
- 原産:カナリア諸島
- 科:ウコギ(Araliaceae)
- 属:ヘデラ(Hedera)
- 種:オカメヅタ/カナリエンシス(canariensis)
- 別名:大葉ヘデラ/ヘデラ・カナリエンシス/カナリアン・アイビー(Canarian ivy)/カナリーアイランド・アイビー(Canary Island ivy)/マデイラ・アイビー(Madeira ivy)
- 品種:グローレ・デ・マレンゴ(Hedera canariensis ‘gloire de marengo’)
- 開花時期:8月~11月
- 果実時期:10月~3月
- 花の色:緑色・黄色
- 葉の色:灰緑色・白色(クリーム色)
- 香り:
- 生活形:常緑ツル植物
- 全長:約400cm
- 誕生花:1月21日
- 花言葉:永遠の愛/友情/信頼/不滅/結婚
- 用途:カラーリーフ/グランドカバー/枝垂れる植物/ツル植物/景観植物/観葉植物/日陰植物/ロックガーデン
- 購入方法:ヘデラ(グローレ・デ・マレンゴ)を楽天で購入
■ヘデラ(グローレ・デ・マレンゴ)の特徴の特徴
- 学名:Hedera canariensis ‘gloire de marengo’
- 葉の形:広卵形
- 葉の色:灰緑色・白色(クリーム色)
- 全長:約400cm
- 備考:葉の色は灰緑色を基調として、白色の覆輪が入ります。そのため、上品で明るい雰囲気を添えるカラーリーフとして楽しめる品種です。
■オカメヅタとは!?

オカメヅタ(学名: Hedera canariensis)は、別名で「大葉ヘデラ」「ヘデラ・カナリエンシス」「カナリアン・アイビー(Canarian ivy)」「カナリーアイランド・アイビー(Canary Island ivy)」「マデイラ・アイビー(Madeira ivy)」とも呼ばれているウコギ科ヘデラ属の常緑つる植物です。
オカメヅタの原産地はカナリア諸島で、自生地は温帯の森林の林床や岩場や崖地などで見られます。
■オカメヅタの語源(由来)
- Hederaの由来:古ラテン語で「ツタ」を意味しており、生育型がツル型な所に由来します。
- canariensisの由来:ラテン語で「カナリア諸島の」を意味しており、自生地に由来します。
- オカメヅタの由来:葉の形がオカメの面に似ている所からきています。
■オカメヅタの特徴(魅力)
- オカメヅタの魅力:この植物の魅力は、近縁で人気の高いヘデラ・ヘリックスよりも強健で栽培がしやすく、生育旺盛で地表や壁面などの被覆力が高い所にあります。葉のサイズは約5~20cmになり、葉縁部の切れ込みは浅めです。そのため、ヘデラ・ヘリックスと比べると葉の存在感はありますが、シャープさがなく装飾性は劣ります。生育型はツル型のため、様々な仕立て方で楽しめます。例えば、壁面や資材などに誘引し這わせてツル植物として楽しんだり、吊り鉢やスタンド鉢に植えて枝垂れさせたり、地面を這わせて地被植物として利用されたり、トピアリー仕立てにされたりされ、その活用法は多岐にわたります。日照条件は日向・半日影・明るい日陰と適応範囲が広いため、環境を選ばず栽培できる点も魅力でしょう。
- 草姿:生育型はツル型で、茎の種類はツル、ツルの全長は約20~50mに達し、基本的に柔軟で他物がない場合は地表を這い、樹木や岩などがある場合は、ツルから発生する気根のうち粘着物を分泌する付着根を他物に付着させて、自らを他物に固定しながら上へと成長します。
- 葉の特徴:葉のサイズは約5~20cmと非常に大きく存在感がある。葉の概形は生育段階で差異があり、若い茎につく幼葉や若葉は掌状浅裂または掌状中裂する広卵形または心形を呈し、成熟した茎につく成葉は葉縁部に基本的に切れ込みがない広卵形または心形を呈します。葉の色はふつう緑色ですが、品種によっては黄色や白色もあるため、カラーリーフとしても楽しめます。
- 花の特徴:開花時期は晩夏から秋、花序は散形花序で、小花が球状に集まります。小花は非常に小さく、緑色をしていて、鑑賞価値はほとんどありませんが、蜜が非常に多いため蜜蜂などの昆虫がよく訪れます。
- 果実の特徴:果実時期は10月~3月頃、果実の種類は液果で、黒色の球形をしています。この果実は、鳥の食べ物が少なくなる冬に実るため、野鳥にとって貴重な食料源となっています。
- ツル植物:オカメヅタは生育型がツル型で、他物を支えながら成長する植物です。ツルは節から発生する気根(付着根)を他物に付着させて、自らを固定しながら上へと成長します。そのため、ツル植物として仕立て栽培する場合は、樹木に這わせたり、凹凸のある壁面に這わせたり、また資材(ヘゴ支柱・ココスティック・パネル)を準備して、これらに誘引して栽培されます。ただし、気根(付着根)が物体に浸透もしくは付着して張り付くため、岩壁や木造などの構造物を劣化させる可能性があります。そのため、壁面などに直接誘引せずに、ワイヤーやパネルなどを利用して保護されることもあります。
- 地被植物:オカメヅタは、ツルが匍匐して地表をマット状に広がるため、地被植物(グランドカバー)として利用する事ができます。本種の魅力は、非常に強健で初心者でも簡単に栽培しやすい点や、日陰の庭で栽培できる点、また葉が美しいため地被植物として利用すればエレガントな雰囲気を醸し出せる点にあります。
- 枝垂れ植物:オカメヅタは、茎が非常に柔軟で地表を張ったり、壁面から真っ直ぐ下に下垂する性質があります。そのため、吊り鉢やスタンド鉢などに植えると、鉢縁から滝のように枝垂れる優美な姿が鑑賞できます。
- ロックガーデン:オカメヅタは、自生地が森林の中の岩場や崖地などにもあり、岩場の表面を被覆したり、崖をツルで登ったりしています。そのため、日陰のロックガーデンの中で活用する事も可能です。
- シェードガーデン:オカメヅタは耐陰性があるため、日光が当たらず間接光しか入らないような明るい日陰まで栽培が可能です。
- インドアグリーン:オカメヅタは、森林の林床などに自生しており、非常に高い耐陰性があります。そのため、屋内の太陽の間接光しか届かない場所でも栽培する事が可能です。また太陽の光が当たらないような環境でも、最低500Luxあれば枯らさずに栽培可能になり、また2500~15000Luxあれば健康な成長を促し育てる事が可能となります。適切な範囲の光量の元で育てる事で、茎が徒長して葉が疎らになったり、葉色が薄くなったり、ストレスで斑が消えるなどのリスクを減らす事ができます。
■オカメヅタの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 全長:約20~50m
- 生育型:ツル型
- ツル型:ツルを他物に巻き付けて成長するもの。
- 茎の種類:ツル
- ツル:茎は基本的に柔軟で自立せずに、他物を支えにしながら伸びる。また他物がない場合は地面を張って広がる。
- 登攀方法:気根(付着根)が粘着質の物質を分泌し、他物に付着しながら登攀する。
- ツル:茎は基本的に柔軟で自立せずに、他物を支えにしながら伸びる。また他物がない場合は地面を張って広がる。
- 茎の色:緑色・赤褐色・灰褐色
●葉の形態
- 葉序:互生葉序
- 葉柄:有柄で緑色または赤褐色をしている。
- 葉身の長さ:約5~20cm
- 葉身の概形:生育段階で差異があり、若い茎につく幼葉や若葉は掌状浅裂または掌状中裂する広卵形または心形を呈します。一方で、成熟した茎につく成葉は葉縁部に基本的に切れ込みがない広卵形または心形を呈します。
- 葉の光沢:有り
- 葉の色:緑色・黄色・白色
●花の形態
- 花序:散形花序
- 花:花托・萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花冠:離弁花冠で、花弁の数は5枚、花弁の形は卵形、花弁の色は緑色または黄色です。
- 雄蕊:5本
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:液果
- 液果の形:円形
- 液果の色:黒色
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■オカメヅタの園芸品種を紹介
バリエガータ
学名:Hedera canariensis ‘variegata’
葉の形:広卵形
葉の色:灰緑色・白色
全長:約400~600cm
備考:葉の色は灰緑色を基調として、白色の覆輪が入ります。そのため、上品で明るい雰囲気を添えるカラーリーフとして楽しめる品種です。
■ヘデラ属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■オカメヅタの育て方
花壇の土づくり
●日照条件
オカメヅタは、日向・半日影・明るい日陰の範囲で育てることが出来ます。ただし、夏場の強光は、光阻害を引き起こして光合成能力を低下させて生育不良を引き起こす可能性があり、また活性酸素が過剰に蓄積して細胞を破壊し葉焼けを引き起こしたりします。さらに乾燥が早まり水切れを引き起こしやすくなるため、萎れたり枯れたりしやすくなります。そのため、西日の当たらない半日影で育てる事が理想になります。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日影:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に通気性と排水性が十分であれば幅広い土壌に適応しますが、特に砂壌土や壌土で栽培するのが理想です。
- 肥沃さ:痩せた土壌でも育ちますが、適度に肥沃な土壌を好みます。そのため、土壌の状態を見ながら堆肥(腐葉土など)を用土全体の2割を目安に混ぜ込むとよいでしょう。堆肥を入れることで土壌の通気性・排水性・保水性が改善され、根の活着を高め根張りをよくしたり、堆肥に含有する栄養素が微生物の働きを促進して土質を改善したり、さらに植物の栄養補給にも寄与します。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
オカメヅタは、日向・半日影・明るい日陰の範囲で育てることが出来ます。ただし、夏場の強光は、光阻害を引き起こして光合成能力を低下させて生育不良を引き起こす可能性があり、また活性酸素が過剰に蓄積して細胞を破壊し葉焼けを引き起こしたりします。さらに乾燥が早まり水切れを引き起こしやすくなるため、萎れたり枯れたりしやすくなります。そのため、西日の当たらない半日影で育てる事が理想になります。
屋内で栽培する場合の必要光量
- 屋内環境:窓際で西日が当たらない場所、もしくは観葉植物までは太陽光が直接届かないが、太陽の反射光などで十分に明るい場所です。
- 光量の目安:2500~15000Lux※1/46.25~138.75μmol/m2・s※2 ※500Luxでも生存可能ですが健康な成長を促す場合は2500Lux以上必要です。
- 注意点:屋内で栽培時に光量が足らないと光合成の活動が低下して細胞の生成が滞り、生育不良になったり、茎が徒長したり、葉色が悪くなります。また逆に光量が強いと葉焼けを引き起こすリスクや乾燥が早まる可能性があるため避けてください。特に夏場の強光は強いストレスとなるため注意が必要です。
※1:Luxは物体の表面を照らす明るさの単位です。一般的に人間が感じる明るさを元に利用されていますが、植物の世界でも、植物が健康に成長するのに必要な明るさの目安、またはギリギリ生存が可能な明るさの目安として、一般的に屋内で植物を栽培される際に利用されています。
※2:μmol/m2・sはPPFDの単位です。これは植物が光合成に使用出来る400~700nmの波長域の光の強さを数値で示したものとなります。この値が大きいほどに植物の光合成が活発に行われたり、またこれが強すぎる場合は葉焼けなどを引き起こしたりします。Luxとは違い、光合成光量子束密度(PPFD)は植物に必要な光量を正確に評価する事が出来ます。
植物育成ライト
太陽光が全く当たらない場所で栽培する場合は、植物育成ライトが基本的に必要です。一般的なライトは人間が快適に過ごすため、部屋を明るくする目的で使わており、植物の成長に必要な赤色光や青色光といった波長が不足している場合が多いからです。
植物育成ライトを購入する場合はPPFDや色温度などが重要になります。詳しくは観葉植物の種類のページをご覧下さい。
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●培養土
オカメヅタの培養土を購入する場合は、一般的な観葉植物の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地は森林の林床などです。そのため、基本的に有機物と腐植に富む肥沃な土壌であり、通気性・ 排水性・保水性が優れており、長く保たれるものを好みます。
- 土壌改良材(無機質):通気性・排水性・保水性を改善する目的で、赤玉土や日向土や鹿沼土などの土壌改良材を全体の6割~7割を目安に配合します。土粒が大きいと、空隙ができすぎてしまい根が安定せず成長が悪くなったり、保水性も著く落ちて生育が悪くなる原因となるため、土粒は小粒を選んだ方がよいでしょう。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の3割~4割を目安に培養土の中に配合すると、土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与します。
培養土の配合例
- 赤玉土(小粒)6割+腐葉土4割+元肥適量
- 赤玉土(小粒)4割+パーライト2割+腐葉土4割+元肥適量
- 日向土(細粒・小粒)5割+ピートモス4割+くん炭1割+元肥適量
- 赤玉土3割+黒土4割+腐葉土3割
- べラボン10割
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- 鹿沼土:鹿沼土は栃木県鹿沼地方で産出される、風化した軽石の総称です。
- 特徴:鹿沼土は通気性・排水性が抜群に優れており保水性・保肥力も高いため、培養土の通気性・保水性・保肥力のバランスをとりたい時に重宝されます。PHが4~5と酸性になります。
- 比較:赤玉土と比べると鹿沼土は粒が頑丈で崩れにくいため再利用しやすく、PHは酸性に強く傾いており、保水性が劣ります。一般的な軽石と比べると鹿沼土は保水性に優れており、やや粒が脆い傾向にあります。
- 注意点:酸性度が強めなため、アルカリ土壌を好む植物を育てる場合は避けた方がよい。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。特にPHが酸性のため酸性土壌を好む植物に利用される事が多いです。
- ☆硬質鹿沼土:硬質鹿沼土は従来の鹿沼土から硬質なものを選別した用土です。その名前が示すとおり、鹿沼土よりも硬く丈夫で劣化しにくい用土です。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- ゼオライト:ゼオライトは沸石とも呼ばれる鉱物の一種です。
- 特徴:水質浄化・脱臭効果・高い保肥力などにあります。そのため、根腐れ防止や肥料の流失や肥効の継続に効果を発揮します。一方で、入れすぎると肥料が効きにくくなるなどのデメリットがあるため、土壌や培養土に5%程度混ぜて使われる事が多いです。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- ピートモス:ピートモス は水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。
- 特徴:腐葉土と比べて養分を殆ど含んでいないため、微生物を活性化する力が弱く無菌で清潔感がある。土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の保水力を高める効果が高く、通気性・保肥力も改善する。PHは基本的に強い酸性になる。
- 注意点:PHが3~4の強い酸性のため、一般的な植物を育てる際は調整済のピートモスを使用するか、アルカリ性の土壌改良材を入れて使用した方がよいでしょう。
- 用途:土壌の膨軟性を高めて、保水性・保肥力・通気性を改善するのに利用されたり、PHを酸性に調節する目的で利用されたり、無菌で雑菌が繁殖しにくいためインドアグリーンの植物の改良用土として利用されたり、挿し木や種まき用の培土として利用されたり、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されたりしています。
- べラボン:べラボンはヤシの実を特殊加工して作られた園芸資材です。
- 特徴:非常に軽く空気を多く含んでいて、水を含んだ時の膨張と乾燥した時の収縮比率が高いため、培養土などに混ぜ込むと通気性が大きく改善して根張りがよくなります。通気性はもちろん保水性・保肥力も高いため優れた土壌改善効果があり、単体でも植物を育てる事が出来る。
- 用途:土壌の膨軟性・通気性・保水性・保肥力を改善する目的で使用することができます。培養土としてべラボン単体で一般的な植物を育てる事ができます。非常に軽量なため吊り鉢やハンギングバスケットなどの培養土にもおすすめです。樹木に着生する洋ランなどの植物の培養土にも利用されます。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
オカメヅタは、基本的に一定の湿り気がある環境を好みます。栽培する場所は、基本的に日陰にあるため乾燥しにくいですが、乾燥しやすい土壌などで栽培する場合は水やりの頻度が多くなる場合もあります。
●水やりの方法
生育期間中の春から秋は、生育旺盛で沢山の水を必要とするため、土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えます。頻繁に水やりを行い、ジメジメとした環境を作ると根腐れを引き起こすこともあるため、必ず土壌の状態を確認してから水やりをおこないましょう。
冬の期間は生育が緩慢になるため、植物は水をそれほど必要としません。そのため、乾かし気味に管理してあげるとよいでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
オカメヅタは、土壌が肥沃であれば肥料が無くてもそだてる事ができます。ただし、肥料を与えることで株の生育が促進されるため、生育期間中は定期的に追肥を施してあげる方がよいでしょう。
●堆肥の与え方
- 堆肥を入れる時期:植え付け時、または冬から早春に堆肥を入れます。
- 堆肥の入れ方:堆肥の入れ方は地植えと鉢植えでかわります。
- 地植え:植付けや株分けする時などに土壌改良を行い堆肥をいれて混和する。または株の周囲に堆肥を盛ったり、株の周囲に穴を掘り堆肥を入れます。
- 鉢植え:植え替え時に堆肥がしっかり入った新しい培養土を使う。または古い土に二割から五割ほど新しい土を混ぜて再利用する。
●肥料の与え方
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を入れる事で補います。
- 肥料を与える時期:春から秋の生育期間中※肥料をあたえる頻度は製品によりかわります。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリが右下がりに比率が減っていく右下がり型、または窒素・リン・カリがバランス良く入る水平型を選びます。
- 肥料の製品:液肥・固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の回りにかけて、土全体を湿らせるように与えましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
オカメヅタは剪定せずに育てる事も出来ますが、株の概形を整える目的、株のサイズを抑える目的、枯れたり古くなったりしている不要な枝葉を除去して健康な成長を促す目的などで剪定されます。
●剪定方法
- 剪定の時期:春から秋の生育期間中であればいつでも行えますが、強い剪定を行う場合は、春からの力強い成長の恩恵を受ける3月~5月頃が最適です。そのため、春以外に剪定する場合は、形を整える程度にするとよいでしょう。
- 不要枝の除去:株を観察して、枯れた枝や、活力が失われ成長が緩やかで葉の数が少なくなっている茎、病気の茎などを探します。これらの茎を健康な部分まで切り戻しましょう。
- つるの整理:株を観察して、つるが長く伸びすぎて予め決めていた場所から逸出していたり、ツルが混み合い繁茂して薮のようになる事があります。これらは、荒廃感をお庭の中に演出する事ができますが、無秩序で管理されていない印象を与えてしまうため、基本的に剪定した方がよいでしょう。剪定方法は不要な茎を探します。不要な茎は、予め決めていた範囲を逸脱して成長している茎や、枝どうしの間隔が狭く密集していて混みあっている状態の茎、枝どうしが絡み合っている茎などです。これらを、株全体のバランスを見ながら、茎の途中または根元から剪定するとよいでしょう。
- 分枝を促す:株を観察して分枝が少なくてボリューム感がないと感じる場合があります。このような場合は、分枝させたい箇所を決めて、その付近にある葉の付け根(節)の少し上で剪定します。これは好みですが、分枝させたい箇所は、茎の上部で行うとバランスが悪くなり、強い成長も望めないため、基本的には分枝の根元付近または株の根元付近がよいでしょう。
夏越しする方法
オカメヅタは、基本的に強健で夏越しが難しい植物ではありません。ただし、強光や乾燥を少し苦手にしています。例えば、強光は光合成を阻害して生育不良を引き起こしたり、葉の細胞を破壊して葉焼けを引き起こしたりします。また乾燥は葉の変色や枯れを引き起こし、生育不良に陥らせたりします。そのため、夏越し対策として強光・乾燥の予防が必要になってくるでしょう。
●夏越し対策一覧
- 乾燥の改善:乾燥は水分が不足した状態や湿度が低い状態になることです。植物が乾燥して萎れやすいと感じる場合は、育てている環境や土壌の状態が悪い場合があります。乾燥対策は幾つかあるため下記を参考にして下さい。
- 灌水をする:植物と土壌の状態を見ながら、適切に水やりを行いましょう。
- 土壌の改善:土壌は土質により乾燥のしやすさが変わります。植物の植え付け時や植え替え時に、植物に合わせた土壌の改善をしましょう。詳しくは花壇土からご覧下さい。
- 日差しを避ける:強い日差しの当たらない場所で植物を管理します。植え付け時に日差しの当たる場所を避けたり、夏の期間だけ鉢植えを軒下に移動したりして対策するとよいでしょう。
- 日除けをつくる:植物と太陽の間に遮光ネットを張って強光を遮る方法があります。遮光ネットは雨避けにもなるため病気予防などにもおすすめです。
- マルチング:地面の表面をバークチップや藁などのマルチング資材で覆います。急激な地温の上昇を防ぎ、高温による蒸発、泥はねからの病気の感染なども防いでくれます。
- 切り戻し:植物の葉の量が多いと、蒸散量が増えて乾燥しやすくなったり、風や光の通りが悪くなり病害虫の発生の原因になったりすることがあります。そのため、必要に応じて剪定を行い株をコンパクトにするとよいでしょう。
- 強光:強光とは強い光です。植物界では一般的に光合成能力を超えるような強い光になります。このような強い光は、光阻害を引き起こして細胞・タンパク質を壊してしまい光合成能力を低下させたり活性酸素の生成を行い、過剰に蓄積された活性酸素が光合成装置を壊したり細胞死を引き起こしたりします。そのため、必要に応じた対策が必要です。
- 日差しを避ける:強い日差しの当たらない場所で植物を管理します。植え付け時に日差しの当たる場所を避けたり、夏の期間だけ鉢植えを軒下に移動したりして対策するとよいでしょう。
- 日除けをつくる:植物と太陽の間に遮光ネットを張って強光を遮る方法があります。遮光ネットは雨避けにもなるため病気予防などにもおすすめです。
挿し木や株分けで増やす
ヘデラ・ヘリックスは挿し木によって増やす事ができます。
●挿し木の方法
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを7~10cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度をいれます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。