マトリカリア(カモミール)は属の中に約22種がありヨーロッパ及びアジア、北アフリカ、アメリカの広い地域に分布する多年草もしくは一・二年草です。一般に園芸では一年草で花にリンゴの甘い香りがあり薬用ハーブとして人気が高いカモミールや這性の茎が地面を覆うように広がり芝生替わりにもされる多年草のローマンカモミール、日本にも帰化して雑草化している舌状花のない個性的な花姿が魅力のパイナップルウィード等が育てられています。
マトリカリア(カモミール)は夏のジメジメとした多湿を苦手にしており、枯れたり株が弱ったりします。一方で寒さにはとても強く冬越しの対策が基本的にいりません。
種毎の育て方は写真か育て方をクリックすると出てくるためそちらで確認して下さい。
このページでは種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を記載しています。
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![]() | その他の種や園芸品種 |
原産:東・南ヨーロッパ/南西アジア
学名:Matricaria chamomilla
草丈:約30cm~60cm
分類:一年草
開花時期:5月~7月
花色:白色〇黄色●
葉色:緑色●
耐暑性:弱い
耐寒性:強い
誕生花:「逆境に耐える」「苦難の中の力」
花言葉:「2月14日」「3月14日」「11月3日」
特徴:カモミールは学名Matricaria chamomilla、 別名「カミツレ」や「ジャーマンカモミール」等とも呼ばれる一年草です。カモミールは東・南ヨーロッパ及び南西アジアを原産としており、野原などに自生しています。
カモミールの語源(由来)
- 属名のマトリカリア(Matricaria)の由来はラテン語で「子宮」を意味する「matrix」からきており、女性の病気(月経困難症や睡眠障害等)のために広く使われてきた所からきています。
- 種小名カモミラ(chamomilla)はギリシャ語の「χαμαίμηλον(khamaimēlon)」からきており、「地面」を意味する「khamai」と「リンゴ」を意味する「mēlon」の2語の造語で地面のリンゴをいみします。
- 一般名のカモミール(camomile)はギリシャ語のkhamaimēlonからの派生語で、イギリスかフランスで派生したと考えられています。
カモミールの特徴(由来)
- 古くは古代エジプト時代から薬用ハーブとして利用されてきました
- ↳現代でも医療や家庭の薬草として利用されています。
- ↳一般的には花の部分をハーブティーにして利用されます
- 花にはフルーツを連想させる様な甘い香りがある
- ↳乾燥しても色褪せが少なく香りがいいためドライフラワーとしても魅力的です
- 茎や葉は細く華奢で目立たないため花がより魅力的に映ります
- 害虫が忌避する成分(β-ファルネセン等)が含まれるためコンパニオンプランツとしても利用されます
- 種から容易に育てられる事から大量植栽しやすい
カモミールの茎は分枝がよく高さ30~60cmの間で成長します。葉は非常に細く羽毛を連想させる形で2~3回羽状複葉しており、茎に対して互生につきます。花は白色の舌状花と黄色の筒状花の組み合わさる直径約か2~3cmの頭花で散房花序に多数の花を咲かせます。
開花時期は晩春から夏、花色は白色と黄色、花は舌状花と筒状花の組み合わさる直径2~3cmの頭花で茎に何個も花(頭花)が付き散房花序に花を咲かせます。草姿は直立で分枝よく高さは約30(60)cm × 幅は約20(30)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は2~3回羽状複葉して、葉序は互生葉序につきます。
カモミールの香りの特徴や効果
カモミールの香りは、「フルーツ」「蜂蜜」「フローラル(花)」を連想させる華やかな香りが特徴で、口に入れた時の風味(フレーバー)には甘みと苦味を感じさせます。カモミールの香りの由来となる精油には「カマズレン」「α-ビサボロール」「β-ファルネセン」等が含まれています。
カモミールの精油の効果には「抗炎症」「抗菌性」「抗アレルギー作用」「皮膚保護」「喘息を沈める」等があります。例えば、カマズレンやα-ビサボロールには細菌や真菌の増殖を抑制したり除菌する抗菌性がある事から、ハーブティーに使った出がらしで、うがいを行えば口内のバクテリアを退治して歯周炎の予防となり、また口臭を抑え口内を爽やかにする効果等が期待できます。またα-ビサボロールには炎症を抑える効果がある事から、胃の粘膜に直接作用して炎症を抑える効果が期待できます。その他にも皮膚保護効果からニキビや湿疹等の肌トラブルを抑える働きもっています。
カマズレンの香りは「草」「蜂蜜」「薬」等に例えられる爽やかな香りがあります。一般に植物ではカモミールやニガヨモギ、セイヨウノコギリソウ等に含まれており、精油は化粧品等に利用されています。カマズレンの精油の効果には、「抗炎症」「抗アレルギー性」「抗菌性」「喘息を沈める」等の効果があります。
α-ビサボロールの香りは「フローラル」「ココナッツ」「フルーティ」「甘い」等に例えられる香りがあります。一般に植物ではカモミール等に含まれており、精油は化粧品等に利用されています。α-ビサボロールの精油の効果には、「抗菌性」「抗炎症」「皮膚保護」等の効果があります。
β-ファルネセンの香りは「木の香り」「柑橘系」「甘い」等に例えられる香りがあります。一般に植物ではカモミール等に含まれており、精油は香水の原料等に利用されています。β-ファルネセンの精油の効果には、アブラムシへの忌避効果が期待され自然防虫剤にも利用されています。なぜならβ-ファルネセンはアブラムシが危険を察知した際に警報フェロモンとして分泌されている物質で、仲間にここは危ないと警告を与える作用があるからです。
カモミールに含まれるその他の成分と期待される効果 | |
アピゲニン 「抗がん作用」「抗炎症作用」「抗酸化作用」「抗菌作用」 | ルテオリン 「抗炎症作用」「抗酸化作用」「効糖尿病作用」「高肥満作用」「抗がん作用」 |
ケルセチン 「抗酸化作用」「抗炎症作用」「降圧作用(血流改善)」「抗肥満」 | カマメロサイド 「抗糖化(動脈効果や緑内障リスクの軽減)」 |
カモミールの既知の危険性
カモミールの既知の危険性として、稀ですがブタクサアレルギーを引き起こす可能性があります。主な症状としては鼻水・鼻ずまり、くしゃみやノドの痒み等があります。ブタクサアレルギーは血液検査から調べる事が出来るため、心配な場合は利用前に調べると良いでしょう。
カモミールの利用方法
カモミールはハーブティーやドライフラワー等にして楽しむ事が出来ます
ハーブティーとして楽しむ場合は、乾燥させた花を利用します。綺麗に開花した花を収穫して個々の花を1個ずつ丁寧に茎から切り離し、ザルに並べ明るい日陰で数日から1週間乾燥させます。
乾燥させた花を大さじ一杯半程度と沸かしたお湯(180~200ml)をポットに入れて1~3分間蒸らします。蒸らす間はポットの蓋をきちんと閉めておかないと香り(揮発性分)が抜けて美味しくなくなるので注意して下さい。蒸らし終わったらポットのハーブティーを茶こしでこしながらカップに注ぎましょう。その際、ハーブティーにお好みで蜂蜜やレモン等を加えるのもいいでしょう。

カモミールをドライフラワーにする場合はハンギング法で行われるのが一般的です。ハンギング法とは、収穫した花を幾つか(数本)まとめて束ね、茎の下部を輪ゴムやリボンの様な物で固定し、風通しの良い明るい日陰で逆さまに吊り下げて自然乾燥させる方法です。
カモミールの収穫タイミングは花穂が3分の2以上開いたタイミングがいいでしょう。好みの高さで茎を切り取り収穫して、ハンギング法を利用してドライフラワーにしてみましょう。
カモミールの栽培
カモミールは、香りの良い葉を収穫する目的でハーブガーデン等で育てられたり、美しい花や を鑑賞する目的で育てられます。一般的に春もしくは秋の気温が穏やかな時期(15~20度)なってきたら種を撒き、成長させて晩春から夏に花を鑑賞後、枯れる一年草として楽しみます。基本的に栄養の少ない土壌でも育つため、肥料は不要ですが肥沃な土壌を好むため植え付け前に土壌改善は行っておきましょう。沢山の花を咲かせ大きく成長させるには日当たりのよい場所に植えてあげる必要があり、またしっかりとした水やりも必要です。
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原産:ヨーロッパ
学名:Chamaemelum nobile
草丈:約15cm
分類:常緑多年草
開花時期:5月~6月
花色:白色〇黄色●
葉色:緑色●
耐暑性:普通
耐寒性:強い
誕生花:「6月23日」
花言葉:「逆境に耐える」「苦難の中の力」「逆境のなかでのエネルギー」「苦さ」
特徴:ローマンカモミールは学名Matricaria nobile、 別名「ローマカミツレ」や「アンセミス・ノビリス(Anthemis nobilis)」等とも呼ばれる多年草です。カモミールは東・南ヨーロッパ及び南西アジアを原産としており、野原などに自生しています。
ローマンカモミールの語源(由来)
- 属名のカマエメルム(Chamaemelum)の由来はギリシャ語の「χαμαίμηλον(khamaimēlon)」からきており、「地面」を意味する「khamai」と「リンゴ」を意味する「mēlon」の2語の造語で地面のリンゴをいみします。
- 種小名のnobileは「高貴/高潔」を意味しており、カモミール(Matricaria chamomilla)より優れていると考えられている所からきています。
- 英名のローマンカモミール(Roman chamomile)の由来は1598年に初めてローマで発見され名前が付けられた事からきています
ローマンカモミールの特徴(由来)
- 古くは中世から薬用ハーブとして利用されてきました
- ↳現代でも医療や家庭の薬草として利用されています。
- ↳一般的には花の部分をハーブティーにして利用されます
- 花にはフルーツや薬を連想させる香りがあります
- ↳乾燥しても色褪せが少なく香りがいいためドライフラワーとしても魅力的です
- 背が低く茎が匍匐するためグランドカバーとして利用されます
- ↳ただし踏圧にはそこまで強くないため歩行者の少ない場所に向きます
- 種から育てられるため大量植栽も容易です
ローマンカモミールの茎は、直立もしくは匍匐した後に途中で立ち上がり高さ最大30cmまで成長します。葉は非常に細く羽毛を連想させる形で2回羽状複葉しており、茎に対して互生につきます。花は白色の舌状花と黄色の筒状花の組み合わさる頭花で散房花序に多数の花を咲かせます。
開花時期は晩春から夏、花色は白色と黄色、花は舌状花と筒状花の組み合わさる直径2~3cmの頭花で茎に何個も花(頭花)が付き散房花序に花を咲かせます。草姿は直立もしくは匍匐した後に立ち上がり高さは約15(30)cm × 幅は約20(30)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は2回羽状複葉して、葉序は互生葉序につきます。
ローマンカモミールの香りの特徴や効果
ローマンカモミールの香りは、「フルーツ」「薬」「甘み」を連想させる香りが特徴で、口に入れた時の風味(フレーバー)には薬の様な苦味と木の味を連想させます。ローマンカモミールの香りの由来となる精油には「カマズレン」が最も多く踏まれており、その他には「α-ビサボロール」「β-ファルネセン」「α-ピネン」「β-ピネン」「シネオール」等が含まれています。
ローマンカモミールの精油の効果には「抗炎症」「抗菌性」「抗アレルギー作用」「皮膚保護」「喘息を沈める」等があります。例えば、カマズレンやα-ビサボロールには細菌や真菌の増殖を抑制したり除菌する抗菌性がある事から、出がらしを使って、うがいを行えば口内のバクテリアを退治して歯周炎の予防となり、また口臭を抑え口内を爽やかにする効果等が期待できます。またα-ビサボロールには炎症を抑える効果がある事から、胃の粘膜に直接作用して炎症を抑える効果が期待できます。その他にも皮膚保護効果からニキビや湿疹等の肌トラブルを抑える働きもっています。
カマズレンの香りは「草」「蜂蜜」「薬」等に例えられる爽やかな香りがあります。一般に植物ではカモミールやニガヨモギ、セイヨウノコギリソウ等に含まれており、精油は化粧品等に利用されています。カマズレンの精油の効果には、「抗炎症」「抗アレルギー性」「抗菌性」「喘息を沈める」等の効果があります。
α-ビサボロールの香りは「フローラル」「ココナッツ」「フルーティ」「甘い」等に例えられる香りがあります。一般に植物ではカモミール等に含まれており、精油は化粧品等に利用されています。α-ビサボロールの精油の効果には、「抗菌性」「抗炎症」「皮膚保護」等の効果があります。
β-ピネンの香りは「木の香り」「松」「干し草」「辛い」等に例えられる香りがあります。一般に植物ではユーカリやローマンカモミール、バジルやマツ等に含まれており、精油は香水等に利用されています。
α-ピネンの香りは「木の香り」「松」「樟脳」「甘い」等に例えられる香りがあります。一般に植物ではユーカリやローマンカモミール、ローズマリー等に含まれており、精油は香水等に利用されています。
シネオールの香りは「ユーカリ」「樟脳」「薬」「ミント」等に例えられるスッキリと爽やかな香りがあります。また口の中に入れるとミントの様なスっとした風味(フレーバー)を感じる事が出来ます。一般に植物ではユーカリやローズマリー、月桂樹等に含まれており、精油は食品の香料や化粧品等に利用されています。シネオールの精油の効果には、香りが集中力を高め記憶力を上げる効果があります。また落ち込んだ時には気分を高揚させる働きがあるため、アロマテラピー等にもよく利用されます。
ローマンカモミールの既知の危険性
ローマンカモミールの既知の危険性として、アレルギー性皮膚炎を起こす可能性があります。また海外では非常に稀な例ですが、カモミールティーを飲んだ後にアナフィラキシーショックを引き起こした例もあるようです。
ローマンカモミールの利用方法
ローマンカモミールはハーブティーやドライフラワー等にして楽しむ事が出来ます。
ハーブティーとして楽しむ場合は、乾燥させた花を利用します。綺麗に開花した花を収穫して個々の花を1個ずつ丁寧に茎から切り離し、ザルに並べ明るい日陰で数日から1週間乾燥させます。
乾燥させた花を大さじ一杯半程度と沸かしたお湯(180~200ml)をポットに入れて1~3分間蒸らします。蒸らす間はポットの蓋をきちんと閉めておかないと香り(揮発性分)が抜けて美味しくなくなるので注意して下さい。蒸らし終わったらポットのハーブティーを茶こしでこしながらカップに注ぎましょう。その際、ハーブティーにお好みで蜂蜜やレモン等を加えるのもいいでしょう。
ローマンカモミールをドライフラワーにする場合はハンギング法で行われるのが一般的です。ハンギング法とは、収穫した花を幾つか(数本)まとめて束ね、茎の下部を輪ゴムやリボンの様な物で固定し、風通しの良い明るい日陰で逆さまに吊り下げて自然乾燥させる方法です。
ローマンカモミールの収穫タイミングは花穂が3分の2以上開いたタイミングがいいでしょう。好みの高さで茎を切り取り収穫して、ハンギング法を利用してドライフラワーにしてみましょう。
ローマンカモミールの栽培
ローマンカモミールは、香りの良い葉を収穫する目的でハーブガーデン等で育てられたり、美しい花を鑑賞する目的で育てられます。育てる際は、1番に多湿に気をつけないといけません。長雨による浸水やジメジメした夏の高温多湿等が、生育不良を引き起こす原因になります。そのため多湿にならない様に土壌の排水性を高めておきましょう。基本的には夏の暑さや冬の寒さに耐える事ができます。増やし方は挿し木や株分け、採取した種を撒くことで増やせます。
![]() ローマンカモミール (´・ω・)p楽天で購入q | ![]() ノンフラワーカモミールは、その名前からも分かりますが花が咲きません。一般的には茎が殆ど立ち上がらず匍匐する様に広がる草姿から、芝生の代わりとしてグランドカバーに利用されている園芸品種です。高さは約5(10)cm × 幅は約30(60)cmまで成長します。 |
![]() 八重咲きカモミールは白色の小さな花弁が幾重にも重なって、ぽんぽんの様な可愛らしい花を咲かせる魅力的な園芸品種です。高さは約10(15)cm × 幅は約20(30)cmまで成長します。 (´・ω・)p楽天で購入q
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原産:アジア/北アメリカ
学名:Matricaria discoidea
草丈:約10cm~40cm
分類:一年草
開花時期:7月~9月
花色:黄色●緑色●
葉色:緑色●
特徴:パイナップルウィードは学名Matricaria discoidea、 別名「パイナップルカモミール」や「マトリカリア・ディスコイデア」とも呼ばれるアジアもしくは北アメリカが原産と言われる一年草です。一般的なカモミールと違い花は舌状花がなく筒状花のみで形成された半球状の形をしており、栄養に乏しく硬く踏み固められた様な地面から、太い茎を力強く伸ばし成長する様は雑草の様な魅力をもちます。花や葉はパイナップルの様な甘い香りがあり葉は新鮮なものをサラダとして食べられたり、花はハーブティー等で利用される事もありますが、カモミールと比べると一般的ではありません。
開花時期は夏~秋、花は黄色から緑色、筒状花のみの半球状の花(頭花)を穂状(円錐花序)に咲かせます。草姿は直立で高さは約10(40)cm × 幅は約10(30)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は1・2回羽状全裂して互生葉序につきます。
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