原産:中国
科:キンポウゲ(Ranunculaceae)
属:アネモネ(Anemone)
種:シュウメイギク(hupehensis)
別名:キブネギク/チャイニーズ アネモネ(Chinese anemone)/ジャパニーズ ウィンドフラワー(Japanese windflower)
開花時期:8月~11月
花の色:桃色●白色〇
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約50~100cm
誕生花:9月14日/9月30日/10月2日/10月8日/10月15日
花言葉:薄れゆく愛/忍耐/淡い思い
用途:切り花
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
シュウメイギクとは!?
シュウメイギクは学名Anemone hupehensis、別名「キブネギク」や「チャイニーズ アネモネ(Chinese anemone)」とも呼ばれる中国原産の多年草です。日本でも中国から渡ってきたものが帰化して自生しており、特に京都の貴船山でよく見られる事から「キブネギク」の別名で呼ばれています。
シュウメイギクの語源(由来)
- 属名のAnemoneはギリシャ語で「風」を意味する「ánemos」と、接尾辞で「娘」を意味する「-one」の2語からなり、「風の娘」を意味しています。
- ↳ギリシャ神話では、ゼファー(ゼピュロス)と風の娘であるアネモネは恋に落ちました。しかし嫉妬深いゼファーの妻により、アネモネは宮殿から追放され、花に変えられたと言われています。
- ↳また別の説ではアネモネの花(萼片)が風によって容易に飛ばされてしまう事から風の娘の名前がついたとも言われます。
- 種小名のhupehensisは「中国湖北省から」を意味しており自生地に由来します。
- シュウメイギク(秋明菊)は秋にキクに似た花を咲かせる事に由来します。
シュウメイギクの特徴(魅力)
- シュウメイギクは晩夏から晩秋にかけて花が咲きます。
- 花は花弁がなく花弁状の萼と中央に球状に盛り上がる多数の雌蕊と雌蕊を囲む雄蕊で構成されています。
- 花茎が長く伸びて楚々と咲く花は可憐な魅力があり切り花や茶花として古くから親しまれます。
- 切り花はやや水が下がりやすいものの管理の仕方によって約7日の日持ちがあります。
- 葉は縁部分が深くカットされた装飾的な形をしています。
- 葉は基本的に根生葉のみで構成されており花茎には小さな苞葉があります。
- シュウメイギクは地面下に根茎をもつためしばしば群生をつくります。
- やや湿り気のある土壌を好みますが理想的な環境であれば水やりや肥料も殆ど必要なく放ったらかしで育てられます。
シュウメイギクは地面下で広がる根茎をもっており、根茎からは芽を出してしばしば群生をつくります。葉は基本的に根生葉のみで構成されており花茎には苞葉がつきます。葉色は緑色、根生葉には長さ約5(~35)cmの葉柄があり、葉身の大きさは長さ約4(~10)cm幅は約3(~10)cmあり、葉身の形は3出複葉して小葉は掌状浅裂(~中裂)します。また苞葉は花の下で茎を巻くように輪生します。花茎は30(~120)cmの間で伸びて、花序は集散花序、個々の花は直径約5cmの大きさ、花弁状の萼は一般的には5個で品種により八重咲きして、中央に球状に盛り上がる緑色(~黄色)の多数の雌蕊と、雌蕊を囲む多数の黄色の雄蕊があります。花後に出来る果実は痩果で白色の綿のような冠毛があります。
開花時期は晩夏から晩秋、花色は桃色や白色があり、個々の花は直径約5cmの大きさで、花弁状の萼片は5個もしくは品種により多数つき、球状につく多数の雌蕊と、雌蕊を囲う多数の雄蕊があり、花序は集散花序に花が咲きます。草姿は直立して根茎により広がり高さは約30(120)cm × 幅は30(120)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は三出複葉で小葉は掌状浅裂(~中裂)して、葉序は根生葉もしくは苞葉が輪生につきます。
シュウメイギクの切り花の楽しみ方
- シュウメイギクの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 花が開ききっていないものを収穫すると日持ちがよくなります。
- 水揚げは水に漬けて水切りと必要に応じて湯揚げを行います。
- 水切りしたら延命剤(栄養入り)入りの花瓶に生けると蕾も開きやすくなり日持ちが長くなります。
- 管理場所は出来るだけ直射日光の当たらない低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて湯揚げをしましょう。
- 管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
おすすめの延命剤
シュウメイギクの栽培方法
園芸では、長く伸びる花茎に楚々として咲く可憐な花を楽しむ目的で育てられたり、またその花を切り花として利用する目的で育てられたりします。また地面下を根茎で広がるため、年々株が広がり群生する様な草姿をつくり、花のない時期は地面を被覆する様に根生葉(基部から出る葉)が出て深くカットされた装飾的な葉で地面が彩られます。
シュウメイギクを育てる際に注意する事は基本的にありません。シュウメイギクはやや湿り気のある土壌を好みますが、理想的な環境(肥沃な土壌・半日影等)であれば放ったらかしで育てる事も可能です。
アネモネの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アネモネの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種【2022】
シュウメイギクの育て方
花壇の土づくり
シュウメイギクは日向でも育てられますが、強い日差しが一日中あたる場所よりも、午前中のみ日が当たり午後から日陰になるような半日影を好みます。またやや湿り気のある土壌を好む事から、日向よりも半日影の方が管理もしやすいです。
シュウメイギクは土壌のPH5.5~6.5の間を好み、通気性が高く有機物(腐植)が豊富に入る肥沃な土壌を好みます。
植付けの前に土壌診断を行い、土壌が粘土質で硬かったりする場合は、必要に応じて通気性を高めるパーライト等の土壌改良材を入れたり、また肥沃さと膨軟性を高める目的で腐葉土やピートモスを入れ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
シュウメイギクは日向でも育てられますが、西日の当たらない半日影が理想です。
シュウメイギクは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性が良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 黒土+腐葉土+パーライト(極小粒)=5:3:2
水やりの仕方
シュウメイギクは冬を除いた生育期間中、持続的に湿り気のある土壌を好みます。また乾燥した土壌を好みません。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
肥料の与え方
シュウメイギクは肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としませんが、晩冬から早春に肥料(寒肥)を施す事で恩恵をうけます。
- 肥料は植付け時に与える元肥、もしくは休眠中の晩冬から早春に与える寒肥を年に1回与えます。
- 植付け時に与える元肥は緩効性肥料を選び成分は窒素・リン・カリがバランスよく入る水平型肥料もしくは、リンが多めに入る山型肥料を選びましょう。
- 元肥の入れ方は全面施肥(培養土もしくは土に均一に混ぜ込む)しましょう。
- 晩冬もしくは早春に与える寒肥は緩効性肥料もしくは配合肥料を選び、成分は窒素・リン・カリがバランスよく入る水平型もしくは、リンが多めの山型を選びましょう。
- 寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に肥料を施しましょう。
- ↳また、土質は風雨等でどうしても年々劣化するため、土質を改善する堆肥や腐葉土等も株の近くにマルチングする等して入れてあげるといいでしょう。
剪定のやり方
シュウメイギクの剪定は「間引き剪定」が必要になります。
間引き剪定
シュウメイギクの間引き剪定は、花が終わり冬に入る前の晩秋から新しい成長が始まる前の早春までに行いましょう。
間引き剪定のやり方は、花が終わり枯れていく茎(古い茎)を根元付近で強く切り戻し取り除くだけです。
間引き剪定の目的は不要な茎を取り除く事で、主要な茎もしくは新しい芽にエネルギーを優先的に送ったり、光の通りや風通しをよくしたりする事で健康な成長を促す所にあります。
冬越しする方法
Hardiness:4b~8a
シュウメイギクは耐寒性が高く基本的には冬越しの対策は必要ありません。
春からの成長に備えて株の周囲に穴を掘り寒肥(配合肥料)を入れたり、腐葉土を入れるかマルチングして上げるといいでしょう。
挿し木や株分けで増やす
シュウメイギクは株分けや根挿しによって増やす事ができます。
シュウメイギクの株分け手順
- シュウメイギクの株分け時期は成長が始まる前の早春もしくは秋が最適です。
- スコップを使い株を掘りあげます。
- スコップもしくはナイフ等を利用して株(根茎)を個々に切り分けます。
- 株分けした株は、必要な場所に植え直して水をたっぷり与えましょう。
シュウメイギクの根挿しの方法
- シュウメイギクの根挿しに適した時期は秋から冬です。
- スコップで株を掘り上げて太い根を5~10cm前後で切り取ります。
- 無菌の挿し木用の培養土(バーミキュライトやピートモス等)を準備して少し湿らせておきます。
- 培養土の中に切り分けた根を横向きに埋めましょう。
- 芽が出るまで培養土を湿らせ管理します。
播種で増やす
シュウメイギクの種蒔の方法
播種時期:3月~4月・9月~10月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:
発芽条件:
シュウメイギクの種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。