原産:東・南ヨーロッパ/南西アジア 科:キク(asteraceae) 属:マトリカリア(Matricaria) 種:カモミール(chamomilla) 別名:カミツレ/ジャーマンカモミール(German chamomile)/ハンガリアンカモミール(Hungarian chamomile) 分類:一年草 草丈:30cm~60cm 草姿:直立 開花時期:5月~7月 花の色:白色〇黄色● 葉色:緑色● 花言葉:「逆境に耐える」「苦難の中の力」 誕生花:2月14日/3月14日/11月3日 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
カモミールは学名Matricaria chamomilla、 別名「カミツレ」や「ジャーマンカモミール」等とも呼ばれる一年草です。カモミールは東・南ヨーロッパ及び南西アジアを原産としており、野原などに自生しています。
カモミールの語源(由来)
- 属名のマトリカリア(Matricaria)の由来はラテン語で「子宮」を意味する「matrix」からきており、女性の病気(月経困難症や睡眠障害等)のために広く使われてきた所からきています。
- 種小名カモミラ(chamomilla)はギリシャ語の「χαμαίμηλον(khamaimēlon)」からきており、「地面」を意味する「khamai」と「リンゴ」を意味する「mēlon」の2語の造語で地面のリンゴをいみします。
- 一般名のカモミール(camomile)はギリシャ語のkhamaimēlonからの派生語で、イギリスかフランスで派生したと考えられています。
カモミールの特徴(由来)
- 古くは古代エジプト時代から薬用ハーブとして利用されてきました
- ↳現代でも医療や家庭の薬草として利用されています。
- ↳一般的には花の部分をハーブティーにして利用されます
- 花にはフルーツを連想させる様な甘い香りがある
- ↳乾燥しても色褪せが少なく香りがいいためドライフラワーとしても魅力的です
- 茎や葉は細く華奢で目立たないため花がより魅力的に映ります
- 害虫が忌避する成分(β-ファルネセン等)が含まれるためコンパニオンプランツとしても利用されます
- 種から容易に育てられる事から大量植栽しやすい
カモミールの茎は分枝がよく高さ30~60cmの間で成長します。葉は非常に細く羽毛を連想させる形で2~3回羽状複葉しており、茎に対して互生につきます。花は白色の舌状花と黄色の筒状花の組み合わさる直径約か2~3cmの頭花で散房花序に多数の花を咲かせます。
開花時期は晩春から夏、花色は白色と黄色、花は舌状花と筒状花の組み合わさる直径2~3cmの頭花で茎に何個も花(頭花)が付き散房花序に花を咲かせます。草姿は直立で分枝よく高さは約30(60)cm × 幅は約20(30)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は2~3回羽状複葉して、葉序は互生葉序につきます。
カモミールの香りの特徴や効果
カモミールの香りは、「フルーツ」「蜂蜜」「フローラル(花)」を連想させる華やかな香りが特徴で、口に入れた時の風味(フレーバー)には甘みと苦味を感じさせます。カモミールの香りの由来となる精油には「カマズレン」「α-ビサボロール」「β-ファルネセン」等が含まれています。
カモミールの精油の効果には「抗炎症」「抗菌性」「抗アレルギー作用」「皮膚保護」「喘息を沈める」等があります。例えば、カマズレンやα-ビサボロールには細菌や真菌の増殖を抑制したり除菌する抗菌性がある事から、ハーブティーに使った出がらしで、うがいを行えば口内のバクテリアを退治して歯周炎の予防となり、また口臭を抑え口内を爽やかにする効果等が期待できます。またα-ビサボロールには炎症を抑える効果がある事から、胃の粘膜に直接作用して炎症を抑える効果が期待できます。その他にも皮膚保護効果からニキビや湿疹等の肌トラブルを抑える働きもっています。
カマズレンの香りは「草」「蜂蜜」「薬」等に例えられる爽やかな香りがあります。一般に植物ではカモミールやニガヨモギ、セイヨウノコギリソウ等に含まれており、精油は化粧品等に利用されています。カマズレンの精油の効果には、「抗炎症」「抗アレルギー性」「抗菌性」「喘息を沈める」等の効果があります。
α-ビサボロールの香りは「フローラル」「ココナッツ」「フルーティ」「甘い」等に例えられる香りがあります。一般に植物ではカモミール等に含まれており、精油は化粧品等に利用されています。α-ビサボロールの精油の効果には、「抗菌性」「抗炎症」「皮膚保護」等の効果があります。
β-ファルネセンの香りは「木の香り」「柑橘系」「甘い」等に例えられる香りがあります。一般に植物ではカモミール等に含まれており、精油は香水の原料等に利用されています。β-ファルネセンの精油の効果には、アブラムシへの忌避効果が期待され自然防虫剤にも利用されています。なぜならβ-ファルネセンはアブラムシが危険を察知した際に警報フェロモンとして分泌されている物質で、仲間にここは危ないと警告を与える作用があるからです。
カモミールに含まれるその他の成分と期待される効果 | |
アピゲニン 「抗がん作用」「抗炎症作用」「抗酸化作用」「抗菌作用」 | ルテオリン 「抗炎症作用」「抗酸化作用」「効糖尿病作用」「高肥満作用」「抗がん作用」 |
ケルセチン 「抗酸化作用」「抗炎症作用」「降圧作用(血流改善)」「抗肥満」 | カマメロサイド 「抗糖化(動脈効果や緑内障リスクの軽減)」 |
カモミールの既知の危険性
カモミールの既知の危険性として、稀ですがブタクサアレルギーを引き起こす可能性があります。主な症状としては鼻水・鼻ずまり、くしゃみやノドの痒み等があります。ブタクサアレルギーは血液検査から調べる事が出来るため、心配な場合は利用前に調べると良いでしょう。
カモミールの利用方法
カモミールはハーブティーやドライフラワー等にして楽しむ事が出来ます
ハーブティーとして楽しむ場合は、乾燥させた花を利用します。綺麗に開花した花を収穫して個々の花を1個ずつ丁寧に茎から切り離し、ザルに並べ明るい日陰で数日から1週間乾燥させます。
乾燥させた花を大さじ一杯半程度と沸かしたお湯(180~200ml)をポットに入れて1~3分間蒸らします。蒸らす間はポットの蓋をきちんと閉めておかないと香り(揮発性分)が抜けて美味しくなくなるので注意して下さい。蒸らし終わったらポットのハーブティーを茶こしでこしながらカップに注ぎましょう。その際、ハーブティーにお好みで蜂蜜やレモン等を加えるのもいいでしょう。
カモミールをドライフラワーにする場合はハンギング法で行われるのが一般的です。ハンギング法とは、収穫した花を幾つか(数本)まとめて束ね、茎の下部を輪ゴムやリボンの様な物で固定し、風通しの良い明るい日陰で逆さまに吊り下げて自然乾燥させる方法です。
カモミールの収穫タイミングは花穂が3分の2以上開いたタイミングがいいでしょう。好みの高さで茎を切り取り収穫して、ハンギング法を利用してドライフラワーにしてみましょう。
カモミールの栽培
カモミールは、香りの良い葉を収穫する目的でハーブガーデン等で育てられたり、美しい花や を鑑賞する目的で育てられます。一般的に春もしくは秋の気温が穏やかな時期(15~20度)なってきたら種を撒き、成長させて晩春から夏に花を鑑賞後、枯れる一年草として楽しみます。基本的に栄養の少ない土壌でも育つため、肥料は不要ですが肥沃な土壌を好むため植え付け前に土壌改善は行っておきましょう。沢山の花を咲かせ大きく成長させるには日当たりのよい場所に植えてあげる必要があり、またしっかりとした水やりも必要です。
マトリカリアの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。