッとした見た目をしてる所、根茎が地面下で広がるため群生をつくる所などにあります。
カンナ・グラウカは水生植物として水辺などで育てられるため、ビオトープ等に利用されることがあります。
カンナの園芸品種
サウスパシフィック・シリーズ
カンナ(サウスパシフィック・シリーズ)は、種子から育てられる実生系の園芸シリーズです。特徴は、基部でよく枝分かれして茎を沢山立ち上げる所、花の大きさが直径10cm程度で、花穂の上部で密に花をつける所、シリーズの中には花の色に合わせて「アイボリー(白)」「スカーレット(赤)」「ローズ(赤ピンク)」「オレンジ(橙)」とあるため、お庭の雰囲気に合わせて品種選びが出来る所などにあります。
トロピカル・シリーズ
カンナ(トロピカル・シリーズ)は、種子から育てられる実生系の園芸シリーズです。特徴は、基部でよく枝分かれしてコンパクトに成長して、茎を沢山立ち上げる所、播種から90日程度で開花する所、花の大きさが直径8~10cm程度で、花穂の上部で密に花をつける所、シリーズの中には葉の色や花の色に合わせて「ブロンズスカーレット(ブロンズリーフ・赤花)」「イエロー(黄花)」「ローズ(桃花)」「ホワイト(白花)」「コーラル(橙花)」「レッド(赤花)」とあるため、お庭の雰囲気に合わせて品種選びが出来る所などにあります。
カノーバ・シリーズ
カンナ(カノーバ・シリーズ)の特徴は、基部でよく枝分かれしてコンパクトに成長して、花立ちがとても良い所、 花は仮雄蕊がやや幅狭で小振りですが可愛らしい見た目をしている所、花穂の上部で密に花をつける所、シリーズの中には葉の色や花の色に合わせて「ブロンズスカーレット(ブロンズリーフ・赤花)」「イエロー(黄花)」「オレンジ(橙花)」「レッド(赤花)」とあるため、お庭の雰囲気に合わせて品種選びが出来る所などにあります。
フローレンスボーガン
カンナ(フローレンスボーガン)は、フレンチカンナ系の品種です。特徴は、花の仮雄蕊が幅広でとても大きく、横に平開しているため豪華な見た目をしている所、花の色が黄色と赤色で、黄地に赤色のスポットが入るため派手で華やかな印象を与える所、花は自ら落ちる傾向がある所などにあります。
アメリカンレッドクロス
カンナ(アメリカンレッドクロス)の特徴は、花の仮雄蕊が幅広で丸みを帯びる形をしており、横に平開しているため豪華な見た目をしている所、花の色が鮮やかな赤色をしているため華やかで派手な印象をしている所などにあります。
ピーチディライト
カンナ(ピーチディライト)は、ビオトープなどの水辺で育てるのに適しているカンナです。特徴は、花の大きさがやや小振りで、花の色がピンク色をしているため可愛らしい印象を与える所、葉の形が細長くシャープな見た目をしている所、葉の色がやや白っぽく白緑色をしている所等にあります。
ストライプビューティー
カンナ(ストライプビューティー)は、葉の脈に沿って白色または黄色の班が入るため、明るい印象を与えるカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。また花の色が黄色と、苞が赤ピンク色をしているため、明るく元気な印象を感じさせることもできます。
クレオパトラ
カンナ(クレオパトラ)の特徴は、葉の中にチョコレートを思わせるような暗褐色の切班が入るため、カッコ良さを感じさせるカラーリーフになる所、花がとても大きく仮雄蕊が幅広のため華やかな花姿を楽しめる所、花の色が鮮やかな赤色(橙色)と黄色の二色で構成されているため、カラフルで元気な雰囲気をつくる所などにあります。
プレトリア
カンナ(プレトリア)の特徴は、葉の色が緑色と黄色の二色で構成されていて、葉の主脈から外縁に沿って黄色の掃け込み班が入る所、花は仮雄蕊や舌花が幅広でくちゃくちゃとしたユニークな見た目をしている所、花の色が鮮やかな橙色をしている所等にあります。そのため、お庭に植えると南国のようなトロピカルな雰囲気をつくる事が出来るでしょう。
オーストラリア
カンナ(オーストラリア)の特徴は、葉の色が殆ど黒色に見える暗紫色をしていて、表面に光沢があるため重厚的でラグジュアリーな雰囲気をつくる所、花の仮雄蕊はやや幅狭ですが大きく華やかな見た目をしている所、花の色が鮮やかな橙色をしているためカジュアルで明るさを感じさせる所等にあります。
レッドストライプ
カンナ(レッドストライプ)の特徴は、葉の脈と縁部分に暗い赤紫色の班が入るため、ダークな雰囲気をつくるカラーリーフになる所、花の仮雄蕊は幅狭でシャープな見た目をしている所、花の色が鮮やかな橙色をしている所などにあります。