原産:西アジア/コーカサス地方
科:セリ(Apiaceae)
属:エリンジウム(Eryngium)
種:ギガンテウム(giganteum)
別名:ミス・ウィルモット・ゴースト(Miss Willmott’s ghost)/トール・エリンゴ(Tall Eryngo)
開花時期:6月~8月
花の色:青色●白色〇
葉色:緑色●
分類:一・二年草
草丈:約30~100cm
誕生花:7月25日/8月15日/8月28日
花言葉:無言の愛/秘密の恋/秘めた愛/光を求める
用途:カラーリーフ/切り花/背が高い花
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
エリンジウム(ギガンテウムとは!?
エリンジウム(ギガンテウム)は学名Eryngium giganteum、別名「ミス・ウィルモット・ゴースト(Miss Willmott’s ghost)」等とも呼ばれる西アジアおよびコーカサス地方を原産とする一・二年草です。
エリンジウム(ギガンテウム)の語源(由来)
- 属名のEryngiumは古代ギリシア語の「ἠρύγγιον(ērúngion)」からきており、エリンジウムの古名です。
- 種小名のgiganteumは「非常に大きい」「巨大な」を意味しており、花の大きさに由来します。
エリンジウム(ギガンテウム)の特徴(魅力)
- エリンジウム(ギガンテウム)は長さ7cm迄の著しく大きな花が魅力です。
- ↳花色は灰緑色から成熟すると青みを帯びてきます。
- 花(花序)の下には幅広い大きな苞があり鋭い棘があります。
- ↳苞は灰白色で10~16個付き水平からやや上向きに襟の様につきます。
- 花は個性的な形から切り花として花瓶に生けて利用されたりドライフラワーにしてフラワーアレンジメント等に利用されたりします。
- ↳切り花としては管理の仕方にも左右されますが日持ち7~10日程度です。
- エリンジウム(ギガンテウム)は乾燥や栄養の乏しい土壌に強いです。
- ↳ただしジメジメした多湿や長雨を苦手にしているため管理場所には注意が必要です。
- エリンジウム(ギガンテウム)は通常開花が終わると枯れてしまいます。
エリンジウム(ギガンテウム)の根は木質の直根です。茎の色は灰緑色(~灰白色)で、茎は直立して上部で分枝する草姿を作り、高さ約30(~100)cmの間で成長します。葉は根生葉と茎葉があり、茎葉は互生葉序につきます。葉色は緑色、葉身は心形もしくは三角形で縁部分に鋸歯と棘があります。花序は小花が長球形に集まり長さ約3(~7)cm幅約2(~2.5)cmの頭花をつくります。花序基部には灰白色からやや青みを帯びる苞があり、苞の長さは6.5cm迄、苞の形は幅広めの披針形で先が鋭利になり縁部分に鋭い棘をもち、花序を囲むように10(~16)個つきます。個々の花の色さ灰緑色から成熟すると青みを帯び、花弁が5個と雄蕊が5個と雌蕊があります。花後の果実は痩果です。
開花時期は初夏から晩夏、花色は灰緑色から青色、個々の花には5個の花弁と5個の雄蕊と雌蕊、花序は小花が長球形に集まり頭状花序の花を咲かせます。草姿はロゼット状で高さは最大約30(100)cm × 幅は約30(45)cmの間で成長します。葉色は緑色、葉身は心形もしくは三角形で縁部分に鋸歯があり、葉序は根生葉もしくは互生葉序につきます。
エリンジウム(ギガンテウム)の切り花の楽しみ方
- エリンジウム(ギガンテウム)の収穫は朝の涼しい時間帯におこないましょう。
- 収穫の前に水を入れたバケツを準備しておきます。
- エリンジウム(ギガンテウム)の収穫は花の色が変わってきたタイミングで行います。
- 収穫したエリンジウム(ギガンテウム)を水に漬けて水切りを行います。
- 水切りしたら花瓶に生けて楽しみます。
- 日持ちは管理の仕方で変わりますが約7~10日程度です。
- ↳管理は数日(約1~3日)ごとに水換えと水切りを行い、水揚げが悪い場合は必要に応じて湯揚げを行います。
水切り
水切りとは茎の根元を水の中に浸けた状態で、茎の根元から上に約1~5cmの部分でハサミを使い斜めにカットして、吸水面を広げ水揚げしやすくする方法です。水の中で切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。※導管に気泡が入ると水揚げが悪くなり萎れやすくなります。
湯揚げ
湯揚げとは約80度に沸騰させたお湯に切り花の切り口をつけて、内部の気泡を膨張させ外に押し出し、水揚げをよくする方法です。
①湯上げする際は熱や水蒸気が余計な部分に当たらないように切り花の下部(約20cm)を残して花全体を新聞紙で包みます。
②切り花をお湯につけた後は冷水に浸ける必要があるため、予めバケツ等に冷水を入れて準備しておきましょう。
②鍋で沸騰させたお湯(約80度)に約30秒ほど切り花の切り口をつけましょう。
③お湯に浸け終わったら予め準備しておいた冷水に浸けて2時間程度水揚げを行います。
④水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い再度花瓶に生けて楽しみます。
エリンジウム(ギガンテウム)のドライフラワーの作り方
- エリンジウム(ギガンテウム)の収穫は乾燥が続く日の朝(朝露が消えた後)に行いましょう。
- 収穫のタイミングは花が完全に開いた後の最高の色が出ているタイミングで行います。
- 茎を好みの長さで剪定ハサミで切って収穫して下葉を取り除きましょう。
- 収穫した花はハンギング法・フラッシュドライ等の方法で乾燥させるのが一般的です。またこれ以外にも水の入っていない深めの花瓶に挿して花を楽しみながら乾燥させる方法もあります。
ハンギング法
ハンギング法とは、植物を壁や天井等から吊り下げて自然乾燥でドライフラワーをつくる方法です。ハンギング法は最も一般的に利用されるドライフラワーを作る手順で、用意する物も花材以外には殆ど要らず手軽に作れる所が魅力です。手順は花の茎の下部を固定する物(麻紐・洗濯バサミ等)で抑えて、逆さにし壁や天井から吊り下げます。管理する場所は基本的に直射日光の当たらない涼しく乾燥した場所です。乾燥させる時間は2~4週間程度で、自然乾燥させます。
フラッシュドライ法
フラッシュドライ法とは、炎天下の駐車場に止まっている車のトランクに花を24時間程度入れて一気に乾燥させる方法です。フラッシュドライ法は熱で一気に花を乾燥させるため色が残りやすい所が魅力です。
エリンジウム(ギガンテウム)の栽培方法
エリンジウム(ギガンテウム)を育てる際に注意する事は「ジメジメとした多湿」です。基本的には乾燥に強く肥料も殆ど必要としないため、理想的な環境では放ったらかしで育てる事も出来ますが、長雨等でジメジメした環境が続くと多湿で根腐れを引き起こし枯れてしまう事も多いです。そのため長雨に当たらない様な場所で育てたり、土壌の排水性を高めておくなどの対策も必要になるでしょう。
エリンジウムの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
エリンジウムの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
エリンジウム(ギガンテウム)の育て方
花壇の土づくり
エリンジウム(ギガンテウム)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。日当たりの悪い場所では開花が悪くなったり生育が悪くなるため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。また長雨に当たると根腐れを引き起こしたり病気になりやすいため、軒下等の雨に当たらない環境で育てた方がよいかもしれません。
エリンジウム(ギガンテウム)は良好な水捌けがない場合、根腐れを引き起こし枯れてしまいます。そのため必ず通気性と排水性のよい土壌(砂壌土等)に植えて上げましょう。また栄養の乏しい土壌でも問題なく育ち、肥沃さはそれほど必要としません。
植付けの前に土壌診断を行い、土壌を掘る時に土が硬かったり、濡らした土を握った時に塊が崩れない等する場合は、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れましょう。また必要に応じて膨軟性(ふわふわ)を高めたり肥沃さを高める腐葉土や堆肥(牛糞堆肥等)を入れたりして土壌改善を行うといいでしょう。
鉢土づくり
エリンジウム(ギガンテウム)は日当り好むため直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。ただし長雨が当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動しましょう。
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒・中粒)+腐葉土=4:3:3
水やりの仕方
エリンジウム(ギガンテウム)は非常に高い乾燥耐性があり、一度活着すれば夏場等の極端に乾燥する場合を除いて、基本的に降水のみで育てられます。
鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になる事があります。基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
エリンジウム(ギガンテウム)は栄養の乏しい土壌でも育ち、基本的にそれほど肥料を必要としません。逆に肥料が多すぎると倒伏しやすくなったり病気にかかりやすくなるため注意が必要でしょう。
- エリンジウム(ギガンテウム)の肥料は無くても問題ないですが、必要に応じて春(4月)と秋(9月)に1回ずつ施肥しましょう。
- 肥料は窒素・リン・カリがバランスよく入る水平型、もしくはリン酸が多めに入る山型の化成肥料を選びましょう。
- 肥料の施しかたは基本的に置き肥です。株元から少し離した場所に施肥しましょう。
剪定のやり方
エリンジウム(ギガンテウム)の剪定は基本的に不要です。必要に応じて枯れた茎を地面まで切り戻す事が出来ます。
夏越しする方法
エリンジウム(ギガンテウム)は夏の暑さに耐える事が出来ますが、長雨に当たりジメジメとした多湿環境になる事を嫌います。
そのため、梅雨の長雨や夏の長雨が心配される時は、軒下等の雨が当たらない場所に移動してあげて下さい。また地植えする場合も、雨に当たりにく場所に植えたり、土壌の排水性を高めておく等の対策をしておくとよいでしょう。
冬越しする方法
Hardiness:4a~8b
エリンジウム(ギガンテウム)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
播種で増やす
エリンジウム(ギガンテウム)の種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~11月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:7~28日
発芽条件:低温要求性種子
エリンジウム(ギガンテウム)は寒さを経験しないと発芽しない、低温要求性種子です。そのため、冬の寒さを自然に体験させて発芽させるか、冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種を撒く必要があります。
また直根性で移植を嫌うためポット等に植えて移植する場合は根鉢を崩さない様にする等の注意が必要です。
種まき手順
- エリンジウム(ギガンテウム)は発芽の為に寒さの経験が必要なため、秋に種を撒いて冬の寒さを経験させた後に春に発芽させるか、低温処理した後で春に種を撒くかです。
- 春に種を撒く場合はポリ袋の中にやや湿らせたバーミキュライトと種を入れ、冷蔵庫(約4度)の中で6~8週間保管して寒さを経験させます。
- ↳低温を種が経験すると休眠打破して発芽の準備が整います。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 直根で移植を嫌うため、直播きがおすすめです。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
エリンジウム(ギガンテウム)の病気
- 根腐れ病
エリンジウム(ギガンテウム)の害虫