
- 原産:地中海沿岸
- 科:キク(Asteraceae)
- 亜科:アザミ(Carduoideae)
- 属:チョウセンアザミ/キナラ(Cynara)
- 種:カルドン/カルドンクルス(Cynara cardunculus)
- 英名:カルドン(cardoon)
- 別名:シナラ・カルドンクルス/アーティチョーク・シスル(artichoke thistle)
- 開花時期:6月~9月
- 花の色:青色・紫色
- 葉の色:緑色・白色
- 香り:
- 生活形:多年草
- 草丈:約100~180cm
- 誕生花:6月4日
- 花言葉:警戒/傷付く心/傷心の乙女/そばにおいて
- 用途:カラーリーフ/種から育てる植物/ロックガーデン
- 購入方法:カルドンを楽天で購入
■カルドンとは!?
カルドン(学名: Cynara cardunculus)は、別名で「シナラ・カルドンクルス」「アーティチョーク・シスル(artichoke thistle)」とも呼ばれるキク科アザミ亜科チョウセンアザミ属(キナラ属)に分類される多年草です。
カルドンの原産地は地中海沿岸で、自生地は丘陵地の岩場、乾燥した草原、疎林などに見られます。
■カルドンの語源(由来)
- Cynaraの語源:古代ギリシア語で「アーティチョーク」を意味する「κύναρα(kúnara)」に由来します。
- cardunculusの語源:ラテン語で「アザミ」を意味する「Carduus」と、接尾辞の「-unculus」の2語で構成されており、本種がアザミに似ていることに由来します。
- cardoonの語源:中期フランス語の「cardon」から借用されたもので、ラテン語で「アザミ」を意味する「carduus」からきています。
■カルドンの特徴(魅力)

- 形態:草丈は約100~180cm、生育型はロゼット型、秋頃に葉を展開し、冬はロゼットを残したまま生育が緩慢になり、春になると生育が活発になり葉を勢いよく展開しながら茎を伸長させ、夏頃に花を咲かせ、夏から秋頃に結実したら地上部が枯れて休眠します。
- 花の魅力:花はアザミの花を大きくしたような個性的な見た目をしています。花序の基部にある総苞は壺のような見た目をしており、また花を構成する雌蕊が長く突出することでふさふさとした柔らかな外観を呈します。そのため、この花を鑑賞する目的で栽培されることも多いです。
- 葉の魅力:葉は古代ギリシアの建築物のモデルにもなるアカンサスの葉によく似ており非常に装飾的です。本種の葉は長さ約120cmに達することがあり、多数の葉がロゼットに優雅に広がるため、オシャレで強い存在感を感じさせます。またこの葉は分裂葉で、1~2回羽状深裂し、葉縁部に棘があるため、近寄り難い雰囲気を感じさせる点も魅力のひとつとなります。そのため、ギリシャ庭園のようなヨーロッパ風のお庭などによく調和するでしょう。
- 食用:若い葉柄や蕾は収穫し食用として利用されます。どちらも、焼いたり、蒸したり、煮込んだりして食べられます。特に葉柄はセロリに例えられ、ヨーロッパの伝統料理でよく利用されています。そのため、本種は主にこれらを食べる目的で栽培されています。
- その他:セーラ・ダ・エストレーラやニーザと呼ばれるチーズを作る際に、凝乳剤(酵素源)として利用されています。本種の種子から抽出される油は、バイオディーゼル燃料の原料として注目されています。
■カルドンの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:多年草
- ライフサイクル:秋はロゼットを展開します。冬の期間もロゼットで過ごします。春はロゼットを展開したまま茎を伸ばします。夏に入ると花が咲き、そのまま結実し、地上部が枯れ休眠します。
- ラウンケルの生活形:半地中植物
- 草丈:約100~180cm
- 生育型:ロゼット型
- ロゼット型:地際から出る根生葉がロゼットを形成する。
- 茎の種類:直立茎
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びる。
- 分枝:上部で分枝します。
- 茎の毛:有毛で、白色の毛が生えます。
- 茎の色:緑色ですが、白色の毛が生えている部分は白っぽく見えます。
- 備考:根は直根性で肉質、休眠期に地上部が枯れた後に、この肉質の根から植物が再生することもあります。
●葉の形態
- 葉の位置:根生葉・茎葉
- 葉序:束生(ロゼット)・互生葉序
- 葉柄:根生葉は有柄で、茎葉は基本的に無柄になります。
- 葉身の長さ:根生葉は120cmに達します。
- 葉身の概形:1~2回羽状深裂
- 裂片:狭楕円形・披針形
- 葉縁:浅裂~深裂し、先端に棘があることがあります。
- 葉の色:表面は緑色で、裏面は白色です。
- 備考:葉の裏面は白色の毛が密生します。
●花の形態
- 花序:頭状花序で、花序軸が短縮して円盤状になり、円盤状の花序軸の側面に総苞が付き、上面に無柄の花が多数密集してつきます。
- 総苞:頭状花序の基部で花を保護しており、複数の総苞片が鱗状に重なって集まり、形は壺形をしています。総苞片の形は披針形で先端が尖り棘がある傾向があり、上部は外側に緩く反り、色は灰緑色・赤紫色で、上部が赤紫色を呈します。
- 花:花托・萼・花冠・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:萼・花冠・雄蕊・雌蕊を支えている。
- 萼:白色からクリーム色の多数の冠毛があります。
- 花冠:筒状花
- 筒状花:5枚の花弁が合着している合弁花冠で、長い花冠筒部と、小さな花冠裂片が5個あります。
- 雄蕊:5本で、色は青色・紫色を呈します。
- 雌蕊:1本(心皮2枚・花柱1本・柱頭2個)で、花冠筒部より長く突出し、花にふさふさとした見た目に大きく寄与します。
●果実・種子の形態
- 果実の分類:痩果で、果皮は乾燥していて1個の種子を包んでおり、乾燥しても裂開しない果実です。
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■カルドンの園芸品種を紹介
■チョウセンアザミ属(アーティチョーク)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■カルドンの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:地中海植生
- 原産地:地中海沿岸
- 自生地:丘陵地の岩場、乾燥した草原、疎林などに見られます。
- 気候:主に地中海性気候に属します。気温は夏に高温で、冬の最寒月の平均気温が-3℃以上と比較的温暖です。降水量は夏場は少なく乾燥しており、冬は夏の三倍以上の降水量があり比較的湿潤です。
- 日照:主に日向で半日陰でも見られます。
- 土壌:レプトソル(連続した岩石の上にある非常に浅い土壌の層で深さ25cm未満です)やカンビソル(土壌形成の初期段階にあり土壌層の分化が弱い)やカルシソル(石灰が集積する土壌で、土壌中の水分が乾燥する際に、水に溶けていた炭酸カルシウムが特定の層で沈殿・集積します)がよく見られる。これらの土壌は砂礫質で、通気性・排水性が高く、肥沃さは低い傾向にあります。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
カルドンは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂壌土または壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿りやすい粘土質の土質は許容せず、根腐れを引き起こすため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:適度に肥沃な土壌を好みます。そのため、土壌の状態を見ながら堆肥(腐葉土など)を用土全体の2割を目安に混ぜ込むとよいでしょう。堆肥を入れることで土壌の通気性・排水性・保水性が改善され、根の活着を高め根張りをよくしたり、堆肥に含有する有機物が微生物の働きを促進して土質を改善したり、さらに植物の栄養補給にも寄与します。
- pH:pHは弱酸性から弱アルカリ性を好みます。土壌のpHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてpHを調整しましょう。pHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
カルドンは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
●培養土
カルドンの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土よりも少し通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。※一般的な培養土に通気性・排水性を高める改良用土を混ぜるのも良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:本種の自生地は、地中海沿岸などに見られ、土壌は基本的に栄養が少なめで土質は砂質です。しかし、一定の肥沃さがある土壌の方が生育が良いです。そのため、培養土を作成する場合は、通気性・排水性を重視しながら、適度に堆肥が入る肥沃な培養土を作る必要があり、また酸性土壌では栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があるためpHの値にも注意しながら培養土を作成しましょう。
- 土壌改良材(無機質):一般的な植物の培養土よりも、特に通気性と排水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を7割~8割を目安にして多めに配合します。注意点として、pHが低い土壌改良材(鹿沼土)は、培養土を酸性に傾けてしまうため、利用を控えた方が良いことです。また通気性・排水性を高めるために、土粒が大き過ぎるものを使う事もやめた方がいいでしょう。土粒が大きいと、空隙ができすぎてしまい根の活着が悪くなったり、保水性も著しく落ちて生育が悪くなる原因となります。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの有機資材は2~3割を目安に培養土の中に配合します。腐葉土などの有機物は土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。ただし、有機質の土壌改良材を入れ過ぎると夏場に蒸れて根腐れを引き起こす事もあるため注意が必要です。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)7割+腐葉土3割+苦土石灰適量+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+腐葉土2割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+バーミキュライト1割+腐葉土2割+苦土石灰適量+元肥適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- ゼオライト:ゼオライトは沸石とも呼ばれる鉱物の一種です。
- 特徴:水質浄化・脱臭効果・高い保肥力などにあります。そのため、根腐れ防止や肥料の流失や肥効の継続に効果を発揮します。一方で、入れすぎると肥料が効きにくくなるなどのデメリットがあるため、土壌や培養土に5%程度混ぜて使われる事が多いです。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
自生地が地中海沿岸の乾燥した草原や荒れ地にあり耐乾性が強い植物です。そのため、水やりはあまり必要ありません。その一方で、乾燥した環境よりも、生育期に適度に水が与えられる環境の方がより良く成長するため土壌の状態を見ながら水やりをすることが大切になります。ただし過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因となったり、根の呼吸を妨げて根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。一方で、鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水やりが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。水やりの方法は下記を参考にしてください。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表面または表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 夏の水やり:自生地の気候は地中海性気候で、この時期は降水量が少なく乾燥しており、日本の高温多湿を苦手にしています。この時期は、基本的に乾燥気味に管理しますが、完全に乾燥させると枯れることもあるため株の状態・土壌の状態を確認することも大切です。基本的には、多湿にならないよう注意しながら、朝の涼しい時間帯に土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。また地上部が枯れて休眠したら水やりを止めます。
- 秋の水やり:気候が穏やかになり、再び生育が始まります。そのため、土壌の表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:生育が緩慢になる季節で、植物は水をそれほど必要としません。土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなります。ただし、完全に乾燥すると枯れてしまう事もあるため、土壌の表層が乾燥した数日後に水を与えると良いでしょう。
注意点
- 水やり時間帯:水やりの時間帯は、基本的に植物が水を欲しがりだす朝に与えるのが最適です。昼や夕方に与える事も出来ますが、季節によっては高温で水がお湯のようになり蒸れて根腐れを引き起こす可能性があります。また夕方に水やりを行うと、植物が水分をあまり必要としない夜間にも水がたっぷり残り呼吸を邪魔するなどして根腐れを引き起こす原因になる事があります。そのため、基本的に朝に水をやることが正しいですが、植物が萎れている場合は時間に関係なく直ぐに水やりを行って下さい。
- 水を与える量:1回に与える水の量はたっぷりです。鉢植えで植物を栽培している場合は、鉢底から水がしっかり流れるまで与えます。その際、水を与える場所が1箇所になると水の道が出来てしまい、特定の場所に水が流れないこともあるため水を与える場所を変えながら与えましょう。地植えで水やりを行う場合は、土壌の表面だけでなく奥まで水を染み込ませるつもりでしっかりと水を与えて下さい。
- 水を与える場所:水を与える場所は基本的に株元から少し離れた場所で、植物に直接かけないようにします。植物上に水が溜まると、そこから真菌などが植物の中に侵入し、病気を引き起こし腐敗させる原因になるため注意して下さい。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。※土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土の表面から5cm程度の深さと定義しています。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
カルドンは土壌に一定の肥沃さがあれば肥料が無くても育てる事ができます。ただし、肥料を与えることで株の生育が促進されるため、生育期間中は定期的に追肥を施す方がよいでしょう。
●肥料の与え方
- 元肥:元肥は植付け前または植付け時に土壌の中にあらかじめ入れて施す肥料です。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリが同程度の割合で入る水平型、またはリン酸が多く含まれる山型を選びます。
- 肥料の製品:緩効性肥料・配合肥料(BB肥料など)がおすすめです。
- 施し方:基本的に全面施肥です。全面施肥とは、植物を植付ける土壌・培養土の中に、規定の量の元肥を入れて、偏りがないように混和する方法です。※全面施肥は肥料が植物の根に触れて肥焼けを引き起こす可能性があるため、肥効が緩やかに出る肥料を選ぶ。例として緩効性肥料やBB肥料などです。
- 追肥:植物が生育する途中で施す肥料です。土壌中の栄養素は植物が吸収して減っていくため、追肥を施すことで補います。
- 肥料を与える時期:生育期の春から初夏に追肥を施します。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリがバランス良く入る肥料、またはリン酸とカリが多く入る肥料を選びます。
- 肥料の製品:液肥・固形肥料(速効性・緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の株元を中心に根が張っている範囲にまんべんなく、全ての根に液肥が行き渡るように施しましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
カルドンは剪定せずに育てることも出来ますが、より健康で美しい株を維持するために剪定が推奨されます。例えば、花がら摘みを行うことで次の花芽にエネルギーが回り開花期間が延長されたり、古葉取りを行うことで風通しがよくなり病害虫の発生を抑制することが出来ます。
剪定をするかは剪定理由を見ながら決めるとよいでしょう。
●剪定方法
- 花がら摘みの方法:花がら摘みを行う時期は開花期間中です。株を観察して、花が咲き終わったタイミングで分枝している場所の上、または花の下にある葉の上で剪定します。これを行うことで、次の花芽に栄養が回り、次の花が咲きやすくなり開花期間が伸びます。
- 古葉取り:古葉取りを行う時期は早春から夏にかけてです。株を観察して、最も古い葉(ロゼット葉の一番下)が活力を失い垂れ下がっていると感じたら、この葉を根元から折るか、ハサミで切り取ります。これを行うことで、株元に太陽光が届き過湿を防ぎ、風通しが良くなり病害虫の発生を抑制します。また栄養が若い芽や葉に集中するため生産性も高まります。
- 刈り込みのやり方:秋頃になり、地上部が枯れたら、枯れた部分の茎・葉を剪定します。これを行うことで、成長点に光が当たり、新芽が出やすくなります。
夏越しする方法
カルドンは、自生地が丘陵地の岩場、乾燥した草原などにあり、気候は地中海性気候で夏は暑く乾燥しています。そのため、この植物は暑さと乾燥に強いですが、多湿や過湿を苦手にしています。特に日本の高温多湿で株が蒸れて、根腐れしたり病気にかかったりしやすく、株が衰退して枯れることも多いです。そのため、夏越し対策として多湿・過湿の予防が必要になってくるでしょう。
●夏越し対策一覧
- 多湿・過湿の改善:空気中・土壌中の湿度が高い状態です。原因は様々で、壁に囲まれて空気の流れや太陽光が遮られている場所、雑草などで太陽光が遮られている場所、雨水が貯まりやすい場所、土壌の土質が悪い場所などで起きやすいです。多湿・過湿の改善の方法は幾つかあるため下記を参考にして下さい。
- 植物を移動:植物と育てる場所の相性が悪い場合は、植物を相性の良い場所に移動しましょう。
- 雑草の除去:雑草は風の流れや太陽光を遮り、育てている植物の成長を妨げる原因になると同時に、多湿を生み出す原因にもなります。多様性の一部ではありますが、見た目にも良くないことが多いため定期的に抜きましょう。
- 排水性の改善:雨水などが周囲から集まりやすい環境にあったり、硬盤があったりすると排水が上手くいかない場合があります。対策として排水溝を作ったり、縦穴暗渠(縦穴排水)をつくり雨水が外に流れる仕組みをつくりましょう。
- 花壇を高くする:植物を植える環境を周囲よりも高くして排水性を改善する事も出来ます。花壇をレイズベットにしたり、岩を並べてロックガーデンなどにしたりして、植物を育てるのもよいでしょう。
- 雨避けをつくる:植物の上に雨が当たらないように雨避けを張り、雨から植物を守る方法があります。雨避けの方法は様々ですが、雨避けの製品もあるため探してみるのもよいでしょう。雨避けは病気予防、多湿・過湿の改善にもなります。
- 土壌の改善:土壌は土質により乾燥のしやすさが変わります。植物の植え付け時や植え替え時に、植物に合わせた土壌の改善をしましょう。詳しくは花壇土からご覧下さい。
冬越しする方法

Hardiness:7~9
カルドンは気候が温帯であれば屋外での越冬が可能です。ただし、冷帯では寒さで株が枯れる事もあるため、冬越し対策が必要です。
●冬越し対策一覧
- 軒下に移動する:植物を植えている鉢植えを軒下に移動する事で、霜を避けることができます。霜があまり降りない地域であれば、霜を避けるだけで冬越し出来ることもあります。
マルチング:株の周囲にマルチング資材を入れて株元と根を保護する。根を凍結や霜から守ったり、乾燥対策になったりします。
- 方法:霜が降りる前の11月頃に行います。バーク堆肥や藁などのマルチング資材を準備します。育てている植物の周りに、マルチング資材を5~8cmほどの厚みになるように入れます。
植物にカバー:植物にビニールや寒冷紗などをかけます。植物を寒風から保護したり、霜から保護したり、昼夜の急激な温度変化を防ぐ働きがあったりします。
- ビニール・寒冷紗:植物の周りに支柱を立てて、ビニールまたは寒冷紗を支柱に巻き付けます。巻き付けたビニールまたは寒冷紗が落ちないように洗濯バサミや紐などを使い固定しましょう。※ビニールを巻く場合は穴を開けて通気性を確保してください。
- 苗キャップ:透明のカバーで苗や小さな植物を保護するための専用の製品です。専用のカバーを苗または小さな植物の上に被せて、風などで飛んでいかないように固定して利用します。
- 植物保護カバー:不織布などの保護カバーで植物を保護するための専用の製品です。大きめの植物や複数の植物を囲うのにも対応しており、専用の製品になるため、チャックなどがついていて扱いやすい所も魅力です。
温室:内部の温度を一定に保てるようにガラスやプラスチックフィルムなどで作られた建物です。植物を温室の中に入れる事で、寒さの軽減や寒風対策、霜・凍結対策ができます。
播種で増やす
- 播種時期:3月~5月
- 発芽適温:約15度
- 発芽日数:約14日~
- 備考:
種まき手順
- 種まきの時期:春まき
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株同士の間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株同士がくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 移植:小さなプラグトレーやポットで移植栽培をしている場合は、本葉が2枚以上になったタイミングでポットなどに移植します。出来るだけ根鉢を崩さないように注意しましょう。
- 定植:株がある程度の大きさになったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。
※鎮圧は土と種の密着度を高め水分の吸収をよくします。