- 原産:北アメリカ
- 科:ハナシノブ(Polemoniaceae)
- 属:フロックス(Phlox)
- 種:シバザクラ(Phlox subulata)
- 別名:ハナツメクサ(花詰草・花爪草)/モスフロックス(moss phlox)/クリーピングフロックス(creeping phlox)/モスピンク(moss pink)/マウンテン・フロックス(mountain phlox)
- 開花時期:4月~6月
- 花の色:赤色・桃色・紫色・白色
- 葉の色:緑色
- 香り:
- 分類:多年草
- 草丈:約10~15cm
- 株張り:約50~60cm
- 誕生花:4月8日/4月20日
- 花言葉:臆病な心・合意
- 用途:グランドカバー/ロックガーデン
- 購入方法:芝桜(シバザクラ)を楽天で購入
■芝桜(シバザクラ)とは!?
芝桜(シバザクラ)の学名はPhlox subulata、別名では「ハナツメクサ(花詰草・花爪草)」や「モスフロックス(moss phlox)」等とも呼ばれる多年草です。
芝桜(シバザクラ)の原産地は北アメリカの東部および中央部、自生地は開けた森林地帯・岩場・砂地などの乾燥した場所にあります。
■芝桜(シバザクラ)の語源(由来)
- 属名のPhloxは古代ギリシア語で「炎」を意味する「φλόξ」からきており、花の色に由来しています。
- 種小名のsubulataは、ラテン語で「錐に関連した」または「錐のような」を意味しており、葉の形が錐のように尖っている所に名前の由来があります。
- 芝桜(シバザクラ)の由来は、葉の形が芝の葉に似ていて、花の形や色が桜を思わせる所からきています。
■芝桜(シバザクラ)の特徴(魅力)
- 主な特徴と魅力
- 芝桜(シバザクラ)の特徴は、草姿がほふく性で芝(シバ)のように地面をマット状に広がる所、花の数が多く同時に沢山の花が開花するため開花期には花絨毯のような美しい景観が楽しめる所、花の裂片の形がハート形をしているため可愛らしい所、葉の形が芝に似て細長く尖っていて質感が硬い所、踏圧にはあまり強くないため芝のように人通りの多い場所では使いにくい所などにあります。
- 芝桜(シバザクラ)は、開花期に見られる美しい花絨毯を鑑賞する目的・地面を覆うグランドカバーとして利用する目的・ロックガーデンの地被植物として利用する目的、斜面の土の流出を防止する目的等で栽培されています。
- 外観の特徴
- 草丈は約10~15cm、株張りは約50~60cm、草姿は匍匐して広がりマット状になる、茎はほふく性、分枝が多く密生する、茎は有毛で白色の毛が生えており、茎の色は緑色または赤色、成熟すると木質化して褐色になる。
- 葉序は対生葉序、葉身の長さ約0.5~2cm、 葉身の形は線形~披針形、葉の質感は硬く、葉の色は緑色です。
- 花序は集散花序、集散花序は茎の上部に3~12個の花をつける。花冠は高杯形(高盆形花冠)、高杯形の直径は1.2~2cm程度、高杯形の形状は下部の筒部が細くて長く上部が皿状に開き裂片が5個あり、裂片の形は心形で先端に切れ込みが入る。花の色は赤色・桃色・紫色・白色の範囲である。
- 主な用途
- 芝桜(シバザクラ)は、開花期になると一斉に沢山の花が開花して株を覆い尽くします。その花姿が花絨毯のように美しいため、花を鑑賞する目的で育てられる事が多いです。
- 芝桜は草姿がほふく性で地面をマット状に広がるため、約20~30cmの等間隔で株を並べて地被植物(グランドカバー)として利用されます。芝桜を地被植物として利用する事で斜面などの土壌の侵食を防いだり、土埃が舞い上がるのを防いだり、体感温度が低下するなどの効果が期待できます。※ただし芝のように踏圧に耐性があるわけではないため、人のよく通る場所には使いにくいです。
- 栽培時の注意点
- 芝桜(シバザクラ)を育てる際に注意することは「過湿」「高温多湿」などです。
- 過湿とは、土壌の中の水分が多い状態です。主な原因は土壌の排水性が悪かったり、水やりを頻繁に行う等にあります。過湿を嫌う植物は根腐れや腐敗などを引き起こしやすい傾向にあるため、土壌の通気性・排水性を高めたり、水やりの頻度を考える必要があります
- 高温多湿とは、気温と湿度が高い状態です。植物によっては日本の夏の高温で生育不良を引き起こしたり、高い湿度で根腐れや腐敗等の病気になりやすくなったりする事があります。また高温と多湿が複合すると、より強いストレスを植物に与えるため、深刻なダメージを負いやすいくなります。そのため高温多湿を嫌う植物を育てる場合は夏越し対策に気を付ける必要があります。
■芝桜(シバザクラ)の園芸分類
花の色(班の入り方)
アイ(eye)
花冠裂片の弁底に二次色が入る、そのため花の中に目のような模様が出来る。
スター
花冠裂片の側面に二次色が入る、そのため花の中にスター(星)のような模様が出来る。
■フロックスの主な原種を紹介
クサキョウチクトウ
学名:Phlox paniculata
分類:多年草
開花時期:6月~9月
花の形:円錐花序
花の色:赤色・桃色・紫色・白色
株のサイズ:40~120cm程度
備考:草丈が高くなる。茎は基本的に分枝せずに直立するため見た目の行儀がよい。花房が巨大でボリューム感がある。
キキョウナデシコ
学名:Phlox drummondii
分類:一年草
開花時期:5月~7月
花の形:円錐花序
花の色:赤色・桃色・黄色・紫色・白色・黒色
株のサイズ:10~50cm程度
備考:花の形や色のバリエーションが豊富にある。種から育てられるため大量植栽しやすい。
ツルハナシノブ
学名:Phlox stolonifera
分類:多年草
開花時期:4月~6月
花の形:集散花序
花の色:桃色・紫色・白色
株のサイズ:約10~25cm
備考:草姿はほふく性でマット状に広がるため地被植物として利用される。花はほふく茎から分枝した茎が直立してその先に咲く。細い茎に緩く花が数個付いて咲くため、可憐な花姿が楽しめる。
■フロックスの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■芝桜(シバザクラ)の育て方
花壇の土づくり
環境
芝桜(シバザクラ)は、開けた森林地帯・岩場・砂地などの乾燥した環境に自生している事からも分かる通り、他のフロックスの多くの種よりも乾燥に強い植物です。そのため、水が下に流れやすい斜面や、排水性の高い石や砂で形成されているロックガーデン等で育てられることもあります。
一方で、地面が湿りすぎていたり高温多湿になったりすると、根腐れを引き起こして生育不良になることもあります。そのため、夏場の暑さが厳しい地域では西日の当たらない環境で育てたり、土壌の排水性などにも気をつける必要があります。
日当り
芝桜(シバザクラ)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事も出来ますが、日向と比べると花数が少なくなったり、生育が悪くなったりする傾向があります。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。
- 暗い日陰とは、森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
芝桜(シバザクラ)は、ある程度の肥沃さがある土壌でよく育ちますが、痩せ地でも問題なく育てることができます。
注意することは、雨の後に水がたまるような水捌けの悪い場所で育てたり、ジメジメとした状態が続くような粘土質な土壌で育てる事です。水分が停滞するような土壌で育てると根腐れを引き起こして生育不良になったり、枯れたりすることがあります。
そのため、植え付けの前に土壌診断を行い、土質が悪い場合は土壌改善をします。基本的には砂壌土または壌土になるように土壌を改善すると良いでしょう。有機物の入れすぎは、蒸れる原因にもなりますが、腐葉土等も入れて肥沃さも改善して下さい。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土やバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
- PHを測る専用の道具を用意して診断します。※詳しくはPHを診断からご覧下さい。
- 酸性土壌を改善して土壌を中性またはアルカリ性にしたい場合は、苦土石灰を利用します。PHを1上げるのに必要な苦土石灰の量は1平方メートルあたり150g程度です。土壌に苦土石灰を撒いた後は、石灰が塊にならないようによく混和します。
- アルカリ性土壌を改善して酸性に傾けたい場合は無調整ピートモス(PH4程度)を利用しましょう。ピートモスを腐葉土のかわり等に利用して、よく混和しましょう。
植付け時の注意点
- 植え付け間隔
- 植付け間隔は20~30cm程度の間隔で離します。
- 植え付け方法
- 植付け方法は標準植えで行います。苗(根鉢)の1.5~2倍または30cm程度の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除き、標準植えで植え付けを行いましょう。
水やりの仕方
芝桜(シバザクラ)は、自生地が岩場や砂地などの乾燥地帯にある事からも分かる通り、乾燥に強い植物です。
そのため、基本的には降雨に任せて水やりは不要です。ただし、夏場などの乾燥しやすい季節、雨が長く降らない時、地植えよりも乾燥が早い鉢植えで育てている場合などには、必要に応じて水やりが必要になります。
注意することは、水をやり過ぎて水分の多い過湿状態に長くしない事です。過湿状態が続いてしまうと、根腐れを引き起こして枯れ込む原因にもなります。そのため、水やりの頻度には注意が必要となります。
肥料の与え方
芝桜(シバザクラ)は、痩せ地でも育つ事からも分かる通り、ある程度の肥沃さがあれば基本的に肥料は不要です。
ただし、早春に肥料を与える事で花数が増えるなどの好影響があるため、株を覆うような沢山の花が見たい場合はしっかりと肥料を与えた方がよいでしょう。
肥料の与え方
- 肥料を与える時期
- 晩冬から早春
- 肥料の選び方
- 肥料はリン酸が多めに入る緩効性肥料や化成肥料がおすすめです。※窒素が多い肥料を使うと葉が茂り花が減るため注意しましょう。
- 肥料の与え方
- 緩効性肥料を与える場合は、規定された分量を規定された場所に与えます。基本的には株から少し離れた場所に根があるため、肥料は株から少し離れた場所に与えるようにしましょう。
剪定のやり方
芝桜(シバザクラ)は剪定せずに育てる事も出来ますが、開花後に切り戻し剪定(刈り込み)を行う事で、風通しや日当たりがよくなり、多湿による枯れこみを防げます。
切り戻し剪定とは!?
切り戻し剪定とは、長く伸びすぎたりした茎などを、茎の途中で剪定して形を整える剪定方法です。
切り戻し剪定を行う理由
- 剪定を行うことで茎葉の数が減り、株の中の風通しがよくなり湿気を飛ばすことができます。そのため、多湿による枯れこみを防げます。
- 剪定を行うことで茎葉の数が減り、株の根元まで光が当たりやすくなり、土壌の過湿などを防ぐことができます。
切り戻し剪定のやり方
- 剪定の時期
- 晩春から初夏(開花後)
- 剪定方法
- 株全体の形状を観察して、株の高さの半分程度を目安に、全体を切り戻し剪定します。
挿し木や株分けで増やす
芝桜(シバザクラ)は株分けや挿し木によって増やす事ができます。
株分けの方法
- 株分けに適する時期
- 晩春から初夏(花後)
- 初秋から秋
- 株を掘りあげる
- 株をスコップで掘りおこし、土を軽く落として茎と根の位置を確認します。
- 株を分割する
- 株と株を解しながら、必要に応じてナイフやハサミ等も使い、株に出来るだけ根をつけながら分割しましょう。
- 株分け後の管理
- 切り離した株は、そのまま土壌に植え付けます。
挿し木の方法
- 挿し木時期
- 挿し木する時期は発根率の初夏から夏頃が適します。
- 培養土を準備します
- 挿し穂用の培養土には切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 培養土を容器に入れて事前に水をかけて湿らせておきます。
- 挿し穂を採取する
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。
- 挿し穂を整形する
- 挿し穂の長さを7~10cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す
- 挿し穂を挿す場所を決めて、培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。
- 挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程をいれます。
- 管理
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。