原産:南ヨーロッパ
科:アブラナ(Brassicaceae)
属:アラセイトウ/マッティオラ(Matthiola)
種:ヨルザキアラセイトウ(longipetala)
別名:ナイトセンテッドストック(night-scented stock)/イブニングストック(evening stock)
開花時期:5月~8月
花の色:桃色●黄色●紫色●白色〇
葉色:緑色●
分類:一年草
草丈:約15cm~60cm
用途:香りが良い/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヨルザキアラセイトウとは!?
ヨルザキアラセイトウは学名Matthiola longipetala、 別名「ナイトセンテッドストック(night-scented stock)」や「イブニングストック(evening stock)」とも呼ばれる南ヨーロッパ原産の一年草です。
ヨルザキアラセイトウの語源(由来)
- 属名のMatthiolaはイタリアの医師で植物学者のPietro Andrea Matthioliへの献名です。
- 種小名のlongipetalaは「長い」を意味する「long」と、「花弁」を意味する「petalus」2語からなります。
- ヨルザキアラセイトウの由来は夜咲きするアラセイトウ属の植物からきています。
ヨルザキアラセイトウの特徴(魅力)
- ヨルザキアラセイトウはその名前からも分かる通り夕方から夜に花が咲きます。
- 昼間の花は萎れたような外観になります。
- ヨルザキアラセイトウの花は小花が多数つくスプレー咲きです。
- 豪華な花を咲かせるストック(アラセイトウ)と比べてヨルザキアラセイトウの花は可憐です。
- 花の香りは甘くスパイシーでバニラの香り等に例えられます。
- 香りは花が開く夕方から夜にかけ強く放出されます。
- ヨルザキアラセイトウの切り花の日持ちは管理方法でも左右されますが8日程度です。
- 切り花として部屋に飾ると心地よい芳香が屋内の空間に広がります。
- ヨルザキアラセイトウの茎は直立もしくは傾状茎(地表を這い途中で立ち上がる)です。
- 茎は細くよく分枝します。
- ヨルザキアラセイトウの茎・葉・萼等は白色の毛で覆われており灰緑色の柔らかな外観をしています。
- ヨルザキアラセイトウは一年草です。
- 早春から晩春に種を撒き夏に花を楽しんだら徐々に株が衰退していき枯れていきます。
ヨルザキアラセイトウの茎は緑色で白色の毛が生えるため灰緑色の外観をしており、茎は傾状茎(地表を這い途中で立ち上がる)もしくは直立して、高さ約15(~60)cmの間で成長します。葉は根生葉と茎葉があり、茎葉は互生葉序につきます。葉色は緑色で白色の毛が生え灰緑色の外観をしており、葉身の大きさは長さ約2(~11)cm、幅約0.2(~2)cmあり、葉身の形は線形もしくは狭楕円形か倒披針形で、縁部分は全円もしくは波状縁になります。花序は総状花序に花を付け、個々の花は直径約1(~2)cmの十字花冠(花弁4個)です。
ヨルザキアラセイトウの栽培方法
園芸では、ヨルザキアラセイトウの可憐な花を鑑賞する目的や、香りを楽しむ目的や、花を収穫して切り花として利用する目的で育てられます。ヨルザキアラセイトウは比較的にコンパクトな草姿をしている事から、花壇の前方や中央部に並べて縁どりとして楽しんだり、管理のしやすい鉢植えに植えて様々な場所で楽しまれたりします。
ストック(アラセイトウ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ストック(アラセイトウ)の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2020】
ヨルザキアラセイトウの育て方
花壇の土づくり
日当り
ヨルザキアラセイトウは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。一方で日当たりの悪い場所では花付きが悪くなります。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てますが、3時間~5時間の半日影までで植えて育てる事が出来ます。
土壌のPH
ヨルザキアラセイトウは土壌のPHが7.0~7.5の中性から弱アルカリ性を好みます。PHが高すぎたり低すぎたりすると生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが高い場合はピートモスを入れたり、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
ヨルザキアラセイトウは通気性と排水性が良く、適度に肥沃な土壌であれば問題なく育ちます。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
ヨルザキアラセイトウは日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たり午後から日陰になるような半日影で育てましょう。
培養土
ヨルザキアラセイトウは酸性土壌を嫌うため、PH中性以上の通気性の高い草花の培養土を選びましょう。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土+くん炭=6::3:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+苦土石灰(適量)=4:3:3:
培養土作成時の注意点
ヨルザキアラセイトウは酸性土壌を嫌うため、培養土にアルカリ性のくん炭や草木灰等を混ぜこむか、苦土石灰を混ぜ込む必要があります。
苦土石灰を混ぜ込む量は培養土の土質にも左右されますが、ヨルザキアラセイトウは一般的なバランス良い土壌を好むため恐らく壌土に近い培養土を使っているはずです。
壌土のPHを1上げるには培養土10Lに対して苦土石灰15~20g程度を目安に使用します。基本的には1Lあたり1.5~2.0gの苦土石灰を混ぜ込むとよいでしょう。ただし培養土を強い酸性に傾ける無調整ピートモスや鹿沼土を利用した場合は話しが変わります。そのため培養土に使う用土は中性のものを利用する事がおすすめです。
水やりの仕方
ヨルザキアラセイトウは水のやり過ぎで浸水したりすると、根腐れを引き起こしたり葉が黄変するなどして生育不良を引き起こす可能性があります。基本的にはやや湿り気のある土壌を好みますが、病気の原因にもなるため土壌の状態を見ながら水やりを行いましょう。
水やりの方法
水やりの最高のタイミングは茎葉が萎れてきたタイミングですが、萎れたタイミングを逃すと株に致命的なダメージを残す可能性があるため、基本的には土の表面(数cm)が乾いてきタイミングで水やりを行うといいでしょう。乾燥の確認は土の色を目視で見て確認するか、指の第1関節まで入れて土の乾燥を確認します。
肥料の与え方
ヨルザキアラセイトウは、基本的にそれほど肥料を必要としませんが、開花が始まると肥料が足りなくなる場合があります。そのため必要に応じて肥料を与えましょう。
ヨルザキアラセイトウの肥料は、開花期間中に行います。基本的には液肥で与えるといいでしょう。液肥はリン酸が多めのものを選び、与える頻度は10~14日に一度のペースで水やりと一緒に与えましょう。
剪定のやり方
ヨルザキアラセイトウの剪定は「花がら摘み」のみです。
花がら摘み
ヨルザキアラセイトウは開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種(一重咲き品種)を作り初めて株が弱り生育が衰えたり、新しい花がつくられにくくなったりするからです。 枯れた花を摘む事は、ストックの品種にもよりますが、新しい花を咲かせる事に繋がります。
花がら摘みのやり方は花の咲き終わった花穂をハサミを使い剪定するだけです。
夏越しする方法
ヨルザキアラセイトウは夏の暑さに弱く、多くの場合は生育が衰え枯れてしまいます。
ヨルザキアラセイトウの夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、暑さ乾燥対策として、西日の当たらない半日影や間接光のみがあたる明るい日陰に移動するといいでしょう。
冬越しする方法
Hardiness:
挿し木や株分けで増やす
播種で増やす
ヨルザキアラセイトウの種蒔の方法
播種時期:2月~5月
発芽適温:約15度~20度
発芽日数:7日~21日
発芽条件:
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
ヨルザキアラセイトウの病気
- 灰色カビ病
- 黒斑病
- 炭疽病
- 疫病
- 立枯病
- 萎凋病
- 根こぶ線虫病
ヨルザキアラセイトウの害虫
- アブラムシ