
- 原産:オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州、ビクトリア州)
- 科:マメ(Fabaceae)
- 属:アカシア(Acacia)
- 種:ピクナンサ(Acacia pycnantha)
- 英名:ゴールデン・ワトル(golden wattle)
- 別名:アカシア・ピクナンサ
- 開花時期:2月~4月
- 花の色:黄色
- 葉の色:緑色
- 香り:
- 生活形:常緑小高木
- 樹高:約300~800cm
- 誕生花:2月14日/4月9日
- 花言葉:愛情/優雅/友情/秘密の恋/気まぐれな恋
- 用途:カラーリーフ/切り花/ドライフラワー/プリザーブドフラワー/ロックガーデン
- 購入方法:ゴールデン・ワトルを楽天で購入
■ゴールデン・ワトルとは!?
ゴールデン・ワトル(学名:Acacia pycnantha)は、別名では「アカシア・ピクナンサ」とも呼ばれるマメ科アカシア属の種です。
ゴールデン・ワトルの原産地はオーストラリア(ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州、ビクトリア州)で、自生地は平地や丘陵地の疎林(ユーカリ林)やヒース(荒れ地)などに見られます。
■ゴールデン・ワトルの語源(由来)
- Acaciaの語源:古代ギリシア語で「アカシアの木」を意味する「ἀκᾰκίᾱ(akăkíā)」に由来し、またこの語源は「鋭い」を意味する「ἀκή(akḗ)」から派生したと考えられています。
- pycnanthaの語源:古代ギリシア語で「高密度」「厚い」を意味する「πυκνός(puknós)」と、古代ギリシア語で「花」を意味する「ᾰ̓́νθος(ắnthos)」の2語で構成されており、本種の花序の中に頭花が密生しボリューム感のある花穂を形成することに由来します。
■ゴールデン・ワトルの特徴(魅力)
- 形態:樹高は約300~800cm、生育型は直立型または分枝型か叢生型になり、葉は葉柄が葉身のような機能を持った偽葉で、偽葉は鎌形で、花は球形の頭花が集まる頭状総状花序です。
- 近縁種との比較:本種は、多くの近縁種のアカシアの葉(2回羽状複葉)と違い、葉柄が葉身のような見た目をしている偽葉です。この偽葉は鎌形で全体が弧状に湾曲しています。また頭花の直径が大きめで1cm程度までなり、この頭花が高密度に咲くためボリューム感のある花穂を形成します。
- 花の魅力:本種は、他のアカシア属の種と同様に雄蕊の花糸が目立つ頭花が総状に並び豪華な花姿を見せます。この頭花は直径が約0.4~1cmとなり、近縁種と比べて大きいため、個々の花(頭花)が目立つ豪華な花穂として楽しめます。さらに、この花は香りがとてもよいことから精油を抽出し、香水の原料としても利用されており、芳香のよい植物としても楽しめます。
- 耐乾性:茎や偽葉は白粉を帯びてクチクラ層が発達し、これは植物を紫外線や乾燥等から植物を守る働きがあります。実際、この植物は乾燥にとても強く、地植えであれば水やりを基本的に必要とせず、降水に任せて栽培ができます。
- フラワーアレンジメント:花や葉(偽葉)は収穫して切り花として楽しんだり、ドライフラワーにしてスワッグなどの花材として利用したりできます。またこの花穂は大きくてボリューム感があるため、豪華な花材となり、ミモザの花として流通することもあります。
- その他の用途:樹皮に含まれるタンニンを採取するため商業的に栽培されている国もあります。木材は燃料用として活用されることもあります。花は香りがよく、精油を抽出し香水の原料に用いられます。
■ゴールデン・ワトルの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:常緑小高木
- ライフサイクル:春は晩冬に開花した花が春頃まで続き、生育が活発になり枝葉が勢いよく成長します。夏も生育旺盛で枝葉がよく成長し、果実は成熟します。秋は成長が緩やかになり花芽が形成されます。冬は生育が緩慢になり、晩冬頃になると開花が始まります。
- ラウンケルの生活形:地上植物
- 樹高:約300~800cm
- 樹冠:傘形を形成する傾向があります。
- 生育型:一般的に直立型ですが分枝型や叢生型になることもあります。
- 直立型:主軸が明瞭で直立している。
- 分枝型:主軸が不明瞭で分枝が多いもの。
- 叢生型:地際から茎が何本も出て叢生(株立ち)するもの。
- 分枝:斜上に伸びます。
- 茎の毛:無毛
- 茎の色:若い茎は緑色・白緑色・赤色を呈し、成熟した茎は灰褐色・灰白色になります。
- 備考:茎はクチクラ層が発達していることがあります。
●葉の形態
- 葉の位置:茎葉
- 葉序:互生葉序
- 葉柄:葉柄が葉身のような見た目になり、葉身と同様の機能を持っている偽葉に変化しています。
- 偽葉の長さ:約6~20cm
- 偽葉の概形:鎌形・狭楕円形・線形
- 偽葉の縁部:全縁
- 葉の毛:無毛
- 葉の色:緑色
- 備考:幼苗の時期は葉が羽状複葉を呈しますが、直ぐに偽葉に変化します。偽葉は垂れ下がります。偽葉はクチクラ層が発達していることがあります。
●花の形態
- 花序:頭状花序が総状につく頭状総状花序です。
- 頭状花序:花序軸の先端が短縮して、無柄の花が多数密集して、球形の花房を形成します。この頭状花序は直径約0.4~1cm、頭状花序の中に花が約40~100個つきます。
- 苞:個々の花の基部に小さな苞があります。
- 花:花托・萼・花冠・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:萼・花冠・雄蕊・雌蕊を支えています。
- 萼:非常に小さく目立たない5枚の萼片があります。
- 花冠:非常に小さな5枚の花弁がつきます。
- 雄蕊:雄蕊の数は多数で、長く突出しており色は黄色をしています。
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:豆果
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ゴールデン・ワトルの切り花とドライフラワーの楽しみ方
切り花の作り方

- 収穫:切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げ:葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外します。茎の切り口は水切りまたは根元割りを行います。
- 花を生ける:花瓶の中に水と延命剤を入れて花を生けます。
- 管理:直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。また徐々に水揚げが悪くなるため、必要に応じて水切りを再度して水換えをしましょう。管理の方法にも左右されますが日持ちは7~10日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水中につけた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの切り花で行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切り法は、水中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切り法を行うことで茎が詰まっている原因(微生物・空気・樹液など)を取り除いて、切り口の状態を正常に戻す効果があります。
水切り法のやり方
- 準備:花材と水の入った容器を準備する
- 茎の切断:切り花の切り口を水中に漬けて、その中で切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。※斜めにカットする事で吸水部が増えて水揚げ効率がよくなります。
- 切り花を生ける:切り口を別の容器にいれて水揚げするか、花器に入れて飾ります。
根元割り法・根元叩き法
根元割り法・根元叩き法とは、硬い茎や枝の根元に縦にハサミを入れて割る、または金槌などで硬い茎や枝の根元を叩いて潰す水揚げ方法です。
根元割り・根元叩きを行う事で、吸水する場所の面積が増えて、吸水力が高まり水揚げしやすくなります。
根元叩き法のやり方
- 切り花の切り口を、金槌で叩いて潰します。
根元割り法のやり方
- 切り花の根元をハサミを使って斜めにカットします。
- カットした切り口に対して垂直に、ハサミを入れて、十時に切れ込みをいれます。
ドライフラワーの作り方

- 準備:花材・麻紐・洗濯物干しを準備します。※花材は花が十分に開花している物を選んで下さい。
- 花材の下処理:花材が大きい状態のままでは乾燥に時間がかかったり、綺麗に乾燥しなかったりします。そのため花材を使いやすい大きさに切り分けて大きさを調整しましょう。花材の下葉は基本的に不要で、束ねる時などに邪魔になるため、茎の下部の不要な葉は落とします。
- 花材を束ねる:花材を1本または2~3本程度で束ねて、麻紐で茎の下部分をくくり固定しましょう。※花材を多く束ね過ぎると花材同士がくっついて乾燥した時に歪んだり、花材同士がくっつく事で風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進んだりします。
- 植物を吊るす:花材を逆さまにして、洗濯物干しに掛けたり、壁と壁の間に麻紐を張ってその間に花材を吊るしましょう。花材同士を密着させると風通しが悪くなり乾燥までに時間がかかり色落ちが進む事があるため、花材同士は離して乾かします。
- 管理する時の注意点:花は紫外線の影響で色褪せが進み痛みやすいため直射日光が当たる場所は避ける。多湿環境では乾燥までに時間がかかるため、風通しのよい部屋などに花を吊るして自然乾燥させたり、エアコン・除湿機を利用して部屋の湿度を減らす。またサーキュレーターで部屋全体の空気を循環させて花材を素早く乾燥させることも出来ます。
- 完成までの時間:温度・湿度・風通し等で変化しますが、普通は約1~2週間です。
- 完成後:花材として一時保管するか、スワッグやリース等のフラワーアレンジメントに利用できます。
■ゴールデン・ワトルの園芸品種を紹介
■アカシア属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ゴールデン・ワトルの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:温帯草原・温帯林(硬葉樹林)
- 原産地:オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州、ビクトリア州)
- 自生地:平地や丘陵地の疎林(ユーカリ林)やヒース(荒れ地)などに見られます。
- 気候:主に地中海性気候(Csa)・西岸海洋性気候(Cfb)に属します。夏の気温は高温になる地域から冷涼な地域まであり、冬の気温は比較的温暖です。降水量は地域により変わります。西岸海洋性気候では中程度あり、地中海性気候では夏場は乾燥しており、冬は夏の三倍以上の降水量があり比較的湿潤です。
- 日照:日向を好みます。
- 土壌:砂質で通気性・排水性が高く、肥沃度は低い傾向にあります。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
ゴールデン・ワトルは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿りやすい粘土質の土質は許容せず、根腐れを引き起こすため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:過度な肥沃さは必要ありません。土壌の状態を見ながら、痩せていると感じる場合は適度に堆肥を入れるとよいでしょう。肥沃すぎる土壌は、花付きを悪くする原因となるため注意が必要です。
- pH:pHは6.0~7.0の弱酸性から中性を好みます。土壌のpHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてpHを調整しましょう。pHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
ゴールデン・ワトルは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
●培養土
ゴールデン・ワトルの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土よりも少し通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。※一般的な培養土に通気性・排水性を高める改良用土を混ぜるのも良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地は疎林(ユーカリ林)やヒース(荒れ地)などにあり、土壌は砂質です。そのため、培養土は通気性・排水性を重視しながら、水やりの頻度も考えて適度な保水性も確保することが大切です。また堆肥も適度に入れる事で植物の成長がよくなります。また本種は弱酸性から中性の土壌を好むため、pHの値にも注意しながら培養土を作成しましょう。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を7割~8割を目安にして多めに配合します。土壌改良材の土粒は小粒・細粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥は、一般的な植物よりも少なめに2~3割を目安にしながら培養土の中に配合します。腐葉土などの有機物は培養土の水分・養分を保持して、根の活着を助け、生育を促進する効果がありますが、本種の場合は堆肥を入れ過ぎると、花付きを悪くする原因ともなります。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)7割+腐葉土3割
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+ピートモス(調整済)2割+くん炭1割
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+バーミキュライト1割+腐葉土2割
水やりの仕方
ゴールデン・ワトルは、自生地が疎林(ユーカリ林)やヒース(荒れ地)などにあり耐乾性が強い植物です。そのため、地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水やりが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。注意する事は、極端な過湿にしないことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因になったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 夏の水やり:この時期は、特に乾燥しやすいため、水やりの頻度が多くなる傾向があります。朝の涼しい時間帯に土壌の表面または表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 秋の水やり:秋も生育期間中のため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:生育が緩慢になる季節で、植物は水をそれほど必要としません。土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなります。ただし、完全に乾燥すると枯れてしまうため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
注意点
- 水やり時間帯:水やりの時間帯は、基本的に植物が水を欲しがりだす朝に与えるのが最適です。昼や夕方に与える事も出来ますが、季節によっては高温で水がお湯のようになり蒸れて根腐れを引き起こす可能性があります。また夕方に水やりを行うと、植物が水分をあまり必要としない夜間にも水がたっぷり残り呼吸を邪魔するなどして根腐れを引き起こす原因になる事があります。そのため、基本的に朝に水をやることが正しいですが、植物が萎れている場合は時間に関係なく直ぐに水やりを行って下さい。
- 水を与える量:1回に与える水の量はたっぷりです。鉢植えで植物を栽培している場合は、鉢底から水がしっかり流れるまで与えます。その際、水を与える場所が1箇所になると水の道が出来てしまい、特定の場所に水が流れないこともあるため水を与える場所を変えながら与えましょう。地植えで水やりを行う場合は、土壌の表面だけでなく奥まで水を染み込ませるつもりでしっかりと水を与えて下さい。
- 水を与える場所:水を与える場所は基本的に株元から少し離れた場所で、植物に直接かけないようにします。植物上に水が溜まると、そこから真菌などが植物の中に侵入し、病気を引き起こし腐敗させる原因になるため注意して下さい。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。※土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土の表面から5cm程度の深さと定義しています。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
ゴールデン・ワトルは根粒菌と共生しており、窒素固定するため、基本的に肥料無しで栽培できます。土壌が痩せている場合は、堆肥などを晩冬から早春に混ぜ込んだり、株元にマルチングすると良いでしょう。
剪定のやり方
ゴールデン・ワトルは剪定せずに育てる事も出来ますが、株のサイズを抑えてコンパクトにしたり、見た目の良い樹形を保つために剪定が推奨されます。剪定は、自然樹形や株立ちに仕立てられます。好みやお庭の雰囲気に合わせて仕立てるとよいでしょう。
●剪定方法
- 自然樹形に仕立てる:本種は樹冠が傘形になる傾向があります。そのため、この自然な雰囲気を崩さないように剪定することが基本です。
- 剪定時期:開花後の春に剪定するのが最適です。春に剪定すると、その後に力強く成長するため回復も早いです。軽い剪定をする場合は、その他の季節に行うことも可能です。
- 枯れ枝の除去:株を観察し、枯れた枝を根元から剪定して取り除きます。
- 樹形を整える:株を観察して、樹形を著しく乱す枝(徒長枝・立ち枝・逆さ枝・下がり枝)を探します。株全体を見て、この不要な枝を剪定した時に、樹形のバランスを崩さないと判断できる時は優先的に根元から間引き剪定しましょう。次に、株全体を見て枝が混みあっている場所を探します。ここにある不要な枝(混み枝・絡み枝・並行枝・車枝)を、株全体のバランスを見ながら透かすように、根元から間引き剪定します。また必要に応じ、樹勢が弱く成長する見込みが殆どない枝(懐枝・胴吹き枝)を根元から剪定し取り除きましょう。
- 注意点:太い枝を剪定すると、その付近から新しい芽が出ずに枯れ込むことがあるため、基本的に不要な枝を取り除く時にだけ行ないます。また切り口が大きいと腐朽菌が侵入し枯れ込む原因にもなるため、必要に応じ癒合剤を使用しましょう。
- 株立ちに仕立てる:幼苗の頃から仕立てると、基部付近から枝分かれするため株立ち状に仕立てることも可能です。
- 剪定時期:開花後の春に剪定するのが最適です。春に剪定すると、その後に力強く成長するため回復も早いです。またその他の季節にも、樹形を整える軽い剪定を行うことが可能です。
- 幼苗の剪定:二年生の苗を地面から約10~15cmで芯止め剪定(最も高い位置にある成長点を剪定)します。翌年まで成長させ、三年生の株の枝振りを観察します。株全体のバランスを考えながら健康に成長している枝を3本(~5本)程度残し、残りの枝を剪定しましょう。
- 成熟した株の剪定:株全体のバランスを見ながら、外側に流れる見た目の良い枝を残し、不要な枝(枯れ枝・混み枝・逆さ枝・徒長枝・絡み枝)などを剪定して取り除きましょう。
夏越しする方法
ゴールデン・ワトルの原産地はオーストラリア(ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州、ビクトリア州)で、気候は温帯湿潤気候からステップ気候に属します。そのため、高温に比較的強いです。ただし、日本の高温多湿はやや苦手にしているため、夏越し対策としては多湿対策を重点に行うことが大切になります。
●夏越し対策一覧
- 水やり:夏は高温で土壌が乾燥しやすいため、土壌の表層が乾燥したのを確認したら水遣りをしっかり行います。ただし、過湿を苦手にしているため、過剰な水分が根腐れを引き起こす原因ともなるため土壌の状態を見ながら水やりを行いましょう。
- 雑草の除去:この対策法は多湿対策になります。周囲の雑草は風の流れや太陽光を遮り、育てている植物の成長を妨げたり、多湿を生み出す原因になったりします。そのため、不要な雑草は抜きます。ただし、土壌が剥き出しになることで乾燥が早まる場合もあります。
- 排水性の改善:この対策法は多湿対策になります。雨水などが周囲から集まりやすい環境にあったり、硬盤があったりすると排水が上手くいかない場合があります。対策として排水溝をつくったり、縦穴暗渠(縦穴排水)をつくり雨水が外に流れる仕組みをつくります。
- 花壇を高くする:この対策法は多湿対策になります。花壇をレイズドベッドにしたり、岩を並べてロックガーデンなどにしたりして、植物を植える環境を周囲よりも高くすることで排水性が改善されます。
- 土壌の改善:この対策法は多湿対策になります。植物の植え付け時や植え替え時に、土壌改良材を用いて、土壌の通気性・排水性を高めます。
冬越しする方法

Hardiness:8~11
ゴールデン・ワトルは軽い霜であれば耐えられるため、暖地や平地であれば屋外で越冬させる事も可能です。ただし、個体によっては寒さや軽い霜に耐えられずに枯れる事もあるため、霜対策を行って育てた方が無難でしょう。
●冬越し対策一覧
- 軒下に移動する:植物を植えている鉢植えを軒下に移動する事で、霜を避けることができます。霜があまり降りない地域であれば、霜を避けるだけで冬越し出来ることもあります。
マルチング:株の周囲にマルチング資材を入れて株元と根を保護する。根を凍結や霜から守ったり、乾燥対策になったりします。- 方法:霜が降りる前の11月頃に行います。バーク堆肥や藁などのマルチング資材を準備します。育てている植物の周りに、マルチング資材を5~8cmほどの厚みになるように入れます。
植物にカバー:植物にビニールや寒冷紗などをかけます。植物を寒風から保護したり、霜から保護したり、昼夜の急激な温度変化を防ぐ働きがあったりします。- ビニール・寒冷紗:植物の周りに支柱を立てて、ビニールまたは寒冷紗を支柱に巻き付けます。巻き付けたビニールまたは寒冷紗が落ちないように洗濯バサミや紐などを使い固定しましょう。※ビニールを巻く場合は穴を開けて通気性を確保してください。
- 苗キャップ:透明のカバーで苗や小さな植物を保護するための専用の製品です。専用のカバーを苗または小さな植物の上に被せて、風などで飛んでいかないように固定して利用します。
- 植物保護カバー:不織布などの保護カバーで植物を保護するための専用の製品です。大きめの植物や複数の植物を囲うのにも対応しており、専用の製品になるため、チャックなどがついていて扱いやすい所も魅力です。
温室:内部の温度を一定に保てるようにガラスやプラスチックフィルムなどで作られた建物です。植物を温室の中に入れる事で、寒さの軽減や寒風対策、霜・凍結対策ができます。
挿し木や株分けで増やす
ゴールデン・ワトルは挿し木によって増やす事ができます。
●挿し木の方法
- 概要:茎を採取して、この茎の長さや葉の数を調節し、切り口を土に挿して繁殖させる無性生殖の1種です。
- 挿し木時期:発根率の高い晩春から初夏頃が適します。
- 培養土の準備:培養土は切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂の採取:挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。また花芽分化が始まり生殖成長をしている茎は、発根率が極端に下がるため挿し穂に使うのは避けた方がよいでしょう。
- 挿し穂の整形:挿し穂は長さを10cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 水揚げ:整形した挿し穂の切り口をボウルなどに入れた水に約1時間浸し、十分に吸水させます。
- 培養土に挿し穂を挿す:挿し穂を挿す場所を決めます。培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を開けておきます。挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程度を入れます。
- 管理:明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ゴールデン・ワトルの種蒔の方法
- 播種時期:3月~5月・9月~10月
- 発芽適温:約18~22度
- 備考:硬実種子
発芽促進処理
本種の種は、硬実種子で種皮が硬いため、種の中に上手く水分を吸収できません。そのため、物理的な休眠状態にあり、そのまま種を撒いても発芽が安定しません。従って、自家採種された種は、一晩水につけたり、種皮をサンドペーパー等で傷つけてから種まきします。
発芽促進処理の方法
- 種皮カット:種皮の一部をヤスリまたはサンドペーパーで軽く傷つけます。
- 事前吸水:温水を準備して、その中に種子をつけて一日程度放置します。種子の吸水が上手くいっていると、種子が膨張して発芽準備が整っている状態となります。
- 種まき:種子が吸水した後に、乾燥すると発芽率が極端に落ちます。そのため、発芽準備が整ったら直ぐに種まきを行いましょう。
種まき手順
- 種まきの時期:3月~5月・9月~10月
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株同士の間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株同士がくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 移植:小さなプラグトレーやポットで移植栽培をしている場合は、本葉が2枚以上になったタイミングでポットなどに移植します。出来るだけ根鉢を崩さないように注意しましょう。
- 定植:株がある程度の大きさになったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。
※鎮圧は土と種の密着度を高め水分の吸収をよくします。









