
- 原産:フランス/イタリア/スペイン
- 科:シソ(Lamiaceae)
- 属:ラヴァンドラ(Lavandula)
- 種:アングスティフォリア(Lavandula angustifolia)
- 同義語:ラベンダー・オフィキナリス(Lavandula officinalis)
- 英名:イングリッシュラベンダー(English lavender)
- 別名:ラベンダー(lavender)/ラベンダー・アングスティフォリア/コモン・ラベンダー(common lavender)/トゥルー・ラベンダー(true lavender)/ガーデン・ラベンダー(garden lavender)/ナローリーブ・ラベンダー(narrow-leaved lavender)
- 開花時期:5月~6月
- 開花時期(四季咲き):5月~10月
- 花の色:桃色・青色・紫色・白色
- 葉の色:緑色・灰緑色・黄色・白色
- 香り:花(萼片)・葉・茎
- 生活形:常緑低木
- 樹高:約30~100cm
- 誕生花:6月19日/7月2日
- 花言葉:沈黙/誘惑/あなたを待っています
- 用途:開花期間長い/カラーリーフ/生垣/切り花/ドライフラワー/香りが良い/種から育てる植物/ロックガーデン
- 購入方法:イングリッシュラベンダーを楽天で購入
■イングリッシュラベンダーとは!?
イングリッシュラベンダー(学名: Lavandula angustifolia)は、同義語でラベンダー・オフィキナリス(学名: Lavandula officinalis)としても扱われており、別名で単に「ラベンダー(lavender)」と呼ばれたり「ラベンダー・アングスティフォリア」「コモン・ラベンダー(common lavender)」「トゥルー・ラベンダー(true lavender)」「ガーデン・ラベンダー(garden lavender)」「ナローリーブ・ラベンダー(narrow-leaved lavender)」とも呼ばれるシソ科ラヴァンドラ属に分類される常緑低木です。
イングリッシュラベンダーの原産地はフランス、イタリア、スペインで、自生地は丘陵地の母材が石灰岩の岩場や乾燥した草原などに見られます。
■イングリッシュラベンダーの語源(由来)
- Lavandulaの語源:一般的に、古代ローマ人が入浴時の香水として利用したり洗濯に利用していたことから、ラテン語で「洗浄」を意味する「lavare」からきていると言う説が最も有力ですが、ラテン語で「青みがった」を意味する「lividus」からきている説も提唱されています。
- angustifoliaの語源:ラテン語で「狭い」を意味する「angustus」と、ラテン語で「葉」を意味する「folia」の2語で構成されており、本種の葉の幅が狭いことに由来しています。
- イングリッシュラベンダーの語源:イングリッシュとラベンダーの二語で構成されていますが、本種の原産地はイギリスではありません。本種がイギリスで広く栽培されて、品種改良が進んだためと考えられています。
■イングリッシュラベンダーの特徴(魅力)

- 形態:樹高は約30~100cm、生育型は分枝型で主軸が不明瞭で基部付近からよく分枝し、線形の葉が茎から対生して、開花期になると輪散花序に萼と花弁が目立つ穂状の花を咲かせます。
- 近縁種との比較:本種は近縁のラベンダー属の種と比べて、苞が小さくて目立たず、丸みのある可愛らしい萼片が目立ちます。花は樟脳の含有率が低いため果物のような甘い香りがあります。葉は線形で切れ込みがなくスッキリとした見た目をしています。
- 開花期間:開花は一般的に5月から6月に見られますが、四季咲き品種では秋に返り咲くこともあります。そのため、ラベンダーの花を長く楽しみたい人の心も鷲掴みにし、人気の高い植物です。
- 花の装飾性:本種の花は丸い蕾(萼)が際立っているため、ブドウのような可愛らしい見た目をしています。そのため、スイーツをテーマにするような可愛らしいお庭によく調和するでしょう。また花の色は青色・紫色・桃色・白色と多彩なため、お庭の雰囲気に合わせて色が選べます。例えば、恋心をくすぐるようなロマンチックなお庭を作るのであれば桃色の花色を選んだり、また上品なエレガントなお庭作りをしたい場合は青色や紫色の花を選ぶのも良いでしょう。
- 葉の装飾性:本種の葉は、茎と同様に細長い線形のため野暮ったさを感じさせにくく洗練された印象を感じさせやすいです。さらに、葉表面には白色の毛が生えるため、個体差がありますが、白色の毛が多い品種では葉の色が白銀色に見え、さらに光に反射してシルクのような光沢を感じさせることがあります。そのため、宝飾品のような高級感のあるシルバーリーフとして楽しむことが可能であり、ラグジュアリーなお庭やエレガントなお庭などによく調和するでしょう。
- 寄せ植え:本種は株の高さが30cm程度の矮性品種も多いため寄せ植え素材としても扱いやすいです。生育型は分枝型でブッシュ状に成長するため、寄せ植えの中ではボリューム感を出すのに適しており、灰緑色の葉色や青色(紫色)の花色が上品さを演出してくれます。ただし、本種は多湿を苦手にしています。そのため、組み合わせる植物はハーブ(タイム等)やプラチーナなどの乾燥に強い植物を選ぶと良いかもしれませんね。
香りの特徴:本種は茎・葉・萼の腺毛に精油を溜めており、腺毛が風に吹かれたり指で触るなどの刺激を受けることで、精油が外に溢れ周囲に強い芳香が充満します。この香りは、他のラベンダーと比べて果物に似た甘い香りがあるため、好む人が非常に多いです。この芳香を生みだす主要な精油成分は「リナロール」「酢酸リナリル」「ゲラニオール」で、特質すべきは他のラベンダーと比べて薬品や針葉樹を想像させる「樟脳」の含有率が極端に少ない点にあります。園芸では、この心地よい香りを楽しむ目的で様々な用途で利用されます。
- 蜜源:本種は多くのシソ科の植物と同様に蜜蜂などの花蜂に非常に好まれる蜜源です。1個1個の花の中に、頭を突っ込んで蜜を集める蜜蜂の姿は非常に可愛らしく、また花の周りで飛び回る蜜蜂の姿もお庭に活気を与え、楽しげな雰囲気を作り出します。そのため、昆虫と共生するお庭作りをしたい人にもおすすめの植物です。
- ロックガーデン:本種は自生地が丘陵地の岩場などにあり、砂礫が多く栄養の乏しい土壌に生息しています。そのため、土壌層が浅くて乾燥しやすいロックガーデンにも最適な植物のひとつとなります。
- その他:精油を抽出する目的で商業的に栽培され、この精油は香水やアロマテラピーなどに利用されたりします。
イングリッシュラベンダーの切り花とドライフラワーの楽しみ方
切り花の作り方

- 収穫:切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げ:葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外します。茎の切り口は水切りを行います。
- 花を生ける:花瓶の中に入れる水の量は少なく入れて浅水で花を生けます。
- 管理:直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。また徐々に水揚げが悪くなるため、必要に応じて水切りを再度して水換えをしましょう。管理の方法にも左右されますが日持ちは2~3日程度です。
浅水法
浅水法とは、花瓶などの花器に入れる水の量を少なくして、浅い水で花を生ける方法です。一般的に、茎が柔らかく水に浸かると腐敗しやすい植物において、水に浸かる面積を減らして腐敗リスクを下げるために行われます。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水中につけた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの切り花で行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切り法は、水中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切り法を行うことで茎が詰まっている原因(微生物・空気・樹液など)を取り除いて、切り口の状態を正常に戻す効果があります。
水切り法のやり方
- 準備:花材と水の入った容器を準備する
- 茎の切断:切り花の切り口を水中に漬けて、その中で切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。※斜めにカットする事で吸水部が増えて水揚げ効率がよくなります。
- 切り花を生ける:切り口を別の容器にいれて水揚げするか、花器に入れて飾ります。
ドライフラワーの作り方

- 準備:花材・麻紐・洗濯物干しを準備します。※花材は花が十分に開花している物を選んで下さい。
- 花材の下処理:花材が大きい状態のままでは乾燥に時間がかかったり、綺麗に乾燥しなかったりします。そのため花材を使いやすい大きさに切り分けて大きさを調整しましょう。花材の下葉は基本的に不要で、束ねる時などに邪魔になるため、茎の下部の不要な葉は落とします。
- 花材を束ねる:花材を1本または2~3本程度で束ねて、麻紐で茎の下部分をくくり固定しましょう。※花材を多く束ね過ぎると花材同士がくっついて乾燥した時に歪んだり、花材同士がくっつく事で風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進んだりします。
- 植物を吊るす:花材を逆さまにして、洗濯物干しに掛けたり、壁と壁の間に麻紐を張ってその間に花材を吊るしましょう。花材同士を密着させると風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進む事があるため、花材同士は離して乾かします。
- 管理する時の注意点:花は紫外線の影響で色褪せが進み痛みやすいため直射日光が当たる場所は避ける。多湿環境では乾燥までに時間がかかるため、風通しのよい部屋などに花を吊るして自然乾燥させたり、エアコン・除湿機を利用して部屋の湿度を減らす。またサーキュレーターで部屋全体の空気を循環させて花材を素早く乾燥させることも出来ます。
- 完成までの時間:温度・湿度・風通し等で変化しますが、普通は約1~2週間です。
- 完成後:花材として一時保管するか、スワッグやリース等のフラワーアレンジメントに利用できます。
■イングリッシュラベンダーの生活形と形態
●生活形・茎の形態

- 生活形:常緑低木
- ライフサイクル:春は新芽が出て枝葉が茂り、春の終わり頃から開花が始まります。夏は初夏頃まで開花が続きます。秋は成長がやや鈍化し、四季咲き品種では秋に花が見られるものもあります。冬は葉が保持され常緑ですが生育は緩慢です。
- ラウンケルの生活形:地表植物
- 樹高:約30~100cm
- 生育型:分枝型で、主軸が不明瞭で基部付近からよく分枝します。
- 茎の毛:腺毛および星状毛が生えています。この毛は白色のため密生すると茎が白っぽく見えます。
- 茎の性質:茎は成熟すると木質化します。
- 茎の色:若い茎の色は緑色・黄緑色・灰緑色、木質化した茎の色は褐色から灰褐色です。
- 備考:風や刺激により腺(腺毛)から精油が分泌されるため周囲に芳香が広がります。この芳香は虫への忌避効果があり、株を守ると考えられています。
●葉の形態

- 葉序:対生葉序
- 葉身の長さ:約1.5~5cm
- 葉身の幅:約0.2~0.5cm
- 葉身の概形:線形
- 葉縁:全縁
- 葉の毛:腺毛および星状毛が生えています。この毛は白色のため密生すると葉が白っぽく見えます。
- 葉の色:緑色・灰緑色
- 備考:風や刺激により腺(腺毛)から精油が分泌されるため周囲に芳香が広がります。この芳香は虫への忌避効果があり、株を守ると考えられています。
●花の形態

- 花序:輪散花序で、集散花序が各節から対に出て、この集散花序の花柄が殆ど伸びないため、花は節の周囲を囲んでいるような見た目になります。この花序の長さは約3~8cmです。
- 花柄:極短い
- 苞:花柄の基部にあり、苞は蕾よりも小さく、形は卵形・披針形・菱形です。
- 花:花托・萼・花冠・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:萼・花冠・雄蕊・雌蕊を支えています。
- 萼:萼片が合着して筒状になる萼筒です。萼筒は先端に裂片が5個あり、腺毛が生えており、この腺毛は白色を呈し、萼の色は灰緑色・青色・紫色です。
- 花冠:唇形花冠、花冠筒部は細長い筒状で、花冠裂片は全5枚、上唇の裂片は2枚、下唇の裂片は3枚、色は青色・紫色・桃色・白色です。
- 雄蕊:全部で4本で、2本は長く、2本は短い二強雄蕊です。
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:分離果で、果実が熟すと心皮ごとに縦に分離します。この分離した各部は分果で、小堅果となります。
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■イングリッシュラベンダーの園芸品種を紹介
●園芸品種
- アヴィニョンアーリーブルー
- アネット
- アロマティコブルー
- アロマンスホワイト
- インペリアムジェム
- エッセンス
- エレガンス・シリーズ
- おかむらさき
- オックスフォードゼム
- カシオペア
- カノンスター
- ココナッツアイス
- しほ
- サマーラベンダー
- シャインピンク
- シャインブルー
- スーパーブルー
- スイートロマンス
- センティヴィアブルー
- ドワーフブルー
- 長崎ラベンダー
- ナナアルバ
- ナナロゼア
- 濃紫早咲き3号
- バイオレットメモリー
- バレンス・ダークバイオレット
- ピーターパン
- ビーチウッドブルー
- ヒドコート
- ヒドコート・ピンク
- ピンクパフューム
- フォーエバーブルー
- フォーボーストーム
- プラチナブランド
- 富良野ブルー
- ブルーアイス
- ブルークッション
- ブルースピア
- ブルーセントアーリー
- ブルーマウンテン
- ブルーマウンテン・ホワイト
- ブルーリバー
- ほのか
- ホルゲイト
- マンステッド
- ミスキャサリン
- メリッサライラック
- ラバンスディープパープル
- リトルロッティー
- ロイヤルパープル
- ロゼア
- ロドンピンク
- ロドンブルー
●アヴィニョンアーリーブルー

学名:Lavandula angustifolia ‘avignon early blue’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:まだ寒さの残る時期から成長が始まるため、普通よりも早くから花が楽しめます。分枝性がよく、枝は直立に伸びるためコンパクトに成長しながら沢山の花を咲かせます。
●アネット

学名:Lavandula angustifolia ‘annet’
開花時期:5月~10月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:青紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~50cm
備考:四季咲き性が強いため、何度も花を楽しみたい人に好まれる品種です。茎が丈夫なため花材に最適と広く評価されています。
●アロマティコブルー

学名:Lavandula angustifolia ‘aromatico blue’
開花時期:5月~10月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~50cm
備考:四季咲き性があるため、開花後に切り戻すことで秋に再開花することがあります。精油であるリナロールが従来品種よりも約40%も多く含まれているため、より甘く果物のような香りが楽しめる品種です。
●アロマンスホワイト

学名:Lavandula angustifolia ‘aromance white’
開花時期:5月~10月
萼片の色:灰緑色
花弁の色:白色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~50cm
備考:四季咲き性が強いため、開花後に切り戻すことで秋に再開花します。花の香りがとても良く、イングリッシュラベンダーの心地よい香りを楽しむことができます。白色の花が明るさや清潔感を感じさせます。
●インペリアムジェム

学名:Lavandula angustifolia ‘imperial gem’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約40~60cm
備考:花の色が濃紫色をしているため、貴族を想像させるような高貴な雰囲気のお庭によく調和する品種です。
●エッセンス

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~10月
萼片の色:青紫色
花弁の色:薄い青紫色
葉の色:灰緑色
備考:四季咲き性があり花付きもよい。優れた耐暑性と耐湿性があるため夏越しがしやすい。
●エレガンス・シリーズ
![]() パープル | ![]() あなたの街のお花屋さんイングの森・スノー |
![]() ピンク |
学名:Lavandula angustifolia ‘ellagance’
開花時期:5月~9月
花の色:濃紫色・桃色・白色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:種まき後、一年目から開花する能力があります。早咲き性があって、晩春から初秋頃まで花が長く楽しめます。矮性品種のため、鉢植えやスモールガーデンでたのしみやすく、また分枝性に優れ沢山の花を咲かせます。
園芸品種
- パープル:花の色は紫色で、上品なお庭によく調和します。
- スノー:花の色は白色で、明るさや清潔感を演出することができます。
- ピンク:花の色は淡い桃色をしているため、可愛らしいお庭によく調和します。
●おかむらさき

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:薄い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:60~80cm
備考:オカムラサキから抽出された精油は、フランスで開催されたラベンダーオイル品評会で最高賞を受賞した事からも分かる通り、非常に良い香りがあります。花穂が長いため花材として利用しやすかったり、長く花の香りが楽しめたりしやすい。
●オックスフォードゼム
学名:Lavandula angustifolia ‘oxford gem’
開花時期:5月~9月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~40cm
備考:花の色が濃紫色をしているため、重厚感があり格式高い雰囲気のお庭によく調和します。
●カシオペア
学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約40cm
備考:花付きがとてもよく、濃紫色の花を多数咲かせます。
●カノンスター
学名:Lavandula angustifolia ‘canonstar’
開花時期:5月~6月
萼片の色:白色
花弁の色:灰紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約40cm
備考:花は萼片(蕾)の時は白色ですが、花弁が開くと灰紫色へと変化します。そのため、魔法のような色の変化が楽しめる品種です。
●ココナッツアイス
学名:Lavandula angustifolia ‘coconut ice’
開花時期:5月~6月
萼片の色:白緑色
花弁の色:淡い桃色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~50cm
備考:花の色は淡い桃色をしているため、可愛らしい雰囲気のお庭によくあいます。
●サマーラベンダー

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~10月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:薄い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~50cm
備考:優れた耐暑性を備えており、夏の間も花を咲かせ続ける新しいタイプのラベンダーです。四季咲き性が高くて、晩春から夏を越えて秋まで花が開花し続ける事があります。
●しほ

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~45cm
備考:花穂は寸胴でコロンとした可愛らしい見た目をしています。濃紫色の花色が、エレガントな印象を与える品種です。
●シャインピンク

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色
花弁の色:淡い桃色
葉の色:灰緑色
樹高:40cm
備考:株は分枝がよくて、枝は直立し、コンパクトに成長する習慣があります。花の色は淡い桃色をしているため、可愛らしい雰囲気のお庭によく調和します。
●シャインブルー

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:矮性品種のため、鉢植えやスモールガーデンで楽しみやすい。花の色は濃紫色のため、貴族のお庭を想像させるような高貴な雰囲気を演出できます。
●スーパーブルー

学名:Lavandula angustifolia ‘superblue’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:淡い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:イングリッシュラベンダーの中でも甘く強い香りがあることで高い評価を受けている品種です。矮性品種のため、鉢植えやスモールガーデンで楽しみやすい点も魅力です。
●スイートロマンス

学名:Lavandula angustifolia ‘sweet romance’
開花時期:5月~9月
萼片の色:暗紫色
花弁の色:青紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~45cm
備考:春化処理が不要で初年度から花を咲かせます。早咲き性と耐熱性に優れることから、晩春から初秋頃まで長く花が楽しめます。明度の低い暗紫色の萼から、青紫色の花が咲きます。
●センティヴィアブルー

学名:Lavandula angustifolia ‘sentivia blue’
開花時期:5月~10月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:30~50cm
備考:四季咲き性が強いため、開花後に切り戻すことで秋に再開花します。そのため、何度も花を楽しみたい人に好まれる品種です。花は非常に香りが強いです。株の基部からよく分枝して、ボリューム感のある株姿になります。
●ドワーフブルー

学名:Lavandula angustifolia dwarf blue’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:矮性品種のため、鉢植えやスモールガーデンで楽しみやすい。花の色は濃紫色をしているため、格式の高さを感じさせるお庭によく調和します。
●長崎ラベンダー

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~10月
花の色:青色・紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~60cm
備考:1998年に長崎県率大村城南高校で他とは違う性質を持ったラベンダーが発見されたことで、育成プロジェクトが発足して生産・研究がされているラベンダーのシリーズです。他のイングリッシュラベンダーと比べ、耐熱性に優れているため暖地でも栽培がしやすく、また四季咲き性があるため何度も花が楽しめます。
園芸品種
- しずか:四季咲き性があるため普通のラベンダーよりも長く花を楽しめます。また早咲き性があるため長崎ラベンダーの中で最も早く開花が始まります。株は分枝が良く、次々と花を咲かせる多花性の性質があるため開花期はボリュームのある花姿が楽しめます。
- しおり:開花は初夏と秋にあり、花を何度も楽しめます。花は花穂が大きくてボリュームがあり、鮮やかな紫花が上品さを感じさせます。耐熱性が優れているため、夏越しがしやすくなっており、暖地でも育てやすいです。
- ナイトブルー:長崎ラベンダーの中で最も濃い濃紫色の花が咲きます。返り咲き性があるため、初夏と秋に二回花を楽しめます。耐熱性が優れているため、夏越しがしやすくなっており、暖地でも育てやすいです。
- リトルマミーは、城南一号に続く改良品種です。城南一号と比べて、草丈が低いため鉢植え等でも育てやすく、また早咲き性があるため早くから開花が楽しめます。花の色は紫色、四季咲き性があるため何度も花が楽しめて、また優れた耐熱性があるため夏越しが楽です。
- 城南一号は、大村城南高校で育種された品種です。四季咲き性と優れた耐熱性が特徴で、薄い紫色の花を咲かせます。
●ナナアルバ

学名:Lavandula angustifolia ‘nana alba’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色
花弁の色:白色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:矮性品種のため、鉢植えやスモールガーデンで楽しみやすい。花の色は白色のため、明るさや清潔感のあるお庭によく調和します。
●ナナロゼア
学名:Lavandula angustifolia ‘nana rosea’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色
花弁の色:桃色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:矮性品種のため、鉢植えやスモールガーデンで楽しみやすい。花の色は桃色のため、可愛らしい雰囲気のお庭によく調和します。
●濃紫早咲き3号

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~50cm
備考:北海道で選抜育種された品種です。早咲き性があり、普通よりも花が早くから楽しめます。花の色は濃紫色をしているため、貴族を想像させるような高貴な雰囲気のお庭によく調和します。
●バイオレットメモリー

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~60cm
備考:富良野おかむらきの中から花色が濃いものが選抜された園芸品種です。長い花穂と濃い紫色の花色が特徴になり、この花は乾燥しても色褪せが少ないことから花材として用いるのに最適です。
●バレンス・ダークバイオレット

学名:Lavandula angustifolia ‘valence dark violet’
開花時期:5月~10月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~50cm
備考:四季咲き性が強いため、開花後に切り戻すことで秋に再開花します。特に低温期に花の色は濃くなり、黒色にも近い濃い濃紫色になるため、重厚感を感じさせる色彩が楽しめます。
●ピーターパン

学名:Lavandula angustifolia ‘Peter Pan’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~45cm
備考:花の色は濃紫色で、貴族を想像させるような高貴な雰囲気のお庭によく調和します。
●ビーチウッドブルー
学名:Lavandula angustifolia ‘Beechwood Blue’
開花時期:5月~6月
萼片の色: 紫色
花弁の色:薄い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約40~60cm
備考:1920年に発売されて以降、現在まで園芸品種として発売されている人気のある品種です。甘い香りのする濃い紫色の花を咲かせます。
●ヒドコート

学名:Lavandula angustifolia ‘hidcote’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~50cm
備考:Lawrence Johnstonによって1950年以前に作出された人気の高い園芸品種です。花の色はマンステッドよりも濃い言われており、濃紫色の萼片から明るい紫色の花(花弁)が咲きます。花の色は濃い濃紫色を呈し、乾燥しても色褪せが少なくて心地よい香りがすることから花材としてよく利用されます。
●ヒドコート・ピンク

学名:Lavandula angustifolia ‘hidcote pink’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色・白色
花弁の色:淡い桃色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~60cm
備考:1958年に発売されて以降、現在に至るまで高い人気を保ち続けている園芸品種です。花の色は淡い桃色をしているため、可愛らしいお庭によく調和します。また香りがとても良く、料理用途としても使われてきました。
●ピンクパフューム

学名:Lavandula angustifolia ‘Pink Perfume’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色・灰白色
花弁の色:淡い桃色
葉の色:灰緑色
樹高:約40~60cm
備考:その名前が示す通り、花の色は淡い桃色を呈し、香水を思わせるような甘く心地よい香りがあります。
●フォーエバーブルー

学名:Lavandula angustifolia ‘forever blue’
開花時期:5月~10月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~60cm
備考:四季咲き性が高く、また早咲き性と、優れた耐暑性を備えているため、晩春から夏を越えて秋まで長く開花し続けます。花軸が長く伸びる傾向があるため、花材に利用しやすいです。花の色が濃い紫色をしているため、格式高い雰囲気のお庭によく調和します。
●フォーボーストーム
学名:Lavandula angustifolia ‘Foveaux Strom’
開花時期:5月~6月
萼片の色:紫色
花弁の色:薄い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約50cm
備考:香りの良い紫色の花を咲かせます。
●プラチナブランド

学名:Lavandula angustifolia ‘platinum blonde’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色・灰紫色
花弁の色:薄い紫色
葉の色:灰緑色・クリーム色
樹高:約30~60cm
備考:春に現れる新葉の縁部分にクリーム色の覆輪が入るため灰緑色・クリーム色の明るい印象を感じさせるカラーリーフとして楽しめます。ただし、夏頃になると基本的に斑が無くなります。
●富良野ブルー

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~60cm
備考:花穂はやや小振りで可愛らしく、花の色は濃紫色をしており、甘く心地よい香りがあります。
●ブルーアイス

学名:Lavandula angustifolia ‘blue ice’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰白色
花弁の色:薄い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約50cm
備考:花は萼片(蕾)の時は灰白色ですが、花弁が開くと薄い紫色へと変化します。そのため、クールでスッキリとした印象を感じさせる品種です。
●ブルークッション

学名:Lavandula angustifolia ‘blue cushion’
開花時期:5月~9月
萼片の色:灰白色・灰青色
花弁の色:青色・青紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~40cm
備考:株姿はクッションのようにふんわりと広がります。花の色は青色から青紫色を呈し、花弁が開いた時、花穂はふわふわとした外観となります。
●ブルースピア
学名:Lavandula angustifolia ‘blue spear’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:矮性品種のため、鉢植えやスモールガーデンで楽しみやすい。種子から栽培することが出来て、ほかの種子系ラベンダーよりも花穂が大きくなる傾向があります。
●ブルーセントアーリー

学名:Lavandula angustifolia ‘blue scent early’
開花時期:5月~6月
萼片の色:暗紫色
花弁の色:淡い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:種子から栽培することが可能で、春化処理も不要なため初年度から花を咲かせます。そのため、短期間で多数の苗をつくれます。矮性品種のため、鉢植えやスモールガーデンで楽しみやすい。
●ブルーマウンテン

学名:Lavandula angustifolia ‘blue mountain’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約40~60cm
備考:枝は直立し、ドーム状にコンパクトに成長する習慣があります。濃紫色の花色が、高貴な雰囲気を感じさせる品種です。
●ブルーマウンテン・ホワイト

学名:Lavandula angustifolia ‘blue mountain white’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色
花弁の色:白色
葉の色:灰緑色
樹高:約40~60cm
備考:枝は直立し、ドーム状にコンパクトに成長する習慣があります。白色の花色が、明るさや清潔感を感じさせる品種です。
●ブルーリバー

学名:Lavandula angustifolia ‘blue river’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:薄い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~40cm
備考:花は強い芳香があり、濃紫色の花が上品な印象を与える品種です。
●ほのか

学名:Lavandula angustifolia cv.
開花時期:5月~10月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:薄い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~50cm
備考:四季咲き性が強い品種です。開花後切り戻す事で、脇芽からも花を出して二番花が楽しめます。
●ホルゲイト
学名:Lavandula angustifolia ‘holgate’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約40~70cm
備考:香りが良い濃紫色の花を咲かせる品種です。
●マンステッド

学名:Lavandula angustifolia ‘munstead’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約40~60cm
備考:1916年に発売され以降、現在に至るまで高い人気を保ち続けている園芸品種です。花の色は濃い濃紫色を呈し、乾燥しても色褪せが少なくて心地よい香りがすることから花材としてよく利用されます。
●ミスキャサリン

学名:Lavandula angustifolia ‘miss katherine’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色
花弁の色:桃色
葉の色:灰緑色
樹高:約60~80cm
備考:RHS AGM 2002でガーデンオブメリット賞を受賞した品種で、香りが非常に良いことが評価されています。花の色は淡い桃色を呈し、可愛らしいお庭によく調和します。
●メリッサライラック

学名:Lavandula angustifolia ‘melissa lilac’
開花時期:5月~6月
萼片の色:紫色
花弁の色:淡い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約40~60cm
備考:萼片は腺毛が密生し、花弁は大きく密生するため、花穂は大きめで、もこもことした可愛らしい見た目をしています。
●ラバンスディープパープル

学名:Lavandula angustifolia ‘lavance deep purple’
開花時期:5月~6月
萼片の色:濃い濃紫色
花弁の色:紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:他のイングリッシュラベンダーと比べても萼片の色が濃い濃紫色を呈し、重厚的で格式の高さを感じさせる品種です。花の色が濃く色褪せしにくく、また香りも強いため、花材としてもよく利用される品種です。
●リトルロッティー

学名:Lavandula angustifolia ‘Little Lottie’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色・灰白色
花弁の色:淡い桃色
葉の色:灰緑色
樹高:約30cm
備考:イングリッシュラベンダーの中でも香りが強い品種です。花の色は淡い桃色を呈すため、可愛らしい印象を感じさせるお庭によく調和します。矮性品種のため、鉢植えやスモールガーデンで楽しみやすい。
●ロイヤルパープル

学名:Lavandula angustifolia ‘royal purple’
開花時期:5月~6月
萼片の色:紫色
花弁の色:淡い紫色
葉の色:灰緑色
樹高:約70~90cm
備考:1940年代に紹介され以降も、現在に至るまで高い人気を保ち続けている園芸品種です。大株に成長するため、自然風の生垣によく利用されています。
●ロゼア

学名:Lavandula angustifolia ‘rosea’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色
花弁の色:淡い桃色
葉の色:灰緑色
樹高:約60~80cm
備考:1937年に発売されて以降も、現在に至るまで高い人気を保ち続けている園芸品種です。花の色は淡い桃色をしているため、可愛らしいお庭によく調和します。
●ロドンピンク
学名:Lavandula angustifolia ‘Loddon pink’
開花時期:5月~6月
萼片の色:灰緑色
花弁の色:淡い桃色
葉の色:灰緑色
樹高:約30~50cm
備考:1950年以前からあり、現在も販売されている人気の高い園芸品種です。淡い桃色の花色が、可愛らしさを感じさせます。
■ラヴァンドラ属(ラベンダー)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■イングリッシュラベンダーの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:地中海植生
- 原産地:フランス、イタリア、スペイン
- 自生地:丘陵地の母材が石灰岩の岩場や乾燥した草原などに見られます。
- 気候:主に地中海性気候・高地地中海性気候に属します。気温は夏に高温になる地域から冷涼な地域まであり、冬は寒冷な地域では氷点下を大きく下回ります。降水量は夏場は少なく乾燥しており、冬は夏の三倍以上の降水量があり比較的湿潤です。
- 日照:日向を好みますが、半日影でも生育します。
- 土壌:レプトソル(連続した岩石の上にある非常に浅い土壌の層で深さ25cm未満です)やカンビソル(土壌形成の初期段階にあり土壌層の分化が弱い)やカルシソル(石灰が集積する土壌で、土壌中の水分が乾燥する際に、水に溶けていた炭酸カルシウムが特定の層で沈殿・集積します)がよく見られる。これらの土壌は砂礫質で、通気性・排水性が高く、肥沃さは低い傾向にあります。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
イングリッシュラベンダーは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿りやすい粘土質の土質は許容せず、根腐れを引き起こすため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:肥沃さは基本的に必要ありません。肥沃すぎる土壌は、特に夏場に蒸れやすく、根腐れの原因となるため注意が必要です。土壌の状態を見て、極端に痩せていると感じる場合は、必要に応じ適度に堆肥を入れて上げるとよいでしょう。
- pH:自生地が石灰岩の岩地などにある事からも分かる通り、pHは中性から弱アルカリ性を好みます。土壌のpHを診断して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてpHを調節しましょう。酸性土壌では微量要素などの栄養吸収が上手くいかずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
イングリッシュラベンダーは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
●培養土
イングリッシュラベンダーの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土よりも少し通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。またラベンダーの専用の培養土も売られているため、そちらを利用するのも良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が地中海沿岸の丘陵地の岩場や乾燥した草原などにあり、土壌は基本的に礫質で栄養が少なめの土壌です。また母岩が石灰岩のためpHは中性からアルカリ性を好みます。そのため、培養土を作成する時は通気性・排水性を重視しながら、水やりの頻度も考えて適度な保水性も確保したり、またpHの値に注意しながら作成しましょう。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を高める目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を7割~9割を目安にして多めに配合します。土壌改良材の土粒は小粒・中粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥は、一般的な植物よりもかなり控えめに1~3割を目安にして培養土の中に配合します。腐葉土などの有機物は培養土の水分・養分を保持して、根の活着を助け、生育を促進する効果がありますが、本種の場合は堆肥を入れ過ぎると、夏場に蒸れて過湿状態になり根腐れを引き起こす原因ともなります。そのため、バランスを考えて必要量を入れる事が大切です。加えて、本種は中性から弱アルカリ性の土壌を好むため、pHを下げる性質があるピートモスなどは利用を控えた方がよいでしょう。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)8割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+腐葉土2割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+バーミキュライト1割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
水やりの仕方
イングリッシュラベンダーは、丘陵地の岩場などの乾燥しやすい場所に自生しており、夏場に乾燥する地中海性気候の気候帯に分布します。そのため、基本的に高い耐乾性があります。その一方で、過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因になったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やり頻度には十分な注意が必要です。
地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水やりが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、成長に必要な十分な水を必要とします。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 夏の水やり:自生地の気候は地中海性気候で、この時期は降水量が少なく乾燥しており、日本の高温多湿を苦手にしています。この時期は、基本的に乾燥気味に管理しますが、完全に乾燥させると枯れることもあるため株の状態・土壌の状態を確認することも大切です。基本的には、多湿にならないよう注意しながら、朝の涼しい時間帯に土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 秋の水やり:気候が穏やかになり、再び生育が旺盛になります。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:生育が緩慢になる季節で、植物は水をそれほど必要としません。土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなります。ただし、完全に乾燥すると枯れてしまう事もあるため、土壌の表層が乾燥した数日後に水を与えると良いでしょう。
注意点
- 水やり時間帯:水やりの時間帯は、基本的に植物が水を欲しがりだす朝に与えるのが最適です。昼や夕方に与える事も出来ますが、季節によっては高温で水がお湯のようになり蒸れて根腐れを引き起こす可能性があります。また夕方に水やりを行うと、植物が水分をあまり必要としない夜間にも水がたっぷり残り呼吸を邪魔するなどして根腐れを引き起こす原因になる事があります。そのため、基本的に朝に水をやることが正しいですが、植物が萎れている場合は時間に関係なく直ぐに水やりを行って下さい。
- 水を与える量:1回に与える水の量はたっぷりです。鉢植えで植物を栽培している場合は、鉢底から水がしっかり流れるまで与えます。その際、水を与える場所が1箇所になると水の道が出来てしまい、特定の場所に水が流れないこともあるため水を与える場所を変えながら与えましょう。地植えで水やりを行う場合は、土壌の表面だけでなく奥まで水を染み込ませるつもりでしっかりと水を与えて下さい。
- 水を与える場所:水を与える場所は基本的に株元から少し離れた場所で、植物に直接かけないようにします。植物上に水が溜まると、そこから真菌などが植物の中に侵入し、病気を引き起こし腐敗させる原因になるため注意して下さい。
- 梅雨の管理:植物を軒下に移動したり、雨避けをつくり、株に梅雨の長雨が植物に当たり、傷むことを防ぎましょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。※土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土の表面から5cm程度の深さと定義しています。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
イングリッシュラベンダーは多肥を好みません。腐葉土などの堆肥が配合された土壌であれば、生育に必要な一定の栄養が含まれており、肥料がなくても栽培することができます。適切な量の肥料には生育を促進する働きもありますが、過剰な栄養は、茎が徒長し草姿を乱す原因になったり、花数を減らす原因になったり、肥焼けを起こして根が傷み、根腐れを引き起こす原因になったりするため注意が必要です。基本的に不要ですが、鉢植えで栽培する場合は栄養が足りなくなることもあるため、早春に芽出し肥を与えます。
●肥料の与え方
- 芽出し肥:早春から春頃に新芽が動き出す前に、新芽の成長の促進や初期の成長を促す目的で与えられる肥料です。
- 肥料の成分:リン酸・カリが多く含有する肥料を選びます。
- 肥料の製品:固形肥料(緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
イングリッシュラベンダーは、株の老化(木質化)を抑制するため春と花後の2回の剪定が推奨されます。
●剪定方法
- 春の剪定:剪定時期は、新芽が動き出す前の早春頃に行います。これを行うことで、株の老化(木質化)を抑制し、新芽が勢いよく成長しやすくなります。剪定の方法は、株を観察して枯れたり損傷したりしている枝を根元から剪定して取り除きます。次に、株全体の外観をドーム状に整えるように、全体の3分の1から半分程度を目安にして剪定します。注意点として、必ず枝に葉(芽)が残るようにして下さい。完全に木質化した枝からは、芽が出ずに枯れることがあるためです。
- 花後の剪定:最初の花が咲き終わった頃に剪定を行います。この剪定を行うことで、風通しがよくなり多湿による株の弱りを抑制したり、株が消耗して弱ることを防いだり、また再開花しやすくなったりします。剪定の方法は、株の3分の1を目安にしてドーム状に軽く切り戻しをしましょう。その際、必ず枝に葉(芽)が残るようにして下さい。完全に木質化した枝からは、芽が出ずに枯れることがあるためです。
夏越しする方法
イングリッシュラベンダーの自生地は岩の多い丘陵地などにあり、気候は地中海性気候で夏は高温で乾燥しています。そのため、この植物は乾燥した暑さには強いです。
一方で、多湿・過湿は株が蒸れて根腐れを引き起こしたり、病気にかかるなどして生育不良を引き起こしやすくなります。特に夏場の高温と多湿が組み合わさる高温多湿(複合ストレス)環境では、致命的な影響を受けて枯れてしまうことが多々あります。そのため、夏越し対策としては多湿・過湿の予防が非常に重要になります。
●夏越し対策一覧
- 鉢植えの移動:長雨で株が傷みやすいため、軒下などに移動します。
- 雑草の除去:周囲の雑草は風の流れや太陽光を遮り、育てている植物の成長を妨げたり、多湿を生み出す原因になったりします。そのため、不要な雑草は抜きましょう。ただし、土壌が剥き出しになることで乾燥が早まる場合もあります。
- 排水性の改善:雨水などが周囲から集まりやすい環境にあったり、硬盤があったりすると排水が上手くいかない場合があります。対策として排水溝をつくったり、縦穴暗渠(縦穴排水)をつくり雨水が外に流れる仕組みをつくりましょう。
- 花壇を高くする:花壇をレイズドベットにしたり、岩を並べてロックガーデンなどにしたりして、植物を植える環境を周囲よりも高くすることで排水性が改善されます。
- 雨避けをつくる:植物の上に雨が当たらないように雨避けを張り、雨から植物を守ります。
- 土壌の改善:土壌は土質により乾燥のしやすさが変わります。植物の植え付け時や植え替え時に、植物に合わせた土壌の改善をしましょう。詳しくは花壇土からご覧下さい。
挿し木や株分けで増やす
イングリッシュラベンダーは挿し木や取り木によって増やす事ができます。
●挿し木の方法
- 概要:茎を採取して、この茎の長さや葉の数を調節し、切り口を土に挿して繁殖させる無性生殖の1種です。
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から初夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを7~10cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 水揚げ:整形した挿し穂の切り口をボウルなどに入れた水に約1時間浸し、十分に吸水させます。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を開けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度を入れます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
●取り木(圧条法)の方法
- 概要:柔軟で長く伸びる枝の1部を土に埋めて発根させる圧条法と呼ばれる取り木の技法の1種です。
- 取り木の時期:植物の生育が旺盛な春から初夏の季節が取り木に最適な季節となります。
- 枝の選定:取り木を行う枝は、前年もしくは当年成長した、充実した枝の中から選定します。枝は柔軟で曲げることが可能で、鉛筆程度の太さがあり、健康なものを選びましょう。
- 培養土:枝を埋める場所は、雑菌が多いと病気になる原因となるため、水捌けが良い清潔な培養土を入れたポットを準備するか、または礫質で雑菌が繁殖しにくい土壌で行いましょう。
- 加工:枝の発根させたい部分の表皮を剥がすために、リング状(枝の周りを1周)に刃物で浅く切れ込みを入れて、表皮を剥離(環状剥離法)します。
- 埋める:枝を曲げながら剥離した部分を地面に埋め、残りの枝は地表から出します。地面に埋めた部分が地表に出てこないように、枝をピンなどで固定して、必要に応じて地表に出ている部分も支柱で上向きに固定しましょう。
- 管理:土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理します。発根して株が固定するまで数ヶ月かかります。
- 定植:土中に埋めた茎から根が長く伸び、株が安定したのを確認出来たら、親株から切り離し、子株の方を好きな場所に定植しましょう。
播種で増やす
イングリッシュラベンダーの種蒔の方法
- 播種時期:3月~4月・9月~10月
- 発芽適温:約15~20度
- 発芽日数:14日以上
- 備考:低温湿層処理
発芽促進処理
- 低温湿層処理:自然採種した種は、胚に生理的な成長阻害機構を持ち、発芽が妨げられている状態にあります。そのため、この種子は冬の寒さを自然に経験させるか、または低温湿層処理を行い発芽促進処理を行う必要があります。
- 準備:袋・バーミキュライト・完熟した種を準備する。
- 種子を入れる:袋の中に、軽く湿らせたバーミキュライトを入れて、その中に種を入れる。
- 保管:袋の中の湿潤を保った状態で冷蔵庫(約0~10度)の中に入れて2ヶ月程度保管します。
- 種まき:種まき時期になったら、冷蔵庫から種を取り出して種を撒きます。
種まき手順
- 種まきの時期:9月~10月に種を撒くか、3月~4月に種を撒きます。自然採取した種を春に撒く場合は低温湿層処理を行った後に撒いた方が発芽が良いです。
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株同士の間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株同士がくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 移植:小さなプラグトレーやポットで移植栽培をしている場合は、本葉が2枚以上になったタイミングでポットなどに移植します。出来るだけ根鉢を崩さないように注意しましょう。
- 定植:株がある程度の大きさになったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。
※鎮圧は土と種の密着度を高め水分の吸収をよくします。