


- 原産:熱帯アフリカ/熱帯アジア
- 科:ヒユ(Amaranthaceae)
- 属:セロシア/ケイトウ(Celosia)
- 種:ケイトウ(Celosia argentea)
- 別名:ノゲイトウ/プルームドコックスコム(plumed cockscomb)/シルバーコックスコム(silver cock’s comb)
- 開花時期:6月~11月
- 花の色:赤色・桃色・橙色・黄色・紫色・緑色・白色
- 葉の色:緑色・暗紫色・赤紫色
- 香り:
- 生活形:一年草/多年草(短命)
- 草丈:約30~100cm
- 株張り:
- バイオーム:亜熱帯乾燥林・乾燥性灌木地・サバンナ
- 誕生花:8月4日/8月29日/9月5日
- 花言葉:気取り/オシャレ/風変わり
- 用途:開花期間長い/カラーリーフ/グランドカバー/背が高い花/切り花/ドライフラワー/プリザーブドフラワー/種から育てる植物
- 購入方法:ケイトウを楽天で購入
■ケイトウとは!?
ケイトウの学名は Celosia argentea 、別名では「ノゲイトウ」「プルームドコックスコム(plumed cockscomb)」「シルバーコックスコム(silver cock’s comb)」とも呼ばれる一年草もしくは短命の多年草です。
ケイトウの原産地は定まっておらず一般的に熱帯アフリカもしくは熱帯アジア(インド・ネパール)と考えられています。自生地は草原や、人の手が入る荒れ地や道端や耕作地などに多いです。
■ケイトウの語源(由来)
- Celosiaの由来:古代ギリシア語で「燃えた」「乾燥した」を意味する「κήλεος(kḗleos)」からきており、花の形が燃えているように見える事に由来します。
- argenteaの由来:ラテン語で「銀色」を意味しており、野生種の花の色に由来します。
- ケイトウの由来:ケイトウは漢字で「鶏頭」と書き、花の形が鶏の頭のトサカに似てる所に由来します。
■ケイトウの特徴(魅力)
- 開花期間:ケイトウは種類や播種時期でもかわりますが初夏頃から秋頃まで長く花を咲かせます。そのため、長期間にわたり花を楽しみたい人に好まれます。
- ケイトウの花の比較:ケイトウ(Celosia argentea)には3種類の変種があり、それぞれ花房には大きな特徴の違いがあります。そのため、用途などに合わせて品種などを選ぶとよいでしょう。
トサカケイトウ(Celosia argentea var. cristata):花序は帯化して花軸が変形した不定形となり、花房の形は鶏冠系・久留米系に更に細かく分類する事ができます。鶏冠系は基本的に扇状でトップが波打ち、久留米系は球形(脳状)になりトップが細かく波打ちます。園芸では、花房が大きく豪華でしっかりとしている事から、切り花などのフラワーアレンジメントの素材として栽培される事が多いです。
フサゲイトウ(Celosia argentea var. plumosa):花序は穂状花序が総状に高密度に配置されている穂状総状花序になる。花房の形はふさふさとした羽毛状で、また炎が燃え上がっているようにも見える円錐形をしている。園芸では、花房にボリューム感があり沢山の花を咲かせる事からお庭の花壇で利用されたり、また花を収穫して切り花として利用されることもあります。
ヤリゲイトウ(Celosia argentea var. spicata):花序は穂状花序または穂状花序が疎らに配置される穂状総状花序になる。花房の形は槍形になり、穂状花序が総状に疎らに配置されるため槍形の花がたくさん咲きます。園芸では、花房が小さくて疎らにバランスよく離れて開花するため、主役の花を引き立てる名脇役の花として利用できます。また開花期間も長くて花材も沢山とれるためフラワーアレンジメントの素材としても重宝されます。
カラーリーフ:葉の色はふつう緑色ですが、園芸品種の中には暗紫色・赤紫色の葉色をもっている品種もあります。そのため、好みの色やお庭の雰囲気などに合わせて葉色の選択が出来るところも魅力です。
フラワーアレンジメント:花は収穫して切り花として楽しまれたり、またドライフラワーにしてスワッグやリース等のアレンジメントの素材として利用される事もあります。
花壇の背景:ケイトウは草姿が行儀よく直立して高さ100cmまで成長するため、高性品種を選べば花壇の中で高さを出す植物として利用する事ができます。
花壇の縁取り:ケイトウは株が基本的に暴れずにコンパクトに成長して、苗を安価で揃えやすいです。そのため、花壇の外縁に沿って並べることで、簡単に美しい花壇の縁どりをつくることができます。
寄せ植え:株は行儀よく直立して高さを出すことが出来ます。そのため、花壇・植木鉢の中で形態の異なる様々な植物を組み合わせて美しくデザインしながら楽しむことができます。
地被植物:ケイトウは地面を覆いたい場所に、草丈の低い品種の種をばら撒きしたり、小苗を移植したりする事で、地被植物(グランドカバー)として利用する事ができます。
毛氈花壇:ケイトウは草丈が低くて、花が大きく色がハッキリとしており、種子から苗を大量に揃えられます。そのため、広い面積の花壇の中にイラストや模様を描くように植物を植えて装飾することが出来ます。
- 苗の増殖:種子から簡単に苗を増やせるため、広い面積の花壇や庭を埋めるのに役立ちます。
- 食用:アフリカや東南アジアの一部の地域では葉野菜として栽培されており、茹でるなどして食べられています。
■ケイトウの生活形と形態
●生活形・茎の形態

- 草丈:約30~100cm
- 生育型:直立型
- 直立型:主軸がハッキリとして直立している。
- 茎の種類:直立茎・斜上茎
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びる。
- 斜上茎:茎は斜めに伸びる。
- 茎の毛:無毛
- 茎の色:緑色・赤色・赤紫色
●葉の形態
- 葉序:対生葉序
- 葉柄:有柄
- 葉柄の長さ:0.5~1.5cm
- 葉身の長さ:約5~15cm
- 葉身の概形:楕円形・披針形・卵形
- 葉の縁部分:全縁
- 葉の色:緑色・暗紫色・赤紫色
●花の形態


- 花序: 穂状花序・穂状総状花序(円錐花序)・不定形(帯化)
- 穂状花序:花序軸の節に花柄のない花を直接つける。
- 穂状総状花序(円錐花序):花序軸に複数の穂状花序が総状に配置されます。※穂状総状花序は見た目が円錐形にもなるため円錐花序と呼ばれることもあります。
- 不定形:花序軸が帯化しており、形が扇状に広がり波打った形になります。奇形化した花序軸に花柄のない花が咲くため、不定形の花序となります。
- 苞:苞・小苞
- 苞・小苞:花序の中の単一の花の基部に苞と小包が合わせて3枚ついている。
- 苞の数:3枚
- 苞の長さ:0.3~0.6cm
- 苞の形:披針形
- 苞の色:白色・紫色・桃色・赤色
- 苞・小苞:花序の中の単一の花の基部に苞と小包が合わせて3枚ついている。
- 花:花托・花被片(萼片・花弁)・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花被片:萼片と花弁をまとめたものになる。苞の内側にあり雄蕊と雌蕊を囲い保護している。
- 花被片の数:5枚
- 花被片の長さ:約0.6~1cm
- 花被片の形:披針形
- 花被片の色:赤色・桃色・橙色・黄色・紫色・白色の範囲であり、基部は白色をしてる傾向にある。
- 雄蕊:偽副冠(staminal cup)※花糸の基部が広がる事で、雄ずい群の下部で融合してカップ状になっており、花糸の中ほどから上で分離します。
- 雄蕊の数:5本
- 雌蕊:1本
- 花被片:萼片と花弁をまとめたものになる。苞の内側にあり雄蕊と雌蕊を囲い保護している。
●果実・種子の形態
- 果実の分類:胞果
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ケイトウのフラワーアレンジメント
切り花の作り方

- 収穫:切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 花材の選び方:完全に花が開いていて、茎がある硬くなったものを選びましょう。茎が柔らかいケイトウは切り花にすると萎れやすいです。
- 水揚げ:葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外します。茎の切り口は水切りを行います。
- 花を生ける:花瓶の中に水を入れて花を生けます。
- 管理:直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。また徐々に水揚げが悪くなるため、必要に応じて水切りを再度して水換えをしましょう。管理の方法にも左右されますが日持ちは7~10日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
ドライフラワーの作り方

- 準備:花材・麻紐・洗濯物干しを準備します。※花材は花が十分に開花している物を選んで下さい。
- 花材の下処理:花材が大きい状態のままでは乾燥に時間がかかったり、綺麗に乾燥しなかったりします。そのため花材を使いやすい大きさに切り分けて大きさを調整しましょう。花材の下葉は基本的に不要で、束ねる時などに邪魔になるため、茎の下部の不要な葉は落とします。
- 花材を束ねる:花材を1本または2~3本程度で束ねて、麻紐で茎の下部分をくくり固定しましょう。※花材を多く束ね過ぎると花材同士がくっついて乾燥した時に歪んだり、花材同士がくっつく事で風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進んだりします。
- 植物を吊るす:花材を逆さまにして、洗濯物干しに掛けたり、壁と壁の間に麻紐を張ってその間に花材を吊るしましょう。花材同士を密着させると風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進む事があるため、花材同士は離して乾かします。
- 管理する時の注意点:花は紫外線の影響で色褪せが進み痛みやすいため直射日光が当たる場所は避ける。多湿環境では乾燥までに時間がかかるため、風通しのよい部屋などに花を吊るして自然乾燥させたり、エアコン・除湿機を利用して部屋の湿度を減らす。またサーキュレーターで部屋全体の空気を循環させて花材を素早く乾燥させることも出来ます。
- 完成までの時間:温度・湿度・風通し等で変化しますが、普通は約1~2週間です。
- 完成後:花材として一時保管するか、スワッグやリース等のフラワーアレンジメントに利用できます。
■ケイトウの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
【PR】
■ケイトウの育て方
花壇の土づくり
バイオーム
ケイトウのバイオームは、亜熱帯乾燥林・乾燥性灌木地・サバンナなどにあります。
このバイオームは、気温が年間を通して温暖であり、降水量は基本的に少ない傾向があります。土壌の性質は場所により様々ですが多くの場合で砂質で痩せている事が多い。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
日当り
ケイトウは、日向から半日影の範囲で育てることが出来ます。
ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため、基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事が出来ます。
日当りの分類
- 日向:直射日光が6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日影:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的にお庭の向きが東向きになる、西向きも半日影になるが西日が当たる環境にもなるため注意が必要です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
- 土質:基本的に通気性と排水性が十分であれば幅広い土壌に適応します。そのため土質は砂壌土・壌土あたりにした方が良いでしょう。
- 肥沃さ:肥沃さは、それほど重要ではありません。肥沃すぎる土壌は茎が太くなったり株が暴れたりしやすく、逆に痩せた土壌は成長が悪くなることもあります。そのため、土壌の状態(色など)を見ながら肥沃さが足りないと感じる場合は堆肥をいれましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
日当り
ケイトウは、日向から半日影の範囲で育てることが出来ます。
ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため、基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事が出来ます。
培養土
培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 植物の好む環境に合わせて通気性・ 排水性・保水性のバランスを考えた用土の構成にする。
- 堆肥は土壌の物理性を改善して根張りをよくするだけでなく、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。そのため、腐葉土などの堆肥をしっかり入れて植物の生育を促進しましょう。
- 鉢植えを移動する場合を考えて比重の軽い用土を利用したり、植物が倒れる可能性も考えて比重の重めの用土を選んだりする。
- 水やりの頻度を考えて保水性のよい用土を利用したり、植物の呼吸や成長を考えて通気性がしっかり保てる用土を選んだりする。
培養土の配合例
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土 +元肥=6:4:適量
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土 +元肥=4:2:4:適量
- 日向土(細粒・小粒)+ピートモス+くん炭 +元肥=5:4:1:適量
鉱石の土壌改良用土
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- 鹿沼土:鹿沼土は栃木県鹿沼地方で産出される、風化した軽石の総称です。
- 特徴:鹿沼土は通気性・排水性が抜群に優れており保水性・保肥力も高いため、培養土の通気性・保水性・保肥力のバランスをとりたい時に重宝されます。PHが4~5と酸性になります。
- 比較:赤玉土と比べると鹿沼土は粒が頑丈で崩れにくいため再利用しやすく、PHは酸性に強く傾いており、保水性が劣ります。一般的な軽石と比べると鹿沼土は保水性に優れており、やや粒が脆い傾向にあります。
- 注意点:酸性度が強めなため、アルカリ土壌を好む植物を育てる場合は避けた方がよい。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。特にPHが酸性のため酸性土壌を好む植物に利用される事が多いです。
- ☆硬質鹿沼土:硬質鹿沼土は従来の鹿沼土から硬質なものを選別した用土です。その名前が示すとおり、鹿沼土よりも硬く丈夫で劣化しにくい用土です。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- バーミキュライト:バーミキュライトは、蛭石を高温処理して膨張させた土壌改良用土です。蛭石を膨張させた事で、薄板が層に重なりアコーディオンのような形状をしています。
- 特徴:保水性・保肥力が抜群に優れているため植物が欲しい時に水分や栄養を供給してくれる働きがあります。また何層にも重なり大きな隙間があるため通気性を改善する働きもあり、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 欠点:比重の重い用土と組み合わせると粒が破壊されて通気性が悪くなる事もあるため注意が必要です。
- 用途:土壌の保水性・保肥力を改善するのに利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などでも利用されます。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- ゼオライト:ゼオライトは沸石とも呼ばれる鉱物の一種です。
- 特徴:水質浄化・脱臭効果・高い保肥力などにあります。そのため、根腐れ防止や肥料の流失や肥効の継続に効果を発揮します。一方で、入れすぎると肥料が効きにくくなるなどのデメリットがあるため、土壌や培養土に5%程度混ぜて使われる事が多いです。
有機物の土壌改良用土
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- ピートモス:ピートモス は水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。
- 特徴:腐葉土と比べて養分を殆ど含んでいないため、微生物を活性化する力が弱く無菌で清潔感がある。土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の保水力を高める効果が高く、通気性・保肥力も改善する。PHは基本的に強い酸性になる。
- 注意点:PHが3~4の強い酸性のため、一般的な植物を育てる際は調整済のピートモスを使用するか、アルカリ性の土壌改良材を入れて使用した方がよいでしょう。
- 用途:土壌の膨軟性を高めて、保水性・保肥力・通気性を改善するのに利用されたり、PHを酸性に調節する目的で利用されたり、無菌で雑菌が繁殖しにくいためインドアグリーンの植物の改良用土として利用されたり、挿し木や種まき用の培土として利用されたり、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されたりしています。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
ケイトウは一度根付いてしまえば乾燥にとても強くなります。そのため、基本的に地植えで育てていれば降雨に任せて育てることが出来ます。
ただし、夏場などの乾燥しやすい季節、雨が長く降らない時、鉢植えで育てている場合などには、水やりが必要になることがあります。水やりのタイミングなどは下記を参考にして下さい。
注意する事は、極端に過湿状態にしてしまうことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因を作ったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりする頻度などには注意が必要となります。
水やりのタイミング
生育期間中は生育旺盛でたくさんの水を必要とするため、土壌の表面・表層が乾燥したタイミングで水を与えます。
冬の期間は生育が緩慢になるため、植物は水をそれほど必要としません。そのため、乾かし気味に管理してあげるとよいでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
剪定のやり方
ケイトウは剪定せずに育てる事も出来ますが、摘芯や花がら摘みを行い育てられることもあります。
剪定をするかは剪定理由を見ながら決めるとよいでしょう。
剪定を行う理由
- 開花期間の延長:花がらを残すと種作りにエネルギーが使われるため、花芽に栄養がまわらず次の花が咲きにくくなります。花がら摘みをする事で、花芽に栄養がいって次の花が咲きやすくなります。
- 株の寿命の延長:花がらを残すと、種を作るためにエネルギーを使われるため、株が弱って寿命が短くなることがあります。そのため、株が弱りやすい植物などは長く楽しむために花がら摘みをする事が大切になります。
- 茎・花の数を増やす:摘芯をする事で、分枝が促されるため、茎の数が増えて、結果的に花の数も増えます。※ただしエネルギーが分散されて花のサイズが小さくなりやすいです。
- 病害虫予防:花がらを残すと、灰色カビ病などの病気の発生源になる事もあります。そのため、病気にかかりやすい植物は花がら摘みが大切になります。
花がら摘み
- 剪定の時期:開花期間中
- 開花後の剪定:株を観察して色褪せたり萎れた花穂を見つけて、花穂の下または好みの高さで剪定しましょう。
摘芯
- 剪定の時期:春
- 摘芯:株を観察して、草丈が約10~15cmになったら、成長点を指で摘み、横に折るようにして摘みとります。成長点の付近は柔らかなため、基本的に指で摘みとれますが、難しい場合はハサミを使いましょう。
冬越しする方法

Hardiness:10~12
ケイトウは、一般的に冬に枯れる一年草として扱われています。
基本的に霜の降りる地域では、対策を行わないと屋外での越冬はむずかしいです。そのため冬越しさせたい場合は、冬越し対策が必要です。
冬越し対策一覧
植物にカバー:植物にビニールや寒冷紗などをかけます。植物を寒風から保護したり、霜から保護したり、昼夜の急激な温度変化を防ぐ働きがあったりします。
- ビニール・寒冷紗:植物の周りに支柱を立てて、ビニールまたは寒冷紗を支柱に巻き付けます。巻き付けたビニールまたは寒冷紗が落ちないように洗濯バサミや紐などを使い固定しましょう。※ビニールを巻く場合は穴を開けて通気性を確保してください。
- 苗キャップ:透明のカバーで苗や小さな植物を保護するための専用の製品です。専用のカバーを苗または小さな植物の上に被せて、風などで飛んでいかないように固定して利用します。
- 植物保護カバー:不織布などの保護カバーで植物を保護するための専用の製品です。大きめの植物や複数の植物を囲うのにも対応しており、専用の製品になるため、チャックなどがついていて扱いやすい所も魅力です。
温室:内部の温度を一定に保てるようにガラスやプラスチックフィルムなどで作られた建物です。植物を温室の中に入れる事で、寒さの軽減や寒風対策、霜・凍結対策ができます。
屋内に取り込む:植物を建物の中になります。冬の屋内は屋外と比べて温度が高く植物が凍結するリスクもありません。ただし屋内は太陽光が当たらないため、明るさなどには注意が必要になります。植物を窓辺で管理したり、植物育成ライトを活用して、植物が弱らないよう管理することが大切になるでしょう。
挿し木や株分けで増やす
ケイトウは挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを5~7cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度をいれます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ケイトウの種蒔の方法
- 播種時期:3月~6月
- 発芽適温:約20~25度
- 発芽日数:約5日~7日
- 備考:直根性
種まき手順
- 種まきの時期:3月~6月※温床装置などを準備して発芽適温を確保出来る場合は屋内で早めに撒く事ができます。
- 培土の準備:直根性で基本的に移植を嫌うため直播きされる事が多いですが、根を傷めないよう移植できる場合は移植栽培も可能です。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 点撒き:一定の間隔または一区画の中に、少し離した状態で種を1~5粒撒きます。撒いた種を指で軽く押し込んで鎮圧※1して、土を数mm程度うすく被せます。※発芽後に間引きして1~3本にするため、発芽率に合わせて種を撒く数を決めるとよいでしょう。プラグトレーの場合は1粒撒きでも問題ありません。
- すじ撒き:直播きする場所に直線状の深さ数mm程度の浅い溝を作り、溝の中に数cmの間隔で種を撒いていきます。種を撒いたら溝の側面の土を寄せて、指で軽く押し込んで鎮圧※1します。※発芽後に間引きするため、種を撒く間隔は発芽率や成長後の株の大きさを考えながら決めるとよいでしょう。
- バラ撒き:直播きする場所に概ね均一に広がるように、種をパラパラと撒きます。種を撒いたら、ふるい等を使って上から薄く土を被せます。
- 種まき後の管理
- 種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:双葉が出たら、株どうしの間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。いい苗を残しながら1~3本程度になるように間引きするとよいでしょう。※直播きする場合は成長に合わせて株どうしがくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 定植:本葉が2枚以上になったら定植します。定植が遅れると根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなります。
※鎮圧は土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。