- 原産:ヒマラヤ
- 科:マツ(Pinaceae)
- 属:ヒマラヤスギ(Cedrus)
- 種:ヒマラヤスギ(deodara)
- 別名:デオダー・シーダー(deodar cedar)/ヒマラヤン・シーダー(Himalayan cedar)/デオダー(deodar)
- 開花時期:9月~10月
- 花の色:黄色●赤色●緑色●
- 葉の色:緑色●青色●黄色●白色〇
- 分類:常緑高木
- 草丈:約4000~5000cm
- 誕生花:11月13日
- 花言葉:尊敬/たくましさ/報われぬ恋 /あなたを待つ/あなたのために生きる
- 用途:コニファー/カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヒマラヤスギとは!?
ヒマラヤスギは学名Cedrus deodara、別名では「デオダー・シーダー(deodar cedar)」や「ヒマラヤン・シーダー(Himalayan cedar)」等とも呼ばれるヒマラヤが原産の常緑高木です。
ヒマラヤスギの語源(由来)
- 属名のCedrusは古代ギリシア語の「κέδρος (kédros)」からきており、由来は不明です。
- 種小名のdeodaraはサンスクリット語で 「神(deva)」と「木(dāru)」を意味する2語からきており、神の木を意味しています。
- ヒマラヤスギはヒンズー教徒の間では神聖な木として崇められており、この木に関連する伝説が幾つか存在します。
ヒマラヤスギの特徴(魅力)
- ヒマラヤスギは円錐形(古木では直立)をつくる樹形や優美やだらしなくと表現される下垂する末端の枝葉、樽の様に大きく個性的な形の実が特徴の常緑高木です。
- 基本的に剪定しなくても円錐形の樹形になる習慣(決まりのように繰り返す癖)があります。
- 幹から伸びる枝は水平に伸びますが枝先は下垂するため幽霊が着るボロ布を連想させるような垂れ下がった外観をつくります。
- ヒマラヤスギには長枝と短枝があり葉は短枝に20~30本が密集してつきます。
- 葉の形は針形で長さ3(~5)cmあります。
- 葉の色は通常緑色ですが幾つかの品種では黄色の葉色や青緑色の葉色があるためカラーリーフとして楽しまれる事もあります。
- ヒマラヤスギの花(雄花)は風で吹かれたり触ると煙の様に花粉がまいます。
- 花粉は人によってはアレルゲン(鼻炎等を引き起こす原因)になっています。
- ヒマラヤスギの実は樽の様な形をしており長さ約7~10cm幅約5~6cmあります。
- 実は1年をかけて成熟して2年~3年かけて種鱗がとれ崩壊していき中の種を放出します。
- ヒマラヤスギは野生では5000cmにも達し非常に大きく成長しますが園芸品種ではコンパクトな品種も多いため小さなお庭でも扱いやすいです。
- 円錐形の美しい樹形をつくる事から洗練された雰囲気のお庭の庭木として魅力的です。
- 樹形の整ったコンパクトな品種を等間隔に並べればちょっとお洒落な生垣としても楽しめます。
- 底の浅い鉢で樹形をコントロールしながら育てると盆栽にもなります。
- ヒマラヤスギの木材は耐久性や耐腐敗性が高い事から建材や家具等と様々な用途で利用されます。
- ヒマラヤスギはヒンズー教徒の間では神聖な木として崇められており木材は神殿の建築等に利用されます。
- ヒマラヤスギの木(木材)にはシダーウッドの軽く心地よい香りがあり香りのため商業栽培され精油は水蒸気蒸留で抽出されています。
- ヒマラヤスギの精油には抗菌性や防虫性があることから様々な用途で利用されています。
- シダーウッドの香りは心地よい事かアロマテラピー等にも使われます。
- ヒマラヤスギは様々な菌根菌(キノコ等)と共生(足りない部分を補いながら一緒に生きる)もしくは寄生(宿主から一方的に養分を吸い取る)されており、木の周りではテングタケ等の様々なキノコが生えてくるかもしれません。
ヒマラヤスギの茎は木質で樹皮は灰色もしくは褐色(~赤褐色)をしており、樹皮は成熟すると鱗状に割れ剥がれます。樹高は約4000(~5000)cm、樹形は円錐形、幹の太さは最大300cmになり単幹(根元から上部まで幹が1本)、枝は水平に広がり枝先の小枝は垂れ下がり、枝には長枝(葉は疎らもしくは生えない)と短枝(密に葉が生える)があります。葉序は互生、長枝に疎らもしくは短枝に20(~30)個の葉が密につき、葉色は緑色もしくは青緑色になります。葉身の長さ約3(~5)cm、葉身の形は針形です。花は雌雄同株のため黄色(~黄褐色)の尾状花序をした雄花と緑色の直立して円錐形(~樽形)の雌花が個々にわかれて一つの木にあります。実(果実)は球果で、球果は樽形をしており長さ約7(~10)cm、幅約5(~6)cmあり、鱗状に直径約5(~6)cmの種鱗が重なっています。実(果実)は受粉後約1年かけ翌年の9月~11月頃に成熟して、実の色が緑色から褐色になり数年(2~3年)かけて種鱗が崩壊して中の種子を放出します種子は薄褐色で長さ約1.7cmあり大きめの翼がついています。
ヒマラヤスギの園芸品種
- オーレア(cedrus deodara ‘aurea’)は春の新しい葉の成長で見られる黄色(薄黄色)の葉色と成熟した葉で見られる緑色の葉色が、光で照らさてたかのような明るい雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。樹形は円錐形で、樹高は約400~1200cmと大きく成長するため十分なスペースが必要です。
- ペンデュラ(cedrus deodara ‘pendula’)は幹が大きく曲がったり、枝葉が大きく枝垂れる習慣(決まりのように繰り返す癖)があり、幽霊が羽織るボロ布を連想させるような個性的な樹形をつくる園芸品種です。樹高は約100~500cmまでに成長します。
- スノースプライト(cedrus deodara ‘snow sprite’)は白色の粉雪で覆われたかのような白色(~薄黄色)の葉色と、成熟した葉で見られる黄緑色(~薄緑色)の葉色、高さ約100cmまでと背が非常に低く横へ約75cmまで広がる広円錐形の樹形が魅力の園芸品種です。
ヒマラヤスギの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ヒマラヤスギの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ヒマラヤスギの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ヒマラヤスギは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
ヒマラヤスギがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。苗(根鉢)の1.5~3倍の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ヒマラヤスギは土質を選びません。基本的に通気性が良ければ幅広い土壌で育てることが出来ます。植え付けの前に土壌診断を行い通気性がよく適度に肥沃な土壌をつくりましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ヒマラヤスギは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
ヒマラヤスギの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(中粒)+鹿沼土+バーク堆肥+くん炭=4:2:3:1
水やりの仕方
生育初期
ヒマラヤスギは植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
ヒマラヤスギは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
ヒマラヤスギを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ヒマラヤスギはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。成長を促進させる目的で春に一度、肥料を与えることが出来ます。ただし窒素成分の多い肥料を施すと肥焼けする事があるため注意が必要です。
オススメは肥料の代わりに、株の周りに堆肥(腐葉土等)をマルチングする事です。堆肥でマルチングする事で、肥沃な土壌が作られ、雑草が生える事も防げます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。基本的にある程度肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めるだけで良いです。肥料を与える場合は配合肥料もしくは緩効性肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施しましょう。
剪定のやり方
ヒマラヤスギは剪定をしなくても自然樹形のままで同じ形(円錐形等)をとる習慣(決まりのように繰り返す癖)があり、基本的に剪定不要です。過度な剪定を行うと後々に美しい円錐形の樹形を崩したり、枝から新芽が出ずにそのまま枝が枯れ込む事があるため剪定する際も注意が必要になります。
剪定のやり方は、健康な成長を促すための「間引き剪定」と、樹形の形を整えたり生垣等に利用する目的で行う「切り戻し剪定」の2つのパターンがあります。
間引き剪定
間引き剪定とは日当りや風通し、樹形を乱す不要な茎を根元から剪定して取り除く事です。健康な成長を促したり、見た目を整える目的があります。
間引き剪定の剪定時期は早春です。また枯れ枝であれば何時でも剪定して取り除く事が出来ます。
間引き剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定するだけです。また樹形を乱す不要枝も必要に応じて根元から間引きするか、枝の途中で切り戻し剪定出来ます。
切り戻し剪定
切り戻し剪定とは長く伸びた茎を茎の途中から剪定して、日当りや風通しを改善したり、見た目を整える目的、枝分かれを促し密に茂る樹形をつくる目的で行う剪定です。
切り戻しの剪定時期は晩春から初夏に行います。
切り戻し剪定のやり方は、側面から長く伸びてくる枝葉を全体と自然樹形に合わせながら少し中(奥)めの節の部分で剪定します。また枝分かれを促しより密な樹形をつくる目的で表面をなぞるように枝先を軽く剪定する事が出来ます。切り戻し剪定する際は必ず葉の上で剪定しましょう。何故なら葉のない場所まで強く切り戻すと残された枝はそのまま枯れこむからです。また一度にたくさん剪定すると過度にストレスがかかり枯れ込む事もあるため、強く刈り込まない様にしましょう。
播種で増やす
ヒマラヤスギの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20度
発芽日数:
発芽条件:低温要求性種子
ヒマラヤスギは寒さを経験しないと発芽しない、低温要求性種子です。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。処理を行うメリットは発芽が揃いやすい所にあります。
種まき手順
- 種を撒く前に果実(球果)から種子を取り出し、種子を水の中に24時間つけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜ密閉される袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で約2~4週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。