原産:南ヨーロッパ 科:シソ(Lamiaceae) 属:タイム(thymus) 種:ブルガリス(vulgaris) 英名:タイム(thyme) 別名:タイム・ブルガリス/コモンタイム(common thyme)/タチジャコウソウ/ガーデン・タイム(garden thyme)/ジャーマン・タイム(German thyme) 開花時期:5月~8月 花の色:紫色●桃色●白色〇 葉色:緑色● 分類:常緑多年草/常緑亜低木 草姿:這性/直立 草丈:約15~40cm 誕生日:6月2日 花言葉:「勇気」「活発」「活動力」 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
タイム(タチジャコウソウ)は学名Thymus vulgaris、一般に単にタイムと呼ぶ場合はこの種(T. vulgaris)をさしており、別名では「コモンタイム(common thyme)」や「タイム・ブルガリス」等とも呼ばれる南ヨーロッパ原産の常緑多年草もしくは常緑亜低木です。
タイム(タチジャコウソウ)の語源(由来)
- 属名のthymusの由来は諸説あり、ギリシャ語で「勇気/気概」を意味する「Thymos」から来ているという説、ギリシャ語で「防腐」を意味する「Thymon」から来ているという説、ギリシャ語で「香らせる」を意味する「thyein」から来ているという説、ギリシャ語で「香りを焚く」を意味する「thuo」からきているという説等があります。
- 種小名のブルガリス(Vulgaris)はラテン語で「普通の/ありふれた」を意味しています。
- 和名のタチジャコウソウの由来は、茎が立ち上がり麝香を連想させる香りがする所からきています。
タイム(タチジャコウソウ)の特徴(魅力)
- 葉は「樟脳」や「薬」を連想させる爽やかな香りと苦味があり
- ↳料理の「香り付け」や「防腐(保存)処理」を目的として利用されます
- ↳特に魚のハーブと呼ばれており魚介類との相性が抜群です
- タイムには「抗菌・抗真菌作用」や「抗酸化作用」等の様々な薬効があります
- ↳例えば抗菌・抗真菌作用では口腔内の健康を保ったり料理の中に食中毒の原因となる菌や真菌が増えるのを防ぎます
- 開花期になるとタイムの香りを嗅ぎつけ沢山の蜜蜂が蜜を集めにきます
- ↳ローマ人は蜂のその行動力を見て「勇気」「力強さ」と結びつけ戦いの前にタイムを浸した水浴びを行いました
- タイムは被覆植物としても利用されており基部付近で茎は這って広がります
タイム(タチジャコウソウ)の茎には白色の毛が生えており成熟すると毛が抜け木質化します。樹形は基部で這い、もしくは直立して高さが15~40cmまでになります。葉は香り高く白色の毛が生えており、形は肉厚で長さ0.9~1.2cmの線形もしくは楕円形をしています。花は腋生で節を囲うように多数の小花を出して輪生花序をつくり、個々の小花はシソ科に多い唇形で上唇が浅く2裂、下唇が深く3裂しています。
開花時期は晩春から夏、花色は紫色や桃色、白色があり、個々の花は唇形で上唇が浅く2裂して下唇が深く3裂します、花序は小花が節を囲うように数個から十数個集まり輪散花序に花を咲かせます。草姿は下部で這うように枝が広がり分枝して直立する枝を高さ約15(40) × 幅は約30(45)cmまで伸ばします。葉色は緑色で、葉身は卵形もしくは線形をしており、葉序は対生葉序につきます。
タイム(タチジャコウソウ)の香りの印象と精油成分
タイム(タチジャコウソウ)は葉に「樟脳」「薬」「ウッディ(木の香り)」等を連想させる爽やかで辛い香りがあり、快い苦味とウッディ(木)のような風味(フレーバー)があります。タイムの香りの由来となる精油には「チモール」を中心に「テルピネン」や「p-シメン」「カルバクロール」等が含まれており、これらの精油には「抗菌・抗真菌作用」「鎮痙作用」「去痰作用」「抗炎症作用」「抗酸化作用」等の効能があります。
- チモールの香りは「薬」「タイム」「樟脳」等に例えられる爽やかな香りです。また口の中に入れるとウッディで薬の様な風味(フレーバー)があります。一般に植物ではジャコウソウやタイム等に含まれており、食品(飲料等)の香料、歯磨き粉やうがい薬等に利用されています。またチモールの精油の効能には「抗菌・抗真菌作用」「鎮痙作用」「抗炎症作用」「去痰作用」等があります。
- テルピネンは「木の香り」「柑橘類」「スパイス」等に例えられる爽やかでシャープな香りがあり、ウッディで柑橘類を感じさせる風味(フレーバー)をもっています。一般に植物ではマジョラムやカルダモン等に含まれており、香水等の原料に利用されています。
- p-シメンは「木の香り」や「柑橘類」に例えられる心地よい香りをもっています。植物ではタイムやクミン等に精油が含まれており、一般的には石鹸等の香料に利用されています。p-シメンの精油には抗菌作用(殺菌作用)があるとされています。
- カルバクロールの香りは「辛い」「木の香り」「樟脳」等に例えられる刺激的な香りがあり、また 辛く薬の様な風味(フレーバー)があります。一般に植物ではオレガノやタイム等に含まれており、精油は食品(飲料等)の香料や化粧品等に利用されています。またカルバクロールの精油の効能には「抗菌・抗真菌作用」「抗酸化作用」等があります。
タイム(タチジャコウソウ)の効能(薬効)
タイム(タチジャコウソウ)には「抗菌・抗真菌作用」「抗炎症作用」「去痰作用」「抗酸化作用」「鎮痙作用」等の様々な効能があります。そのため適量を食事に取り入れたり、香りを楽しむ事で健康増進にも繋がるでしょう。
1.抗菌・抗真菌作用
タイムに含まれるチモールやカルバクロールが、カビやバクテリアの増殖を抑制したり殺菌するため、食品の腐敗を防ぐ効果や、口内のバクテリアを退治して口の中を爽やかにする効果等が期待できます。
2.抗炎症作用
タイムに含まれるチモールには、炎症を抑える働きがあるため胃痛を初め体の中の様々な炎症を抑える効果が期待できます。
3.去痰作用
タイムに含まれるチモールには、痰を取り去る去痰作用があり咳をしずめる効果が期待出来ます。
4.抗酸化作用
タイムに含まれるカルバクロールは、体の中で過剰に増えた活性酸素の働きを抑制して体の酸化(体の中が錆びる)を抑える働きがあります。これにより例えば、老化防止やガン防止、生活習慣病の予防等が期待出来ます
タイム(タチジャコウソウ)の利用方法(食べ方)
タイム(タチジャコウソウ)は葉や枝を、料理の「香り付け」や「防腐」の目的で利用します。料理では一般的に新鮮な葉が使われるのが主流ですが、乾燥タイプの葉も使えます。タイムを料理で使用する場合は精油や風味が放出する時間を確保する為、調理の早いタイミングで入れるのが一般的です。
例えば、スープを煮込んでいる際にタイムの枝葉を1~数枚入れて一緒に煮込んでみたり、魚や肉をオーブンで焼く前にオリーブオイルを上からかけタイムを乗せてから焼いてみたり、またハーブティーとして楽しむ事が出来ます。
タイムをハーブティーとして楽しむ場合は、新鮮な枝葉もしくは乾燥させた葉の粉末を利用します。新鮮な枝葉を利用する場合はタイムの枝2~3個と一杯分のお湯(180~200ml)をポットに入れて5~8分間蒸らします。蒸らす間はポットの蓋をきちんと閉めておかないと香り(揮発性分)が抜けて美味しくなくなるので注意して下さい。蒸らし終わったらポットのハーブティーを茶こしでこしながらカップに注ぎましょう。その際、ハーブティーにお好みで蜂蜜やレモン等を加えるのもいいでしょう。乾燥させた葉を利用する場合は葉を粉末にして、お湯の中に小さじ一杯の葉を入れましょう。スプーンで掻き回しタイムの精油と風味を出してそのまま飲みます。また、粉末にしたタイムの舌触りが気になる場合は茶こしでこして飲むことも出来ます。
タイム(タチジャコウソウ)
園芸では、茎葉を料理として利用する目的でハーブガーデンで育てられたり、地面を被覆するグランドカバーとして利用する目的で育てられたり、紫色や桃色等の美しい花を鑑賞する目的で育てられます。
育てる際は、1番に多湿に気をつけないといけません。長雨による浸水やジメジメした夏の高温多湿等が、根腐れや生育不良を引き起こし枯れる原因になります。そのため、土壌の排水性を高めて地面が過湿しないように対策をたてたり、また鉢植えで育てて雨が続く時期は軒下などで管理したりすると良いでしょう。増やし方は挿し木や株分け、播種によって増やす事が出来ます