
- 原産:アメリカ合衆国/カナダ/メキシコ
- 科:ブドウ(Vitaceae)
- 属:ツタ(Parthenocissus)
- 種:アメリカヅタ(Parthenocissus quinquefolia)
- 別名:バージニアクリーパー(Virginia creeper)/ファイブ・リーブ・アイビー(five-leaved ivy)
- 品種:エンゲルマンニー(Parthenocissus quinquefolia ‘engelmannii’)
- 開花時期:6月~7月
- 花の色:緑色・黄緑色
- 葉の色:緑色・橙色(紅葉)・赤色(紅葉)・紫色(紅葉)
- 香り:
- 生活形:落葉性ツル性木本
- 全長:約5~10m
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:カラーリーフ/グランドカバー/枝垂れる植物/ツル植物/背が高い花/景観植物/日陰植物
- 購入方法:アメリカヅタ(エンゲルマンニー)を楽天で購入
■アメリカヅタ(エンゲルマンニー)の特徴
- 学名:Parthenocissus quinquefolia ‘engelmannii’
- 葉の色:緑色・橙色(紅葉)・赤色(紅葉)・紫色(紅葉)
- 全長:約5~10m
- 備考:秋の紅葉期にみられる鮮やかな赤色・橙色・紫色に変化する葉色が魅力の品種です。
■アメリカヅタとは!?

アメリカヅタ(学名: Parthenocissus quinquefolia)は、別名で「バージニアクリーパー(Virginia creeper)」「ファイブ・リーブ・アイビー(five-leaved ivy)」とも呼ばれるブドウ科ツタ属の落葉性ツル性木本です。
アメリカヅタの原産地はアメリカ合衆国、カナダ、メキシコで、自生地は森林の林床、林縁、岩壁、また人為的攪乱を受けた荒地などで見られます。
■アメリカヅタの語源(由来)
- Parthenocissusの由来:古代ギリシア語で「乙女」や「処女」を意味する「παρθένος(parthenos)」と、古代ギリシア語で「ツタ」を意味する「κισσός(kissos)」の2語からなる合成語です。
- quinquefoliaの由来:ラテン語では「5」を意味する「Quinque」と、ラテン語で「葉」を意味する「folia」の2語で構成されており、葉を構成する小葉または裂片が5枚あることに由来します。
■アメリカヅタの特徴(魅力)
- アメリカヅタの魅力:この植物の魅力は、壁面などの大きな構造物を簡単に覆えるほどのツルの長さと登攀能力や、5枚の小葉で構成されるお洒落な葉の形にあります。このツルは、全長30mまで達することがあり、巻きひげの先の吸盤で他物に付着し、自らを固定しながら上へと成長します。そのため、園芸では壁面緑化のツル植物として栽培されています。またツタは落葉性で冬に葉が落ちる性質があるため、春から夏は青々とした元気な葉を楽しみ、秋は真っ赤に色付く紅葉を鑑賞し、冬は壁面を這うツルが作り出す独特なテクスチャーを楽しみ、季節の移り変わりを感じることが出来ます。葉は掌状複葉で小葉が5枚あり、分裂葉で裂片が3枚ある日本のツタ(Parthenocissus tricuspidata)と区別が出来ます。また園芸品種の中には葉の色が黄色や桃色をしているものもあるため、カラーリーフとしても楽しめるでしょう。本種は耐寒性・耐暑性が高く、栄養の乏しい土壌や乾燥した土壌にも適応し、日向から明るい日陰までと幅広い環境で育てられ、基本的に強健です。そのため、栽培は簡単ですが、一方でツルが旺盛に伸びて定期的に剪定をしないと制御が難しくなることも多く、吸盤が付着した構造物を破損することもあるため管理には注意が必要です。また茎・葉・果実にシュウ酸カルシウム結晶が大量に含有しているため、有毒で食べられないことはもちろん、樹液への接触も肌が炎症を起こすため扱いに十分な注意が必要となります。
- 樹形:生育型はツル型で、茎の種類はツル、ツルの全長は約10~30mに達し、基本的に柔軟で他物がない場合は地表を這い、樹木や岩壁などがある場合は、ツルから発生する巻きひげのうち先端の吸盤を他物に付着させて、自らを他物に固定しながら上へと成長します。
- 葉の特徴:葉は互生で、葉と対生する位置の節から巻きひげをつけます。葉の概形は掌状複葉で、一般的に小葉は5枚ありますが、若い茎では小葉が3枚または稀に7枚あることもあります。葉の色は基本的に緑色で、秋になると赤色または橙色や紫色に紅葉し、冬になると落葉します。また園芸品種の中には黄色や桃色や赤色などの葉色もあるため、品種を選べばカラーリーフとして楽しむ事もできるでしょう。
- 花の特徴:開花時期は初夏から夏、花序は集散花序です。小花は非常に小さく、緑色をしていて、鑑賞価値はほとんどありません。
- ツル植物:アメリカヅタは生育型がツル型で、他物を支えながら成長する植物です。ツルは巻きひげの先端にある吸盤を他物に付着させて、自らを固定しながら上へと成長します。そのため、ツル植物として仕立て栽培する場合は、樹木に這わせたり、凹凸のある壁面に這わせたり、また資材(ヘゴ支柱・ココスティック・パネル)を準備して、これらに誘引して栽培されます。ただし、吸盤が物体に付着して張り付くため、岩壁や木造などの構造物を劣化させる可能性があります。そのため、十分な計画を立てて栽培しましょう。
- シェードガーデン:アメリカヅタは耐陰性があるため、日向はもちろん、直射日光が当たらない明るい日陰でも栽培が可能です。
- 毒性:アメリカヅタは、茎・葉・果実に有毒成分であるシュウ酸カルシウム結晶が含まれています。シュウ酸カルシウムが含まれる樹液が肌に触れるだけで、炎症や強い痒み等を引き起こす可能性があり、粘膜につくと強い痛みをともないます。また摂取した場合は、直ぐに口内が炎症して荒れたり、嘔吐や下痢を引き起こしたり、胃腸が荒れたりする他、尿路結石を引き起こす原因にもなり、大量に摂取した場合は死に至ることもあります。そのため、取り扱いには十分な注意が必要になり、また子供やペットのいる家庭で、この植物を栽培する際は特に注意が必要となります。万が一、樹液に触れた場合は、直ちに大量の流水で洗い流して下さい。また誤って摂取した場合は、口をよくすすぎ、近くの医療機関を受診するとよいでしょう。
■アメリカヅタの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 全長:約10~30m
- 生育型:ツル型
- ツル型:ツルを他物に巻き付けて成長するもの。
- 茎の種類:ツル
- ツル:茎は基本的に柔軟で自立せずに、他物を支えにしながら伸びる。また他物がない場合は地面を張って広がる。
- 登攀方法:葉と対生する節から、巻きひげを生成し、巻ひげの先端にある吸盤が他物に付着し、自らを固定しながら登攀する。
- ツル:茎は基本的に柔軟で自立せずに、他物を支えにしながら伸びる。また他物がない場合は地面を張って広がる。
- 茎の色:緑色・淡赤色・赤橙色・灰褐色・灰白色
●葉の形態
- 葉序:互生葉序
- 葉柄:長さは約5~15cmで、色は緑色・赤橙色・赤紫色・赤褐色をしている。
- 葉身の概形:掌状複葉で、小葉は5枚ある。ただし、若い茎では3枚または稀に7枚の場合がある。
- 小葉の長さ:約5~15cm
- 小葉の形:楕円形・卵形・倒卵形
- 小葉の縁部分:鋸歯
- 葉の色:緑色・桃色(品種)・黄色(品種)・橙色(紅葉)・赤色(紅葉)・紫色(紅葉)
●花の形態
- 花序:集散花序で、花序の概形から円錐花序に分類されることもある。
- 花:花托・萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:子房上位
- 萼:合片萼
- 花冠:離弁花冠で、花弁の数は5枚、花弁は平開または徐々に反り返り、花弁の形は卵形・楕円形、花弁の色は緑色・黄緑色です。また花弁は早落性で、成熟すると散りやすくなっています。
- 雄蕊:5本
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:液果
- 液果の形:球状
- 液果の色:青紫色
- 果梗:赤色
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■アメリカヅタの園芸品種を紹介
エンゲルマンニー

学名:Parthenocissus quinquefolia ‘engelmannii’
葉の色:緑色・橙色(紅葉)・赤色(紅葉)・紫色(紅葉)
全長:約5~10m
備考:秋の紅葉期にみられる鮮やかな赤色・橙色・紫色に変化する葉色が魅力の品種です。
ミステリーピンク
学名:Parthenocissus quinquefolia ‘mystery pink’
葉の色:緑色・クリーム色・桃色
全長:約5~20m
備考:葉の色は緑色・クリーム色・桃色の3色で、新芽と若葉の色が桃色へと染まり、成熟した葉は緑色とクリーム色の散斑(切斑と星斑)が入ります。そのため、かわいいをテーマにするお庭などによく合う品種です。
■ツタ属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■アメリカヅタの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
アメリカヅタが生息する主なバイオームは温帯広葉樹林です。本種の原産地はアメリカ合衆国、カナダ、メキシコで、自生地は森林の林床、林縁、岩壁、また人為的攪乱を受けた荒地などにあります。気候は亜寒帯湿潤気候・温暖湿潤気候などに広く分布し、気温は場所によって変わり、亜寒帯湿潤気候では最も寒い月の平均気温が-3℃以下になる。年平均降水量が乾燥限界以上あり、一年を通して比較的降水量がある。日照は日向から明るい日陰まで幅広く適応し、土壌は基本的に通気性・排水性が高く、肥沃な土壌を好みますが、痩せた土壌にも適応します。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
アメリカヅタは、日向・半日影・明るい日陰の範囲で育てることができます。日当たりが良い方が、秋の紅葉は美しくなりますが、ただし日向は夏の強光で葉焼けが起きたり乾燥で葉が落ちたりしやすく、日陰では生育が緩慢になり紅葉にも悪影響を与えるため、西日の当たらない半日影が最適です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日影:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に通気性と排水性が十分であれば幅広い土壌に適応しますが、特に砂壌土や壌土で栽培するのが理想です。
- 肥沃さ:痩せた土壌でも育ちますが、適度に肥沃な土壌を好みます。そのため、土壌の状態を見ながら堆肥(腐葉土など)を用土全体の2割を目安に混ぜ込むとよいでしょう。堆肥を入れることで土壌の通気性・排水性・保水性が改善され、根の活着を高め根張りをよくしたり、堆肥に含有する栄養素が微生物の働きを促進して土質を改善したり、さらに植物の栄養補給にも寄与します。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
アメリカヅタは、日向・半日影・明るい日陰の範囲で育てることができます。日当たりが良い方が、秋の紅葉は美しくなりますが、ただし日向は夏の強光で葉焼けが起きたり乾燥で葉が落ちたりしやすく、日陰では生育が緩慢になり紅葉にも悪影響を与えるため、西日の当たらない半日影が最適です。
●培養土
ツタの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地は森林の林床などです。そのため、基本的に有機物と腐植に富む肥沃な土壌であり、通気性・ 排水性・保水性が優れており、長く保たれるものを好みます。
- 土壌改良材(無機質):通気性・排水性・保水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの無機質の土壌改良材を全体の6割~7割を目安に配合します。土粒が大きいと、空隙ができすぎてしまい根が安定せず成長が悪くなったり、保水性も著しく落ちて生育が悪くなる原因となるため、土粒は小粒を選んだ方がよいでしょう。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の3割~4割を目安に培養土の中に配合すると、土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与します。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)6割+腐葉土4割+元肥適量
- 排水性の高い配合:赤玉土(小粒)4割+軽石2割+腐葉土4割+元肥適量
- 培養土が長持ちする配合:日向土(細粒・小粒)5割+ピートモス4割+くん炭1割+元肥適量
- 大きな鉢向きの肥沃な配合:赤玉土4割+ 腐葉土4割+牛糞堆肥2割+元肥適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- バーミキュライト:バーミキュライトは、蛭石を高温処理して膨張させた土壌改良用土です。蛭石を膨張させた事で、薄板が層に重なりアコーディオンのような形状をしています。
- 特徴:保水性・保肥力が抜群に優れているため植物が欲しい時に水分や栄養を供給してくれる働きがあります。また何層にも重なり大きな隙間があるため通気性を改善する働きもあり、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 欠点:比重の重い用土と組み合わせると粒が破壊されて通気性が悪くなる事もあるため注意が必要です。
- 用途:土壌の保水性・保肥力を改善するのに利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などでも利用されます。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- ピートモス:ピートモス は水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。
- 特徴:腐葉土と比べて養分を殆ど含んでいないため、微生物を活性化する力が弱く無菌で清潔感がある。土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の保水力を高める効果が高く、通気性・保肥力も改善する。PHは基本的に強い酸性になる。
- 注意点:PHが3~4の強い酸性のため、一般的な植物を育てる際は調整済のピートモスを使用するか、アルカリ性の土壌改良材を入れて使用した方がよいでしょう。
- 用途:土壌の膨軟性を高めて、保水性・保肥力・通気性を改善するのに利用されたり、PHを酸性に調節する目的で利用されたり、無菌で雑菌が繁殖しにくいためインドアグリーンの植物の改良用土として利用されたり、挿し木や種まき用の培土として利用されたり、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されたりしています。
- バーク堆肥:バーク堆肥は、樹木の樹皮を発酵させて作られた土壌改良材または肥料です。
- 選ぶ基準:バーク堆肥は見た目が黒っぽく、断片が小さくなって、しっかりと発酵しているものを選びましょう。発酵が未熟なものは、株元にマルチして使用した方がよいでしょう。
- 特徴:バーク堆肥は繊維が多く土壌の膨軟性を高める効果が非常に高い、そのため空気の通りが良くなり根の成長を助けます。また土壌の保水性・保肥力を改善する効果も高めです。微量要素を多数含んでいるため、植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。C/N比が高くリグニンを含む難分解性有機物が含まれているため完全な分解まで時間がかかる傾向があり膨軟効果が長く続く。PHは弱酸性から中性です。
- 注意点:C/N比が高いためバーク堆肥を大量に土壌に入れると分解時に微生物が窒素を余計に使い窒素飢餓を引き起こす事がある、そのためバーク堆肥の入れ過ぎには注意です。リグニンが発芽抑制・生育障害等を引き起こす原因になる事があります。
- 用途:土壌の膨軟性を長期間に渡り高めて、保水性・保肥力・通気性を改善する目的、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする目的で、花壇の土壌改良材として利用されたり、またコンテナ栽培の改良用土として利用されたりしています。
- 牛糞堆肥:牛糞堆肥は、牛糞を主原料にして、籾殻・藁・オガクズなどを加えて、微生物の力で発酵さて作られた土壌改良材または肥料です。
- 選ぶ基準:牛糞堆肥は見た目が黒っぽく、悪臭がない、しっかりと発酵しているものを選びましょう。
- 特徴:牛糞堆肥には少量ですが窒素・リン・カリの肥料成分を含んでおり、また中量要素や微量要素の養分も含まれているため、植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌に団粒構造を作り肥沃な土壌を作り出す助けとなります。また土に混ぜるだけでも通気性・保水性・保肥力を高める効果があり植物が育ちやすい環境となります。
- 注意:牛糞堆肥は塩分濃度が高めで、分解も早いため、土量に制限のあるコンテナ栽培(プランター)ではあまり利用されません。
- 用途:培養土の中にひと握りほどの少量の牛糞を入れて肥沃さを高められることがある。土壌の保水性・保肥力・通気性を改善する目的、土の団粒化や土壌の肥沃化を促す目的で土壌改良で使用される事が多いです。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
アメリカヅタは一定の湿り気がある環境を好みますが、耐乾性がとても強い植物です。そのため、基本的には水やりはあまり必要ありません。
本種は、地植えで育てていれば降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、夏の猛暑で雨が降らず何日も乾燥している時は水やりが必要になることもあります。また鉢植えで育てている場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、培養土の状態を見ながら水やりをする必要があります。
●水やりの方法
- 春~秋:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。ただし、頻繁に水やりを行い、ジメジメとした環境を作ると根腐れを引き起こすこともあるため、必ず土壌の状態を確認してから水やりをして下さい。また受皿を利用している場合は、基本的には溜まった水を捨てるようにしましょう。根腐れの原因になります。
- 冬:生育が緩慢になる季節で、植物は水をそれほど必要としません。土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなります。ただし、完全に乾燥すると枯れてしまう事もあるため、土壌の表層または表面が乾燥した数日後に水を与えると良いでしょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
アメリカヅタは、土壌が肥沃であれば肥料が無くても育てることができます。ただし、肥料を与えることで株の生育が促進されるため、生育期間中は定期的に追肥して育てることもできます。
●堆肥の与え方
- 堆肥を入れる時期:植え付け時、または冬から早春に堆肥を入れます。
- 堆肥の入れ方:堆肥の入れ方は地植えと鉢植えでかわります。
- 地植え:植付けや株分けする時などに土壌改良を行い堆肥をいれて混和する。または株の周囲に堆肥を盛ったり、株の周囲に穴を掘り堆肥を入れます。
- 鉢植え:植え替え時に堆肥がしっかり入った新しい培養土を使う。または古い土に二割から五割ほど新しい土を混ぜて再利用する。
●肥料の与え方
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を入れる事で補います。
- 肥料を与える時期:春から秋の生育期間中※肥料をあたえる頻度は製品によりかわります。
- 肥料の成分:窒素・リン・カリがバランス良く入る水平型を選びます。
- 肥料の製品:固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
アメリカヅタは剪定せずに育てる事も出来ますが、株の外観を整える目的、株のサイズを抑える目的、枯れたり古くなったりしている不要な枝葉を除去して健康な成長を促す目的などで剪定されます。
注意点として、ツルの吸盤が壁などに強く付着している場合があります。そのため、無理に剥がすと壁を傷める可能性があります。ツルが枯れると、吸盤の付着力が弱まり剥がしやすくなるため、時間を置いて剥がすと良いでしょう。
●剪定方法
- 剪定の時期:冬の休眠期と春から秋の生育期間中です。
- 冬の休眠期(強剪定):植物へのストレスが抑えられるため枯れこんだり生育不良を引き起こしにくい。また春からの力強い成長の恩恵も受け、剪定からの回復も早いです。そのため、強剪定をする場合は冬の休眠期が最適です。
- 生育期間中(軽い剪定):この期間は旺盛に成長するため、ツルが決められた範囲から逸出したり、外観を崩してしまうことが多いです。そのため、必要に応じて形を整えるように軽い剪定をするとよいでしょう。
- 不要枝の除去:株を観察して、枯れた枝や、活力が失われ成長が緩やかで葉の数が少なくなっている茎、病気の茎などを探します。これらの茎を健康な部分まで切り戻しましょう。
- つるの整理(外観を整える):株を観察して、つるが長く伸びすぎて予め決めていた場所からはみ出していたり、ツルが混み合い繁茂して藪のようになる事があります。これらは、荒廃感をお庭の中に演出する事ができますが、無秩序で管理されていない印象を与えてしまうため、基本的に剪定した方がよいでしょう。
- 剪定方法:不要な茎を探します。不要な茎は、予め決めていた範囲をはみ出して成長している茎や、枝同士の間隔が狭く密集していて混みあっている状態の茎、枝どうしが絡み合っている茎などです。これらを、株全体のバランスを見ながら、茎の途中または根元から剪定するとよいでしょう。
- 分枝を促す:株を観察して分枝が少なくてボリューム感がないと感じる場合があります。このような場合は、分枝させたい箇所を決めて、その付近にある葉の付け根(節)の少し上で剪定します。これにより、剪定箇所のすぐ下の節から新たな芽が伸び、枝数が増えます。
挿し木や株分けで増やす
アメリカヅタは挿し木によって増やす事ができます。
●挿し木の方法
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを7~10cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度をいれます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
アメリカヅタの種蒔の方法
- 播種時期:3月~5月
- 発芽適温:約15度~20度
- 発芽日数:
- 備考:低温湿層処理
発芽促進処理
- 低温湿層処理:自然採種したツタの種は、胚に生理的な成長阻害機構を持ち、発芽が妨げられている状態にあります。そのため、この種子は冬の寒さを自然に経験させるか、または低温湿層処理を行い発芽促進処理を行う必要があります。
- 準備:袋・バーミキュライト・完熟した種を準備する。
- 種子を入れる:袋の中に、軽く湿らせたバーミキュライトを入れて、その中に種を入れる。
- 保管:袋の中の湿潤を保った状態で冷蔵庫(約0~10度)の中に入れて2ヶ月程度保管します。
- 種まき:種まき時期になったら、冷蔵庫から種を取り出して種を撒きます。
種まき手順
- 種まきの時期:3月~5月
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株どうしの間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株どうしがくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 定植:株がある程度の大きさなったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。一方で、移植が早すぎると低温障害にあったり害虫からの食害に合うリスクが高まります。そのため、バランスを見ながら定植を行いましょう。
※鎮圧は土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。