原産:中央アメリカ
科:キク(Asteraceae)
属:アゲラタム(Ageratum)
種:ホウストニアナム(houstonianum)
別名:オオカッコウアザミ/ムラサキカッコウアザミ/フロスフラワー(flossflower)/ブルーミンク(bluemink)/メキシカン・ペイントブラッシュ(Mexican paintbrush)
品種:アリエラ(ariella)
開花時期:5月~10月(霜が降りるまで)
花の色:桃色●青色●紫色●白色〇
葉色:緑色●
分類:一・二年草
草丈:約30cm
誕生花:5月10日/9月14日/10月24日
花言葉:信頼/安楽/幸せを得る
用途:開花期間長い/切り花
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アゲラタム(アリエラ)は分枝がとても良く高さ幅ともに30cm程度のコンパクトなドーム状の草姿を作り、次々と開花する花数の多さが魅力的な園芸品種です。アゲラタム(アリエラ)はコンパクトな草姿をしている事から花壇の縁どりや鉢植え等で育てるのに向きます。シリーズの中には青色(~紫色)の繊細な雰囲気の花を咲かせる「ブルー」や桃色の花を咲かせる「バイオレット」等があるためお庭の雰囲気に合わせて品種を選ぶといいでしょう。
開花時期は晩春から秋(霜が降りるまで)、花色は青色や紫色、桃色や白色があり、個々の花は筒状花が集まる頭花で、花序は頭花が複散房花序に集まります。草姿は直立もしくはドーム状になり高さ約30cm × 幅約30cmに成長します。葉色は緑色、葉身は卵形か三角形で縁部分に鋸歯があり、葉序は対生葉序もしくは互生葉序につきます。
アゲラタム(オオカッコウアザミ)とは!?
アゲラタム(オオカッコウアザミ)は学名Ageratum houstonianum、別名「オオカッコウアザミ」とも呼ばれる中央アメリカ原産の一年草もしくは二年草です。
アゲラタム(オオカッコウアザミ)の語源(由来)
- 属名のAgeratumは、否定を意味する接頭語の「a」と、ギリシャ語で「老化」「老年」を意味する「gēras」の2語からきており、色褪せない花に由来します。
- オオカッコウアザミの由来はカッコウアザミと比べて花が大きい事からきています。
- ↳カッコウアザミは葉がカッコウ(霍香)に似ていて花がアザミ(薊)に似る事に由来します。
アゲラタム(オオカッコウアザミ)の特徴(魅力)
- アゲラタム(オオカッコウアザミ)は開花期間がとても長く通常は春から霜が降りるまで持続的に開花します。
- 花はアザミの様な小さな小花が半球状に幾つも集まりボリュームある花を作ります。
- 頭花の中にある筒状の小花には突出する長い雌蕊が1本(二叉)あり沢山集まる事で花全体がふさふさとした柔らかな見た目を作っています。
- ふんわりとした柔らかな花姿と花色は繊細で優しい雰囲気があり気品のあるお庭等によく合います。
- アゲラタム(オオカッコウアザミ)は草丈1m近くなる品種や15cm程度の品種があります。
- 背が高い品種は切り花向きで背が低い品種は分枝がよくこんもり茂るため花壇の縁どりや鉢植えで育てるのに向きます。
- 種から育てられるため大量植栽も容易です。
アゲラタム(オオカッコウアザミ)の茎は緑色(~赤みがかる緑色)で白色の毛が生えており、茎は傾状茎(地表を這い途中で立ち上がる)もしくは直立して、ドーム状の草姿、もしくは直立に伸びた草姿を作り、高さ約15(~100)cmの間で成長します。葉は対生葉序もしくは上部で互生葉序に配置され、葉色は緑色で白色の毛が生えており、葉身の大きさは長さ約2.5(8.5)cm幅約2.5(6.5)cmあり、葉身の形は卵形から三角形をしています。花序は頭花が集まり複散房花序をつくり、個々の花(頭花)には筒状花のみが集まり、筒状花は花被片が5個と雄蕊が5個と雌蕊が1個(二股)あります。花後の果実は細長い痩果で褐色もしくは黒色をしています。
アゲラタム(オオカッコウアザミ)の切り花の楽しみ方
- アゲラタム(オオカッコウアザミ)の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 花が4分の3程度開いてる状態のものを収穫すると日持ちが良いです。
- 収穫したら水揚げを悪くする葉を出来るだけ取り除きましょう。
- 水に漬けて水切りと必要に応じて湯揚げを行います。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 高温環境では極端に日持ちが悪くなり花が萎れやすくなります。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて湯揚げをしましょう。
- 管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
アゲラタム(オオカッコウアザミ)の栽培方法
園芸では、春から霜が降りるまで持続的に開花する花を鑑賞する目的で育てられる事が多く、花壇の縁どり等として利用されたり、背が高い品種は花壇の中央や後方に植えられて背景として利用されたり、切り花として利用されたりします。花色は青色・紫色・桃色・白色があるため、お庭の雰囲気に合わせて、気品のあるお庭をつくる場合は紫色を選んだり、可愛らしいお庭をつくる場合は桃色の花を選ぶといいかもしれません。
アゲラタム(オオカッコウアザミ)を育てる際に注意する事は「強い乾燥」です。何故ならアゲラタム(オオカッコウアザミ)は根がやや浅いため、乾燥を苦手にしており、やや湿り気のある土壌を好むからです。そのため有機物のしっかり入る保水性ある土壌に植えてあげる必要があり、また暑さの厳しい地域などでは鉢植えを日向から半日影等に移動した方が管理しやすいかもしれません。
アゲラタム(カッコウアザミ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アゲラタムの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
アゲラタム(アリエラ)の育て方
花壇の土づくり
アゲラタム(アリエラ)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため植える場所は、直射日光が6時間以上当たる日向が理想です。また3時間~5時間の半日影までに植えて育てる事が出来ます。
アゲラタム(アリエラ)は水捌けがよく有機物がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。
植付けの前に土壌診断を行い、土壌が粘土質で硬かったりする場合は、必要に応じて通気性を高める川砂やパーライト等を入れたり、また肥沃さと膨軟性を高める目的で腐葉土やバーク堆肥を入れ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
アゲラタム(アリエラ)は基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で管理しましょう。夏の暑さの厳しい地域では、必要に応じて株が弱らないように半日影に移動します。
アゲラタム(オオカッコウアザミ)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒)6割+腐葉土4割+元肥(適量)
- 赤玉土(6割)+腐葉土(2割)+堆肥(2割)+元肥(適量)
水やりの仕方
アゲラタム(アリエラ)は根がやや浅く乾燥を好まないため、やや湿り気のある土壌を保つ必要があります。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
肥料の与え方
アゲラタム(アリエラ)は有機物がしっかり入る肥沃な土壌であれば、多くの肥料はいりません。
- 植え付け時に元肥を入れましょう。一般的にはリンが多め山型の緩効性肥料が選ばれます。
- ↳規定された元肥を全面施肥(培養土もしくは土に均一に混ぜ込む)しましょう。
- 追肥は緩効性肥料もしくは液肥で与えましょう。成分は山型(リン酸が多め)もしくは水平型の肥料を選びます。
- 追肥は緩効性肥料では製品に合わせて規定量を株元から少し離した部分に施し、液肥では2週間に1度のペースで与えてください。
剪定のやり方
アゲラタム(アリエラ)の剪定は「花がら摘み」と「切り戻し」の2つに分かれます。
ただし品種によっては、花が自ら落ちて自浄作用があったり、古い花に覆い被さるように花が次々と咲いたりして、花がら摘みが不要な場合もあります。
花がら摘み
開花期間中は一般的に花がら摘みが必要です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱ったり新しい花がつくられにくくなったりするからです。枯れた花を摘む事は、新しい花の開花を促す事に繋がります。
ただし前述の通り、品種によっては花がら摘みが不要な場合もあります。
切り戻し
生育期間中は、必要に応じて間延びした茎を切り戻しましょう。切り戻しを行わないと、ひょろひょろとした茎が1本だけ伸びて見た目がわるくなったり、茎が間延びして倒れたり、花数が減ったりと、見た目が悪くなる傾向にあります。切り戻しは生育期間中であればいつでも行えます。株の半分程度を目安に剪定ハサミを入れて切り戻すといいでしょう。切り戻しした後は2週間程度、開花が見られませんが、切り戻した部分から脇芽が出てふさふさした草姿をつくり沢山の花を咲かせるはずです。
ただしコンパクトで分枝の良い品種等は切り戻しが要らない場合もあります。
播種で増やす
アゲラタム(オオカッコウアザミ)の種蒔の方法
播種時期:3月~5月
発芽適温:約20度~25度
発芽日数:約5~14日
発芽条件:好光性種子
種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種は好光性種子のため光がないと発芽しません。そのため種の上に土は被せません。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。