- 原産:
- 科:アヤメ(Iridaceae)
- 属:アヤメ/アイリス(Iris)
- 種:ハナショウブ(Iris ensata var. ensata)
- 別名:ジャパニーズ・ウォーター・アイリス(Japanese Water Iris)/ソード・リーブ・アイリス(Sword-Leaved Iris)/ジャパニーズ・アイリス(Japanese Iris)
- 品種:玉堂(ギョクドウ)
- 開花時期:6月~8月
- 花の色:紫色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 香り:
- 分類:多年草
- 草丈:約
- 貯蔵方法:
- 植付け時期:秋植え球根
- 誕生花:5月5日・5月10日・6月8日
- 花言葉:優雅・優しい心・うれしい知らせ
- 用途:切り花/球根植物
- 購入方法:ハナショウブ 玉堂(ギョクドウ)を楽天で購入
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ハナショウブ 玉堂(ギョクドウ)とは!?
- ハナショウブ 玉堂(ギョクドウ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達しており、萼片と花弁の形は円形または広卵形をしています。
- 花の色は紫色と白色、花の縁部分に白色の細覆輪がはいり、脈間もやや白色をおびる。
ハナショウブとは!?
ハナショウブの学名はIris ensata var. ensata、別名では「ジャパニーズ・ウォーター・アイリス(Japanese Water Iris)」「ソード・リーブ・アイリス(Sword-Leaved Iris)」「ジャパニーズ・アイリス(Japanese Iris)」等とも呼ばれるハナショウブの変種または栽培種です。
ハナショウブは野生に自生している原種ではありません。江戸時代に野山に自生するノハナショウブを集めて交配・選抜して作出された栽培種です。
ハナショウブは古典園芸として古くから親しまれており、交配された地域によって江戸系・肥後系・伊勢系・長井古種の四パターンに分類されています。また上記の他にも、海外で育種されたものが外国系として扱われており、品種群として購入する際の参考にされることもあるようです。
ハナショウブの語源(由来)
- 属名のIrisは、ギリシャ語で「虹」を意味する「ἶρις(îris)」からきており、またギリシャ神話に出てくる虹の女神(Iris)にも因んでいます。
- アイリスの名前の由来は花の色が虹のように多種多様にある所からきています。
- 種小名のensataはラテン語で「剣」を意味する「ensis」からきており、葉の形に由来します。
ハナショウブの特徴(魅力)
- ハナショウブの特徴は、花が初夏から夏頃に咲く所、野生種のノハナショウブと比較して花の直径が20cmに達する事もあり大きく豪華で花の色が豊富にある所、花弁や雄蕊がノハナショウブと比べて発達している傾向があり華やかな所、 葉の形が細い剣形をしていて中央にある中肋が目立つ所、立ち姿が真っ直ぐとしていて洗練された雰囲気がある所などにあります。
- ハナショウブは根茎アイリスに分類されており、地面下に肥大化した根茎があります。
- 根茎は太く横走しながら分枝して伸びる傾向があり、根茎から何本も株が生まれるため年を追うごとに株が増えて群生をつくります。
- 葉の形は細い剣形をしているためシャープで洗練された見た目をしており、直立または途中で湾曲して優雅に広がる傾向があります。
- 葉の中央には目立つ中肋があり、他のアイリスと比較することが出来ます。
- 開花期間は初夏から晩夏頃、花は茎の頂部の苞から二個の花を咲かせます。ただし同時に花を咲かせることはなく、基本的に一個ずつ花が咲きます。
- 花の大きさは約10~20cm、ノハナショウブと比べて花が大きいため豪華な見た目をしており、またノハナショウブと違い花弁や蕊が発達して大きい傾向があります。
- 花は切り花としても親しまれており、花瓶に生けて部屋に飾ることで豪華さ優雅さを演出することが可能です。
- 切り花の日持ちは、 管理の仕方などにも左右されますが花瓶の中で七日程度の日持ちがあります。
ハナショウブの草丈は約40~70cm、根茎は太く横走して分枝しながら伸びる、草姿は叢生、茎は基本的に分枝せずに直立します。
葉身の形は剣形または剣状線形、 葉脈は平行脈で中肋は隆起する、葉の色は緑色、葉の向きは垂直または途中で湾曲して外側に広がります。
花は苞の中に2個ありますが同時に咲くのは普通1個です。花の大きさは直径が約10~20cm、萼片の数が3枚・花弁の数が3枚・雄蕊の数が3本・雌蕊(子房3・花柱1・柱頭3)です。萼片の形は倒卵形、萼片の色は紫色・青色・桃色・黄色・白色、萼片の向きは湾曲しながら垂れ下がる。花弁の形は卵形または倒卵形、花弁の色は紫色・青色・桃色・黄色・白色、花弁の向きは直立または垂れ下がる。雄蕊は雌蕊の裏側にくっつくように隠れてある。雌蕊の花柱の形は花弁状、雌蕊は上部で分裂して柱頭が3個あり、柱頭の向きは外側に広がり先端が内側に巻きます。
果実は蒴果、蒴果の形は楕円形、果実は成熟すると緑色から褐色へと変化して、果皮が三裂して種子を放出します。
ハナショウブの園芸分類
古典園芸
江戸系
江戸系は、江戸時代に松平左金吾が全国各地から収拾した野生のノハナショウブを実生で品種改良した品種群です。著書の花菖培養録では300に近い品種を作出したと書かれています。
江戸系の特徴は、庭園などで群生させて楽しむ目的で品種改良されているため直射日光・風雨・病気に強くて育てやすい所、園芸品種が多くて多様な所などにあります。
伊勢系
伊勢系は、江戸時代の中期から後期にかけて、紀州藩士の吉井定五郎が現在の三重県松坂市周辺で独自に作出した品種群です。
特徴は、 花が三英咲きで大きな花弁が三枚深く垂れ下がる所、花の縁がちりめん状になる傾向がある所、幾つかの品種では雌蕊の先端に切れ込みが入る所、主として鉢物で栽培される所などにあります。
肥後系
肥後系は江戸時代の後期に、肥後藩主の細川斉護が熊本県(肥後)で作出した品種群です。細川斉護は門外不出を条件にして松平左金吾から江戸系の品種を譲り受けている記述が残っており、肥後系は江戸系を由来として作られている品種群です。
肥後系の特徴は、花が大輪で豪華な見た目をしている所、花は六英咲きで垂れ下がる萼片だけでなく花弁も大きく華やかな所、草丈は低く鉢植えの中で管理しやすい所等にあります。豪華絢爛で人気の高い品種群ですが、風雨に弱いと言われています。
長井古種
長井古種は山形県長井市で栽培されてきた品種群です。時代は江戸系よりも古い時代から栽培されている古種とも、明治時代に栽培されたものともいわれています。江戸系には属さず、地元の野生種が交配され作出されています。
原種に近い特徴を持っており、草丈が高く、花は三英咲きで萼片と比べて花弁が細く小さいです。一方で花の色が豊富にあります。
花の形
三英咲き
三英咲きは、原種に近く三枚の大きな萼片だけが目立つ花形です。
六英咲き
六英咲きは、花弁が萼片と同程度に大きく発達しているため、花は花弁が六枚あるように見える花形です。
八重咲き
八重咲きは、蕊が大きく発達して花弁化するため花弁が九枚以上あるように見える花形です。
平咲き
平咲きは、萼片の向きが水平に近く、殆ど垂れ下がらない花形です。
椀咲き
椀咲きは、萼片が緩く湾曲しながら垂れ下がるため、お椀を伏せた時のような見た目になる花形です。
垂咲き
垂咲きは、萼片や花弁が殆ど横に広がることなく、深く垂れ下がる花形です。
ハナショウブの切り花の楽しみ方
- 収穫タイミング
- 朝の涼しい時間帯もしくは夕方に収穫すると花に十分な水分が含まれているため水揚げしやすいです。
- 水揚げ
- 葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外しましょう。
- 水揚げの方法は水切りを行います。
- 花瓶に生ける
- 花瓶に水と延命剤を入れて花を生けましょう。
- 延命剤の効果は高く日持ちが長くなります。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが約7日です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
ハナショウブの主な園芸品種の紹介
桃山の宴(モモヤマノウタゲ)
- ハナショウブ 桃山の宴(モモヤマノウタゲ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達して萼片と花弁が六枚が並んでいます。
- 花の色はハナショウブでは珍しい桃色をしており、可愛らしさを感じさせます。
舞扇(マイオウギ)
- ハナショウブ 舞扇(マイオウギ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花は大輪で豪華な見た目をしており、花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達しており、平咲きのため萼片と花弁の六枚が水平に並んでいます。
- 花の色は紫色と白色、花の脈に白色の班がはいります。そのため、上品な印象を与える園芸品種です。
- 草丈は80cm程度になります。
京舞(キョウマイ)
- ハナショウブ 京舞(キョウマイ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 開花は早生で早くから花が楽しめる。
- 花の形は三英咲きのため三枚の萼片だけが大きくて円形をしており、垂れ咲きで萼片の向きは垂れ下がります。
- 花の色は紫色と白色、萼片に白色の砂子班がはいります。
登竜門(トウリュウモン)
- ハナショウブ 登竜門(トウリュウモン)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達しており、やや垂れる平咲きのため萼片と花弁の六枚が殆ど水平に並ぶ華やかな花姿が楽しめます。
- 花の色は濃い紫色と白色(黄色)、花の基部に白色のぼかしと黄色の班がはいります。そのため、上品さを感じさせる園芸品種です。
昇仙峡(ショウセンキョウ)
- ハナショウブ 昇仙峡(ショウセンキョウ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達しており、平咲きで萼片と花弁の六枚が殆ど水平に並ぶ華やかな花姿が楽しめます。
- 花の色は紫色と白色、花の中に白色の砂のような点状の砂子班がはいります。
- 肥後系は草丈が低くくなる傾向があるため鉢植えの中で楽しまれる事が多いです。
七彩の夢(ナナイロノユメ)
- ハナショウブ 七彩の夢(ナナイロノユメ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達しており、萼片と花弁の形は円形、平咲きで萼片と花弁の六枚が殆ど水平に並ぶ華やかな花姿が楽しめます。
- 萼片と花弁は縁部分がフリル状に波打つため優雅な見た目をしています。
- 花の色は紫色と白色、縁部分に紫色の覆輪がはいります。
千早の昔(チハヤノムカシ)
- ハナショウブ 千早の昔(チハヤノムカシ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花は大輪で豪華な見た目をしており、花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達して萼片と花弁が六枚が並びます。
- 花の色は濃い紫色と黄色、花の基部に黄色の班がはいります。そのため、強いコントラストが出てカラフルな花色が楽しめます。
麗月(レイゲツ)
- ハナショウブ 麗月(レイゲツ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達しており、萼片と花弁の形は円形、平咲きで萼片と花弁の六枚が殆ど水平に並ぶ華やかな花姿が楽しめます。
- 花の色は紫色と白色、縁部分に紫色の覆輪がはいります。
桜月夜(サクラヅキヨ)
- ハナショウブ 桜月夜(サクラヅキヨ) は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達しており、萼片と花弁の形は円形または広卵形をしています。
- 花の色は白色から薄い桃色で、多くのハナショウブと同様に基部に黄色の班がはいります。
筑紫路(チクシジ)
- ハナショウブ 筑紫路(チクシジ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達しており、萼片と花弁の形は円形または広楕円形をしています。
- 花の色は紫色と白色、花の中に白色の砂子班が入ります。
稲妻(イナズマ)
- ハナショウブ 稲妻(イナズマ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花の大きさは大輪、花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達しており、萼片と花弁の形は幅広な円形で密に重なっています。
- 花の色は紫色、花の脈に濃い紫色の脈班がはいります。
玉堂(ギョクドウ)
- ハナショウブ 玉堂(ギョクドウ)は日本の古典園芸で肥後系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達しており、萼片と花弁の形は円形または広卵形をしています。
- 花の色は紫色と白色、花の縁部分に白色の細覆輪がはいり、脈間もやや白色をおびる。
五月晴(サツキバレ)
- ハナショウブ 五月晴(サツキバレ)は日本の古典園芸で江戸系に分類されている園芸品種です。
- 花の大きさは中輪、花の形は六英咲きのため花弁が大きく発達して萼片と花弁が六枚が並んでおり、平咲きするため萼片と花弁が水平に広がります。
- 花の色は白色と薄紅色、花の脈に薄紅の脈班がはいります。そのため、可愛いをテーマにするお庭などにピッタリな園芸品種です。
- 江戸系は直射日光・風雨・病気に強いため庭園などの中で群生させて楽しむのに向いています。
万里の響(バンリノヒビキ)
- ハナショウブ 万里の響(バンリノヒビキ)は日本の古典園芸で江戸系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は三英咲きのため三枚の萼片だけが大きくて円形をしており、基本は平咲きで萼片の先端が垂れ下がる傾向にあります。
- また花の縁部分はちりめん状になる傾向にあります。
- 花の色は白色と紫色、萼片の脈に紫色の脈班がはいり、花弁と雌蕊は紫色です。
- 江戸系は直射日光・風雨・病気に強いため庭園などの中で群生させて楽しむのに向いています。
潮流(チョウリュウ)
- ハナショウブ 潮流(チョウリュウ)は日本の古典園芸で江戸系に分類されている園芸品種です。
- 花の大きさは大輪、花の形は三英咲きで萼片は円形をしており、平咲きで萼片の三枚が殆ど水平に並ぶ華やかな花姿が楽しめます。
- 花の色は濃い青色と白色、花の脈に沿って白色の脈班がはいります。
初紫(ハツムラサキ)
- ハナショウブ 初紫(ハツムラサキ)は日本の古典園芸で江戸系に分類されている園芸品種です。
- 花の大きさは15cm程度あり、花の形は三英咲きで萼片は円形をしており、平咲きのため萼片は殆ど水平に広がります。
- 花の色は濃い紫色で、多くのハナショウブと同様に基部に黄色の班がはいります。
小笹川(コザサガワ)
- ハナショウブ 小笹川(コザサガワ)は日本の古典園芸で江戸系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は三英咲きのため三枚の萼片だけが大きくて、萼片の形は円形から広卵形、花の向きは平咲きで萼片は殆ど水平に並び花弁と雌蕊は直立または斜上します。
- 花の色は紫色と白色、萼片は白地に紫色の脈班が入り、花弁と雌蕊は濃い紫色をしています。
初相生(ハツアイオイ)
- ハナショウブ 初相生(ハツアイオイ)は日本の古典園芸で江戸系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は三英咲きのため三枚の萼片だけが大きい、萼片の形は円形、萼片の向きは平咲きでやや垂れます。
- 花の色は白色と紫色、萼片の色は白色に紫色の脈班が入る、花弁と雌蕊は紫色です。
朝日空(アサヒゾラ)
- ハナショウブ 朝日空(アサヒゾラ)は日本の古典園芸で伊勢系に分類されている園芸品種です。
- 花の大きさは小中輪、花の形は三英咲きで萼片は円形をしており、垂れ咲きのため萼片は垂れ下がります。
- 花の色は桃色と白色(黄色)、花の脈に沿って白色または黄色の脈班がはいります。
白仙(ハクセン)
- ハナショウブ 白仙(ハクセン)は日本の古典園芸で伊勢系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は三英咲きで萼片の形は幅広の円形をしているためぽっちゃりとした見た目をしています。
- 花の色は白色、雌蕊の縁部分に紫色の細覆輪がはいります。
水涼花(スイリョウカ)
- ハナショウブ 水涼花(スイリョウカ)は日本の古典園芸で伊勢系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は三英咲きで、萼片の形は円形、花弁と雌蕊は小さく向きは斜上に伸びます。
- 花の色は白色をしているため明るさや神聖さを感じさせる魅力的な品種です。
春眠(シュンミン)
- ハナショウブ 春眠(シュンミン)は日本の古典園芸で伊勢系に分類されている園芸品種です。
- 花の形は三英咲きで、萼片の形は円形、花の向きは垂れ咲きです。
- 花の色はほんのりと桃色に染まる白色です。
出羽の里(デワノサト)
- ハナショウブ 出羽の里(デワノサト)は日本の古典園芸で長井古種に分類されている園芸品種です。
- 花は三英咲きのため萼片と比べて花弁と雌蕊が小さくて、花弁は直立して雌蕊は萼片の上に重なるように倒れます。そのため、シャープな見た目をしており、また萼片・花弁・雌蕊の形がハッキリと確認できて楽しめます。
- 花の色は萼片が白色と紫色、花弁と雌蕊は濃い紫色をしています。そのため、上品さを感じさせるエレガントなお庭などによくあいます。
- 長井古種は草丈が高くなる傾向があるため、庭園などの中で群生させて楽しむのに向いています。
アイリス(アヤメ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ハナショウブ(玉堂)の育て方
花壇の土づくり
日当り
ハナショウブ(玉堂)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事も出来ますが、日向と比べると花数が少なくなったり、生育が悪くなったりする傾向があります。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。
- 暗い日陰とは、森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
環境と水深
ハナショウブは、植物体の根元が水に浸かる程度または水を多く含んでいる土壌を好む湿性植物です。そのため、基本的に常に湿った状態で管理します。
ただし常に水の中に株があると根張りが悪くなったり、生育が悪くなる傾向があります。そのため、水辺の近くに植えても水中には植えない方が良いでしょう。
- 湿性植物:植物体の根元が水に浸かる程度または水を多く含んでいる土壌を好む植物です。根が水中でも呼吸出来る仕組みを持っているため、水位がある程度上がっても短期間であれば問題なく育ちます。また常に水に浸かっていなくても土壌に湿り気があれば問題なく育つことが出来ます。
- 抽水性植物:植物体の根と下部の茎葉が水面下にあり、茎および葉の一部が水面上に出て生息している植物です。
- 浮葉性植物:植物体の根が水底についていて、水面に葉や花を浮かべる植物です。
- 浮遊性:植物体の根が水底についておらず、水面に浮かび漂いながら生息する植物です。
- 沈水性:植物体が完全に水面下にある植物です。
土壌の土質
ハナショウブは、田んぼのような粘土質な土壌での生育が良いため荒木田土がよく利用されます。また赤玉土を混ぜたり、黒土を混ぜて利用されることもあります。
また抽水性植物のカキツバタと違い乾燥にも耐えるため、保水性の高い普通の土壌でも育てる事が可能です。
植付け方法
- 植え付け時期
- 植え付け適期は花後です。
- 植付け間隔
- 植付け間隔は30~50cm程度離します。
- 根茎は成長点(葉の位置)の方に向かって広がるため、根茎と根茎は同じ方向に向けて並べましょう。
- 植え方
- 根茎を地面に水平に置いたら、根茎の成長点(葉の位置)が地面から出るように調節して、根茎の残りの部分は表面が隠れる程度に穴を掘ります。
- 根茎を穴の中に水平に置いて、根茎の成長点を地表に出し、残りの部分に土をかぶせます。
鉢土づくり
日当り
ハナショウブ(玉堂)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事も出来ますが、日向と比べると花数が少なくなったり、生育が悪くなったりする傾向があります。
培養土
ハナショウブは田んぼのような土での生育が良いため、荒木田土の単体または赤玉土などを混ぜて越水で管理されながら育てられる事が多いですが、保水性の高い培養土で育てることもできます。
越水で管理する場合は、荒木田土の単体または赤玉土を配合して、水で練ってから利用すると良いでしょう。詳しくは下記をご覧下さい。
培養土の配合例
- 荒木田土+赤玉土=5:5(腰水で管理)
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土+バーミキュライト=5:3:2
- 赤玉土(小粒・中粒)+ピートモス+腐葉土=5:2:3
土を練る
水生植物の土は、一般的に粘土状にしてから植え付けが行われます。利用する培養土にもよりますが、普通は赤玉土や荒木田土などに水を加えて「耳たぶ程度の柔らかさ」までこねてから使用されます。
- 道具を準備
- 培養土(荒木田土など)・容器(タライやトロ舟など)・水・混ぜる道具(スコップなど)
- 培養土をこねる
- 容器に培養土を入れる。
- 培養土に水を少しずつ入れてかき混ぜる。
- 水を一気に入れるとヘドロ状になり利用できなくなるため、必ず少量ずつ水を入れる。
- 培養土と水を何度もかき混ぜて、培養土の柔らかさが「白玉」や「耳たぶ」を思わせる程度になれば完成です。
植付け方法
- 植え付け時期
- 植え付け適期は花後です。
- 植付け間隔
- 根茎は成長点(葉の位置)の方に向かって広がるため、そちらにスペースをあけるようにして植え付けます。
- 植え方
- 根茎を地面に水平に置いたら、根茎の成長点(葉の位置)が地面から出るように調節して、根茎の残りの部分は表面が隠れる程度に穴を掘ります。
- 根茎を穴の中に水平に置いて、根茎の成長点を地表に出し、残りの部分に土をかぶせます。
- 腰水する場合
- 鉢の大きさよりも幅が大きな容器を準備して、容器の中に植物を植えた鉢を置きます。
- 容器の中に水を入れて、鉢底から水を吸水できる状態にしましょう。水を入れる量は鉢の高さの半分程度を目安にします。
水やりの仕方
ハナショウブ(玉堂)は、休眠状態にある冬を除いて、春から秋の生育期間は常に土壌に湿り気がある状態を好みます。
土壌が乾燥すると生育不良を引き起こしたり、また開花期間に水切れを引き起こすと、花の蕾が綺麗に開かずに萎む事もあります。そのため、環境にもよりますが、定期的な水やりが必要になります。
また冬の期間も休眠状態にありますが、完全に乾いた状態は好みません。そのため、冬も土壌の状態を見ながら必要に応じて水やりが必要になってきます。
水やりの方法
水やりの頻度は、周囲からの水の集まりやすさ、土壌の保水性、気候などによっても変わりますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
また鉢植えで育てている場合は、定期的に水やりをするよりも、腰水で管理する方がよいでしょう。特に春から秋にかけての生育期間中は、常に湿った状態を求めているため腰水で管理する方が安心です。※腰水に関しては植付け方法からご覧下さい。
剪定のやり方
ハナショウブ(玉堂)の剪定は、花がら摘みを行います。
花がら摘み
花がら摘みとは、花色が悪くなったり花の外観が崩れたりした咲き終わりの花を摘み取る事です。
花がら摘みを行う事で、腐敗した物が好きな灰色カビ病などの病気が予防出来たり、外観が良くなったりする効果があったりします。
花がら摘みのやり方
花は茎の上部に数個つき基本的に一個ずつ咲きます。個別に花を摘まなくても問題ありませんが、花が枯れたら一つ一つ摘んだ方が見た目が美しく、次の蕾も開花しやすくなります。
一般的に茎の上部に花を数個つけますが、この花の開花が終わったら、葉の上まで戻り茎を剪定しましょう。葉は成長に必要なエネルギーを補充するのに役立つため、残しておきます。
挿し木や株分けで増やす
ハナショウブは株分けによって増やす事ができます。
株分けの方法
- 株分けに適する時期
- 株分けの頻度は三年から五年ごとに行います。
- 株分け時期は花後が適しています。
- 株を掘りあげる
- 株をスコップで掘りおこし、土を軽く落として根茎の広がりと芽(葉)の位置を確認します。
- 株を分割する
- 根茎に芽を付けて、園芸用のハサミまたはナイフを使って株を分割しましょう。
- 葉のカット
- 葉が大きい場合は吸水と蒸散のバランスをとるために、根元から10cm程度の場所で葉をカットします。
- 株分け後の管理
- 切り離した株は、そのまま土壌に植え付けましょう。植え付け方に関しては植付け方法をご覧下さい。