
原産:ヨーロッパ/西アジア
科:セリ(Apiaceae)
属:アストランティア(Astrantia)
種:マヨール(major)
別名:グレート・マスターワート(great masterwort)/グレーター・マスターワート(greater masterwort)
品種:スターオブマジック(astrantia major ‘star of magic’)
開花時期:5月~9月(6月~7月に最も開花)
花の色:紫色●赤色●
葉色:緑色●黄色●
分類:多年草
草丈:約60cm
誕生花:5月29日/6月6日/6月24日
花言葉:知性/愛の渇き
用途:カラーリーフ/グランドカバー/切り花
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アストランティア(スターオブマジック)とは!?
アストランティア(スターオブマジック)は、葉のふち部分を中心にクリーム色(薄黄色)の班が入るため、明るく柔らかな雰囲気をつくり、春から晩秋にかけてカラーリーフとして楽しむ事が出来ます。また晩春に秋にかけ咲く紫色(~赤紫色)の花は、高貴(貴族等)な印象を与えたり、ミステリアスな印象を与えるため、エレガントなお庭や格式の高そうなお庭等によく合うでしょう。
アストランティア(マヨール)とは!?
アストランティア(マヨール)は学名Astrantia major、別名「グレート・マスターワート(great masterwort)」や「グレーター・マスターワート(greater masterwort)」とも呼ばれるヨーロッパと西アジアを原産とする多年草です。
アストランティア(マヨール)の語源(由来)
- 属名のAstrantiaはギリシャ語で「星」を意味する「aster」からきており、星を思わせる様な形をした花弁(総苞)に由来します。
- 種小名のmajorはラテン語で「より大きい」を意味しており、近縁のアストランティア・マイナー(Astrantia minor)と比べてアストランティア・マヨール(Astrantia)の方が大きい事に由来します。
アストランティア(マヨール)の特徴(魅力)
- アストランティアの花は「ピンクッション(針山)」等に例えられており個性的で綺麗な形をしています。
- 花は花弁の様な形をした10~20個の総苞片と中央に直径約0.1cmの小さな花がドーム状に集まります。
- 花はしばしば光の反射や目の錯覚で輝いている様に見える事もあり宝石の様な美しさがあります。
- 花は色褪せた後も形を崩さずに残るため非常に装飾的です。
- 花は切り花としても魅力的で主役を引き立てる名脇役として働きます。
- ただし茎が柔らかく水が下がり花が下向きに萎れやすいため適切な管理が必要です。
- 適切な管理で1週間程度の日持ちがあります。
- 葉は縁部分が深くカットされて掌を広げた様な装飾的な形をしています。
- 幾つもの葉が中央から外側へと広がるためグランドカバーとしても魅力的です。
- また幾つかの品種では葉色が黄色(~白色)くカラーリーフとしても楽しめます。
アストランティア(マヨール)は地面下に短い根茎をもちます。茎は枝分かれが少なく直立しており高さ約60(~90)cmの間で成長します。葉は根生葉と茎葉がありますが茎葉は小さく殆どありません。基部から出る根生葉は長さ約10(~20)cmの長い葉柄があり、葉は緑色で幾つかの品種では黄色(~白色)の班が入り、葉身の大きさは約8(~15)cmあり、葉身の形は3~7出掌状深裂して縁部分には鋸歯があります。花は散形花序が茎頂部で複数集まり複散形花序をつくり、個々の花(散形花序)の大きさは直径約2(~3)cmあり、花を囲う総苞片は10(~20)個、中央にある直径0.1cmの花は花弁が5個と雄蕊が5個と雌蕊があります。花後に出来る果実は痩果で扁平な楕円形をしており薄褐色です。
アストランティア(マヨール)の切り花の楽しみ方

- アストランティア(マヨール)の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 花の総苞が開いているものを収穫します。
- 水揚げは水に漬けて水切りと必要に応じて湯揚げを行います。
- 茎が柔らかく水が下がりやすいため水揚げがとても大切です。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて湯揚げをしましょう。
- 管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは7日程度です。
水切り
水切りとは茎の根元を水の中に浸けた状態で、茎の根元から上に約1~5cmの部分でハサミを使い斜めにカットして、吸水面を広げる水揚げ方法です。水切りを行う目的は「細菌」「空気」「その他」が原因で茎が詰まり水揚げが悪くなってる部分を、水の中で切り戻して正常な状態に戻し水揚げを改善する事です。水切りは水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。
湯揚げ
湯揚げとは約80度に沸騰させたお湯に切り花の切り口をつけて、内部の気泡(空気)を膨張させて外に押し出し、水揚げを改善する方法です。
①湯上げする際は熱や水蒸気が余計な部分に当たらないように切り花の下部(約20cm)を残して花全体を新聞紙で包みます。
②切り花をお湯につけた後は冷水に浸ける必要があるため、予めバケツ等に冷水を入れて準備しておきましょう。
②鍋で沸騰させたお湯(約80度)に約30秒ほど切り花の切り口をつけましょう。
③お湯に浸け終わったら予め準備しておいた冷水に浸けて2時間程度水揚げを行います。
④水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い再度花瓶に生けて楽しみます。
アストランティア(マヨール)の栽培方法
園芸では、宝石を思わせる様な美しい花を鑑賞する目的だったり、優雅に放射状に広がる葉を地被植物として利用する目的だったり、また幾つかの品種で見られる黄色(白色)の葉をカラーリーフとして利用する目的で育てらます。こんもりした草姿をつくる事から、花壇の縁どりに利用されたり、また中央に植えて高さと立体感を出したりして利用されます。
アストランティア(マヨール)を育てる際に注意する事は「夏の暑さ」と「乾燥」です。何故なら、アストランティア(マヨール)は冷涼な夏を好み、やや湿り気の保たれる土壌を好むからです。そのため夏場は暑さ対策や乾燥対策として、西日の当たらない場所に移動したり、必要に応じて遮光ネットを利用したり、またしっかり水やりを行う必要があるでしょう。
アストランティアの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アストランティアの珍しい種類、主な種とおすすめの品種の紹介【2022】
アストランティア(スターオブマジック)の育て方
花壇の土づくり
アストランティア(スターオブマジック)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため植える場所は、直射日光が6時間以上当たる日向が理想です。また3時間~5時間の半日影までに植えて育てる事が出来ます。
アストランティア(スターオブマジック)は弱酸性のやや湿った土壌を好みます。そのためしっかり水分を保持(保水性)しながら通気性のある、肥沃な土壌で育てましょう。
植付けの前に土壌診断を行い、土壌が粘土質で硬かったりする場合は、必要に応じて通気性を高める川砂やパーライト等を入れたり、またバラバラと崩れる場合は必要に応じて保水性を高める田土や黒土を入れたり、その他にも肥沃さと膨軟性を高める目的で腐葉土やバーク堆肥を入れたりして土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
アストランティア(スターオブマジック)は直射日光が6時間以上あたる日向、もしくは3時間から5時間程度の半日影で管理しましょう。
アストランティア(スターオブマジック)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒)5割+腐葉土3割+バーミキュライト2割+元肥(適量)
- 黒土5割+腐葉土3割+パーライト(極小粒)2割
水やりの仕方
アストランティア(スターオブマジック)は持続的に湿り気のある土壌を好み、乾燥にそこまで強くありません。そのため土が乾燥してきたらしっかり水やりを行いましょう。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう
肥料の与え方
アストランティア(スターオブマジック)は、有機物がしっかり入る肥沃な土壌であれば、肥料がなくても育てられます。肥料を与える場合は春と夏の2回与えるといいでしょう。
- 早春もしくは植え付け時に与える元肥は、株から少し離した場所に穴を掘り元肥(寒肥)を入れるか、植付け時に全面施肥を行い苗を植えます。
- 元肥の肥料は、リンが多め山型もしくはバランスが良い水平型の緩効性肥料を選びましょう。
- また、土質は風雨等でどうしても年々劣化するため、元肥(寒肥)と一緒に土質を改善する堆肥や腐葉土等もマルチングして入れてあげるといいでしょう。
- 夏に与える追肥は緩効性肥料で与えましょう。成分は山型(リン酸が多め)もしくは水平型の肥料を選びます。
- 追肥の施し方は、製品に記載される規定量を株元から少し離した部分に施します。
剪定のやり方
アストランティア(スターオブマジック)の剪定は「花がら摘み」もしくは「切り戻し」が必要になります。
アストランティアの花は色褪せても装飾的な事から、枯れた後も花がらが残されて楽しまれる事が多いです。しかし花がらを残すと種をつくり初めて株を弱らせる原因になります。そのため種を残さない場合はしっかり花がら摘み(切り戻し)をした方がいいでしょう。また種を残す場合も花を数個だけ残し残りを摘んだ方がいいです。
花がら摘み
アストランティアの花がら摘みのタイミングは、花が色あせた後です。花が終わった茎を地面から切り戻して健康な葉の成長を促しましょう。
播種で増やす
アストランティア(マヨール)の種蒔の方法
播種時期:3月~4月・9~10月
発芽適温:約15度~20度
発芽日数:約30日
発芽条件:低温要求性種子
アストランティア(マヨール)は基本的に寒さを経験しないと発芽しない、低温要求性種子です。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)に入れて寒さを経験させて発芽させる必要があります。
種まき手順
- アストランティアの種を秋に撒き、春に発芽させる場合はそのまま種を撒いて問題ありません。
- 冬の寒さを経験させない場合はポリ袋の中にやや湿らせたバーミキュライトと種を入れ、冷蔵庫(約4度)の中で4~5週間保管して種を撒きます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に軽く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。