- 原産:日本/中国/朝鮮/ベトナム
- 科:キョウチクトウ(Apocynaceae)
- 属:テイカカズラ(Trachelospermum)
- 種:トウキョウチクトウ(jasminoides)
- 別名:スタージャスミン(star jasmine)/コンフェデレート・ジャスミン(confederate jasmine)/サウザーン・ジャスミン(southern jasmine)
- 開花時期:5月~6月
- 花の色:桃色●白色〇
- 葉の色:緑色●黄色●白色〇
- 分類:常緑ツル性木本
- 登攀方法:巻き付き茎/気根(付着根)
- 長さ:約50~300cm
- 誕生花:
- 花言葉:
- 用途:カラーリーフ/グランドカバー/壁面緑化/香りが良い
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
トウキョウチクトウとは!?
トウキョウチクトウは学名Trachelospermum jasminoides、別名「スタージャスミン(star jasmine)」や「コンフェデレート・ジャスミン(confederate jasmine)」とも呼ばれる日本および中国、朝鮮、ベトナムを原産とする常緑ツル性木本です。日本では本州・四国・九州に分布しており、林床や林縁等に自生しています。
トウキョウチクトウの語源(由来)
- 属名のTrachelospermumはギリシャ語で「首」を意味する「Trachelos」と「種」を意味する「spermum」の2語からきており種の形に由来しています。
- 種小名のjasminoidesは「ジャスミンの様な」を意味しており花の形と香りに由来します。
トウキョウチクトウの特徴(魅力)
- トウキョウチクトウは、英名(star jasmine)や種小名(jasminoides)からも分かる通りジャスミンに似た花の形と香りが特徴です。花はテイカカズラに似てプロペラの羽根のような外観をした花の形をしていますが、花の色はより白く明るく清楚な印象を与えます。
- 樹形はツル性、茎は基本的に自立せず、巻き付き茎もしくは気根(付着根)を他の植物や物体に絡ませるか接着して自らの体を固定します。
- 巻き付き茎とは、茎自体が他の植物や物体に巻きついて登る習慣がある茎の事です。巻き付き茎は茎頂が物体に接触すると、茎の先端が右か左に旋回するように動き、他の植物や物体に茎を巻き付けて体を固定して登る事が出来ます。※巻き付く事が出来ない岩壁等は登る事が出来ません。
- 気根(付着根)とは、地上部の茎から伸びる根(気根)のうち、他の植物や物体に張り付き、植物体を支える気根(付着根)の事をさしています。茎から出る根は、浸透もしくは付着して物体に張り付く事が出来るため、岩壁や木造の構造物などを登る事が出来ます。
- 開花時期は5月~6月、花は集散花序のように花が集まり咲くため開花期には沢山の花が咲きます。
- 花はプロペラの羽根の様な外観をしており、花の形は筒状で上部が平開して5裂しています。
- トウキョウチクトウは花色が真っ白なため、白色からクリーム色になるテイカカズラと比較する事が出来ます。
- 花は甘い「ジャスミン」の様な香りがあり、花に含まれる精油は水蒸気蒸留などで抽出されて高級な香水などで利用されます。
- 花に含まれる主な精油にはリナロール・リモネン等があります。
- リナロールは柑橘類やブルーベリーやバラ等に例えられる甘く華やかな香りがあり、風味は甘くフルーティーです。精油は化粧品やアロマテラピー等の様々な場面にも使われており、精油の効果にはイライラや興奮といった神経系の過活動を抑える働き(鎮静効果)や、不安や緊張を和らげる効果(抗不安効果)等があります。
- リモネンは「柑橘類」や「果物」等に例えられる甘い香りがあり、オレンジの様な風味を感じさせます。精油は食品(ガム・飲料等)の香料や洗剤、医薬品等に幅広く利用されており、リモネンの精油の効果には「肥満の改善」や「血行促進作用」「抗ウィルス作用」「抗がん作用」等があります。またリモネンの香りはイライラや興奮といった神経系の過活動を抑える働き(鎮静効果)や、不安や緊張を和らげる効果(抗不安効果)があるため、精油はアロマテラピーとしても利用されます。
- 葉は通常光沢のある緑色をしており常緑ですが、秋から冬になると赤色または橙色へと変わる事がよくあります。
- 葉はふつう緑色ですが、明るく爽やかな印象を与える黄色の葉色や、可愛らしい印象を与える桃色の葉色等があるため、品種を選んでカラーリーフとして楽しむ事も出来ます。
- トウキョウチクトウの実は袋果(1枚の心皮からなり、成熟すると果皮は乾燥して、癒合してできた縫合線から縦に裂けて種子を放出します)と呼ばれており、形は鞘状の楕円形をしています。
- トウキョウチクトウはツル性の茎が壁面を登る能力がある事から、岩壁などを登らせて壁面緑化などに利用されることがあります。
- トウキョウチクトウは登る資材や岩壁などがない場合は、茎が匍匐するように伸びるため地被植物として利用する事ができます。また花壇の縁どりなどに植えると縁部分を枝葉がナチュラルに覆うため自然な印象を与えます。
トウキョウチクトウの樹形はツル性(巻き付き茎・気根)、茎の長さは約50(~300)cm、茎の色は緑色もしくは赤みを帯びた褐色、成熟すると木質化して灰色から灰褐色になります。
※気根(付着根)は、地上部の茎から伸びる根(気根)のうち、他の植物や物体に張り付き、植物体を支える気根(付着根)の事をさしています。茎から出る根は、浸透もしくは付着して物体に張り付き体を固定します。
※巻き付き茎は茎頂が物体に接触すると、茎の先端が旋回するように動き、他の植物や物体に茎を巻き付けて体を固定します。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄の長さは約0.3(~1.2)cm、葉身の長さ約2(~10)cm、幅は約1(~4)cm、葉身の形は楕円形(~狭楕円形)または卵形か披針形をしています。※葉の色は冬になると赤みを帯びた茶色または橙色になります。
花序は集散花序のように花をつけます。花冠は筒状で先端が皿状に開き裂片は5個、花冠の長さは約0.6(~1)cm、花冠の色は白色または黄色です。
果実は袋果(1枚の心皮からなり、成熟すると果皮は乾燥して、癒合してできた縫合線から縦に裂けて種子を放出します)、袋果は長さ約10(~25)cm、幅は約0.3(~1)cm、形は鞘状の楕円形、色は緑色から成熟すると淡褐色になります。
トウキョウチクトウの園芸品種の紹介
- 班入りトウキョウチクトウ(trachelospermum jasminoides ‘variegatum’)は、葉に白色または薄い黄色の班が入るため、明るい印象や柔らかな雰囲気をつくるカラーリーフとしても楽しめる園芸品種です。花は一重咲き、花色は白色、樹形はツル性、長さ約300cmまで成長します。
- スターオブミラノ(trachelospermum jasminoides ‘star of milano’)は、花の色が薄らと桃色に染まる白色をしているため可愛らしい印象を与えたりロマンチックな雰囲気をつくります。また葉の縁部分には黄色の覆輪が入るため、花のない時期もカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。
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テイカカズラの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
トウキョウチクトウの育て方
花壇の土づくり
日当たり
トウキョウチクトウは、日光がよく当たる日向から、西日の当たらない半日影までて育てられます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こす事があります。そのため西日の当たらない半日影で育てる事が理想です。
土壌の土質
トウキョウチクトウは、基本的に土質を選びません。土壌の通気性が良ければ幅広い土壌で育てることが出来ます。植え付けの前に土壌診断を行い通気性がよく有機物がしっかり入る肥沃な土壌をつくりましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
トウキョウチクトウは、日光がよく当たる日向から、西日の当たらない半日影までて育てられます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こす事があります。そのため西日の当たらない半日影で育てる事が理想です。
培養土
トウキョウチクトウの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
トウキョウチクトウは乾燥に比較的に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
トウキョウチクトウを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
トウキョウチクトウは、ある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えるだけで追肥は不要です。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
剪定のやり方
トウキョウチクトウは剪定せずに育てる事も出来ます。ただし剪定せずに育てた場合、ツルが奔放に伸びて本来あるべき場所から逸出してしまったり、外観を崩してしまったり、またツルが成熟して古くなり新しい葉の生産性が落ちる事があります。そのため必要に応じて剪定が行われます。
トウキョウチクトウは節から出る不定根で根付いている場合があります。不要な場合はツルを剪定して根っこごと引き抜き撤去しましょう。
トウキョウチクトウの剪定方法
- トウキョウチクトウの剪定は何時でも可能ですが、晩冬から早春が最も適しています。
- 晩冬から早春は、株が休眠しているため剪定によるストレスが少なく済みます。また春からの強い成長が期待出来るため剪定からの回復が早くなります。
- 株全体を観察して枯れた枝・損傷した枝(折れてる枝等)・病気の枝を探して、これを枝分かれしてる場所、もしくは被害を受けていない枝の途中の節(芽)の上で、剪定して取り除きましょう。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、エネルギーが分散されて健康に成長している枝の成長に悪影響を及ぼしたりしやすいからです。
- 株全体を観察して不要と思われる枝を剪定しましょう。
- 間違った方向に伸びた枝は、外観を崩したり、歩行者のじゃまになったり、入るべき場所じゃない所に侵入して撤去が難しくなる可能性があります。そのため根元から剪定するか枝分かれさせたい部分の芽の上で剪定しましょう。
- 絡み合い茎が混雑している部分は、日当たりや風通しが悪くなるため、生育が悪くなったり、生育が悪くなった場所から病気にかかりやすくなったり、また害虫が湧きやすくなる原因ともなります。そのため、必要に応じて枝の多い部分は間引き剪定して枝の数を減らしましょう。
- 生産性の落ちた古い枝は、太くゴツゴツとしており、葉も少なく外観を悪くする原因にもなります。古い茎を切る事でエネルギーが生産性の高い新しい芽や若い茎に向かうため、株全体のバランスを見ながら必要に応じて剪定しましょう。剪定は古い茎の根元から間引き剪定するか、もしくは枝分かれさせたい部分の芽で剪定します。
- 形を一律に制御したい場合は、「バッサ」「バッサ」と刈り込み剪定を行い形を作ります。
夏越しする方法
トウキョウチクトウは夏の暑さに強いため、基本的に対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:8b~9a
トウキョウチクトウは軽い霜であれば耐えられる事があるため、暖地であれば地植えで育てられる事があります。ただし基本的に強い霜が降りる地域では枯れる事もあるため、必要に応じて冬越し対策が必要になります。
冬越し対策
- 軽い霜が降りる地域であらば、霜対策として腐葉土などでマルチングをしたり、必要に応じて不織布などを被せるとよいでしょう。
- 鉢植えで育てている場合は、霜の当たらない軒下に移動したり、凍結が心配な場合は屋内や温室に移動したりするとよいでしょう。
挿し木や株分けで増やす
トウキョウチクトウは挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- トウキョウチクトウの挿し木時期は初夏から夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約10~15cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
トウキョウチクトウの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
トウキョウチクトウの病気
トウキョウチクトウの害虫
- アブラムシ
- カイガラムシ