
- 原産:地中海沿岸(北アフリカ、西アジア、東ヨーロッパ)
- 科:アブラナ(Brassicaceae)
- 属:アラセイトウ/マッティオラ(Matthiola)
- 種:ヨルザキアラセイトウ(Matthiola longipetala)
- 別名:ナイトセンテッドストック(night-scented stock)/イブニングストック(evening stock)
- 開花時期:5月~8月
- 花の色:紫色・桃色・白色
- 葉の色:緑色・灰緑色
- 香り:花
- 生活形:一年草
- 草丈:約15~60cm
- 用途:切り花/香りが良い/種から育てる植物/ロックガーデン
- 購入方法:ヨルザキアラセイトウを楽天で購入
■ヨルザキアラセイトウとは!?
ヨルザキアラセイトウ(学名: Matthiola longipetala)は、別名で「ナイトセンテッドストック(night-scented stock)」「イブニングストック(evening stock)」とも呼ばれるアブラナ科アラセイトウ属(マッティオラ属)の一年草です。
ヨルザキアラセイトウの原産地は地中海沿岸の北アフリカ、西アジア、東ヨーロッパの一部で、自生地は岩の多い斜面、砂丘、人為的攪乱を受けた荒れ地や道端などに見られます。
■ヨルザキアラセイトウの語源(由来)
- Matthiolaの語源:イタリアの医師で植物学者のPietro Andrea Matthioli(1501–1577)への献名です。
- longipetalaの語源:ラテン語で「長い」を意味する「longi」と、ラテン語で「花弁」を意味する「petalus」の2語の造語で、花弁が長いことに由来します。
- ヨルザキアラセイトウの語源:ヨルザキ(夜咲き)とアラセイトウの植物の2語の造語で、夜に花が咲くアラセイトウ属の植物を意味します。
■ヨルザキアラセイトウの特徴(魅力)
- 花の美しさ:ヨルザキアラセイトウの花は人気の高いストック(Matthiola incana)と比べて、花の数が少ないですが、茎・葉も細く華奢で目立たないため、花とのバランスがよく自然で楚々とした雰囲気の花姿を見せます。花は日中は萎れたように花が閉じ、夜に花が開く性質があり、同時に心地よい香りを放ちます。花の色は、一般的に上品なラベンダー色をしていますが、桃色や白色の個体もあります。
- 花の香り:花は夕方から夜にかけて周囲に漂うほどの強い香りを放ちます。この香りはバニラやクローブなどに例えられるスパイシーな香りがあり、不快に感じる人は少なく心地よい香りを感じることができます。そのため、この香りを楽しむ目的で、普段よく通る小道沿いに植えたり、ガーデンファニチャーの傍に植えて休憩しながら香りを楽しんだり、花壇の縁どりにして花を眺めながら香りを楽しんだり、また切り花として部屋に飾り、充満する香りを楽しむのも良いかもしれませんね。
- フラワーアレンジメント:ヨルザキアラセイトウの花は収穫して切り花として楽しんだり、フラワーアレンジメントの素材として活用できます。花は控えめなため、楚々とした可憐な雰囲気を演出したり、メインを引き立てる添えとしての働きが期待できます。
■ヨルザキアラセイトウの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:一年草
- ライフサイクル:秋に発芽後、冬はロゼットで過ごし、春から夏に開花・結実して枯れます。
- 草丈:約15~60cm
- 生育型:一時ロゼット型
- 一時ロゼット型:ある期間をロゼットで過ごしますが、その後に茎が直立して根生葉が枯れるもの。
- 茎の種類:直立茎
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びる。
- 分枝:ほとんど分枝しない
- 茎の毛:有毛
- 毛の形態:1箇所から放射状に枝分かれして星のように広がる星状毛が生えます。
- 毛の色:白色・灰白色
- 茎の色:緑色・灰緑色
●葉の形態
- 葉の位置:根生葉・茎葉
- 葉序:互生葉序
- 葉柄:下部の茎は有柄ですが、上部の茎では無柄になります。
- 葉身の長さ:約2~11cm
- 葉身の概形:狭楕円形・線状披針形・披針形・倒披針形
- 葉の縁部:根生葉や下部の葉は羽状に浅裂~深裂片し、それ以外の葉は波状または全縁になります。
- 葉の毛:灰白色の星状毛が生えます。
- 葉の色:緑色・灰緑色
●花の形態
- 花序:総状花序
- 花柄:有柄
- 花:通常は花托・萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊で構成されていますが、八重咲き品種では雄蕊・雌蕊を欠く場合もあります。
- 花托:萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊を支えている。
- 萼:萼片の数は4枚
- 花冠:離弁花冠の一種で、花弁の数は4枚、花弁はヘラ形、花弁の色は中心部が白色で外側が紫色を呈し、ボカシの斑が入ります。
- 雄蕊:6本で、この中で4本が長く2本が短い四強雄蕊に分類される。
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:長角果に分類されます。これは、2心皮子房(子房の心皮の数が2枚)からなり、この心皮の長さは幅の3倍以上あり、果実が熟すと下の方から裂けて、中央部に膜質の隔膜を残す。
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ヨルザキアラセイトウの園芸品種を紹介
■ストック(アラセイトウ属)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ヨルザキアラセイトウの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:地中海植生
- 原産地:地中海沿岸の北アフリカ、西アジア、東ヨーロッパの一部です。
- 自生地:岩の多い斜面、砂丘、人為的攪乱を受けた荒れ地や道端などに見られます。
- 気候:主に地中海性気候に属します。気温は夏場は高温で降水量が少なく乾燥し、冬場は最も寒い月の平均気温でも-3℃以上あり比較的温暖で、夏場の3倍以上の降雨量があり比較的湿潤です。本種は秋・冬・春の生育期に湿潤な環境を好み、休眠期の夏場は乾燥した環境を好みます。
- 日照:岩場や荒れ地などに自生しており日向から半日陰を好みます。
- 土壌:土壌は基本的に砂質で通気性・排水性が高く、比較的痩せた場所にあり、また石灰岩を母材とした土壌にあるため中性から弱アルカリ性土壌によく見られます。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
ヨルザキアラセイトウは、日向から半日陰の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的には
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂土・砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿り過湿になりやすい粘土質の土質は適さず、根腐れを引き起こす原因になるため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:過度な肥沃さは必要ありません。土壌の状態を見ながら、痩せていると感じる場合は適度に堆肥を入れるとよいでしょう。肥沃すぎる土壌は、特に夏場に蒸れやすく、根腐れの原因となるため注意が必要です。
- PH:PHは6.0~7.5の弱酸性から弱アルカリ性に適応します。土壌のPHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてPHを調整しましょう。PHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
ヨルザキアラセイトウは、日向から半日陰の範囲で育てることが出来ます。ただし日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的には
●培養土
ヨルザキアラセイトウの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土よりも少し通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。※一般的な培養土に通気性・排水性を高める改良用土を混ぜるのも良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が乾燥した草原や岩場などにあり、土壌は基本的に栄養が少なめで土質は砂質です。そのため、培養土を作成する場合は、通気性・排水性を重視しながら、水やりの頻度も考えて適度な保水性も確保することが大切です。また堆肥も適度に入れる事で植物の成長がよくなります。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を8割~9割を目安にして多めに配合します。ただし、通気性・排水性を高めるために、大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に空隙ができすぎてしまい根の活着が悪くなったり、保水性も著しく落ちて生育が悪くなる原因となるため避けた方が良いでしょう。基本的には小粒を使用しましょう。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の1割~2割を目安に培養土の中に配合します。堆肥は土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。ただし、堆肥の入れすぎは、夏場に蒸れて過湿状態になり、根腐れを引き起こす原因ともなるため注意が必要です。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)8割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+腐葉土2割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+バーミキュライト1割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- 軽石:軽石は溶岩が急冷されガスが吹き出す事で、多孔質で脆く軽くなった火山礫です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.4~0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくい、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉植物・サボテン・東洋ラン・盆栽・山野草などの育成でよく利用されます。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
ヨルザキアラセイトウは、自生地が岩場や荒れ地などにあり耐乾性が強い植物です。そのため、水やりはあまり必要ありません。その一方で、乾燥した環境よりも、生育期に適度に水が与えられる環境の方がより良く成長するため土壌の状態を見ながら水やりをすることが大切になります。
地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水やりが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。
注意することは、極端な過湿にしないことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因を作ったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 夏の水やり:自生地の気候は地中海性気候で、この時期は降水量が少なく乾燥しており、日本の高温多湿を苦手にしています。この時期は、基本的に乾燥気味に管理しますが、完全に乾燥させると枯れることもあるため株の状態・土壌の状態を確認することも大切です。基本的には、多湿にならないよう注意しながら、朝の涼しい時間帯に土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。注意点は、水やりの時間帯が午後になると、暑さで水分が高温になり根を傷めてしまったり、土壌中が蒸れて根腐れを引き起こしたりする可能性があることです。そのため、株が萎れているなどの緊急な場合を除いて、基本的には朝の涼しい時間帯に水やりを行いましょう。
- ただし、この時期は午後に水を与えると高温で水がお湯になり根を傷める可能性が高まったり、蒸れて根腐れする可能性が高まるため、水やりする時間帯は特に注意が必要でしょう。水やりは必ず朝もしくは夕方に行うようにしましょう。
- 秋の水やり:気候が穏やかになり、再び生育が旺盛になります。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:生育が緩慢になる季節で、植物は水をそれほど必要としません。土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなります。ただし、完全に乾燥すると枯れてしまう事もあるため、土壌の表層が乾燥した数日後に水を与えると良いでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
ヨルザキアラセイトウは、自生地が岩場や荒れ地などにあり、栄養の少ない痩せた土壌にも生育しています。そのため、腐葉土などの堆肥が配合された土壌であれば、生育に必要な一定の栄養が含まれており、肥料がなくても栽培する事ができます。過剰な栄養は、茎が徒長し草姿を乱す原因になったり、花数を減らす原因になったり、肥焼けして根腐れを引き起こす原因になったりしますが、適切な量の肥料には生育を促進する働きもあります。そのため、必要に応じて植え付け時に元肥を施してあげるのもよいでしょう。
●肥料の与え方
- 元肥:元肥は植付け前または植付け時に土壌の中に入れて施す肥料です。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリがバランス良く入る水平型、またはリンが多く入る山型を選びます。
- 肥料の製品:緩効性肥料・配合肥料(BB肥料など)がおすすめです。
- 施し方:基本的に全面施肥です。全面施肥とは、植物を植付ける土壌・培養土の中に、規定の量の元肥を入れて、偏りがないように混和する方法です。※全面施肥は肥料が植物の根に触れて肥焼けを引き起こす可能性があるため、肥効が緩やかに出る肥料を選ぶ。例として緩効性肥料やBB肥料などです。
播種で増やす
ヨルザキアラセイトウの種蒔の方法
- 播種時期:9月~10月/3月~4月(春撒き)
- 発芽適温:約15度~20度
- 発芽日数:約7日~21日
- 備考:直根性のため移植を嫌います。
種まき手順
- 種まきの時期:温帯地域(暖地・中間地)では9月~10月に種を撒きます。亜寒帯や寒帯地域では3月~4月頃に種を撒きます。
- 培土の準備:直根性で基本的に移植を嫌うため直播きされる事が多いですが、根を傷めないよう移植できる場合は移植栽培も可能です。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き
- 点撒き:一定の間隔または一区画の中に数mmの小さな穴を1~5箇所つくります。穴の中に種を入れます。穴に種を入れたら穴を塞ぐように覆土して、土と種が密着するよう指で上から少し押し込み鎮圧※1します。※発芽後に間引きして1~3本にするため、発芽率に合わせて種を撒く数を決めるとよいでしょう。プラグトレーの場合は1粒撒きでも問題ありません。
- すじ撒き:直播きする場所に直線状の深さ数mm程度の浅い溝を作り、溝の中に数cmの間隔で種を撒いていきます。種を撒いたら溝の側面の土を寄せて、指で軽く押し込んで鎮圧※1します。※発芽後に間引きするため、種を撒く間隔は発芽率や成長後の株の大きさを考えながら決めるとよいでしょう。
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株同士の間隔を見て、混み合う場所の苗を間引きます。いい苗を残しながら1~3本程度になるように間引きするとよいでしょう。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株同士がくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 移植:小さなプラグトレーやポットで移植栽培をしている場合は、本葉が2枚以上になったタイミングでポットなどに移植します。出来るだけ根鉢を崩さないように注意しましょう。
- 定植:株がある程度の大きさになったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。
※鎮圧は土と種の密着度を高め水分の吸収をよくします。