- 原産:メキシコ/中央アメリカ
- 科:キク(Asteraceae)
- 属:ダリア(Dahlia)
- 別名:テンジクボタン
- 品種:宴(うたげ)
- 開花時期:4月~11月(夏は普通休む)
- 花の色:赤紫色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 草丈:約70~100cm
- 貯蔵方法:湿潤貯蔵
- 植付け時期:春植え球根
- 誕生花:7月29日/9月10日
- 花言葉(全体):優雅/気品/感謝/背信/移り気/不安定
- 花言葉(赤色):華麗
- 花言葉(黄色):栄華/優美
- 花言葉(白色):感謝/豊かな愛情
- 用途:開花期間長い/カラーリーフ/背が高い花/切り花/球根植物
- 購入方法:ダリア(宴)を楽天で購入
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ダリア(宴)の特徴
- ダリア(宴)の特徴は、赤紫色と白色の花色が上品さと雅さを感じさせる所、花のサイズは中輪で大きいため強い存在感を感じさせる所、花の形は八重咲きで花弁が規則正しく並ぶため豪華さと洗練された印象を与える所などにあります。
- そのため、高貴さを感じさせる格式高いお庭や、上品さや優雅さをテーマにするエレガントなお庭などにピッタリな品種です。
- 草姿は直立、草丈は中性(70~100cm)、花のサイズは中輪、花の形は八重咲き、舌状花は幅広で扁平になり、花芯付近の舌状花は側面が内向きに緩く巻く傾向があり、花の色は赤紫色と白色、基部が赤紫色です。
ダリアとは!?
ダリアの学名はDahlia、和名では「テンジクボタン」とも呼ばれる多年草です。ダリア属の中には約42種があり、原産地はメキシコと中央アメリカにあります。
ダリアの最初の発見は1570年代、スペインのフェリペ二世により派遣されたFrancisco Hernandezが、ダリアの原種と思われる植物を発見して、AcocotliとCocoxochitlとして記述してヨーロッパに紹介しました。
ダリアがヨーロッパに渡るのは1789年、メキシコシティ植物園の園長Vicente Cervantesが、マドリッドの王立植物園の園長Antonio José Cavanilles (1745 – 1804)に植物の一部を送り、彼はDahlia pinnataとDahlia roseaとDahlia coccineaの三種を育てました。
1800年代になるとダリアの交配が盛んに行われるようになります。1800~1900年の間には何千もの新しい品種が生み出されたといわれており、1900年代になると名前付きだけでも数万の品種が生み出されており、現在に至るまで絶え間なく沢山の品種が生み出され続けています。
ダリアの語源(由来)
- 属名のDahliaは、リンネの弟子でスウェーデンの植物学者であるAnders Dahl(1751~1789)への献名です。
- 1791年にスペインの植物学者であるAntonio José Cavanillesによって命名されました。
ダリアの特徴(魅力)
- ダリアの特徴は、花のサイズが5cm以下から30cmを超える品種もありバリエーション豊かな所、RHS(英国王立園芸協会)の定める分類では花の形が14種類に分けられておりシンプルなものから個性豊かなものまで幅広く楽しめる所、花の色は青色以外ほとんどの色がある所、開花期間が春から秋まで長い所、幾つかの品種で黒葉や紫葉などがあるためカラーリーフとしても楽しめる所、丈夫で育てやすい所等にあります。
- ダリアは、豪華な花を鑑賞する目的・花を収穫して花材として楽しむ目的・葉をカラーリーフとして楽しむ目的等で栽培されており、非常に人気の高い植物です。
- 草姿は直立または扇状に開帳する傾向があり、分枝は斜上、茎の内部は中空、茎の質感は太く丈夫で、茎の色は緑色から淡い褐色、茎の基部は木質化するものもあります。
- 茎は質感が硬く、茎の中は中空構造のため、風等の衝撃でポキッと折れやすい傾向にあります。そのため、風の影響を受けやすい高性品種や花が大きい品種などは支柱を使って育てた方が良いでしょう。
- ダリアの球根の分類は塊根、塊根とは根の部分が肥大化した球根です。
- ダリアは肥大化した根の部分ではなく、先端の茎の部分に芽が出るため、繁殖する際は芽の位置を確認して、球根に茎と芽を付けた状態で分球する事が大切です。
- 葉序は対生葉序、葉身の形は単葉または1回羽状複葉か2回羽状複葉、小葉の形は楕円形または卵形、葉縁部には鋸歯があり、葉の色は緑色・紫色・赤褐色・黒色などがある。
- ダリアの葉は光を通すレースのようなお洒落な形をしており、緑色の他に紫色・赤褐色・黒色などがあります。そのため、カラーリーフとしても楽しまれる植物です。
- 開花期間は春から晩秋、ただし日本の気候では暑すぎるため開花が止まる傾向にあり、また大輪系よりも小輪系の方がよく咲く傾向にあります。
- 花序は頭状花序、花径は約5~30cm以上、花の構成は総苞(内側・外側)・花冠(舌状花・筒状花)です。
- 総苞は内側と外側の二列、内側の総苞は外側よりも長くて形が線形から狭楕円形、色は一般的にクリーム色です。外側の総苞は数が5個、形は楕円形から倒披針形、色は緑色です。
- 舌状花は花序の外周にあり8枚以上、舌状花の形は楕円形・倒卵形・倒披針形等があり、色は青色以外の殆どの色があります。
- 筒状花は花序の中央で円盤状に多数集まる、色は一般的に黄色です。※八重咲き品種の中には筒状花のない品種もあります。
- ダリアの主な用途
- ダリアは、開花期間が長くて、豪華な花を咲かせるため、花を観賞用として楽しむ目的で利用されます。観賞の仕方に関しては花壇に並べたり鉢植えの中で楽しまれることはもちろんのこと、背の高い品種は背景として利用されたり、背の低い品種は縁どりとして利用されたり、コンパクトな品種は寄せ植えの素材として利用されることもあります。
- ダリアの葉は光を通すレースのようなお洒落な形をしていて、品種によっては葉の色が紫色・赤褐色・黒色をしていたりします。そのため、格式の高さや上品さを感じさせるカラーリーフとして楽しまれる事もあります。
- ダリアは花が咲いた後に収穫して、切り花にして利用される事も多いです。
- 切り花の日持ちは品種によっても差がある事が知られており、日持ちが5日程度しかないものや、逆に11日程度保つものもあります。日持ちのよい品種を作るために育種も進められているため、ダリアを切り花として利用する場合は切り花に向く品種を探すのもよいかもしれません。
- ダリアの塊根はメキシコの先住民により古くから食用・薬用として利用されてきました。しかし、一般的には鑑賞用として利用されており、メキシコでもあまり食べられていません。品種改良も基本的に味や栄養よりも見た目が重視されています。
- ダリアの栽培時の注意点
- ダリアは基本的に丈夫な植物ですが、栽培する際は「冬の霜や凍結」に注意する必要があります。
- 霜とは、季節が晩秋頃から翌年の早春頃、時間は早朝に起こり、空気中の水蒸気が地面や植物の表面に氷の結晶となって付着する現象です。ダリアは軽い霜であったり、球根が深めに植えてあれば影響を回避する事もありますが、霜で球根が腐敗してダメになるリスクがあるため掘りあげて湿潤貯蔵するなどの対策をとった方が良いでしょう。
ダリアの切り花の楽しみ方
- 収穫タイミング
- ダリアは収穫後に花が開きにくいため、花が完全に開いているか殆ど開いてるタイミングで行いましょう。
- 朝の涼しい時間帯もしくは夕方に収穫すると花に十分な水分が含まれており水揚げしやすくなります。
- 水揚げ
- 葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外しましょう。
- 水揚げの方法は水切りもしくは湯揚げを行います。
- 花瓶に生ける
- 花瓶に水と延命剤を入れて花を生けましょう。
- 延命剤の効果は高く日持ちが長くなります。
- 管理
- 直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。
- ダリアは品種によっても変わりますが基本的にエチレンの感受性が高い事からエチレンが発生する場所から離して管理した方が良いでしょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが約5~11日、花弁が萎凋して元気がなくなってきたら終わりです。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
エチレン
エチレンは植物の世界では植物ホルモンの一つとして働いています。一般的には植物の成長の阻害や老化、成熟等に関与しており、切り花の世界では日持ちが短縮する要因として知られています。エチレンの感受性が低い切り花(キク・ガーベラ等)はエチレンの影響を受けにくいですが、エチレンの感受性が高い切り花(カスミソウ・スイートピー等)はエチレンの発生源から遠ざけて管理した方が良いでしょう。
エチレンの発生源
果実(バナナ・リンゴ・アボカド等)・枯れた植物(花がら等)・植物が病原菌に感染した部位・植物が損傷部位・たばこ・線香の煙・排気ガス等
ダリアの園芸分類
花の形の分類
シングル咲き(Sin)
- 花の形は一重咲き
- 舌状花の数は8枚~10枚程度、舌状花の形は基本的に均一で捻れや巻きがなく、外周に一列に並びます。
- 筒状花は中央に円盤状に集まり、筒状花は著しい発達がなく通常サイズです。
アネモネ咲き(Anem)
- 花の形一重咲きか半八重咲きで舌状花が一列または複数列に並びます。
- 中央にある筒状花がシングル咲きの筒状花よりも長く発達していて、中央で盛り上がる形状をしています。
コラレット咲き(Col)
- 花の形は一重咲き、舌状花の内側に副花冠をもっています。
- 舌状花の数は8枚~10枚、外周に一列に並びます。
- 副花冠の数は多数、サイズは長さ幅ともに舌状花よりも著しく小さく、舌状花の上に乗るように内側に付きます。
- 筒状花は中央に円盤状に集まり、筒状花は著しい発達がなく通常サイズです。
ピオニー咲き(P)
- 花の形は半八重咲き
- 舌状花の形は基本的に均一で捻れや巻きがなく、外周に二列から五列に並びます。
- 筒状花は中央に円盤状に集まり、筒状花は著しい発達がなく通常サイズです。
オーキッド咲き(SinO)
- 花の形は一重咲き
- 舌状花の形は筒状で、舌状花は内向きに横側が2/3以上巻きます。
- 筒状花は中央に円盤状に集まり、筒状花は著しい発達がなく通常サイズです。
ステラー咲き(DblO)(ST)
- 花の形は八重咲きか半八重咲き
- 舌状花の形は筒状 、舌状花は内向きに横側が2/3以上巻きます。
- 筒状花はある場合とない場合がある。
スイレン咲き(WL)
- 花の形は八重咲き
- 花の直径に対して、花の高さが半分未満しかないため、花全体が扁平な見た目をしています。
- 舌状花の数は少ない傾向にあり、舌状花の形は横幅が広く丸みがあり、湾曲が少なく殆ど真っ直ぐか内側に少し巻きます。
フォーマル・デコラティブ咲き(FD)
- 花の形は八重咲き
- 舌状花の形は幅広で、真っ直ぐ扁平になりますが、花芯付近の舌状花は側面が内向きに緩く巻く傾向がある。※個体によっては巻きが強くなりボール咲きのように見える場合があります。
- 筒状花はないか舌状花に隠れて見えない状態にあります。
- 広義ではデコラティブ咲きに分類されています。
インフォーマル・デコラティブ咲き(ID)
- 花の形は八重咲き
- 舌状花には捻れや巻き等がある。
- 筒状花はないか舌状花に隠れて見えない状態にあります。
- 広義ではデコラティブ咲きに分類されています。
ストレートカクタス咲き(STC)
- 花の形は八重咲き
- 舌状花は外向きに横側が半分以上巻きチューブ状になります。
- チューブ状の舌状花は湾曲することなく真っ直ぐと伸びます。
- 広義ではカクタス咲きに分類されています。
インカーブドカクタス咲き(IC)
- 花の形は八重咲き
- 舌状花は外向きに横側が半分以上巻きチューブ状になります。
- チューブ状の舌状花は、先端が内側に向かって縦方向に湾曲するため丸みを帯びたカップ状の外観となります。
- 広義ではカクタス咲きに分類されています。
フリル咲き
- 花の形は八重咲き
- 舌状花は外向きに横側が巻きチューブ状になる傾向があり、舌状花の先端が裂けてフリル状になります。
セミカクタス咲き(SC)
- 花の形は八重咲き
- 舌状花は外向きに横側が25%以上から半分未満の間で巻きます。
- 舌状花の基部は幅広、舌状花の先端が巻き、外観は三角形のようになる傾向にあります。
ボール咲き(Ba)
- 花の形は八重咲き
- 舌状花は全長の75%以上の側面が、内向きに湾曲します。※個体により湾曲が緩くデコラティブ咲きのように見える場合もある。
- 花全体の外観がボールのように丸い見た目となる。
- ボール咲きは花の直径5cm以上あり、外観が似ているポンポン咲きよりも大きいです。
ポンポン咲き(Pom)
- 花の形は八重咲き
- 舌状花は全長の75%以上の側面が、内向きに湾曲します。※個体により湾曲が緩くデコラティブ咲きのように見える場合もある。
- 花全体の外観がボールのように丸い見た目となる。
- ポンポン咲きは花の直径が5cm未満、外観が似ているボール咲きよりも小さいです。
ノベルティー咲き(NOV)
- 前述のどの花形にも属さない咲き方をするダリアです。
花のサイズ
名称 | 花のサイズ |
---|---|
極小輪 | 5cm前後 |
小輪 | 10cm前後 |
中小輪 | 13cm前後 |
中輪 | 17cm前後 |
中大輪 | 21cm前後 |
大輪 | 24cm以上 |
巨大輪 | 28cm以上 |
超巨大輪 | 30cm以上 |
ポンポン | 5cm未満 |
ボール | 5cm以上 |
草丈
名称 | 高さ |
---|---|
矮性 | 50cm以下 |
中矮性 | 50~70cm |
中性 | 70~100cm |
中高性 | 100~120cm |
高性 | 120~150cm |
極高性 | 150cm |
ダリアの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ダリア(宴)の育て方
花壇の土づくり
日当り
ダリア(宴)は、日向もしくは半日影で育てる事が出来ます。日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせますが、夏の暑さが厳しい地域では強光や高温などの複合的なストレスにより生育不良を引き起こしやすいです。
理想的な環境は気温にも左右されるため、夏の暑さが厳しい地域では西日の当たらない半日影で育てたり、冷涼な地域であれば日向で管理してあげると良いでしょう。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。
- 暗い日陰とは、森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
ダリアは、通気性・排水性・保水性のバランスが良く、有機物がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。
注意することは粘土質な土壌を避けることです。ある程度の水分を保った土壌で、最もよく成長しますが、水分が停滞するような土壌では根腐れを引き起こします。
そのため、植え付けの前に土壌診断を行い、土壌の通気性と保水性のバランスを改善して、腐葉土等の有機物を入れ肥沃な土壌に改善しましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土やバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
- PHを測る専用の道具を用意して診断します。※詳しくはPHを診断からご覧下さい。
- 酸性土壌を改善して土壌を中性またはアルカリ性にしたい場合は、苦土石灰を利用します。PHを1上げるのに必要な苦土石灰の量は1平方メートルあたり150g程度です。土壌に苦土石灰を撒いた後は、石灰が塊にならないようによく混和します。
- アルカリ性土壌を改善して酸性に傾けたい場合は無調整ピートモス(PH4程度)を利用しましょう。ピートモスを腐葉土のかわり等に利用して、よく混和しましょう。
植付け方法
- 植え付け時期
- 4月から5月頃
- 植え穴の深さ
- 植え穴の深さは球根の大きさに合わせて、地面から5~10cm掘ります。
- 植付け間隔
- 植付け間隔は30~50cm程度離します。
- 植え方
- 球根の発芽点を上向きにして穴の中に球根をおきます。
- 球根の発芽点の傍に一本から四本の支柱をさします。※花の小さな品種も倒伏して地面を這うように成長する事があるため支柱をした方が良いでしょう。
- 球根の上に土を被せます。
鉢土づくり
日当り
ダリア(宴)は、日向もしくは半日影で育てる事が出来ます。日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせますが、夏の暑さが厳しい地域では強光や高温などの複合的なストレスにより生育不良を引き起こしやすいです。
そのため季節に合わせて管理する環境を変えてあげると良いでしょう。
培養土
ダリアの培養土は、一般的な草花の培養土を選ぶと良いでしょう。
自作する場合は通気性・排水性・保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土を作ると良いでしょう。
培養土の配合例
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+ピートモス+腐葉土=5:2:3
植付け方法
- 植え付け時期
- 4月から5月頃
- 植え穴の深さ
- 植え穴の深さは球根の大きさに合わせて、地面から5~10cm掘ります。
- 植え方
- 球根の発芽点を上向きにして穴の中に球根をおきます。
- 球根の発芽点の傍に支柱をさします。※花の小さな品種も倒伏して地面を這うように成長する事があるため支柱をした方が良いでしょう。
- 球根の上に土を被せます。
水やりの仕方
ダリア(宴)は、水やりの頻度が少なめで管理が楽な植物です。
過剰な水やりや、生育期間以外で水やりをすると球根が腐敗することもあるため注意が必要です。
植え付け後
ダリアの球根を植え付けたら、水を一度だけたっぷりと与えます。鉢植えで育てている場合は、鉢底から水が出てくるまで水を与えましょう。
その後、土壌の表面から芽が出てくるまでは、水やりを止めます。※水が不要な時期に沢山の水を与えると腐敗する原因にもなるため注意が必要です。
発芽後の水やり
発芽後は、水やりを定期的に行いましょう。
基本的に土壌の中で乾燥と湿潤を繰り返すことで、植物の根は水を求めて深くまで張るようになります。根張りがしっかりとした株は、栄養と水分の吸収力が高まり株が大きく丈夫に育つため、水分の管理をしっかり行う事も大切です。
水やりの頻度と与え方
- 水やりのタイミングは、土壌の表面が2cm程度乾いてきたら行うといいでしょう。乾燥の確認方法は、土の色の変化を見たり、土の中に指を入れて確認する方法等があります。不安な場合はサスティーを利用すると良いでしょう。
- 水やりの頻度は季節や気候・周囲の環境・土質によっても左右されるため一概ではありません。土壌の状態をみながら水やりを繰り返して、少しづつ掴んでいくと良いでしょう。
肥料の与え方
ダリア(宴)は、肥沃な土壌に植えられて、しっかり肥料を与えられる事で、株を大きく成長させて持続的な開花が生み出されます。
そのため、生育期間中は肥料をしっかり与える事が大切です。
堆肥の与え方
- 堆肥を入れる時期
- 植え付け時、または冬から早春に堆肥を入れます。
- 堆肥の入れ方
- 地植えの場合は土壌改良を行い堆肥(腐葉土や牛糞堆肥等)をいれて混和するか、株の上に堆肥を盛るか、周囲に穴を掘り堆肥を入れましょう。
- 鉢植えの場合は、植え替え時に牛糞や腐葉土のしっかり入る新しい培養土を使うか、古い土を再利用する場合は、古い土の中に二割から五割ほど新しい土を混ぜて再利用しましょう。
肥料の与え方
- 肥料を与える時期
- 春から秋にかけて定期的に肥料を与えましょう。
- 肥料の選び方
- 元肥:肥効が緩やかに出る有機肥料または緩効性肥料を選びましょう。肥料の成分は窒素・リン・カリがバランスよく入る水平型肥料がおすすめです。
- 追肥:肥効が早く出る有機肥料・化成肥料(固形肥料)・液肥が利用がおすすめです。肥料の成分はリン・カリが多めに入る肥料を選びましょう。窒素が多いと葉が茂り、花数が減る原因にもなるため注意が必要です。
- 元肥の与え方
- 有機肥料を混ぜ込む場合は、利用する製品にもよりますが、2週間前に土壌の中に入れて混和します。※発酵がきちんとされてない有機肥料を利用すると、発酵時の熱やガスで根を傷める可能性があります。
- 緩効性肥料を利用する場合は、植え付け時に土壌の中に入れて混和します。
- 追肥の与え方
- 液体肥料を与える場合は、規定された分量で希釈して、約10~14日の頻度で、水やりと一緒に液肥も与えましょう。
- 化成肥料(固形肥料)を与える場合は、規定された分量を規定された頻度で与えます。基本的には置き肥のため、株から少し離れた場所に与えるようにしましょう。また、水やりの際に、きちんと肥料が解けるように水を肥料に当ててください。
- 有機肥料を与える場合は、規定された分量を規定された頻度で与えます。有機肥料を土に剥き出しにすると分解が遅くなったり、虫が寄ってくる事もあるため、基本は土の中に埋めます。株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を埋めるとよいでしょう。※地面にそのまま置き肥する場合もあります。
剪定のやり方
ダリア(宴)の剪定は、ダリアを美しい状態に仕立てる摘芯仕立てまたは天花仕立てと、エネルギーの損失を抑える開花期間中の花がら摘み、秋の開花に備える梅雨明けの切り戻し剪定が行われます。
ダリアの仕立ても剪定も、花を美しい状態で楽しむために必要な作業のため、余裕があればしてあげた方がよいでしょう。
摘芯仕立て(小輪・中輪向き)
摘芯仕立てとは、生育初期に摘芯を行って分枝を促し、茎の数を増やすことで花を沢山咲かせる方法です。
摘芯仕立ては、沢山の花を楽しむ小・中輪タイプのダリアを育てる際におすすめの仕立て方です。
摘芯仕立てのやり方
- 一度目の摘芯
- 出芽後、茎の節が2個~4個伸びてきたら、茎の成長点にある若い芽を、指で摘んでかきとります。
- 摘芯を行う事で脇芽が伸びて、分枝が発達して茎が4~6本成長します。※支柱を準備している場合は、茎を支柱に固定して倒れないように補助してあげましょう。
- 脇芽かき
- 分枝が伸びてきたら、分枝の根元から2節の脇芽を残し、それより上にある脇芽をかき取ります。※脇芽とは茎の節から出てくる芽です。
- 分枝の下部にある脇芽を残し次の開花に備え、また上部の脇芽をかきとる事で花にエネルギーを集中させます。
天花仕立て(大輪・巨大輪ダリア)
天花仕立てとは、分枝を抑制して、1個または数個の花に栄養を集中させることで、巨大な花を咲かせる仕立て方です。
天花仕立ては、大きく豪華な花を楽しむ大輪・巨大輪ダリアを育てる際におすすめの仕立て方になります。
天花仕立てのやり方
- 脇芽かき
- 地表面から2節目までの脇芽は残して成長させ、それより上部の脇芽は全て指でかきとり取り除きます。※脇芽とは茎の節から出てくる芽です。
- 上部の脇芽をかきとる事で一番花にエネルギーが集中して大きな花を咲かせる事が出来てます。
- また下部の脇芽を成長させる事で、倒伏しにくい丈夫な株となり、一番花の後の二番花を楽しむ事ができます。
花がら摘み
花がら摘みとは、花色が悪くなったり花の外観が崩れたりした咲き終わりの花を摘み取る事です。
花がら摘みを行うことで、種を作るエネルギーが花に向かうため、花の数が増えたり、開花期間が伸びたりします。
花がら摘みのやり方
花がら摘みのやり方は、花だけを摘むように、花がらの真下で手で花を折りとるか、園芸用のハサミで剪定して取り除きましょう。
花の真下であれば、茎は中空になっていないため、茎の中に水が侵入する心配がなく、病気にかかるリスクを減らせます。
切り戻し剪定とは!?
切り戻し剪定とは、長く伸びすぎたりした茎などを、茎の途中で剪定して形を整える剪定方法です。
ダリアの切り戻し剪定をする理由
- 日本の夏の高温環境では、普通に育てても開花が抑制され株も弱りやすく株がボロボロになりやすい。剪定は見た目の改善にもなる。
- 生産性の落ちた古い茎葉を残しても花が期待出来ない。剪定して生産性の高い新しい芽にエネルギーを集中させて、秋からの開花に期待する。
- 茎葉が繁茂していると病害虫の発生しやすくなる。剪定して茎葉を減らす事で風通しや光の当たりがよくなり、病害虫の発生が抑制される。
切り戻し剪定のやり方
- 剪定時期
- 7月から8月上旬の間でおこないます。
- 剪定のやり方
- 地面から数えて、茎に節が3個残るように強剪定しましょう。
- 剪定後
- 剪定すると茎の内部が中空部分に雨水などが入り、病気になるリスクが高まるため、アルミホイルを被せて穴を塞ぎます。
夏越しする方法
ダリア(宴)の元々の自生地はメキシコおよび中央アメリカの高地にあり、温帯性気候になります。日中の気温は約25度、朝晩の気温は約15度となっており、日本と比べると涼しい環境です。
ダリアは、日本の高温多湿で枯れるということはあまりありませんが、高温で生育が衰えたり、開花が抑制されたりすることがあります。そのため、株を弱らせないように適切に管理してあげる事が大切になるでしょう。
夏越しで重要なポイント
- 夏場は、西日の当たらない半日影で育てた方が、株が弱りにくいでしょう。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 地植えであれば西日の当たらない場所に植えたり遮光ネットを利用したりしましょう。
- 土壌が何時までも濡れていてジメジメした状態が続くと、根腐れをして枯れる事があります。
- 土壌の通気性・排水性をよくしておきましょう。
- 乾燥が続くと葉が萎れたり落ちたりする事があります。
- 土壌の状態を見ながら定期的に水やりを行いましょう。
冬越しする方法
Hardiness:8~11
ダリア(宴)は、軽い霜であれば耐えられるため、暖地であれば屋外で越冬させる事も可能です。ただし、球根が凍結したり過湿になると腐れるため、冬越し対策が必要でしょう。
冬越し対策
- 地植えしている場合
- 霜が降りる前に、球根の上に腐葉土を被せたり、不織布を被せて凍結対策をおこないます。
- 球根を掘りあげて温度が約4~10度の場所で湿潤貯蔵します。※詳しくは下記をご覧下さい。
- 鉢植えで管理している場合
- 鉢植えを霜の当たらない軒下や屋内に移動して、乾燥気味に管理する。※完全に乾燥はさせない。
- 球根を掘りあげて温度が約4~10度の場所で湿潤貯蔵します。※詳しくは下記をご覧下さい。
球根の湿潤貯蔵のやり方
- 掘りあげ時期
- 11月頃の霜が降りる前に掘りあげを行います。
- 球根を綺麗にする
- 球根を傷つけないように土を落とします。手やブラシ、流水などを使いましょう。
- 塊根を傷つけると腐敗の原因にもなるため注意して下さい。心配な場合は必要に応じて消毒液を使用しましょう。
- 乾燥
- 球根が湿った状態では雑菌が繁殖して腐敗するため、貯蔵する前に、外側を乾燥させ、傷ついている部分にはカルスを形成させましょう。
- 直射日光を避けた日陰の風通しのよい場所に仮置きして、数日程度、軽く乾燥させます。※表面に皺がよるほど過度に乾燥はさせないでください。
- 球根を保管する
- 箱の中に、おがくず・籾殻・ピートモスのいずれかを入れて、その中に球根を入れます。球根が複数ある場合は病気の伝染などを防ぐために離していれましょう。
- 温度が氷点下を下回ると球根が腐敗しやすいため、最低でも5度以上の場所で管理しましょう。
- 定期点検
- 球根が「腐敗」「乾燥」している事があるため、定期的にチェックする事が必要です。
- 球根が腐敗している場合は、腐敗した部分を取り除き、他の球根に伝染しないようにわけて管理します。
- 球根に皺がよっていたり、水分が少ないと感じるような場合は、球根を水で湿らせた後に再度、保管しなおします。
挿し木や株分けで増やす
ダリアは挿し木や分球によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- 挿し木時期
- 挿し木する時期は発根率の高い晩春から夏頃が適します。
- 培養土を準備します
- 挿し穂用の培養土には切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 培養土を容器に入れて事前に水をかけて湿らせておきます。
- 挿し穂を採取する
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。
- 挿し穂を整形する
- 挿し穂の長さを7cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す
- 挿し穂を挿す場所を決めて、培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。
- 挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程をいれます。
- 管理
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
ダリアの分球方法
- 分球時期
- 早春から春になり芽が確認出来る時期がおすすめです。
- 分球する
- ダリアの球根は根が肥大化した塊根です。基本的に根の部分から芽は出ないため、球根の先端にあるクラウンと呼ばれる茎と芽の部分を残す必要があります。
- 早春頃になるとクラウンに芽が出てくるため、最低でも一個の芽を付けた状態で、球根(クラウン)を切り分けて分割しましょう。
播種で増やす
ダリアの種蒔の方法
播種時期:3月~4月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:約7~14日
発芽条件:
- 種まき時期を確認
- 種のまきどきを確認して、まきどきになったら種を撒く準備をします。
- 屋内で種を撒いたり、温床装置を使ったり、マルチシートを使ったりする事で、まきどきよりも早く種を撒く事もできます。
- 容器を準備する
- 容器はプラグトレー・ピートポット・不織布育苗ポット・ポリポット等が適しています。種を撒く量や使いやすさ、値段などを考慮して選ぶと良いでしょう。
- 培土を準備する
- 培土は種まき用の培土・ジフィーセブン等が適しています。
- 倍土を自作する場合はピートモス・バーミキュライト・赤玉土・くん炭等が使われます。
- 培土①:バーミキュライトとパーライトを等量で配合する。
- 培土②:バーミキュライト・パーライト・赤玉土(小粒)を等量で配合する。
- また上記の配合にくん炭を少量入れる事で酸性のピートモスの中和や、根腐れ防止に働きます。
- 容器に培土を入れる
- 容器の中に培土を入れて、培土を平に慣らして、水を与えて湿らせます。
- 種を撒く
- 種を撒く深さは種の大きさの2倍から3倍(数mm程度)です。種を埋めたい箇所に種を埋めたい数だけ穴をあけるか溝を作ります。
- 穴または溝の中に種を入れて、覆土して、上から指で軽く押して鎮圧※します。
- 発芽までの管理
- 発芽までは、軒下などの雨が当たらない風通しのよい半日影で、害虫の被害が出ないように台の上で管理しましょう。
- 1度吸水した種が乾燥すると、発芽率が極端に落ちるため、乾燥しないように水やりをしっかりと行ってください。
- 子葉が展開したら
- 植物に合わせて日向または半日陰で管理しましょう。またナメクジ等の害虫の被害が出ないように台の上で管理した方が良いでしょう。
- 発芽して子葉を展開したら、生育が一番いい苗を残して、周りにある他の苗をハサミで根元から切り取るか、ピンセットで取り別のポットに植え替えをします。
- プラグトレー等の小さな容器で栽培している場合は、子葉が展開した段階、または本葉が2~4枚でて移植出来るようになったら、ポットなどに移植します。移植が遅れると根鉢をつくり、移植後の生育が悪くなるため注意が必要です。
- 移植の際に、十分に水を含ませて、竹串やピンセットを培土に突き刺すと、苗をとりやすいです。
※鎮圧とは、種を撒いた後に手・足・鎮圧ローラーなどを利用して、種の上から軽く加圧を加えて、種と土の密着度を上げる事です。鎮圧を行う事で土の中の水分が種に吸収されやすくなり、発芽率が格段に向上します。