- 原産:南アフリカ
- 科:サトイモ(Araceae)
- 属:オランダカイウ/ザンテデスキア(Zantedeschia)
- 種:モモイロカイウ(Zantedeschia rehmannii)
- 別名:ピンク・カラー(pink calla)/レッドカラー・リリー(red calla lily)/ピンクアルム・リリー(pink arum lily)/ザンテデスキア・レーマニー
- 開花時期(畑地性):5月~7月頃
- 花の色:桃色・黄色・白色
- 葉の色:緑色・黄色・白色
- 香り:
- 分類:多年草
- 草丈:約30~80cm
- 誕生花:5月31日・6月27日
- 花言葉:清浄・愛情・歓喜・壮大な美・夢のような恋・すばらしい美・乙女の清らかさ・夢のように美しい・乙女のしとやかさ
- 用途:カラーリーフ/切り花/球根植物
- 購入方法:モモイロカイウを楽天で購入
モモイロカイウとは!?
モモイロカイウの学名はZantedeschia rehmannii、別名では「ピンク・カラー(pink calla)」や「ピンクアルム・リリー(pink arum lily)」とも呼ばれ、Group Ⅱまたは畑地性カラーとして分類されている多年草です。
モモイロカイウの原産地は南アフリカ、自生地は丘陵地の草原や岩の間、林縁などにあります。
モモイロカイウの語源(由来)
- 属名のZantedeschiaはイタリアの医師で植物学者のGiovanni Zantedeschiへの献名です。
- 種小名のrehmanniiは、イタリアの医師であり植物学者のGiovanni Zantedeschi(1773-1846)への献名です。
- モモイロカイウは「桃色」と「カイウ(海芋)」の二語で構成されており、この植物の花の色が「桃色」で、海外から渡来した芋(海芋)である所から名前の由来がきています。
モモイロカイウの特徴(魅力)
- 主な特徴と魅力
- モモイロカイウの特徴は、花の色が桃色をしていて可愛らしさを感じさせる所、仏炎苞は一般的なカラーよりも強めに巻く傾向があり、花の形状がギフトの際に色紙でクリンと包装されたような独特なフォルムをしていてお洒落さを感じさせる所、葉の形状は細長い披針形をしていてシャープさを感じさせる所、地面の下に塊茎があり、草姿は叢生して群生をつくる所などにあります。
- モモイロカイウは、独特なフォルムをもつお洒落な花を鑑賞する目的・花を収穫して花材として楽しむ目的・葉の中に白色や黄色の班がはいる品種をカラーリーフとして楽しむ目的等で栽培されています。
- 外観の特徴
- 地面の下に地下茎の中の一種である塊茎をもっており、塊茎は茎が塊状に肥大化して球根になっているものです。
- 草丈は約30~80cm、草姿は叢生して群生をつくることがあり、茎は直立して伸びる。
- 葉は落葉性(冬季に葉が落ちる)、葉は基部が鞘状になり抱茎する、葉柄は長さ約10~20cm、葉柄の向きは直立または斜上に伸びる、葉身の長さは最大40cm、葉身の形は披針形、葉の質感は革質、葉の色は緑色の単色または黄色・白色の班が入る。
- 花は仏炎苞と肉穂花序で構成されており、仏炎苞は肉穂花序をロール状に包み漏斗形になり、重なり部分が長い傾向にある。
- 仏炎苞:仏炎苞とはサトイモ科でよく見られる、花序を包んでいる苞の一種です。仏炎苞の形状は漏斗形をしており、仏炎苞の側面は強く巻いて重なりが長くなる傾向があり、色は桃色・黄色・白色です。
- 肉穂花序:肉穂花序とは花軸が多肉化した穂状花序で、花に花柄がなく花軸の表面に沢山の花が直接ついています。オランダカイウは雌雄同株で、同株の中に雄花と雌花が別々に咲きます。肉穂花序のサイズは小さくて鉛筆のように細い傾向があり、基本的に仏炎苞の中に隠れる。色は黄色または橙色です。
- モモイロカイウの主な用途
- モモイロカイウは、花を鑑賞する目的で利用されることが多いです。花の色は桃色をしているため可愛らしさがあり、また包装紙でプレゼントをくるんだような独特なフォルムをしているため、お洒落でカッコイイ見た目をしている所も魅力です。
- モモイロカイウは花が咲いた後に収穫して、切り花にして楽しむことが出来ます。詳しくは切り花の楽しみ方をご覧下さい。
- モモイロカイウの栽培時の注意点
- モモイロカイウを栽培する際に注意する事は、畑地性カラーのため、栽培環境は過湿にし過ぎずに適度に湿潤にすることが大切です。
モモイロカイウの切り花の楽しみ方
- 収穫タイミング
- 朝の涼しい時間帯もしくは夕方に収穫すると花に十分な水分が含まれており水揚げしやすくなります。
- 水揚げ
- 水揚げの方法は水切りを行います。
- 花瓶に生ける
- 花瓶に入れる水は浅水にします。
- 水揚げがよくて、水に浸った茎が雑菌で腐敗する事もあるため浅水が良いでしょう。
- 管理
- 直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが約7~10日です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
浅水法
浅水法とは花瓶等の容器に入れる水の量を減らして、浅い水で花を生ける方法です。
浅水は、水に浸かる茎の面積が減るため、腐敗のリスクを低減することが出来ます。そのため浅水は主に茎が柔らかく腐敗しやすい花等で行われます。
オランダカイウ(カラー)の園芸分類
Group ⅠとGroupⅡによる分類
※Group ⅠとGroupⅡは曖昧な部分もあり完璧ではありません。
Group Ⅰ
- 種類:オランダカイウ(Zantedeschia aethiopica)・ザンテデスキア・オドラタ(Zantedeschia odorata)・上記の園芸品種や近縁の交雑種
- 分類:湿地性
- 開花時期:4月~6月頃
- 冬の葉:冬に葉が残る※夏場や冬に乾期のある場所では葉を落とす事もある
GroupⅡ
- 種類:Group Ⅰを除いた種
- 分類:畑地性
- 開花時期:5月~7月頃
- 冬の葉:葉が落ちる
耐寒性
耐寒性強い
オランダカイウ(Zantedeschia aethiopica)とザンテデスキア・ペントランディ(Zantedeschia pentlandii)と、その近縁の交配種は、Hardiness zone 6(-23度以下)の気温で生存する可能性があり、Hardiness zone 7で栽培可能です。
耐寒性弱い
キバナカイウ( Zantedeschia elliottiana)やモモイロカイウ(Zantedeschia rehmannii)の園芸品種や、近縁の交雑種、シラボシカイウ(Zantedeschia albomaculata)やザンテデスキア・ジュクンダ(Zantedeschia jucunda)は、Hardiness zone 8(-12度)迄しか耐えられない。そのため、寒さの厳しい地域では球根を掘りあげて保存するか、鉢植えにして屋内で管理する必要があります。
葉の特徴
フリンジ
葉の縁部分が上下に波打ち、フリンジする。
スポット
葉の中に丸い斑点が入り、葉の中に水玉模様が出来る。
掃け込み班
葉の中央脈から外側に向かって掃け込み状の班が入る。
オランダカイウ(カラー)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
モモイロカイウの育て方
花壇の土づくり
環境
モモイロカイウは、自生地が丘陵地の草原や岩の間などにある畑地性タイプのカラーです。
そのため、乾燥にも比較的に耐性があり、普通の草花と同様の育て方が出来ます。
日当り
モモイロカイウは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事が出来ます。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。
- 暗い日陰とは、森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
モモイロカイウは、土壌の土質は一般的な草花と同様の土質で問題ありません。
土壌の診断を行い、通気性・排水性・保水性のバランスが良く、有機物がしっかり入る肥沃な土壌を作って上げると良いでしょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土やバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
- PHを測る専用の道具を用意して診断します。※詳しくはPHを診断からご覧下さい。
- 酸性土壌を改善して土壌を中性またはアルカリ性にしたい場合は、苦土石灰を利用します。PHを1上げるのに必要な苦土石灰の量は1平方メートルあたり150g程度です。土壌に苦土石灰を撒いた後は、石灰が塊にならないようによく混和します。
- アルカリ性土壌を改善して酸性に傾けたい場合は無調整ピートモス(PH4程度)を利用しましょう。ピートモスを腐葉土のかわり等に利用して、よく混和しましょう。
植付け方法
- 植え付け時期
- 春植え
- 植え穴の深さ
- 植え穴の深さは球根のサイズの二倍程度の深さに植えます。
鉢土づくり
日当り
モモイロカイウは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事が出来ます。
培養土
モモイロカイウは培養土は一般的な草花と同様の土質で育てられます。
自作する場合は、通気性・排水性・保水性のバランスが良く、有機物が適度に入る培養土を作って上げると良いでしょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- ひゅうが土(微粒・小粒)+ピートモス(調整済)+くん炭=5:4:1
植付け方法
- 植え付け時期
- 春植え
- 植え穴の深さ
- 植え穴の深さは球根のサイズの二倍程度の深さに植えます。
水やりの仕方
モモイロカイウの水やりの方法は、一般的な草花と同様で問題ありません。
基本的にやや湿り気のある土壌を好みます。そのため、水やりのタイミングは、土壌の表面が2cm程度が乾いてきたら行うといいでしょう。
※葉が落葉して休眠する冬の期間は、乾燥気味に管理します。この時期に水をたくさん与えると球根が腐敗する事があるため注意してください。
肥料の与え方
モモイロカイウは、土壌に十分な肥沃さがあれば基本的に肥料は不要です。
土質が悪いと感じる場合は晩冬から早春に堆肥を入れたり、植え替えによって土質を改善したり、有機肥料や緩効性肥料を入れて上げるとよいでしょう。
堆肥の与え方
- 堆肥を入れる時期
- 植え付け時、または冬から早春に堆肥を入れます。
- 堆肥の入れ方
- 地植えの場合は土壌改良を行い堆肥(腐葉土や牛糞堆肥等)をいれて混和するか、株の上に堆肥を盛るか、周囲に穴を掘り堆肥を入れましょう。
- 鉢植えの場合は、植え替え時に牛糞や腐葉土のしっかり入る新しい培養土を使うか、古い土を再利用する場合は、古い土の中に二割から五割ほど新しい土を混ぜて再利用しましょう。
肥料の与え方
- 肥料を与える時期
- 肥料は春頃に与えます。
- 肥料の選び方
- 肥料は緩効性肥料の肥料がおすすめです。
- 肥料の与え方
- 肥料は、規定された分量を規定された頻度で与えます。基本的には肥料を株から少し離して、用土の中に押し込んで使いますが、製品に記載された通りに施肥するようにしましょう。
剪定のやり方
モモイロカイウの剪定は、花がら摘みと古葉取りを行います。
花がら摘み
花がら摘みとは、花色が悪くなったり花の外観が崩れたりした咲き終わりの花を摘み取る事です。
花がら摘みのやり方
花がら摘みのやり方は、色褪せたり外観が崩れた花を、花茎の根元からハサミで剪定して取り除きます。※葉は光合成を行いエネルギーを蓄えたり健康な成長を促す為に残します。
古葉とり
古葉取りとは、枯れた葉や古い葉などの不要な葉を、葉の根元から取り除く事です。
古葉とりの目的
- 新しい葉に栄養が優先的に回り、株が若返り生産性が高まります。
- 株元まで光が当たり、風通しが良くなることで多湿環境が改善されて病気や害虫の発生を抑制します。
- 抵抗力の落ちている古い葉を取り除くことで病気の発生を抑制できます。
古葉取りのやり方
古葉とりは、枯れた葉や古くボロボロとなった葉を、葉の根元から取り除きましょう。
夏越しする方法
モモイロカイウの夏越し対策は、基本的に普通の植物と同様の夏越し対策を行うと良いでしょう。
夏越しのポイント
- 夏場は、西日の当たらない半日影で育てた方が、株が弱りにくいでしょう。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 土壌が極端に過湿になり、何時までも濡れていてジメジメした状態が続くと、球根が腐敗して枯れる事があります。
- 土壌の通気性・排水性をよくしておきましょう。
- 乾燥が続くと枯れたりする事があります。
- 土壌の状態を見ながら定期的に水やりを行いましょう。
冬越しする方法
Hardiness:8~10
モモイロカイウは、軽い霜に耐えられますが、個体によってはHardiness zone 8に耐えられずに枯れる事もあるため、霜対策を行って育てた方が無難でしょう。
冬越し対策
- 地植えしている場合
- 霜が降りる前に、球根の上に腐葉土を被せたり、不織布を被せて凍結対策をおこないます。※基本的に乾燥気味に管理しましょう。
- 塊茎を掘りあげて凍結しない場所で湿潤貯蔵することも可能です。
- 鉢植えで管理している場合
- 鉢植えを霜の当たらない軒下に移動して、水を切り乾燥気味に管理する。
- 寒冷地であれば、屋内や温室に移動して、凍結しない場所で管理しましょう。
球根の貯蔵のやり方
- 掘りあげ時期
- 霜が降りる前に掘りあげを行います。
- 球根を綺麗にする
- 球根を傷つけないように葉や土を落とします。ハサミ・手・ブラシ・流水などを使いましょう。
- 乾燥
- 球根が湿った状態では雑菌が繁殖して腐敗するため、貯蔵する前に、外側を乾燥させ、傷ついている部分にはカルスを形成させましょう。
- 直射日光を避けた日陰の風通しのよい場所に仮置きして、数日程度、軽く乾燥させます。
- 球根を保管する
- 箱の中に、おがくず・籾殻・ピートモスのいずれかを入れて、その中に球根を入れます。球根が複数ある場合は病気の伝染などを防ぐために離していれましょう。※完全に乾燥させずに湿潤貯蔵します。
- 温度が氷点下を下回ると球根が腐敗しやすいため、最低でも5度以上の場所で管理しましょう。
- 定期点検
- 球根が「腐敗」「乾燥」している事があるため、定期的にチェックする事が必要です。
- 球根が腐敗している場合は、腐敗した部分を取り除き、他の球根に伝染しないようにわけて管理します。
- 球根に皺がよっていたり、水分が少ないと感じるような場合は、球根を水で湿らせた後に再度、保管しなおします。
挿し木や株分けで増やす
モモイロカイウは株分けによって増やす事ができます。
株分けの方法
- 株分けに適する時期
- 株分け時期は晩冬から早春が適しています。
- 株を掘りあげる
- 株をスコップで掘りおこし、土を軽く落として塊茎の位置を確認します。
- 株を分割する
- 株から塊茎を切り離して分球します。
- 株分け後の管理
- 切り離した塊茎は、軽く乾燥させカルスを形成させた後に、土壌に植え付けましょう。
播種で増やす
モモイロカイウの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
モモイロカイウの病気
- 灰色カビ病
- 軟腐病
- 白絹病
- 疫病
モモイロカイウの害虫
- コガネムシ