原産:南東ヨーロッパ
科:キンポウゲ(Ranunculaceae)
属:クリスマスローズ/ヘレボルス(helleborus)
種:オドルス(odorus)
別名:フレグラント・ヘレボア(fragrant hellebore)/ククレク(kukurek)
開花時期:2月~4月
花の色:緑色●
分類:常緑多年草
草丈:約30cm~60cm
用途:日陰植物/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヘレボルス(オドルス種)とは!?
ヘレボルス(オドルス種)は学名helleborus odorus、別名「フレグラント・ヘレボア(fragrant hellebore)」や「ククレク(kukurek)」とも呼ばれる南東ヨーロッパ原産の常緑多年草です。
ヘレボルス(オドルス種)の語源(由来)
- 属名のヘレボルス(helleborus)の由来は古代ギリシャ語のἐλλέβορος (elléboros)からきていて、「小鹿」を意味する「ἐλλός (ellós)」と、「食事する」を意味する「βιβρώσκω(bibrṓskō)」の2語からきていて、文字通り子鹿に食べられる植物という意味をもちます。
- 種小名のオドルス(odorus)「芳香のある/香りの良い」を意味しており、花の香りに由来しています。
ヘレボルス(オドルス種)の特徴(魅力)
- ヘレボルス(オドルス種)は冬に咲く一般的なクリスマスローズよりも開花が遅く春頃に開花します
- ヘレボルス(オドルス種)は花に柑橘類を思わせるほんのりした香りがあります
- ↳香りの由来となる精油にはデカジエナールやリナロールが含まれています
- 花は花茎の先に1~4個付けます
- ↳緑色の花はナチュラルで落ち着いた雰囲気のお庭によくあいます
- 花は直径が最大約7cmあり俯くように開花する姿が可憐な雰囲気をつくります
- 無茎種のため茎葉はありません(苞葉はある)
- 葉は掌を思わせる独特なテクスチャーをしていてロゼット状に地面を被覆します
- 木陰等の理想的な環境であれば放ったらかしでも育ちます
- 全草が有毒です食べられません
開花時期は晩冬から春、花色は緑色、個々の花は直径約5~7cmのカップ型で5個の萼片と多数の雄蕊があり、花序は1つの花茎に一から数個の花を咲かせます。草姿はロゼット状で短い根茎があり高さは約30(60)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は掌状複葉に鋸歯のある長楕円形の小葉が5~11個つき、葉序は根生葉につきます。
ヘレボルス(オドルス種)の栽培方法
園芸では、香りがよくてナチュラルな雰囲気がある花を楽しむ目的で育てられる事が多いですが、独特なシルエットをもつ葉は一年を通してあるため地被植物として働き魅力的です。植える場所は花壇の縁沿いに植えて縁どりとして利用されたり、またコンパクトで管理がしやすい鉢植えにして玄関周り等に飾られたりします。その際、花がやや下向きに咲く事が多いため、少し高めの場所に飾られて楽しまれる事が多いようです。
ヘレボルス(オドルス種)を育てる際に注意する事は「夏の強い日差し」「乾燥」「過湿」の3つです。ヘレボルス(オドルス種)は環境がよい場所(木の下等)に植えて上げれば、水やりや肥料も殆ど不要で放ったらかしでも育ちますが、強い日差しの当たる場所で育てると葉やけを引き起こし葉がボロボロになったり乾燥で枯れる事もあります。また長雨等で浸水したりジメジメとした過湿が続く場所もカビ性の病気を招く事になるため注意が必要です。
クリスマスローズ(ヘレボロス)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
クリスマスローズ(ヘレボルス)の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2022】
ヘレボルス(オドルス種)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ヘレボルス(オドルス種)は強い日差しや乾燥を苦手にしています。そのため基本的には午後から日陰になるような半日影から、間接光のみが当たるような日陰までで育てましょう。
土壌の土質
ヘレボルス(オドルス種)は長雨等で浸水して通気性の悪くなる様な土壌では根腐れやクラウンの腐敗を招きます。通気性がよく有機物のしっかり入る肥沃な土壌に植えましょう。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
ヘレボルス(オドルス種)は日向から間接光のみが当たるような日陰迄で育てられますが、午前中のみ日が当たり午後から日陰になる半日影が理想的環境です。
培養土
ヘレボルス(オドルス種)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土4割+腐葉土3割+パーライト3割+元肥
- 赤玉土5割+腐葉土3割+ヤシ殻チップ2割+元肥
水やりの仕方
ヘレボルス(オドルス種)はやや湿り気のある土壌を好みます。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。また乾燥を防ぐために腐葉土等でマルチングするのもおすすめです。
肥料の与え方
ヘレボルス(オドルス種)は有機物のしっかり入る肥沃な土壌では多くの肥料を必要としません。
肥料の与え方
- 春に土質を改善する堆肥を株元に入れて緩効性肥料を与えます
- 秋(10月)に再度バランスのよい緩効性肥料を追肥として与えます。
剪定のやり方
ヘレボルス(オドルス種)の剪定は「花がら摘み」「古葉とり」の2つに分かれます。
花がら摘み
ヘレボルス(オドルス種)の花は長期間に渡り萼片が残り装飾的ですが、種をつけると株が弱り翌年の開花に影響が出ます。そのため必要に応じてある程度、花を楽しんだら出来るだけ早く株元から約5cmの場所で切り取りましょう。
古葉とり
ヘレボルス(オドルス種)は冬(12月頃)に古い葉を根元から剪定して取り除きましょう。剪定する事で、花に栄養がまわり、病気の持ち越しも防げます。
夏越しする方法
ヘレボルス(オドルス種)は夏の暑さに耐えますが、乾燥や強い日差しを苦手にしています。そのため必要に応じて夏越し対策が必要です。
ヘレボルス(オドルス種)の夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、日差し乾燥対策として、西日の当たらない半日影や間接光のみがあたる明るい日陰に移動するといいでしょう。
- 乾燥対策として地植えした株でも土の表面が乾燥してきたらしっかり水やりを行います。
- ↳鉢植えで育てている場合は、より乾燥が早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:6b~8a
ヘレボルス(オドルス種)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
挿し木や株分けで増やす
株分け
ヘレボルス(オドルス種)は根が痛むと回復までが遅く定着に時間がかかります。しかし親株と同じ性質の株を増やす場合は株分けで増やす方法が一般的です。
株分けの方法
- 株分けの時期は秋もしくは春です
- スコップを使い根を傷つけないように株を掘りあげます
- 木質の根茎部分に芽が3芽以上つくようにナイフ等で切り分けます
- 出来るだけ根を傷めないように個々に株を分けて下さい
- 個々の株を植え付けて
播種で増やす
ヘレボルス(オドルス種)の種蒔の方法
播種時期:4月~6月・9月~10月
発芽適温:約20度
発芽日数:30日~180日
発芽条件:
ヘレボルス(オドルス種)の種は一般的に採取後直ぐに撒かれますが、秋に撒く事も出来ます。秋に種を撒く場合は発芽が春になる事もあります。
土は通気性と保水性のいい培地に種を撒きます。指で種を上から軽く押し(鎮圧)て、上から土を1cmほど被せましょう。
1度撒いた種は乾燥させると極端に発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりをしっかり行い管理します。
植物の病気
ヘレボルス(オドルス種)の病気
- 斑点病
- べと病
- 灰色カビ病
- 立枯病
- ブラックデス
- ウィルス病
ヘレボルス(オドルス種)の害虫
- ハダニ
- カイガラムシ