- 分布:日本/朝鮮/中国/ロシア
- 科:アヤメ(Iridaceae)
- 属:アヤメ/アイリス(Iris)
- 種:カキツバタ(Iris laevigata)
- 別名:ラビットイアー・アイリス(rabbit-ear iris)/シャロウ・フラワー・アイリス(shallow-flowered iris)/ジャパニーズ・アイリス(Japanese iris)
- 品種:天の釣舟(あまのつりぶね)
- 開花時期:5月~6月
- 花の色:紫色●
- 葉の色:緑色●
- 香り:
- 分類:多年草
- 草丈:約60~90cm
- 貯蔵方法:
- 植付け時期:
- 誕生花:4月17日・4月29日
- 花言葉:幸運・幸福・気品・贈り物・幸せはあなたのもの
- 用途:切り花/球根植物/ビオトープ
- 購入方法:カキツバタ 天の釣舟(あまのつりぶね)を楽天で購入
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
カキツバタ 天の釣舟(あまのつりぶね)とは!?
カキツバタ 天の釣舟(あまのつりぶね)は、花はやや平咲きする傾向があり、花の色が鮮やかな紫色で基部に黄色の班がはいります。
カキツバタとは!?
カキツバタの学名はIris laevigata、別名では「ラビットイアー・アイリス(rabbit-ear iris)」や「シャロウ・フラワー・アイリス(shallow-flowered iris)」等とも呼ばれる多年草です。カキツバタは日本・朝鮮・中国・ロシアに分布しており、沼地や湿地などの浅瀬に自生しています。
カキツバタの語源(由来)
- 属名のIrisは、ギリシャ語で「虹」を意味する「ἶρις(îris)」からきており、またギリシャ神話に出てくる虹の女神(Iris)にも因んでいます。
- アイリスの名前の由来は花の色が虹のように多種多様にある所からきています。
- 種小名のlaevigataは「滑らか」を意味します。
- 和名のカキツバタの由来は、昔は「カキツケバナ(書き付け花・掻付花)」と呼ばれていて、衣服を染める染料として花が利用されていた事からきており、カキツケバナが転訛(訛り)して現在のカキツバタになったといわれています。
カキツバタの特徴(魅力)
- カキツバタの特徴は、水生植物で湿地や池などの浅瀬に自生している所、花の色が青紫色と白色の二色で萼片の基部の中肋に白色の班が入る所、花の大きさが12cm程度と大きくて萼片が垂れ下がるため優雅な見た目をしている所、 葉の形が細い剣形で垂直に立ち上がり、ハナショウブのような目立つ中肋がない所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所等にあります。
- カキツバタは水生植物として水辺などで育てられるため、ビオトープ等に利用されることがあります。
- カキツバタは地面下に肥大化した根茎があります。根茎は太く横走しながら分枝して伸びる傾向があり、根茎から何本も株が生まれるため年を追うごとに株が増えて群生をつくります。
- 葉の形は細い剣形をしているためシャープで洗練された見た目をしており、直立または途中で湾曲して優雅に広がる傾向があります。
- 開花期間は晩春から初夏頃、花は茎の頂部の苞から2~3個の花を次々と出して咲かせます。ただし同時に花を咲かせることはなく、基本的に一個ずつ花が咲きます。
- 花は萼片3個が湾曲しながら垂れ下がり、花弁3個が垂直に立ち上がり、雌蕊は花弁状で三個の柱頭が横に広がります。花弁は幅が狭く小さいためあまり目立たず、また雌蕊も萼片に重なるように倒れているため、あまり目立ちません。
- 花の色は青紫色、萼片の基部の白色の班が入ります。
- 花は切り花としても親しまれており、花瓶に生けて部屋に飾ることで豪華さ優雅さを演出することが可能です。
- カキツバタは水生植物(抽水性植物)です。抽水性植物とは植物体の根と下部の茎葉が水面下にあり、茎および葉の一部が水面上に出て生息している植物をいいます。 育てる際は、常に水を張る必要があるため注意が必要です。
カキツバタの草丈は約50~70cm、根茎は太く横走して分枝しながら伸びる、草姿は叢生、茎は基本的に分枝せずに直立します。
葉序は根生または互生、葉身の長さ約30~60cm、葉身の幅は約0.5~1.2cm、葉身の形は剣形または剣状線形、 葉脈は平行脈、葉の色は緑色、葉の向きは直立します。
花序は茎の先端の苞から2~3個の花をつけますが同時に咲くのは普通1個です。花の大きさは直径が約12cm、苞の数は3~5枚、萼片の数が3枚・花弁の数が3枚・雄蕊の数が3本・雌蕊(子房3・花柱1・柱頭3)です。萼片の形は倒卵形、萼片の長さ約5~7cm、萼片の色は紫色または青紫色で基部の中肋に沿うように白色の班が入り、萼片の向きは湾曲しながら垂れ下がる。花弁の形は倒披針形、花弁の長さ約5~6cm、花弁の色は紫色または青紫色、花弁の向きは直立する。雄蕊は雌蕊の裏側にくっつくように隠れてある。雌蕊の花柱の形は花弁状、雌蕊は上部で分裂して柱頭が3個あり、柱頭は普通は萼片に重なり先端が内側に巻きます。
果実は蒴果、蒴果の形は楕円形で長さは約4~5cm、果実は成熟すると緑色から褐色へと変化して、果皮が三裂して種子を放出します。
カキツバタの主な園芸品種の紹介
もろこし舟(モロコシフネ)
カキツバタ もろこし舟(モロコシフネ)は花の色が鮮やかな赤紫色をしており、奥ゆかしさや艶やかさ、上品さを感じさせる園芸品種です。カキツバタ もろこし舟は水生植物のため、主に水辺の浅瀬などで親しまれています。
渡り舟(ワタリブネ)
カキツバタ 渡り舟(ワタリブネ)は花の色が赤紫色と白色で、上品さと艶やかさを感じさせる園芸品種です。そのため、大人っぽく優美な印象を与えるエレガントなお庭などによくあいます。カキツバタ 渡り舟は水生植物のため、主に水辺の浅瀬などで親しまれています。
朝の袖(アサノソデ)
カキツバタ 朝の袖(アサノソデ)は、花の萼片が袖のように垂れ下がり優雅な見た目をしている所と、花の色が鮮やかな赤紫色で上品な見た目をしている所が特徴の園芸品種です。
アイリス(アヤメ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
カキツバタ(天の釣舟)の育て方
花壇の土づくり
日当り
カキツバタ(天の釣舟)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事も出来ますが、日向と比べると花数が少なくなったり、生育が悪くなったりする傾向があります。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。
- 暗い日陰とは、森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
環境と水深
カキツバタは、自生地が湿地や池の浅瀬などにある抽水性植物です。そのため、植物体の下部が常に水の中にある事を好みます。
育てる環境は池の浅瀬など、水深は5~15cm程度の場所で育てると良いでしょう。
- 湿性植物:植物体の根元が水に浸かる程度または水を多く含んでいる土壌を好む植物です。根が水中でも呼吸出来る仕組みを持っているため、水位がある程度上がっても短期間であれば問題なく育ちます。また常に水に浸かっていなくても土壌に湿り気があれば問題なく育つことが出来ます。
- 抽水性植物:植物体の根と下部の茎葉が水面下にあり、茎および葉の一部が水面上に出て生息している植物です。
- 浮葉性植物:植物体の根が水底についていて、水面に葉や花を浮かべる植物です。
- 浮遊性:植物体の根が水底についておらず、水面に浮かび漂いながら生息する植物です。
- 沈水性:植物体が完全に水面下にある植物です。
土壌の土質
カキツバタは、田んぼのような土での生育が良いため荒木田土がよく利用されます。また赤玉土を混ぜたり、黒土を混ぜて利用されることもあります。
植付け方法
- 植え付け時期
- 植え付けは一年を通して行えます。
- 植え付け場所
- 植物の大きさに合わせて、水深が5~15cm程度になる場所に植え付けましょう。抽水性植物のため、植物体の下部が常に水の中にあり、上部が出るように調節します。
- 植え方
- 根茎を地面に水平に置いたら、根茎の成長点(葉の位置)が地面から出るように調節して、根茎の残りの部分が隠れる程度に穴を掘ります。
- 根茎を穴の中に水平に置いて、根茎の成長点を地表に出し、残りの部分に土をかぶせます。
鉢土づくり
日当り
カキツバタ(天の釣舟)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事も出来ますが、日向と比べると花数が少なくなったり、生育が悪くなったりする傾向があります。
培養土
カキツバタは、自生地が湿地や池の浅瀬などにある抽水性植物です。そのため、培養土は、睡蓮などを育てる際に利用する、市販の水生植物用の培養土を選ぶと良いでしょう。
自作する場合は赤玉土や荒木田土を単体または配合して利用すると良いでしょう。
培養土の配合例
- 荒木田土+赤玉土=5:5(腰水で管理)
- 荒木田土+黒土=7:3(腰水で管理)
土を練る
水生植物の土は、一般的に粘土状にしてから植え付けが行われます。利用する培養土にもよりますが、普通は赤玉土や荒木田土などに水を加えて「耳たぶ程度の柔らかさ」までこねてから使用されます。
- 道具を準備
- 培養土(荒木田土など)・容器(タライやトロ舟など)・水・混ぜる道具(スコップなど)
- 培養土をこねる
- 容器に培養土を入れる。
- 培養土に水を少しずつ入れてかき混ぜる。
- 水を一気に入れるとヘドロ状になり利用できなくなるため、必ず少量ずつ水を入れる。
- 培養土と水を何度もかき混ぜて、培養土の柔らかさが「白玉」や「耳たぶ」を思わせる程度になれば完成です。
植付け方法
- 植え付け時期
- 植え付けは一年を通して行えます。
- 植え方
- 根茎を地面に水平に置いたら、根茎の成長点(葉の位置)が地面から出るように調節して、根茎の残りの部分は表面が隠れる程度に穴を掘ります。
- 根茎を穴の中に水平に置いて、根茎の成長点を地表に出し、残りの部分に土をかぶせます。根茎を深植えすると、腐敗する原因にもなるため、必ず根茎が半分程度でるか、表面が隠れる程度の浅さで埋めましょう。
- 水中に入れる
- 植物を植えた容器を、水の入った容器の中に沈めます。植物の大きさに合わせて、水深が5~15cm程度になるように調節しましょい。
水やりの仕方
カキツバタ(天の釣舟)は、常に水中にあるため水やりは不要です。
ただし、水中にヘドロが溜まるなどして汚れる事があるため、水中の状態を見ながら定期的に水の入れ替えをおこないましょう。
剪定のやり方
カキツバタ(天の釣舟)の剪定は、花がら摘みと古葉とりを行います。
花がら摘み
花がら摘みとは、花色が悪くなったり花の外観が崩れたりした咲き終わりの花を摘み取る事です。
花がら摘みを行う事で、腐敗した物が好きな灰色カビ病などの病気が予防出来たり、外観が良くなったりする効果があったりします。
花がら摘みのやり方
花は茎の上部に数個つき基本的に一個ずつ咲きます。個別に花を摘まなくても問題ありませんが、花が枯れたら一つ一つ摘んだ方が見た目が美しく、次の蕾も開花しやすくなります。
花の開花が完全に終わったら、葉の上まで戻り茎を剪定しましょう。葉は成長に必要なエネルギーを補充するのに役立つため、残しておきます。
古葉とり
古葉取りとは、枯れた葉や古い葉などの不要な葉を、葉の根元から取り除く事です。
古葉とりの目的
- 株元まで光が当たり、風通しが良くなることで多湿環境が改善されて病気や害虫の発生を抑制します。
- 抵抗力の落ちている古い葉を取り除くことで病気の発生を抑制できます。
古葉取りのやり方
株を観察して枯れた葉を発見したら取り除くようにしましょう。枯れた葉は病気の発生源になるとともに、光・風の通りも阻害します。
夏越しする方法
カキツバタ(天の釣舟)は夏の暑さに強く、基本的な育て方に従えば夏越し対策を特段行う必要はありません。
冬越しする方法
Hardiness:5~8
カキツバタ(天の釣舟)は、耐寒性がとても高いため基本的には冬越し対策不要です。
挿し木や株分けで増やす
カキツバタは株分けによって増やす事ができます。
株分けの方法
- 株分けに適する時期
- 株分けの頻度は二年から三年ごとに行います。
- 株分け時期は花後が適しています。
- 株を掘りあげる
- 株をスコップで掘りおこし、土を軽く落として根茎の広がりと芽(葉)の位置を確認します。
- 株を分割する
- 根茎に芽を付けて、園芸用のハサミまたはナイフを使って株を分割しましょう。
- 葉のカット
- 葉が大きい場合は吸水と蒸散のバランスをとるために、根元から10cm程度の場所で葉をカットします。
- 株分け後の管理
- 切り離した株は、そのまま土壌に植え付けましょう。植え付け方に関しては植付け方法をご覧下さい。
播種で増やす
カキツバタの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
カキツバタの病気
カキツバタの害虫
- アブラムシ