- 原産:日本/中国/朝鮮
- 科:ブドウ(Vitaceae)
- 属:ツタ(Parthenocissus)
- 種:ツタ(Parthenocissus tricuspidata)
- 別名:ナツヅタ/アマヅラ/モミジヅタ/ジャパニーズ・アイビー(Japanese ivy)/ボストン・アイビー(Boston ivy)/ジャパニーズ・クリーパー(Japanese creeper)
- 開花時期:6月~7月
- 花の色:緑色●
- 葉の色:緑色●黄色●橙色●赤色●紫色●
- 分類:落葉ツル性木本
- 登攀能力:吸盤
- 草丈:約800~3000cm
- 誕生花:11月17日
- 花言葉:結婚/永遠の愛
- 用途:カラーリーフ/壁面緑化/日陰植物
目次 | ||
| ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ツタ(ナツヅタ)とは!?
ツタ(ナツヅタ)は学名Parthenocissus tricuspidata、別名では「ナツヅタ」や「アマヅラ」や「モミジヅタ」や「ジャパニーズアイビー(Japanese ivy)」等とも呼ばれる日本および中国、朝鮮が原産の落葉ツル性木本です。日本では全国各地に分布しており、山林や岸壁等に自生しています。
ツタ(ナツヅタ)の語源(由来)
- 属名のParthenocissusはギリシャ語で「乙女」や「処女」を意味する「παρθένος(parthenos)」と、古代ギリシア語で「ツタ」を意味する「κιττός(kittos)」の2語からきています。
- 種小名のtricuspidataはラテン語で「3」を意味する「tri」と、ラテン語で「先端」や「先の尖った」を意味する「cuspidata」の2語からきており、葉の形に由来しています。
ツタ(ナツヅタ)の特徴(魅力)
- ツタ(ナツヅタ)は、ツルが壁面を登り壁を覆うため園芸では壁面緑化植物などに使われることがあり、四季折々に春から夏は青々とした葉が楽しめたり、秋は赤色に力強く色付く紅葉が楽しめたり、冬は葉が落ちるため壁に張り付くツルのテクスチャーが楽しめたりする魅力的な植物です。
- 樹形はツル性、茎は基本的に自立せず、まきヒゲの先端についている吸盤を他の植物や物体に付着させて、体を固定しながら壁面を登ります。
- まきヒゲは5~10回枝分かれして、それぞれの先端に丸く膨らんだ吸盤があり、吸盤は物体につくと接着液を出してくっつきます。
- ツルは基本的に自立しないため、トレリスなどを準備したり壁面のそばなどに植えて育ててあげると良いでしょう。
- 花は直径1cm未満と小さく花弁の色は緑色と目立たないため装飾性は殆どありません。
- 花は蜜蜂の蜜源にもなるため開花期になると、花の周りを元気に飛び回る蜜蜂の姿を観察出来ます。
- 実は多肉質で、直径が約1cmの球形、色は白粉を帯びた青色から紫色をしています。
- 実は冬の間も残るため、野鳥(メジロ・ツグミなど)の貴重な食料源になっています。そのため実に集う野鳥の姿を観察出来ることがあります。
- 葉はふち部分が大きく三回裂けるため「アヒルの足」のような可愛らしい外観をしており、装飾的な見た目をしています。
- 葉は冬になると落葉しますが、落葉前の秋になると橙色から赤色へ強く紅葉するため、遠くからでも目立つ美しい景観をつくります。
- ツタ(ナツヅタ)は石造りの壁を覆う壁面緑化植物としてよく利用されており、壁面緑化として利用した場合、急激な温度変化を抑制するため夏場の冷房費などを節約する事が出来ます。
- ただし壁に接着する吸盤は接着剤の様にくっつくため、剥がす時は壁面が劣化したり吸盤が残ってしまい汚れる事が予想されます。そのため、永続的に這わせる場合を除きワイヤーやパネル(登ハンマット)を利用する方が良いかも知れません。
- ツタを剥がす前に事前にツルを根元から切って置くと徐々に吸盤が劣化するため、壁面より剥がしやすくなります。
ツタ(ナツヅタ)の樹形はツル性(吸盤)、茎の長さは約800(~3000)cm、茎の色は緑色、成熟すると木質化して灰白色になります。※吸盤は、茎から出るまきヒゲの先端にある丸い付着物(吸盤)です。まきヒゲは、5~10回枝分かれして先端にある吸盤を他の植物や物体に張り付けて植物体を固定しながら壁を登ります。
葉序は互生葉序、葉色は緑色(光沢あり)、葉柄はあり、葉身は大きさは長さ約5(~15)cm、幅は約5(~15)cm、葉身の形は卵形もしくは円形、葉のふち部分は3回掌状浅裂(~中裂)して鋸歯があります。※稀にふち部分が裂けてない事や5回掌状浅裂(~中裂)することがあります。
花序は集散花序、花は直径約0.5(~0.7)cm、花の形は平開して花弁は後ろ側にカールする傾向にあり、花弁は5個、花弁の色は緑色、雄蕊は5個です。
果実は液果(果皮のうち特に中果皮が水分を多く含む細胞になり液質もしくは多肉質な果実)、液果は球形、直径約0.5(~1)cm、色は緑色から成熟すると青色(~黒色)になり白粉を帯びます。また果柄も同時に赤くなる。
ツタ(ナツヅタ)の園芸品種の紹介
- ヴェイチイ(Parthenocissus tricuspidata ‘Veitchii’)は一般的なツタよりも小振りな葉をもっており、また比較的に侵襲性が低く育てやすい所が魅力の園芸品種です。葉は光沢のある緑色で秋になると真っ赤に美しく紅葉します。
- フェンウェイパーク(parthenocissus tricuspidata ‘fenway park’)は、葉全体が鮮やかな黄色の葉色をしているため、春から秋にかけてお庭の雰囲気を明るくしたりカジュアルで開放感を感じさせたりするイエローリーフとして楽しむ事が出来る園芸品種です。また他のツタと同様に秋になると葉が赤色に強く色づくため紅葉も楽しめます。樹形はツル性、高さ約800cmに成長します。
楽天で購入 | ||
ツタの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ツタ(ナツヅタ)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ツタ(ナツヅタ)は直射日光の6時間以上当たる日向から、間接光のみが当たるような日陰までで育てる事が出来ます。ただし日陰を許容しますが、日当たりの悪い場所では葉色が悪くなる傾向があり、紅葉で上手く色づかないことがあります。
土壌の土質
ツタ(ナツヅタ)は、基本的に土質を選びません。土壌の通気性が良ければ幅広い土壌で育てることが出来ます。植え付けの前に土壌診断を行い通気性がよく適度に肥沃な土壌をつくりましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ツタ(ナツヅタ)は直射日光の6時間以上当たる日向から、間接光のみが当たるような日陰までで育てる事が出来ます。ただし日陰を許容しますが、日当たりの悪い場所では葉色が悪くなる傾向があり、紅葉で上手く色づかないことがあります。
培養土
ツタ(ナツヅタ)の培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
地植え
ツタ(ナツヅタ)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ツタ(ナツヅタ)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ツタ(ナツヅタ)は、ある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えるだけで追肥は不要です。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
剪定のやり方
ツタ(ナツヅタ)は剪定せずに育てる事も出来ます。ただし剪定せずに育てた場合、ツルが奔放に伸びて本来あるべき場所から逸出してしまったり、外観を崩してしまったり、またツルが成熟して古くなると木のようになり葉の生産性が落ちる事があります。そのため必要に応じて剪定が行われます。
ツタ(ナツヅタ)を剪定する時の注意点として、壁に吸盤が張り付いていることがあります。吸盤を無理やり剥がすと壁も一緒に剥がれたり、壁に吸盤が沢山残り外観を悪くする可能性があります。そのため剪定した後はしばらく放置して吸盤が劣化するのを待ちましょう。
ツタ(ナツヅタ)の剪定方法
- ツタ(ナツヅタ)の剪定は晩冬から早春に行いましょう。
- 晩冬から早春は、株が休眠しているため剪定によるストレスが少なく済みます。また春からの強い成長が期待出来るため剪定からの回復が早くなります。
- 株全体を観察して枯れた枝・損傷した枝(折れてる枝等)・病気の枝を探して、これを枝分かれしてる場所、もしくは被害を受けていない枝の途中の節(芽)の上で、剪定して取り除きましょう。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、エネルギーが分散されて健康に成長している枝の成長に悪影響を及ぼしたりしやすいからです。
- 株全体を観察して不要と思われる枝を剪定しましょう。
- 間違った方向に伸びた枝は、外観を崩したり、歩行者のじゃまになったり、入るべき場所じゃない所に侵入して撤去が難しくなる可能性があります。そのため根元から剪定するか枝分かれさせたい部分の芽の上で剪定しましょう。
- 絡み合い茎が混雑している部分は、日当たりや風通しが悪くなるため、生育が悪くなったり、生育が悪くなった場所から病気にかかりやすくなったり、また害虫が湧きやすくなる原因ともなります。そのため、必要に応じて枝の多い部分は間引き剪定して枝の数を減らしましょう。
- 生産性の落ちた古い枝は、太くゴツゴツとしており、葉も少なく外観を悪くする原因にもなります。古い茎を切る事でエネルギーが生産性の高い新しい芽や若い茎にに向かうため、株全体のバランスを見ながら必要に応じて剪定しましょう。剪定は古い茎の根元から間引き剪定するか、もしくは枝分かれさせたい部分の芽で剪定します。
剪定をプロに任せる
剪定を自分で行う事が不安な場合は、剪定のプロに任せて綺麗に仕上げて貰う事も出来ます。また剪定する時間がとれない、他にも庭の作業を依頼したい時などもプロに作業を任せてしまう事が可能です。
- 剪定作業を自分で行う時に不安がある時
- 剪定は重労働になるため体力が最後までもつか不安がある。
- 大きな木を剪定する時は高所作業になるため怪我をするリスクがあり不安がある。
- 間違った剪定を行う事で、数年後に不格好な樹形になったり、スカスカした生垣になるかもしれない不安がある。※必要な枝と不要な枝の見極めが素人には難しい場合があり、太い枝や古い枝などを残すと不格好な樹形になることもある。
- 剪定を行う時間がとれず放ったらかしになっている
- 生垣の管理が疎かになると枝が暴れるため見た目が悪くなったり、枝が歩行者の邪魔になり怪我をさせるリスクがある。
- 木がどんどん成長していくと管理が難しくなったり、鑑賞したい花が上の方に咲いてしまったり、電線の近くだと枝が電線にかかる可能性がある。
- 剪定の他にも作業を依頼したい
- 庭の草が育って薮のようになっている、芝が伸びてボウボウになっている、庭石を並べたり外壁工事を頼みたい、庭にある不要物を撤去して欲しい等の相談も、剪定依頼をする時に一緒に行うことが可能です。
\剪定の依頼は下記のバーナーから【PR】/
夏越しする方法
ツタ(ナツヅタ)は夏の暑さに強いため基本的に夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:4b~8a
ツタ(ナツヅタ)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ツタ(ナツヅタ)は挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- ツタ(ナツヅタ)の挿し木時期は初夏から夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ツタ(ナツヅタ)の種蒔の方法
播種時期:3月~5月
発芽適温:約15度~20度
発芽日数:2ヶ月以上
条件:低温処理(2ヶ月)
植物の病気
ツタ(ナツヅタ)の病気
- 斑点病
- サビ病
- すす病
- ベト病
- 灰色カビ病
ツタ(ナツヅタ)の害虫
- 毛虫